「SHINCとか雑魚だろ評価する価値も無ぇわwww」   作:不知火勇翔

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第1話

 

 2026年2月13日。金曜日。東京の某所にある学校がお昼休みの時間に事件は起こりました。

「SHINCとか雑魚だろ評価する価値も無ぇわwww」

 男子高校生の1人が、よく一緒にいる男子連中とタブレットを見ながらゲラゲラと笑っていました。タブレットにはつい先日行われた『ガンゲイル・オンライン(以下、GGO)』というゲームで行われた『スクワットジャム(以下、SJ)』という名前の大会の映像が映し出されていました。どうやら彼らはその映像を外野視点でガヤガヤとしているようです。

「だーかーらー、ピンクのチビが強いんじゃないんだって。SHINCが雑魚すぎるんだよwww」

 ゲラゲラと笑う男子高校生が1人。大会のラストで巻き起こったレンによる蹂躙を見てチーム『SHINC』が雑魚の集団だと決めつけているようでした。心底バカにした笑いをしていて、周りの男子連中もちょっと引いていました。

「いやSHINCってGGOでも上澄みだからな?」

「そうだぞーチーム戦においては十分強いぞ」

「俺だったら秒殺だわ」

「そんなにSAOってヤバかったのかよ」

 至極当然の意見でした。最後はレンのチームに全滅させられたとはいえ、SJに最後の方まで生き残ってピンクのチビを極限まで追い込んだ集団です。弱いワケがありません。ですが現在進行形でバカにしている男子高校生にはそんな事関係無いようです。

「正直さ、ピンクのチビは凄いと思うぞ。小さいし速いしで走り周りながら銃を連射されたら誰だってまごつくとは思う。でもさ、すぐに対個人の戦法に変えずにずっと対部隊の戦い方を続けてきたのは流石にヤバいだろwww無様すぎwww」

 どうやら何を言っても彼のSAOに対する評価は変わらないようです。何だコイツ・・・と周りの男子連中も呆れ顔です。何だか面倒だし会話を切り上げて別の話題にするか?という空気感になり、顔を見合わせた男子連中が会話を切り出そうとしたところで、少女の声が場に割り込んできました。

「ちょっと聞き捨てならないんだけど。何?SHINCが何って言ったの?」

 会話に割り込んできたのはお下げ髪の少女でした。名前は『新渡戸咲(にとべさき)』。男子連中どもの同級生であり、件のSHINCのリーダーです。ちなみにこの少女がSHINCのリーダーだということはSHINCのメンバーである新体操部の部員とピンクのチビしか知りません。

「クソ雑魚ナメクジだって言ったんだよwwwお前も見るか?この無様な負け方www」

 新渡戸咲のコメカミに青筋が浮かびました。ブチ切れています。これ以上無いくらいブチ切れています。

「あんなチームワークだけの、個人で見れば中の下な集団が優勝できるかよwww夢見すぎwwwピンクのチビみたいな圧倒的な個の力に捻り潰されて終わりだよwwwあんなチーム俺でも勝てるわw」

 それが決定打となりました。

「・・・・・・ちょっとジックリ話そうか?」

「「「「ひぇっ」」」」

 ゲラゲラ笑う男子高校生の両肩を掴む少女の表情は、般若そのものでした。

 

 

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

 

 

 

「だからココ!よく見て凄いでしょ!」

「いや全然」

「はぁああ?!」

「コイツぅうう!!!」

「ちょっ、ウチで取っ組み合い始めないで!」

 小比類巻香蓮は、ひどく混乱していました。

 確か、少し前にSHINCのメンバーである新体操部の少女達を家に招いてSJの鑑賞会をするハズでした。なのに何故こんな修羅場に巻き込まれているのでしょうか。

「いやマジで雑魚だろ。あれぐらい避けろよks」

「なぁああああああああ!!!」

 眼前では少年と少女達がSJの映像について言い合いをしながら取っ組み合いをしていました。年相応のハシャぎっぷりで何とも微笑ましいものでしたが、家主である香蓮はすでに現実逃避気味です。

「ってかバレットラインって何だよ。あんなのあったら全部回避できるだろ何やってんだよ」

「できるワケないでしょうが!!!」

「やってみなさいよバカ!!!」

「SAO生還者だか何だか知らないけど私達を舐めすぎ!ってかアンタごときがSJに行ったら即死よ即死!SJ自体を舐めすぎ!」

「ちょっと待って!SAO生還者なの!?その歳で!?」

 香蓮は先日教えられた、SAOに乗り遅れた『SAO失敗者』の話が頭をよぎり、無理にでも会話に割り込みました。若人達の会話に乗り込むのは御法度ですが、そうも言ってられません。なにせ人の命がかかっているのですから。(詳しくは次話の前書きを参照)

「え、あ、はい。そんなに驚くことですか?帰還者学校に通わない人って結構いますよ。アルゴ先輩とか」

「そ、そうなんだ・・・・大変だったね」

 SAOのことを良く知らない香蓮ですが、流石に壮絶な殺し合いの現場だったということは知っています。なので話の流れで同情すると、男子高校生はニヤッと笑いました。

「そうなんですよ。大変だったんですよ。大変だったからこそ思うんすよね。SHINCぬるすぎだなって」

「はい言っちゃいけないこと言っちゃったね???」

「処す?処す???」

「ってかマジ何なんだよお前ら。異様にSHINCの肩持つじゃん」

「そりゃあ私達がSHINCなんだから当然でしょ!」

「ほ~ん。・・・ぷっ」

「コイツぅうううう!!!!!!」

 再び取っ組み合いを始めた少年少女達を尻目に、香蓮は思考を巡らせました。もし彼がSAO生還者なのだとしたら、SAOの空気感を出せる人間だとしたら、私達の計画の手助けになるのでは?と。

「銃持ってイきるのは良いけどさ、大人としてちゃんと自分達の実力を客観視しろよバーカ。そんなだからピンクのチビにやられるんだよ」

「カチーン。ふぅん?そんなに言うならアンタもSJに出てみなさいよ。そういう事はちゃんと実力を示してから言って欲しいなー」

「いや俺はボッチだからSJには出られねーぞ」

「なら香蓮さんと組めば良いでしょ」

「え、私!?!?」

 唐突に話を振られた香蓮は思考がフリーズしました。

「香蓮さん!出るんですよねSJ2にも!コイツをメンバーに加えてくれませんか?!このバカはキッチリSJで殺したいんです!お願いします!!!」

 ボスこと新渡戸咲が頭を下げました。ここまでキッチリした頼み事をされた経験が少ない(しかも相手は年下)香蓮はタジタジです。これを呑めば色々問題も生まれるだろうし断らねば!と心の内で決意した香蓮でしたが、口から出てきたのは「えぇ・・・」という曖昧な返事だけでした。

 

 

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