ものづくり中毒属性を付与されたシャープちゃんSS   作:スクワイア

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皆さま。ご無沙汰でございます。

粗方書きたいもん書き終えてたんでなーんも執筆してなかったんですが…。

スターパートナーのやつで、Xに100いいね超えなくても作品を15ポストすればポイントもらえる…?
みたいなのを見つけてやってみようかと書いてみました。
こっちはXで公開したモノのまとめ版。
https://x.com/squier_xzy/status/1959446371301457971

しかしスタパの内容見ると同人小説は含まれておらず絵画だけっぽいのが
…まぁいいかぁやってみりゃええねんな!

はい、今回はベータちゃんのBABEL入局の経緯を書いてみました。
それではどうぞ。

注意!!!お辛目な描写あり!!!


サブストーリー
ベータ:BABEL入局


「もしもし、母さん?おはよう。…いや、これといった用事もないんだけど、早起きしたからさ…いつも寝坊はしてないよ!あんまり…」

 

ベータは、今日は珍しく早起きできたからたまには…と母親に電話をかけていた。

 

彼女は国際的な研究機関、"BABEL"で行われているとある実験に参加していて、同年代よりちょっと早めに親元を離れて暮らしている。

 

実験識別名称はベータ。本名は別にある。

参加している実験はBABLEの重要プロジェクトで、非倫理的な一面をもっている。

本名をそのまま使用すると、実験後の生活に支障をきたす可能性がある為、個人情報保護と家族保安の観点から実験中はもちろん、日常生活でもこの名前で過ごしていた。

 

「─大丈夫!大変といえば大変だけど…元気にやってるよ。うん」

 

親からの心配。

それは実の娘が僅かでも倫理を問われる実験の被験体になっている事のほかに、実験の評価のために行われていた室内訓練での検証が野外訓練に変わり、戦争機械ボット駆除任務に変わり、強力な天使たちとの模擬戦に変わり…

段々と荒事になって行き、さらに頻度が増している点だ。

 

ベータは元来、優しく、気弱な性格の女の子だ。

親元を離れるか離れないかの年齢で、学生をしているか、一般の若手社員として働いているかの時期。

大人しく、少し前まで小さい娘だと思っていた我が子に気を揉まない親ではなかった。

 

「…デュカリオンさん?元気だよ。シャープさん…も…、まぁ元気だね」

 

BABELの職員でよく知っている2人の様子について尋ねられた。

実験者として、被験者となったベータの色んな世話をみてくれる2人だ。

BABELの技術部に所属する一流の研究員ながら、強力な天使達とも渡り合える世界トップクラスの星導使である。

実験 訓練 実戦…力を持たない局員であれば、後方から指示を飛ばすだけの所だが、人造天使と同等の力を持つ彼女達は、どちらか必ず、隣りにいてくれる。

ベータはその姿勢から、BABEL人員の中で最も高い信頼を寄せている。

今ではただの実験者〜被験者間の事務的な関係ではなく、上下感が薄い上司部下、ちょっと年の離れた友達といった間柄にまでなっている。

 

「そうだね…"アレ"からもうそんなに経ったんだね…。…そっちは…調子はどう?」

 

ベータの言葉は、母親と他の家族に対してだ。

 

"アレ"、ベータが実験被験者となったキッカケ。

それは、前文明の残した負の遺産、"戦争機械"による災害だった。

なんの兆候も規則性もなく、突然と人の住む土地を襲うという災害。

この災害は大体の場合、複数の星導使で組織された防衛隊が生活区域に侵入する前に察知して撃墜。難なく防く事ができる。

しかし、いつも完全な防衛ができるとは限らない───

 

 

………………

 

私はこれから部活。そんな時だった。

 

地域一帯にけたたましい警報音が鳴り響いた。

それは戦争機械が襲撃してきていることを知らせるものだ。

 

警報が鳴ると、戦う任を負わない人々は避難を始める。

最寄りの避難所はこの学校。校舎の作りはこういった非常事態に対応していた。

 

クラスメイトは少し浮足だつが、十代も後半に差し掛かっていれば、街の防衛隊によってすぐに戦争機械は駆除されることを知っていて、皆、気楽な様子だった。

 

自分は無事であることを家族に連絡をした。

グループチャットの連絡にはすぐに返信が来た。

母もこの学校避難所に来るそうだ。

一先ずほっとして、購買で買っていたお菓子を学友達と摘みながら警戒解除を待った。

 

……………

 

「─連絡?えっ?来てないけど…」

 

母親から校舎についたと連絡がきて、避難先として解放されている教室に向かった。

母親を見つけ声をかけると、肩を掴んできて切迫した様子で弟について聞いてきた。

 

思春期に入って、姉に甘えなくなった弟。姉弟仲は悪くないと思っている。

でも、反抗期が合わさって、親には特にスレている。

頭良いのに気まぐれで学校サボってるらしく、その事を夕食の終わり際に両親から問いただされて…

本人は理由を喋るつもりは無いようで目を合わさず、さっさと食事をかき込んで自室に引っ込んでしまった。

 

そんなことが昨日あったばかりだ。

そして、母の言葉から察するに今日も学校に行かずにいるようだ。

母さんはこんなに心配してるのに…。

肩の手を両手で取り、母さんが少しでも安心できるように握る。

 

「そんなに心配することないよ。友達にも連絡つかないか聞いてみるね。教室に戻るけど…、母さんは一息ついててね」

 

母の手を話して、臨時避難所を出た。

 

………………

 

「ここ、懐かしいね」

「…姉さん…」

 

弟の居場所に心当たりがあった私は、学校から抜け出した。

向かったのは自宅近くに建っているアパート。

家族の誰かが借りている訳でもなく、ただ近所にある建物。

 

その屋上に弟は居た。

 

「小さい頃、ここに上がって秘密基地だーなんて騒いで、めちゃくちゃ怒られたの覚えてるよ」

「…」

 

この屋上にはちょっとした物置があり、階段出入口と合わせていい感じに日陰ができる。そこに物置から取り出した椅子やらテーブルやらを広げた思い出がある。

 

そんな思い出を喋ると、弟の頬が恥ずかしさに染まるのが見えた。

幼い頃の出来事の後は施錠されて入ることは出来なくなっていたが、かんぬきには解錠済のダイヤル錠がぶら下がっていた。

弟が地道に探ったか、運良く空いてた時に番号を覚えたか、分からないけど壊して入るような真似はしていなかったことにほっとした。

 

弟は赤い顔を背けながら喋り出す。

 

「いつから知ってた?」

「そんなに前じゃないよ。たまたま、降りてくる所を見ただけ」

 

いつだったか、見覚えのある背格好の人が、アパートの外付け階段を降りているところを見かけた。

階段を降りる時の癖は弟のもので、遠目からでもわかった。

そんな弟の様子を気になりはしたものの、私は本人に確認もせず、親に告げ口することもなく、見なかったことにしていた。

この場所を知っていたのはそういう理由だ。

 

「警報、聞こえなかった?」

「…聞こえたよ。着信も気づいた」

「出てあげようよ…私も心配したし、本当に危ない時もあるんだから」

「ハハッ、ここに来てる姉さんが言うのか」

「まだお母さんから連絡来てないからバレてないよ。私は心配はかけてないの」

「はぁ〜怒られるのは俺だけか…」

 

拗ねた様子の弟は胡座をかいていたところから、

またごろんと寝転がって背を向けた。

 

「エヘヘ、ごめんね」

 

私は弟のそばに座り、背中をズンと押し付けた

 

「…ここのことは黙っとくからさ。喧嘩してても警報の時くらいは連絡してよ。今日は適当に口裏合わせる。けど、次無視してるようならここを教えるから」

「…わかったよ」

「お願いね。…私も戻らなきゃ…。は〜今日は学校を何往復─」

 

私が弟の背から立ち上がった時、またけたたましく警報が鳴り響いた。

でも、いつもの警戒警報ではなく、聞き覚えのない音だった。

 

「な、なんか怖いね…。ほら!起きて!避難するよ!」

「あ、ああ…」

 

弟の手を引っ張りあげて、屋上の降り口に向かう。

階段で降りようとした時─

 

「うわっ!」

 

ズガン。と建物が揺れた。

地震じゃない。何かがぶつかったような…。

 

いつもと違う警報音のせいか嫌に焦る。

焦りのまま階段を降りて行くとアパートの外壁、この階段からそう遠くないところに、何かがめりこんでいるのが見えた。

 

「─!!!」

 

思わず息を飲んで足を止めて見つめてしまった。

防災の授業とか、動画サイトで見た事があったけど、今まで実際に見ることのなかったものが突き刺さっていた。

あれは戦争機械のドローンだ。

そしてドローンを見た時、聞き覚えのない警報音がなんなのか、思い出した。

防衛隊が撃ち漏らしてしまった戦争機械が、街に侵入したことを知らせる警報だ。

 

「姉さん!早く降りよう!」

「う、うん!」

 

弟に肩を叩かれ、止まった足を動かして階段を駆け下りる。

地上まで後、1階層分のところで、上からボゴッという音が聞こえた。

背筋がザワつくのを無視して降りるのを急ぐが─

 

ギンッ!

 

聞いた事のない爆発音と共に、酷く揺れた。

階段にギギリと亀裂が走り、足元が崩れ出す

 

「きゃあ!」

「おあっ」

 

咄嗟に手すりを掴んだが、その手すりごと階段は崩れ落ちた。

 

「かふっ」

 

背中を地面にうち、呼吸がすこし止まるが、すぐに息が吸えるようになった。

 

「げほっ、だ、大丈夫──!?」

 

手を付きながら起き上がって、すぐ近くにいるだろう弟に声をかけた。が、返事をしない。

すぐに見回して弟を見つける。血は出てないが、目を閉じていた。

 

血の気が引いて、身体が強ばる。

呆然としかけたところに、みしり。

頭上の階段が出す今にも崩れそうな音が聞こえて我に返った。

すぐに弟を引きずって階段下から逃れる。

 

階段の影から出て、力の限り、必死になって遠ざかる。何メートル離れられたかわからないくらい引きずった時、つまずいて転んでしまった。

 

「あぐっ!…はぁ、はぁ」

 

身体を起こしながら振り向いてアパートの方を見る。

 

「─ッ!」

 

戦争機械の一つの目と見合う。

 

逃げなきゃ…逃げ…。

震える手足を動かして、座ったまま後退り、少し距離が離れたところで…。

戦争機械がついと私から目を離し、気を失っている弟の方を見た。

 

今なら、逃げれる…弟を見捨てれば…?

 

そんな考えが浮かんだ私は…自分を酷く醜く感じた。

 

弟を置いて行って───いいわけがない!!!

 

震える足に喝を、ひと叩きして立ち上がる。

戦争機械はまだ、弟の方を見てる。

 

気を引くには…。

 

足もとの石を拾い、投げる。

石はカーンと弾かれたが、また、こちらに目を合わせてきた。

 

「こっち!」

 

足がすくみかけるが、声を出して、囮になるように駆ける。

走りながら後ろをちらと見ると、戦争機械は弟を無視してこちらを追いかけてくれている。

 

思惑通りに動いてくれてることにほっとするが、

どうすれば2人とも助かるか、考えなきゃならない。

 

どこかに隠れたって撃ち抜かれるかもしれない。階段を崩すくらいだし…

 

そこでふと、階段を破壊した時の攻撃がこないことが気になった。

すこし冷静になった頭で戦争機械の姿を思い出す。

 

最初は壁にめり込んでいて、こちらに近づいて来る時は…

胴体が1部が欠け、ひしゃげていた気がする。

もしかして、あの戦争機械…壊れかけてる…?

 

それを確認するために再度後ろをみると──

体当たりをしかけてきていた。

 

「キャッ!」

 

咄嗟に横に避ける。戦争機械はスレスレを通り過ぎ、反転、相対した。

今度はあの目だけでなく、姿をきちんと確認できた。やっぱり一部の装甲は剥がれていたり、ひしゃげている。

 

ボロボロ…。撃ってこないなら…なんとかなりそう…!

逃げ続ければ、助けが来るかもしれない!

 

気を引いて逃げていれば、弟も起きて、2人とも生き残れるかもしれない。希望ができた。

 

私はまた、走り出した。

 

……………

 

「はぁッ─はぁッ─」

 

まだ星導使の助けは来ていない。何分逃げ回ったか…。

緊張の中走るのは息が上がる。たまらなくなって、1度、頑丈そうな建物の影に隠れた。

 

「はぁ…ふぅ…」

 

落ち着いてきたところで、戦争機械の気配を探る。

 

「…あれ?」

 

浮遊機構による特徴的な音が周りからしてこない。

 

不安に駆られた。決して逃げ切ってはイケナイ。

弟から気をそらし続けなければナラナイ。

もしかして、見切りをつけられた?

弟の方にむかった?

 

そう思い至った瞬間、影から飛び出して弟のところに走り出した。

 

一直線にアパートの方に向かえば、まだ倒れている弟を見つけることができた。

しかし同時に、戦争機械は既に弟へ近づいているのも見えた。

 

また、石をぶつけて…。

いや今度も上手くいくかわからない…!

もっと強く気を引かなきゃ!

 

そう考えた時、金属の棒が地面に転がっているのが見えた。

アパートの階段が壊された時に転がった手すりの残骸か…そんなこと今はどうだっていい。

 

走りながら棒を掴みあげ、戦争機械に駆け寄る。

 

「おりゃぁぁぁぁぉぁぁぁ!!!」

 

自分を鼓舞するように叫んだ。

戦争機械はこちらに目を向けてくる。

 

そう!こっち!

 

私は渾身の力を込めて、棒を横薙ぎに戦争機械へ叩きつけた。

 

ガゴッ

「うあっ」

 

酷く重い手応えに手がしびれて棒を取り落としてしまう。

 

棒を叩きつけた程度では、戦争機械が吹き飛ぶようなことはなく、半歩ほど動かしただけだった。

戦争機械は、まだこちらを見ている。

 

もう一度逃げて…!

 

また、走り出そうとしたところで──

ガシャンと戦争機械が地面に落ちた。

 

「え…?た、倒しちゃった?」

 

こちらを追いかけ続けていたカメラは既に光っておらず、ピクリとも動いていない。

先程の一撃は、運良く欠けた装甲のところに当たったのか、戦争機械を機能停止させたようだった。

 

「はぁー…」

 

緊張の糸が切れ、ペタリと座り込んでしまう。

よかった。自分も、弟も死なずに済んだ…。

そうだ、弟。早く、連れて避難しなきゃ。

目の前の戦争機械から目を離して弟の方を見た。

 

弟は体を起こしてこちらを見ていた。

よかった。痛みも酷くないみたい…。

でも、なんでそんなに怖い顔を…?

 

「姉さん!後ろぉ!!!」

 

振りかえると、また別の戦争機械がいて───

光と熱と、衝撃と痛みが襲ってきて、何も分からなくなった。

 

 

目を覚ますと…病院にいた。いや、ちょっと違う感じがする。

 

首を動かしたりしてキョロキョロと部屋を見回すと、壁とか扉が病院っぽくない。どこかの研究室みたいに見えた。

カメラのようなものも見つけた。病室に…カメラ?

やっぱりなんか変だ。

 

程なくしてドアが開いた。

眼鏡をかけた、クマの酷い女の人が入ってきた。

お医者さんとか看護士さんっぽくない服装で。

ベッドのそばまで近づくと、声をかけてきた。

 

「おはようございます」

「…」

「気分はどうですか?空腹とか、喉が渇いたとか─」

「あの──」

 

眼鏡の女の人の言葉を遮って尋ねる。

 

「あの、弟は無事ですか?」

 

……………

 

「そっか、元気なんだ。良かった…!」

 

母親が弟の様子を伝えてくれる。

 

あの事件の後、弟は酷く塞ぎ込んだようだけど、私が人造天使になった後、1度会ってみたら嘘のように活力を得て元気に学校復帰したと聞いている。

久々の再会の時の様子は…弟の名誉のために思い出さないで置こう。

再会のあとは、真面目に学校に行っているらしく、地頭の良さもあって成績優秀、素行も改善されて学校の代表みたいな顔をしているらしい。

姉としてはなんとも、鼻が高い。

 

「うん、うん、わかった。近々顔見せに行けるように頼んでみるよ。…ああ、ごめん、仕事の時間。もう行かなきゃ、うん、ばいばい、またね」

 

母親との通話を切り、ベータは今日も頑張ろうとBABELに向かう。

 

 

………

 

 

「はぁ…」

 

日が落ちてしばらくしたBABELの研究室。

眼鏡と目のクマが特徴的な女性がデスクで頬杖をつきながらため息を吐いていた。

デスクの上には何も無く、PCの電源も付いていない。

椅子から離れれば帰れるといった様子だ。

しかし、腰をあげる素振りを見せず、瞳はいつもより一層、どんよりとしていた。

 

「どーしたの〜シャープちゃん?」

「デュカリオン先輩…」

 

定時が過ぎて久しいシャープのデスクに、紫の長髪を流す女性が近づいてきてにこやかに声をかけた。

 

「今日はちょっと帰る気にならなくて…」

 

シャープはデュカリオンに目も向けずにそう答えた。

今日はそもそも、遺跡調査の帰りだった。

BABELには調査で使った機器などを置いてさっさと帰宅する予定だった。

久々に残業なしで帰りだ!と喜んでいただろう。

…昼間の事件さえなければ。普通は。

 

「えー?なになに?お誘いー?」

「…」

 

その事件を忘れてしまったかのようにボケをかましてくる。

この天才的研究者はステレオタイプそのままにデリカシー欠如の気がある。

シャープはいつもならボケに突っ込むが、今はその気力がない。

話しかけてきたのもそうだが、少しテンションが高めだ。あの後いい事あったか?

頬杖を着いたままシラケた目を向けているとデュカリオンはテンションの差に気がついたのか、口角を下げた。

 

「あー…。うん。ごめん。」

「いえ、すいません。ちょっと─」

「昼間の件だよね」

 

食い気味に被せてきた。

遺跡帰りの通り道にあった、それなりに大きく防衛隊もしっかり配備されていた街

長時間運転の休憩に立ち寄った所で、戦争機械の襲撃に居合わせた。

 

最初は民間人として、避難に従っていた。

通常の星導使より遥かに強い2人は、街の防衛隊に協力を申し出ても指揮系統を乱れさせ、要らぬ手間をかけさせるだけと考えての避難。

 

当然、協力を仰がれたら快く応じるつもりではあったが、

ニュースで見た戦争機械の襲撃規模的に、手を貸さずとも避難指示はすぐに解除されるだろうとも考えられた。

しかし、一向に避難指示が解除されないことに違和感を覚えて、避難所の代表者に通りがけの星導使であると立場を明かした上で、防衛隊の現状を聞いた。

 

なんでも、今回の襲撃は防衛隊で十全に対応可能な襲撃であり、隊員の人的被害無しに主力を撃滅したものの、前線に穴があり、生活区域に戦争機械が複数体入り込んだとのことだ。

 

それらを排除しないと避難指示は解除されないという状況だった。

 

レーダー等で大方の場所は特定はされているものの、

戦争機械の大きさは人の胴体ほどで小さく、入り組んだ生活区域に潜られると掃討には手間がかかり、全て当たるのはまだかかるとしらされる。

 

今更ではあるが、と、シャープとデュカリオンは掃討の協力を申し出た。

防衛隊の指示の元、着々と残敵を掃討していたが…

避難が完了、警戒が解除されていないはずの地区に民間人が2人いた。

1人は無事に助けられたが、もう1人は間に合わなかった。

 

目視できる距離で、戦争機械の攻撃に晒されている様を見てしまった。

 

即座に戦争機械を処理して、負傷した民間人の救命処置を行った。

一命を取り留めることができたが…

 

「ええ、確かに命は助けられましたが…あの体質だと、再生はかなり厳しいですよ…」

 

血に濡れながらの救命処置の最中にわかったこと。それは彼女に星導使としての素質がないという点だ。

自分達が世界トップクラスの星導使だからこそ、実際に触れてわかった。

 

出力の差こそあれど、星導使であれば、スターエネルギーを使うことで怪我を意図して治せる。肉体の欠損でさえ、低出力でも長い期間をかければ治る。

仮に、現在星導使でなくても、臨時で星導核を持たせてスターエネルギーを流してやれば、通常医療では治療困難な外傷も完治が可能なのだ。

 

しかし、戦争機械の攻撃を受けてしまった女の子はそれが出来ない。

そもそも、助かったと言っても命を繋ぐことが出来ただけ、容態が急変すればあっという間に潰える命だった。

 

この2人が最初から防衛に協力していれば起こることのなかった怪我かもしれない。

何があってあそこにいたか、自業自得だとか、不運だったで切り捨てられるほど、シャープは人間をやめているつもりはなかった。

 

「うんうん。私もねそう思ってたんだよ。ついさっきまでね」

「…は?」

 

デュカリオンの言葉に頬杖から顔を上げて、体面を向ける。

手には紙1枚の印刷物があり、ヒラヒラと揺らされていた。

 

「なんですか?それ?」

「解析結果。はい」

 

シャープは差し出された紙を受け取り、空欄の目立つ氏名など個人情報の部分はスルーして目を通していく。

なんの解析結果か、それはここ最近の二人の間では一つのことしか示さない。

そして、誰の解析なのか…なんて言うのは、この先輩が残業してまでやるくらい緊急で当たる人物であり…

 

「あの時、実は血を少し貰っててね。解析にかけてみたんだよ」

「…無許可?コンプラ意識どうなってんですか…」

 

読み進めていく事に、落ち込んだ気持ちが持ち上がるのがわかる。軽口も挟めた。

読み終えた時は先程の落ち込みきった気持ちはなくなり、逆に振り切れて高くなった。

 

「これ!本当なんですよね!?」

「多分ね。でも、これまでよりずっと成功確率は高いよ」

「ああ、素直に喜べないのが苦しい…!」

 

星導使としての素質がまったくないのであれば、別の素質があるのでは?

自然にそう考えたであろうこのデュカリオンの直感は正しかったのだ。

成功すれば、社会復帰は絶望的だった女の子が助かるばかりか、BABEL技術部の研究が一定の成功、進捗を示すことが出来る。

 

「…でしたら、急ピッチで準備を進めます!」

「おっけー!家族と病院にも連絡しておくよ。上の許可は…べつにいいや!私が責任持つよ!」

「お願いします!!!」

 

シャープは立ち上がり、オフィスチェアを吹き飛ばしながら機材置き場に走り出す。

 

残されたデュカリオンは解析結果を眺めて1人つぶやいた。

 

「ほんと数奇な巡り合わせで申し訳ないけど、人の可能性。その証明を手伝ってくれると嬉しいな──

 

 

───人造天使の適格者」




最後までお読みいただきありがとうございました。

ベータちゃん強化形態実装おめでとう!!!
ベータ:ロンギヌス…かっこよすぎか?ピチス-だしデカパイになっとるし。

後、なんかこれまでの実装キャラクターにもストーリー追加されるみたいじゃん?
この作品が爆発するのも近いな…。

ハイ、また何か書きたいものがありましたら書こうと思います。
それでは。
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