エリノラ姉さんとの稽古が終わったので俺も屋敷に戻ろうとしたところ、ノルド父さんから声を掛けられる。
「アル。それじゃあ次は僕とやろうか。」
「へ?俺がノルド父さんと?無理無理!勝負にならないよ!」
「グラビティを強めに掛けてもらいながらだったら僕もそんなに早く動けないだろうし、こっちからは怪我をするような攻撃はしないつもりだからどうかな?」
うーん...ノルド父さんとは魔法ありで稽古したことないし、普段ボコボコにされているのに対するリベンジの機会としてはありじゃないか?
「わかったよ。ただ、本当に危険な攻撃はやめてね?」
「大丈夫だよ。手加減は得意だから。」
そう言ってノルド父さんは準備を始める。
「それじゃあこの前と同じぐらいの強さでグラビティ掛けてもらえる?」
「わかった。これぐらいでいい?」
「これぐらいでいいよ。あと、稽古の間はグラビティの強さは変えないでね。稽古の途中で変えられると手加減出来なくなるかもしれないし。」
「大丈夫。絶対変えない。」
俺はそう誓った。
ノルド父さんがアップしている間、俺も自分の準備を進める。
まずはシールドを自分の体を守るように前後左右上下に10枚ずつ張る。
「ノルド父さん。俺はどの程度準備していい?」
「やれること全部やってくれてもいいよ。ただ、火魔法や風魔法みたいに周りに影響が出そうな魔法は控えておいてもらえる方がいいかも。避けたりしたときに建物が傷付いたりするかもしれないし。」
「わかった。水を主体にするね。」
そう言って俺は自分の周りに水球を200個ぐらい浮かべる。
「アルってばシルフォード領の時は手を抜いてたのね...」
エルナ母さんはそんなことを言うが、シルフォード領の魔法稽古の時も手を抜いていたわけではない。あの時は一つ一つの大きさを変えるということが主体だったので、今回のように全部均一の大きさで準備するよりも大変だったのだ。
「流石アルだね。ただ、それが限界かい?」
ノルド父さんが挑発してくる。
そこまで言うのなら俺だって少し本気を出そうじゃないか。
そう言って俺は水球の数を500個に増やす。
本気でやれば1000個でも準備できるが、それを全て制御するとなると制御が甘くなる可能性があるので500個にしておいた。
「倍以上に増えた...これだけ魔法が使えるなら宮廷魔法師の中でもトップを目指せると思うんだけどな。」
「俺はのんびり過ごせたらいいから宮廷魔法師なんて目指さないよ。」
ノルド父さんとエルナ母さんは俺の返事がわかっていたのか少し肩を竦めただけだった。