PERSONA-trinity heart-   作:善い思考

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コミュについてですが、このssは全部で10個のコミュ(愚者含む)を作る予定です。原作ゲームだと20個以上ありますが、
①20個以上作ると話数がとんでもなく長くなる
②他の幻想入りシリーズとストーリーが被らないように
③自分の構成力不足
という理由により、数を減らしています。ご了承ください。



小人族の過去

 針妙丸を連れて人里で買い物をした翌日、カンザトは再び博麗神社を訪れていた。今回は霊夢が境内の掃除をしていたため、無事話を聞くことが出来た。

 

「──というわけで、名前も分かったので今は人里に住んでます」

 

「無事で良かったです。霖之助さんが一緒とはいえ少し心配だったので」

 

「森近さんにはすごくお世話になりました。それで、今度は里周辺に何があるかを教えて欲しいんです」

 

「えぇ、いいですよ。……でもその代わり、境内の掃除を手伝ってくれませんか?」

 

「掃除? まぁいいですけど……」

 

「これだけ広いと掃除も一苦労なんですよ。じゃあこれ、箒使って落ち葉はいてください」

 

 霊夢が笑顔でカンザトに竹箒を渡す。

 思えば情報を貰うだけで、霊夢に対して何の対価も支払っていなかった。

 働かざる者なんとやら。

 カンザトは情報の為に体を動かすことになった。

 

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 本殿周りに散らばっている落ち葉を竹箒で掃いていると、昨日も聞いた声が聞こえてきた。

 

「あれ、カンザト? 何してんの?」

 

 声がした方に視線を向けると、昨日知り合ったばかりの小人少女が不思議そうにこちらを見上げていた。

 カンザトは片膝をつき、屈む姿勢になり視線を合わせる。

 

「博麗さんに頼まれて掃除中。終わったら里周りのこと教えてもらう予定」

 

「タダで教えるつもりはないってことね。霊夢らしいわぁ」

 

 そう言い針妙丸は苦笑する。

 霊夢のことをよく知っているようだが、付き合いは長いのかと疑問が湧いた。

 

「あ、そうだ! 昨日はありがとね。おかげで霊夢に喜んでもらえたわ!」

 

「どういたしまして。日頃の感謝って言ってたけど、霊夢とは付き合い長いの?」

 

「ううん、今年の夏に知り合ったばかり。でも霊夢は小さくなった私を守ってくれてるから。そのお礼」

 

「そういえば本来はこんなに小さくないって言ってたけど、何で今の大きさになったんだ?」

 

「それは…………」

 

 カンザトが問うと、針妙丸は俯き黙ってしまった。聞かれたくないことだったかと思い、答えなくていいと伝えようとすると……

 

「……私たち小人の一族には代々伝わる秘宝がある。願いを何でも叶えるという、とてつもない魔力を宿した道具。それが……『打出の小槌』」

 

「打出の小槌? それって、昔話に出てくる……」

 

「えぇ、その通り。私、少名針妙丸はかの有名な一寸法師の末裔。打出の小槌は初代一寸法師が残した鬼の財宝よ」

 

「えっ!?」

 

 小さな子供でも知っているほど有名なおとぎ話の登場人物の末裔と言われ、カンザトは驚きを隠せなかった。つい最近聖徳太子の名で驚愕したばかりだったが、歴史上の人物と言われている聖徳王と違い、フィクションだと思っていた物語が史実であるという情報は、外来人であるカンザトに、まるで常識が裏返るかのような衝撃をもたらした。

 

「一寸法師って実在したんだ……」

 

「そうやって小人が架空の存在になってしまったのも、打出の小槌の『代償』のせいだと言われているわ」

 

「代償って?」

 

「打出の小槌は使用者の欲を聞き入れ、願いを叶える。だけど、それには大いなる代償が伴う」

 

 針妙丸は秘宝について淡々と語る。

 それで針妙丸が小さいこととどう繋がるのか、とカンザトが首を傾げていると、針妙丸は少し間を置いた後、意を決したかのように顔を上げ再び口を開いた。

 

「私は、打出の小槌を使用したせいでさらに小さくなってしまった。この姿こそが、『代償』なの」

 

「なるほど……」

 

 針妙丸は何かの目的で打出の小槌を使用し、願いを叶えたが、その代償として縮んでしまった。縮んだままでは危険が多いので、霊夢に保護してもらっている、ということだ。

 そこではた、と思う。

 普通に話しているが、これは自分が聞いてよかった話なのか、と。秘宝と言っているぐらいだから小人の一族にとって大切な物なのだろうし、なにより「願いを何でも叶える道具」など、存在が広まればそれをめぐって大規模な争いが勃発することは想像にかたくない代物だ。昨日知り合ったばかりの人間がおいそれと聞いてよかったのか。

 

「というかこれ、聞いてよかった? かなり重要なことな気がするけど」

 

「大丈夫よ、打出の小槌は私たち小人にしか扱えないから。小人以外が知ったところでどうも出来ないわ。それに、今は小槌の魔力が無いから使いたくても使えないの」

 

「あぁそうなんだ……」

 

「なぁに? 何か叶えたいことでもあるの? 金銀財宝? それとも永遠の命?」

 

「えっ、いや……別に」

 

 針妙丸がからかうような目線を向ける。

 流石に「記憶を取り戻したい」とは言えなかった。利己的すぎるし、代償を知っていて使用するよう乞うのはあまりに無責任だろう。

 

「でも、貴方に話したのはもう1つ理由があるのよ」

 

「なんで?」

 

「貴方は信用出来る人間だと思ったから。昨日会ったばかりだけど、貴方からしたら突然話しかけてきた得体の知れない私を、人里まで連れて行ってくれたから。私のお願いを、叶えてくれたから」

 

 カンザトが思っているよりも、針妙丸は昨日のことに恩義を感じていたようだった。

 さらに針妙丸は続ける。

 

「そんな貴方なら話しても大丈夫かなと思ったのと、懇意にしてもらった人に質問されてるのに黙るのは、ちょっと不誠実かなって」

 

「連れて行っただけなのに、そんな」

 

「あと貴方、まだ言いふらすような知り合いいないでしょ?」

 

「うんまぁ……悲しいけどその通り」

 

 おどけて笑う針妙丸。

 無邪気だが、交友関係の少なさを指摘されるのはなかなか辛い。人里に住み始めて1週間しか経っていないのだから当然なのだが、カンザトはなんとはなしに切なさを覚えた。

 

「縮んだ理由は分かったけど、打出の小槌を使ったのは何で? もしかして、昨日赤蛮奇さんと話してた『小槌の魔力』ってのと関係あるのか?」

 

「あ、えぇと……それは……」

 

 問われた針妙丸は言い淀む。

 少しの逡巡の後、針妙丸が口を開こうとしたが……

 

「カンザトさーん! こっち手伝ってくれなーい?」

 

 よく通る霊夢の声がそれを遮った。

 針妙丸は気まずそうにこちらを見る。

 

「針妙丸、話してくれてありがとう。続きは話せそうだったら、また今度聞かせて」

 

「えっ……うん……」

 

 針妙丸の言いづらそうな様子を見て、カンザトはそこで会話を切り上げた。

 人には言えない過去の1つや2つあるだろうと思いながら。

 

 

 カンザトは針妙丸の過去と、一族の秘宝について知った……

 

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 掃除が大方終わり、カンザトと霊夢は本殿の縁に腰掛けている。

 

「ありがとうカンザトさん。男手あると助かります」

 

「いえ、これぐらいならいつでも」

 

「あらそう? これから色々頼んじゃおうかな」

 

 そう言い霊夢は顔を綻ばせる。

 どれだけ見ても普通の女の子にしか見えないな、とカンザトは思った。家族を見たことはないので、たった1人でこの立派な神社を管理しているのだろう。目の前に座る少女の境遇を想像し、協力を求められたなら、なるべく応じようと思った。

 

「それで、里周辺の地理情報ですよね。ちょっと待っててください、地図持ってくるので」

 

 そう言い残し霊夢は母屋の方に向かった。

 しばしの間、特に何をするでもなく境内に連なる木々のざわめきに耳を傾けながら待機していると、地図らしき物を持って霊夢が戻ってきた。

 

 

 ・

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 ・

 

 

 霊夢から幻想郷の地理について、ひと通り説明を受けた。

 

 人里のすぐ近くには『命蓮寺』という寺がある。博麗神社の商売敵である。多くの妖怪を弟子にとると同時に人間の参拝客も多いが、胡散臭い奴らなのであまり信用し過ぎないように。

 

 人里の東に広がる、迷いの竹林の奥に居を構える『永遠亭』。そこには人智を超えた技術を持つ医者がいるらしい。

 迷いの竹林をさらに東に進むと、多種多様な花々が咲き誇る畑があるが、その畑には危険な妖怪が住み着いているので近寄らない方がいいようだ。

 

 魔法の森を北に抜けた先には霧烟る湖があり、そのほとりに佇む『紅魔館』には吸血鬼が住んでいる。館に住む者達は比較的人間に友好だが、不要な接触は避けるべきとのこと。

 

 そびえ立つ山々には数多くの妖怪達が暮らしており、排他的な集団は侵入者に容赦なく矛先を向けるため、安易にテリトリーに入らないように。

 また、山中にある『守矢神社』には神が住んでいる。人妖ともに信仰を集めるが、こちらも博麗神社の商売敵で色々と迷惑な奴らなので籠絡されないように注意。

 

 かなり霊夢の主観が入った解説を聞いていると、ある疑問が湧いた。

 

「前、話にあがった聖徳太子は神出鬼没って言ってましたけど、普段どこに住んでるんですか?」

 

「あー……アイツは異空間にいるから、こっちから出向くことは出来ないですね」

 

「い、異空間……? じゃあ、部下がこちらに住んでたりはしませんか?」

 

「うーん、弟子がいますけど、そいつらも普段は聖徳王の傍にいるんじゃないかしら」

 

「そうですか……仲介してくれる人がいればと思ったんですけど」

 

「あ、あとは仙人が仲間にいますね。そいつは常に聖徳王と行動してる訳ではないようですけど、操ってるゾンビ共々危険なので、見つけても近づかない方がいいです」

 

「ゾンビ? ゾンビってあの死体が動くやつですか?」

 

「そう、想像してる通りそのゾンビです。見た目的にはキョンシーの方が正しいかしら」

 

 本日2回目の驚愕。

 だが直前に一寸法師の末裔と話していたせいか、カンザトは「まぁゾンビくらいならいるか……」という、慣れなのか思考放棄なのかよく分からない事を考えていた。

 

「やっぱり里に来るのを待つしかなさそうですね」

 

 ともかく、知りたかった地理情報は聞けたので良しとする。危うきには近寄らず、霊夢が危険だと言う場所は避けて行動することにした。

 

「……ところでカンザトさん、前々から思ってたけど何で敬語なんですか?」

 

 カンザトは初めて対面した時から、霊夢に対し敬語で話していた。理由は単純で、霊夢の肩書きを聞き畏まっているからである。

 

「いや……なんていうか、前情報だけ聞いてとんでもなく偉い人だと思って話してたので、その流れで」

 

「歳も近そうだしタメ口でいいですよ」

 

「そうですか? それじゃあ、博麗さんもタメ口でお願いします」

 

「あらそう? それじゃ遠慮なく。敬語って肩肘張るのよねぇ……立場上普段は使うけど。あ、あと霊夢って呼び捨てでいいわ。みんなそう呼んでる」

 

「そう? 分かったよ、霊夢」

 

 翌日からは霊夢から教わった情報を元に、近場の安全な場所に足を運ぶことにした。

 

「貴方は身寄りが無いから、突然居なくなっても捜索されない可能性が高いわ。妖怪からしたらいいカモよね。力があるとは言え、あんまし変なとこ行かない方がいいわよー」

 

 ……紅白巫女より、さりげなく恐ろしい忠告をいただいたため安全第一で。




仲良くなってますが霊夢コミュは無いです。

●ランクupしたコミュ
『正義』少名 針妙丸:ランク2

ペルソナ〜トリニティ・ソウル〜は

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