ものづくり中毒属性を付与されたシャープちゃんSS   作:スクワイア

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今回はシャープちゃんとI.V.A.エヴァです。

ピチスーいいよね。胸元も覆ってあるのポイント高い。
シャープちゃんもピチスー着ないか?

今回も安定の独自解釈と妄想スタバブッパマンです。

それでは、どうぞ。


シャープとエヴァ_上

ぴぴぴ─ぴぴぴ─ぴぴぴ─カチリ─

 

ベッドから腕を伸ばし、サイドチェスト上の時計の目覚ましを止める。

 

「んー…」

 

腕を戻し、仰向けのまま四肢を伸ばして、脱力。

 

「…はふ」

 

もう一度、腕を伸ばし本型携帯端末と眼鏡を探り取る。

端末は顔の横に落とし、まずは眼鏡をかけた。

 

たっぷり寝たというのに、目元にはまだまだ深い隈。

そんな目元を擦りながら本型端末を手に取り、とメールクライアント、連絡アプリスケジュール等、一通り目を通す。

 

緊急の連絡も、上司や部下、友人からの連絡も特になし。

 

そして、今日は休日─

仕事の日々から開放される素晴らしい日。

さらに呼び出しも、用事もない完全オフの日。

 

実に晴れやかな気持ちで、シャープは平日と同じ時間にベッドから降りた。

 

 

〜〜〜〜〜〜

 

 

シャープの朝のルーティーンは現文明一般人からすると、貴族的だ。

 

「おはようございます」

 

寝室からでて洗面所で口をゆすぎ、居間に向かえばメイドロボが控えていて出迎えてくれる。

 

シャープは自分の被造物にも礼儀正しく朝の挨拶をする。

ロボットは無言だが、手を丹田付近で手を合わせてお辞儀にて返答した。

シャープは居間のソファに座り、テレビや端末でニュースを眺め始める。

 

メイドロボは設定されているルーティンを実行し、即座に目覚めのコーヒーをシャープ愛用のマグカップに入れて差し出す。

コーヒーの良い香りとともに、朝食の調理が進んでいるのか、美味しそうな香りが漂い始めた。

 

そしてコーヒーを飲み終わる頃には、食卓に朝食が並び始めた。

メイドロボが近づいてきて、食卓の方に移動するように促される。

 

「ありがとうございます」

 

シャープは立ち上がり、マグカップを渡しながら食卓に近づくと、椅子がロボにより引かれ、朝食の並び終えられた食卓の席につく。

 

「いただきます」

 

食材と調理してくれたロボ達へ、手を合わせて感謝を表す。

そして、カトラリーを手に取り、出来たての朝食に手を伸ばす。

 

朝食は、トースト、ウィンナーソテーとオムレツ、彩り豊かな小鉢サラダ、ポテトポタージュ、フルーツソースのヨーグルト…量は朝らしく少なめだが、ブッフェの用な品数となっていた。

 

 

祖父母から孫までいるような世帯でも、朝に用意するのは骨が折れる品目数。

ましてや、一般の独り身であれば量が少ない分、ゴキゲンな朝食を自分の為だけに用意するのは、時間コスト度外視、ロマン地味ている朝食だ。ゴキゲンさよりも苦労が重い。

 

しかしシャープには自分が作り上げたロボット達がいる。

自分が寝ていても朝食が作られる。

高度な家事自動化により、起きる頃には殆ど出来上がっている。

シャープは自分で自分の世話を焼くことの無い、貴族令嬢の様な生活が可能になっていた。

 

「ご馳走様でした」

 

食卓に上がっているものを全て平らげ、手を合わせて締める。

 

食卓を立ち、また居間のソファに座り、ラップトップをキーボード型ファンネルにのせ、情報収集を始めた。

今度はお気に入りのチルいミュージックプレイリストもかける。

 

食卓の方ではメイドロボが食器を下げて、キッチンで皿洗いを始めている。

 

食事の用意以外の家事もロボット任せにできるようになっている。

食後の皿洗いは既に実行。さっき寝起きた寝室のベッドメイク、昨日入った湯船の清掃、遺跡調査で煤けてしまった靴、工作で汚れたジャケット、数日分の仕事着の洗濯、敷地内の枯葉掃き、建屋の高水圧洗浄(パワーウォッシュ)etc…。

全て自動化されている。自分がやらずに、任せている。

 

まさに貴族的生活。

 

違うのは、人手を使うか、機械を使うかくらいである。

貴族的とはいえ、元々小市民のため、着付けや入浴の世話、身の回りのものまではやらせていない。

ただし、入浴後、毛量の凄まじい頭髪のドライヤー掛けだけは時短の観点で任せている。

 

これらのシステムの自作開発には多大な時間をかけ、苦労もしたが、そのおかげで現在は家事に費やす時間を極限まで圧縮できている。

元々は入社初年度のデスマーチとされる過酷な労働状況で、少しでも自分の睡眠の時間を確保するために家事支援ロボットを作ったのだ。

 

そして、ロボットで作られた時間は、希に睡眠で使われた。

性と言う所か、シャープは趣味の時間に注ぎ込んだのだった。

 

幸いなのは時間を投入したのが家事支援関係だったことだろうか。

自分の趣味をやればやるほど家事支援が充実する。

支援が充実するほど、自分の時間が確保される。

更に趣味に使える時間が──

この好循環に興が乗った結果だ。

 

このシステムが完成に近づくまで、BABELの方のデスマーチ暗黒期が終わっても、シャープの身体、精神の健康度は限界ギリギリだった。

 

しかし、充実しきった今。

人間工場の如き生活は終わり、貴族令嬢のような日々を送れるまでになった。

シャープの健康度は改善された。

 

とはいえ、未だに夜な夜な星導技術や思い付きの開発設計は止まらず、睡眠時間は低水準をキープしているのだが…。

現在、趣味に使える時間が一般の会社勤めの人間より多い事に違いは無い。

 

いつもの休日であれば、朝食をとったあとはさっさと作業着に着替え工房兼ガレージに篭もり、生活スペースより長い時間を過ごすが、今日は手触りふわふわの部屋着のまま、居間でゆったりとしている。

 

なにも、創造に飽きたとかスランプだとかではない。

ものを作る上で欠かせないことに使う日。

 

インプットの日なのだ。

 

 

食後しばらくして、メイドロボがコーヒーを淹れてくれる。

 

「ありがとう」

 

ズズ

 

「ふぅ…」

 

画面から目を離して、一息入れる。

1口コーヒーを含み、しかりと味わった。

 

コーヒーが届けられるまでに見た情報を今後の創造にどう活かそうか、頭で整理する。

傍目から見るとぼーっとしている様をしばし続けたあと、

コーヒーを1口のみ、カップを置いてから、またラップトップに手を伸ばす。

 

何も、普段からインプットしていないわけでは無い。

ただ業務都合上、内容が遺跡からの出土品など、前文明のものや星導技術ばかり、偏りがある。

 

そして過去のものが、現代にそのまま受け入れられるかといえば、そうではない。

"今"に合わせる必要がある。

 

モダナイズ(今に合うように)するためには、今の流行りや需要、課題を調べることが重要だ。

また、技術力も相応にしなければならない。

効率よく作れないものは売っても利益にしにくい。

 

インプットのバランスが崩れると、企業としても個人としても、なんともチグハグな物しか作れないだろう。

 

シャープにとって何もアウトプットせず、インプットする日は、重要な日なのだ。

まぁ、インプットも度が過ぎる時は睡眠時間もまとめて持ってくこともある。

 

何事ものめり込みがちなのはシャープの性なのだ。

 

「よっ…と。んー」

 

強ばった身体の筋を上体逸らしでほぐす。

BABEL一般社員の想像以上に強く主張されるプロポーション。

…なんだか最近、上方修正された気がするのは気のせいだろうか。

 

インプットに集中して早数時間。もう少しでお昼と言った頃合いだ。

早めに切り上げて、昼食までは紅茶でも飲んで過ごそうか…

とシャープが考えていると控えていたメイドロボが主人の御用を聞くために近づいてきた。

 

「紅茶を」

 

そう短く伝える。

了解の意を伝える軽いお辞儀をして──途中で止まった。

 

「?」

 

シャープは長くお辞儀をするモーションを自分用に仕込んでいない。

さらにいえば、最初は軽いお辞儀すら仕込んでいなかった。

 

効率的だと考えて。

 

その時期にこの家に招いたデュカリオンやベータがそういった儀礼的な動きをしないロボットを見て、

"なんか、冷たい感じがする。ヒトガタなのに…いやヒトガタだからかも?…どうせならそれっぽい所作を取り入れてみたら?"と言って来たのだ。

 

注文つけるならば。とモーションキャプチャに協力してもらってそのまま仕込んだ。

すると中々どうして、満足度が上がった気がする。

 

やはり、挨拶。つまり礼儀は大事。

 

人類の慣習の刷り込みの影響と考えられるが、例えロジックによるものだとしても、視覚的な効果があるのは間違いなさそうだった。

 

なお、ロボット個体ごとにモーションを分けていたりする。

どれも対して変わらないように見えるが、カタリナ由来のモーションが1番綺麗に見える。デュカリオンのは飄々と、ベータのは初々しく見えた。18号のはまだ収録してないが、自信満々な感じだろうか。

 

ロボット達のお辞儀にはそんな経緯がある。

 

シャープは追加した儀礼的なモーションについて、シチュエーションによって最適な所作と緩急を適宜選択するようにした。

 

最低限の所作で満足する主人(シャープ)向けのは、軽く早め、客人には堅く遅めで丁寧に…と言った感じだ。

 

 

そして目の前のメイドロボットは客人向けの所作より顔を上げるのが酷く遅い。

突然シャットダウンしたかのようだ。

しかし、稼働中を示す表示ランプは淡く光ったまま。

 

不具合…何かしらオーバフローして停止しているのか…。

 

シャープはそう思い、本型端末を開き、目の前の個体状況を確認しようとした時、

 

キュン

 

ビクリと静音性特化型のアクチュエータの音とともに、ロボットの上半身が動く。

そのままゆっくりと、顔を上げる。

 

シャープはその音に反応して、端末から顔を上げてシンプルな造形で作った顔と目線を合わせる。

 

「キン、キキーン、キンキンキン」

「!?」

 

スピーカーから甲高い音が断続的に出力された。

 

命令受領時の返事は所作でわかることから、普段は喋らないようにシャープは設定している。

 

先程から異常行動ばかりを見せるメイドロボ。

様子が、おかしい。音声合成ソフトはインストールしてあるが、この発音は異常だ。

 

不具合か…暴走か…。

 

異常行動をするロボットを不気味に思ったシャープは…一先ず星導器を召喚した。

 

「キーンキキン…キュル。基底現実での最適な波長を…聞こえる?」

「おあ!?喋った!!??」

 

途端に流暢な言葉を発するロボット。

シャープは入れた覚えのない音声に驚いた。

 

「聞こえていますね?」

「えっあ…はい…?」

 

声色が少し硬めの女性が再度問いかけてきた。

シャープは、驚きと混乱のまま返事をする。

 

「ふむ…この体、現文明のものとしては悪くない。制御系に無駄がなく、静音性に重きを置いた滑らかな動作系…良い仕事」

「…ありがとうございます?」

 

メイドロボは自分の指や手を眺めて握ったり開いたりしながらシャープを褒める。

褒められて、反射的にお礼を言うシャープ。

頭の中はハテナだらけになりつつも何が起こっているのか思考する。

 

なんなのだ。これは…まるで誰かが憑依したような物言い…。

憑依?…つまりは…ハッキング!?誰が!?どうやって!?

 

ようやくこの状況に気が付いたシャープ。

ハッキングされているなど、微塵も考えていなかったのだ。

 

世界に名を轟かすBABELの技術職研究員。その情報が狙われない訳もなく、

以前はBABELに対抗心を燃やす企業や雇われかよく分からんハッカーから鬼のようにサイバー攻撃をシャープは受けていた。

その時は自分で対処したが、今後も攻撃を受けて自分の時間が食われるのを嫌い、これまた自動で対処するネットワーク環境を構築した。

構築した攻性防壁環境は連戦連勝。ついでに被ハックログからいくつか脆弱性を見つけ、アップデートをしていたら殆ど攻撃を受けることがなくなっていった。

 

直近では1件あったが、難なく処理したことを事後にログで確認した程度

 

シャープが注意を払っていなかったのもあるが、ここ最近はそれだけだった為、意識の外であり、即座に気づけなかった。

 

そして、目の前の人物は、攻性防壁を破り、インシデント発生報告が飛んでくる前にハッキングをやってのけたということになる。

 

シャープの背筋がヒヤリとした。

大抵、ソフトウェアは1度割られたら、その手法は瞬く間に拡散される。

目の前の人物が何処ぞのスレやSNSに攻略法として投稿されたら、終わる。

 

シャープが幾度となく燃やしてきたハッカー達の電子端末。与えてきた損害、その復讐によって絨毯爆撃を受けるだろう。

ネット経由の攻撃を防ぐ、今できる対策としては、電源がどうなっても繋がらないように斧で源流の電線をぶった切るしかない。

 

現在、目の前の人物が何を目的にしているかシャープには分からない。

というか、ナチュラルにメイドロボの中に入っているあたり、尋常ではない。

 

シャープは体の調子を確認している人物に話しかけた。当然、下手に出る

 

「あの…すいません。失礼ですが、どなたでしょう…」

「…少々お待ちを。当機が到着する。」

「?」

 

要領を得ない回答にシャープは首を傾げる。

 

すると何かが乗り移ったメイドロボは、玄関の方に歩き出す。

困惑しているが、シャープはそれについて行く。

 

玄関まで来ると、タイミングを見計らったようにインターホンが鳴った。

メイドロボが即座にドアを開いて訪問者を向かい入れる。

ドアの向こうには紫髪の人間がいて─

 

いや、シャープはBABELの資料で見たことがある。

目の前にいるのは、天使だ。

 

シルバーパープル基調のタイトフィットジャンプスーツで全身を覆っている。

ルーズなふわふわ部屋着のシャープとは真反対。

 

「…自分で自分を招くもの何処かおかしい。抵抗がないのは…インストールされてるロジックのせい?」

 

紫髪の天使はメイドロボを見やりながら無表情に言う。

表情はないが何とも好奇心惹かれるといった目線だ。

先ほどの当機という発言といい、ロボと天使は同一意識、同時に動かしているようだった。

 

つまり、メイドロボに侵入したのは天使だった。

前文明情報技術が繰り出すサイバー攻撃、そりゃ勝てなくて当然だ。

 

自分同士見つめていた瞳は、ついとシャープの方をむいた。

 

「まぁ、いい。初見となる、当機は新星工業のInfinite Vault Apparatus、エヴァという。以後お見知りおきを」

「あ…はい…。BABELのシャープといいます…」

 

訪問してきた天子は名乗り、シャープも名乗り返す。

 

シャープは突然の天使訪問に肝を冷やしている。

ハッキング手法の暴露よりよほど心臓に悪い。

そして訪問の理由に、心当たりがまるでない。

 

「あの…どのようなご要件で…?」

「本日はあなたによって壊された義体端末の損害賠償で請求に参った」

「…」

 

シャープは無言のまま星導器を格納し、床に手と膝を付き頭を地面に下げる。

 

「大変、申し訳、ございません…!!!」

 

やらかした時は先ず謝る。まるで身に覚えがないことでも、天使が相手ならそうするべきなのだ。

 




エヴァ が ハッキング を しかけてきた !

はい、お読みいただきありがとうございました。


以下、独自解釈、妄想設定の注釈

シャープちゃんの素敵なお家。
一話参照願います。

シャープちゃんの全てを焼き尽くすセキュリティシステム。
シャープとカタリナの話を参照願います。

エヴァさんスパーハカー説
まぁ、できるよなって…
詳しくは下の方で!


ハイ、妄想設定・独自解釈までお読みいただきありがとうございました。

下編も投稿してますので、
お時間の良い時にお読みください。
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