つまり、現在のコミュ
『愚者』『隠者』『星』『正義』『月』『戦車』
に対応したペルソナだけが出せるということです。
この設定は先駆者様の設定を参考にさせていただきました。
長々と書きましたが特に覚えなくても大丈夫です。
「神子さんが言ってたのはこのあたりかな」
神子から頼み事を引き受けた翌日、カンザトは人里の離れにある広場を訪れていた。周りには建物が無く、開けた大地にはイチョウ色の草が生い茂っている。暖かな日差しを浴びていると、冬の訪れにはもう少し時間がかかりそうだと感じた。
頼み事の内容とは、「我が同志の修行に付き合って欲しい」とのことだった。ちなみに神子は道教を布教しているらしく、件の人物は神子の部下であり腹心だそうだ。
知り合って一日足らずの、素性の知れない男に修行を付き合わせるというのはどうなんだ、とか、そもそも修行って何するんだ、とか……色々と思わなくもなかったが、慧眼を持つ神子には凡人では計り知れないような深い考えがあるのだろうし、なにより急な相談に対応してくれた御恩があるため、快諾した。
(あ、誰かいる。あの人かな?)
指定された場所に着くと、そこには烏帽子をかぶった白装束の少女がいた。ポニーテールに纏めた艶やかな銀髪が秋風になびいている。実年齢は分からないが、小柄な体躯と顔つきから、どことなく幼い印象を受けた。全体的に古風な装いをしており、カンザトは「陰陽師ってこんな感じだった気がする」と思った。
少女はカンザトの存在に気づくと、明朗快活な笑顔を見せ、浮遊しながら近づいてきた。
「お主、もしや太子様の仰っていた入門志願者か?」
「……入門志願者?」
カンザトは目を丸くして聞き返した。
幼げな容貌から発される古風な口調にも驚いたが、なによりも、自分がいつの間にか入門志願者になっていることが引っかかった。修行に付き合うことにはなったが、入門するとは全く言っていない。
「む、我の門弟に志願した見込みある若人とはお主のことではないのか?」
「いや、俺は」
「なーに、隠さなくともよい! 我の名は『
「あのー、俺はただ修行に付き合って欲しいと言われただけで、弟子になれとまでは言われてないんですけど……」
「まぁまぁ、似たようなものであろう! お主、名をなんという?」
「カンザトです。弟子ではないd」
「あい分かった、カンザト! 早速修行を始めるぞ!」
(人の話聞かないなこの人)
他に弟子をとっているのかは知らないが、少女は弟子が増えるのがよっぽど嬉しいようで、初対面のカンザトですら一目で分かるほどに上機嫌だ。
「そもそも道教とは……」
「説明からですか? 俺はその、道術? を使うつもり無いですけど……」
「まぁ聞け。何を学ぶにもそのものの本質を理解していなければ身にならん。先ずは座学といこう」
「それはそうかもしれませんけど……」
それから1時間ほど、カンザトは師匠(暫定)の有難いお話を聞いた。半分ほどは布都の主である神子が、どれほど偉大な存在であるかを語っていた。
身振り手振りを交えながら熱く語る少女を途中で止めることは出来ず、カンザトはただ相槌を打つことしか出来なかった。
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「そして、太子様は威光を迸らせながらこう仰った。『私は生ける伝説となる!』と」
「へぇ〜カッコイイですね」
「そうであろう? 正に才気煥発な御方。太子様の溢れん出んばかりの英智から成す偉業は留まるところを知らず……」
「……あのー、そろそろ1時間経つんですけど、修行しないんですか?」
「む? もうそんな時間か。カンザトよ、有意義な時間を過ごせたのう!」
「……ソッスネ」
布都は無邪気な笑顔で同意を求めるが、信者見習い(不本意)のカンザトは素っ気ない返事しか出来なかった。
たしかに、神子の幻想入り前と後の偉業両方が事細かに語られていて、その場面に居なかったカンザトの脳内にも情景がありありと浮かんでくるようだった。また、自分の幻想入り前の幻想郷の異変について知るという意味では学びを得られた。多少、布都の主観による誇張表現がありそうだったが、神子に対する崇敬の念がひしひしと伝わってきた。
「では休息をとるとしよう。商店街に行くぞ! 我に着いてくるがよい!」
「え? 修行は……足はやっ」
疑問を呈する前に里の商店街方向へ、ポニーテールをたなびかせながら走っていってしまった。休憩後に修行を再開するのだろうと思うことにして、大人しく後を追った。
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「よし、先ずはこの店に入るぞ!」
「ここって、陶器を扱ってるお店ですか……ん? まずは?」
「そろそろ皿を補充したかったのだ。お主も付き合え」
「まぁいいですけど……休憩はどうしたんですか」
「休憩は後だ! はよう中に入るぞ!」
颯爽と入店する和少女を横目に、ふと、通りに目をやると大きな青紫色のリボンを着けた赤髪の女性が茶屋に入っていくのが見えた。
(あれ……赤蛮奇さん?)
その容姿には見覚えがあり、記憶を辿ると、小人少女の針妙丸と里で買い物をしていた際に遭遇した妖怪だと思い出した。だが、服装が洋服ではなく和服だったので、別人の可能性もある。
特に気にすることでもないと思い、カンザトは布都に続き店に入った。
1軒目 陶器店
「ここの製陶技術は、皿にうるさい我でも目を見張るものがある。絵付けも我好みだ」
「確かに綺麗ですね。物部さんはお皿が好きなんですか?」
「布都でよい。我にとって皿は必需品だ。無くてはならぬ」
「へぇー、こういう物の善し悪しが分かるって凄いですね」
「そうか? ……そうかそうか! では、皿を買い入れる時は我を頼ると良いぞ!」
布都は褒められたのが嬉しいのか、とても上機嫌だ。
皿が必需品とは、飲食店でも営んでいるのかと思ったが、料理人には見えないので、結局使用用途は分からなかった。
2軒目 呉服屋兼、仕立て屋
「この仕立て屋にはいつも世話になっておる。お主も利用するとよいぞ」
「なんでさらっと別の店来てるんですか」
「また来たぞ店主殿! 息災か?」
「俺の話全く聞いてないですよね」
3軒目 茶屋
「茶屋に寄るぞ!」
「やっと休憩ですか……」
「なに? そんなに休みたかったのか? 弱っちいのう」
「いや、いつ修行に戻るのかと思ってたんで」
「精が出るのう……やはり入門希望なのだろう」
「違います」
この店では布都と共に団子を数本食べた。
この状況、女性と茶屋に入るというのは、いわゆるデートというものなのではと思ったが、引っ張られて後ろに着いて行っているだけだからか、それとも出会って数時間しか経っていないからか、カンザトは何故かあまり嬉しくなかった。
4軒目 古書店
「ふぅむ……中々の品揃えだな」
「なんでまた買い物してるんですか!」
「許せ。今日はお主がいて都合がいいのだ。普段は我一人で多く買い入れることが出来ぬからな」
「俺は荷物持ちですか……」
「まぁまぁ、師匠の役に立てて嬉しいであろう!」
カンザトの胸中は複雑だった。
確かに、誰かの役に立てることは喜ばしいことではあるが……これは少し話が違う。
5軒目 甘味処
「ん〜! 美味であるぞ! ここの甘味処は前々から気になっておったのだ!」
「また食べるんですか……?」
「お主は食わぬのか?」
「さっきの店で食べたので遠慮しときます……」
「そうか? ん〜甘露!」
(……神子さんが言ってたのはこういうことか)
万遍の笑みで甘味を頬張る姿は、見てるこちらの幸福度が上昇しそうだったが、今回に関してはのんびり眺めている訳にもいかなかった。
というのも、実は神子から修行の協力を頼まれた際、ひとつ付け加えられた事があったのだ。
それは──
『もし布都が修行を怠けるようなことがあれば、私の名前を出すといいでしょう』
『怠ける? どういうことですか?』
『布都は近頃修行に身が入っていない様でしてねぇ……まぁ、他人の目があれば多少は変わると思いますが……もしそんな様子であれば言ってやってください。豊聡耳神子がお前の怠惰を嘆いていたぞ、とね』
『初対面の自分が言って大丈夫ですかね……』
『むしろ貴方が適任なのです。私が言おうとしても、布都は良い格好を見せようと取り繕うでしょうからね。ここぞというところで、ビシッと言ってやってください。フフフ』
『えぇ……もしかして結構怒ってます?』
──という事があり、実際のところカンザトは、神子が派遣した布都のお目付け役だったわけだ。
甘味に舌鼓を打ち幸せそうな少女を見ていると、言うのが少しはばかられたが、多大な恩のある神子から頼まれた事だ。カンザトは心を鬼にして忠言することにした。
「布都さん……」
「んー?」
「お楽しみのところ悪いですけど、神子さんが言ってましたよ。『布都は最近怠け気味だ。どうしたものか』って」
「んぇ!? な、なな……!?」
目に見えて狼狽える布都。目を見開き、汗を流しながらカンザトを凝視している。
いつからサボり気味なのかは知らないが、もしやバレていないとでも思っていたのだろうか。
「それで俺は修行を手伝うように言われたんですよね」
「お、お主……まさか、弟子志願者ではなく、太子様が我に付けたお目付け役だったのか……!?」
「チガイマスヨー、オレワフトサンノデシデスヨー」
「う、嘘だ! 嘘吐きの目をしておるわ!」
「フトサンノカッコイイトコミタイナー」
「その白々しい棒読みをやめんか!」
残念無念。都合が良さそうなので、ここぞとばかりに弟子設定を利用したが、あからさま過ぎる棒読みに嘘を見破られてしまった。
「でも、神子さんが心配してたことは嘘じゃないですよ。さ、修行に戻りませんか?」
「ぐぬぬ……」
(ぐぬぬじゃないよ)
「め、名誉挽回だ! 次の修行は我が物部の秘術を見せてやる! 覚悟しておれ!」
「ホントですか? やる気になったんですね」
「……後日!」
「あ、今日はもうやめるんすね……」
「うっさいわ! 今日は満腹だから帰る!」
主から呆れられているかもしれないという焦燥感からか、布都は顔を真っ赤にして憤りを露わにしている。
修行を止める理由が「疲れたから」ではなく「満腹だから」なあたり、普段から悠々自適な生活を送っているのだろうことが容易に想像出来た。
仙人見習いの物部布都に修行の約束を取り付けられた……
「!」
我は汝……汝は我……
汝、新たなる絆を見出したり……
絆は即ち、まことを知る一歩なり。
汝、『法王』のペルソナを生み出せし時、
我ら、更なる力の祝福を与えん……
………………
「太子様には言いつけるでないぞ!」
残っていた甘味を一気にかき込んだ布都は、それだけ言い残すとまるで何かから逃げるように走り去っていった。
空になった容器が残された机を見ると、意外にもしっかりとお代が置かれていた。こういった点からも、彼女は「悪い人」では無いのだろう。ただ、自由気ままに人生を謳歌しているだけなのだ。それが聖徳王に仕える道士としてあるべき姿なのかと問われると、手放しに肯定は出来ないかもしれない。
「……あれ、買った物持ったままだけどいいのかな」
その場には、1人で運ぶにはわずかに手に余る量の購入品と、カンザトだけが取り残された。
次の修行がいつになるかは不明だが、それまでこの購入品はただでさえ手狭な自宅に置いておく事が確定し、カンザトは一つため息をついた。
会話パートを書いてて楽しい布都ちゃんですが、口調の再現は難しいです。
●解放されたコミュ
『法王』物部 布都:ランク1
ペルソナ〜トリニティ・ソウル〜は
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存在を知らない