お絵かき伝言ゲームのお題も6つまで消化された。
ここまでやったみんなの絵の特徴をまとめると
アレイシア:とにかく上手い。美術系専門大学出身って感じの絵。
ラーちゃん:可愛い感じの絵を描くことが多い。年齢からすると十分上手。
ブラム:何故か黒とか暗めの色に塗りがち。武器を描くのは得意だが人物を描くのは苦手そう。
ルーナさん:優しい線を描く。人物よりも風景とかの絵を描くのが得意そう。
エリック:正直言って下手。ただ、人物の特徴をとらえるのは上手く、誰を描いているのかはわかる絵になっている。
シルヴィオ兄さん:本人は色を塗るのは得意だけど絵を描くのは苦手と言っていたが、十分上手い。クラスにいるちょっと絵の上手な人って感じ。
エリノラ姉さん:前衛的過ぎる。魔物とか動物なら辛うじて伝わるかもしれないが、人物に至っては誰を描いているのかさっぱりわからない。加えて変なアレンジもしている。
エリノラ姉さんのせいで全然上手く伝わらないこともあるが、概ねお題から大きく逸れずに進んできたと思う。
たまにエリックの絵でもズレてしまうことがあったがそれもご愛敬だろう。
「それでは7つ目のお題は『クッキーを食べるメイド』です。」
「私のお題ね!」
エリノラ姉さんのお題らしい。
ただ、俺はこのお題の絵を見た記憶がないぞ?
誰かのところで大きくズレてしまったのだろうか?
はじめは普通のクッキーで進んでいたのだが、アレイシアがイチゴジャムクッキーを描いたことによって後の悲劇が産まれることとなる。
「アレイシア様の描いた絵に対する、ブラム様の回答は『イチゴジャムクッキーを食べるスロウレット家のメイド』でした。」
「イチゴジャムクッキーになってしまったようだけど、ここまでは順調じゃないかしら?」
アレイシアが呟く。
既に六人まで回って大きくズレてないのに俺がこのお題を知らないということはこの次で大きくズレたということだろう。
「それでは今のお題に対してエリノラ様が描いた絵がこちらになります!」
ロレッタが勢いよく絵を表にする。
「なっ!?」
「こ、これは凄いわね...」
「化け物みたい。」
「ははは...エリノラ姉さん、流石にこれはないよ...」
「...」
「なにこれ!?アルの家にはこんなメイドさんがいるの!?」
みんな思い思いの反応をする。
ラーちゃん、ウチにはこんなメイドはいないよ?
「何よ!?どうみてもイチゴジャムのクッキーを食べるミーナでしょ!」
エリノラ姉さんにはミーナがどんな風に見えているのだろうか?
俺とは見えているものが違うのかもしれない。
それにしても俺が見た化け物の絵はミーナの絵だったのか...
多分指が6本に見えたのは手に持ったクッキーで、人間を食べていると思ったのもイチゴジャムクッキーだったのだろう。
いや、どうやってもこれを当てることは無理だよエリノラ姉さん...
「えーっと...進めますね?この絵に対する回答はアルフリート様で、回答は「美味しそうに人間を食べる化け物」です。」
「人間を食べる化け物って何よ!?アル!当てる気あるの!?」
「いや、どっからどうみても人間を口に咥えてる化け物でしょ!俺は悪くないよ!」
「これはアル君の答えが正しい。どうみても化け物。」
「ルーナまで!?」
やっぱり俺以外にも化け物に見えているらしい。エリック、ブラム、シルヴィオ兄さんも黙って頷いている。
アレイシアはよくわからない笑顔を浮かべているがおそらく同じだろう。
「えー、お題の始まりが『クッキーを食べるメイド』で最終的な答えが『美味しそうに人間を食べる化け物』なので、このお題は失敗です。」
「アル!あんたのせいよ!」
「いや!エリノラ姉さんのせいでしょ!俺は絵の通りの回答をしただけだよ!」
「ぐぬぬ...」
ただ、エリノラ姉さんも他の人が俺と同じ意見だとわかったのかそれ以上は追及してこなかった。
エルナ母さんに言って勉強の時間に絵を描く時間を追加してもらおうか。
そうすれば稽古の時間も少なくなるかもしれない。
後日、この絵をミーナに見せに行ったが、ミーナは悲鳴をあげた。