ものづくり中毒属性を付与されたシャープちゃんSS   作:スクワイア

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はい。BABEL星導使追加されましたね。カタリナさんと同様、ガルザ出身!

タチアナさんだぁ!!!

実装何か月前…?

書き上げたことが大事ねんな。


それではお読みください!


シャープとタチアナ

「えーとぉ?技術部、調査部、広報部は行った…」

 

バベル外勤部に所属するタチアナは、バベル構内を巡り歩いていた。

銀髪のサイドの編み込みが激しくたなびいており、その速度は歩くと言うより早足…もはや走っている。

 

 

世界を股にかけるグローバルな研究機関の本社は、広い。

横だけでなく、バベルの名が示すように縦にも広い。

ちまちま歩いていると、それだけで十数分かかる。

所々に【走るな!】の貼り紙はあれど、走らなければやってられない広さだ。

 

注意の通り危ない訳だが、タチアナは、例え交差路から人やターレットトラックが出てこようが、"幻影滑り"を駆使して避けらるので問題ない。

相手をビックリさせて書類等々ブチ撒けても"幻影乱舞"の応用により、地面に落ちる前に回収して渡すことができるので、これまた問題がない。

 

「あとは…経営企画部…行きたくないな…」

 

誰しも所属組織のトップ層が控える場所になんて行きたくない。

上階にあるので余計に面倒臭い。

しかし、仕事なのであれば、行かなければならない。

 

エレベーターを待つのがまどろっこしく感じるタイプのタチアナは、近くの階段、もしくはエスカレーターに向かって走り──

 

交差路を曲がった先に人がいた。

 

「わっぉ!?」

 

その声が上がる前にタチアナは跳んだ。

人の頭を越える高さ、前方伸身宙返り二回半ひねりをキメて、仰天の声をあげた人物の背後に着地する。

 

その人が振り返れば、驚かされた抗議の目線をタチアナに向ける。目元のクマがはっきり見えた。

 

「やぁシャープ!お疲れ様!」

「はぁ…お疲れ様です。」

 

ばったり会ったのは、暗く深いクマをいつも目元に蓄えているシャープだ。驚いたせいでメガネが激しくズレている。

 

よく知らないBABEL職員であれば、幻影滑りでスルーしたところだが、シャープは数少ない同志(ゲキツヨセイドウシ)

タチアナは一声かけようかと、わざわざ体操技で減速して止まった。

 

シャープはフーッと息を吐いてメガネのズレを直し、ムッとした表情でタチアナに物申す。

 

「…廊下走るのやめません?」

「いやぁ、電動ローラーボードすっとろくてさ。やっぱり足だよ!」

「そうですか…」

 

星導使はまだしも、一般人には辛いBABEL構内の広さ。それを解消するために、館内用のローラーボードが配置されている。

ボードは館内設備と相互通信しており、ボード同士の接近を検知、または交差路に差し掛かると速度が制限、音による警告がされる。

安全性に配慮された優れものだが…タチアナは、使っていなかった。

 

まぁ、いつも被害ないし、もし事故っても…部署違うから始末書書くのが私じゃないからいいかぁ…と、シャープは考え、呆れと諦めの混ざった表情を浮かべるだけに留めた。。

 

「お前さんもアレ使わず、いつもソレ乗って移動してるじゃないか」

 

タチアナは4つにまとまり、シャープを乗せてふよりと浮かぶファンネルを指す。

シャープはアホほど広いバベル構内を、気分転換に歩く時以外はいつもファンネルに乗って移動している。

 

「いやぁこれは苦肉の策というか、限界状態で生まれた産物というか?」

「は?」

 

BABEL構内と見知った道の限定ではあるが、シャープのファンネル移動は、非常に最適化されている。

目的地を設定すればシャープを乗せて、完全自動運転で運んでいく。

交差路の多い建物でも、単独浮遊のファンネルを先行させて事前確認を行い、自他の安全も確保しながら進む優れものだ。

 

「移動を楽にしてるだけじゃないのかい?」

 

タチアナは顎に指を付けて傾げる。

指を順々に立てながらシャープは語り出す。

 

「1つ、私は他部署から頼まれ事が多いです。」

「…おう」

 

まだバベルに来て間もない頃、タチアナはシャープに書類仕事を手伝ってもらったことがある。

慣れない作業に悪戦苦闘する姿を見て、手が差し伸べられた形だ。

何故シャープが外勤部に居たか、タチアナは知らない。

おそらく、断れなかったのだろうか。

 

「2つ、技術部の仕事上、出向く事が多いです。」

「ふむ」

 

バベルの技術部は機密の宝庫。技術員の保護に外勤部を用意している程にセキュリティに気を使っている。

つまり、例え同じバベル職員の身内であっても、人員の出入りを制限するのは当然の対処だ。

なお、シャープ自身が出歩くのが問題にならないのは、本人をどうこうするのに、天使でも連れてこないと話にならないからである。

 

「3つ、この迷宮じみた弩デカい建物を時間をかけて動き回る必要があります。」

「大変すぎるよな」

「…これから導き出されるのは…?」

「…残業?」

「ンィー゛」

 

シャープの口から発せられた奇声に、タチアナは顔を顰めた。

 

「…まぁ普通に移動してたら、残業はもっと酷いことになってたでしょうね…。」

「で、結局なんなんだい?」

「つまりです。チリツモで増えてしまう移動時間を"作業時間"にする為に乗ってるんです」

「は!?移動中も仕事してるのか!?」

「そのお陰で何とか暗黒期(デスマーチ)を乗り切りました。」

 

仕事の多いシャープが、しばらく前からなんだかんだ常識の範囲内で帰宅出来ている理由に、徹底した業務の効率化がある。

 

その一つが、ファンネル自動運転機能付与だった。

 

ホログラム端末を歩きながら操作できないことは無いが、周りの状況も見ないといけない。

気が散れば仕事の質は落ちるし、良い所に差し掛かって集中しようとすると足が止まる。

 

だったら、移動は全部機械に任せてしまえと至った。

 

これまでの手伝いで築いた貸しを使って、バベル屋内の図面を手に入れて立体マップを作成。

自分で構築した移動ルート検索AIに強化学習を施し、ファンネルに自動運転プログラムをインストールした。

 

こうして移動という、必要だけど無駄な業務時間を作業に当てることを可能にしたのだった。

 

「はぁー、なるほどな。そんな便利そうなものなのに、どーりでバベルん中で普及してないわけだ」

「普通の人にも使わせたら…過労休職一直線でしょうね」

「鏡見ていらっしゃらない?」

 

シャープの残業時間は減ったが…仕事量はあまり変わっていない。構内自動運転は、ある種の息抜きすら奪う、呪いの発明だ。

如何に画期的な移動システムであろうと…バベルの職員の大半は星導使ではないので、実施は難しいと判断された。

殺人的な加速に耐えられないとか、エネルギーが供給できないとか、物理的に解消できる部分の問題ではない。

 

一抹の脳みそを休める時間すら奪われるなると、一般職員は病む。

 

肉体的、精神的に頑丈な星導使だからできるのだ。

 

なお、シャープは移動システムの供出を上層部に求められた際、どんなに偉い地位でも移動中に作業をすることを、毅然と要求した。

徴発の手は即座に収められた。さすがに嫌だったのだろう。

 

その時の上層部との会話を思い出したのかシャープは不敵な…凄みのある笑顔を浮かべている。

 

「タチアナさんなら、大丈夫じゃないですか?」

「ああいや、私は駆け回るのが性に合ってるよ。そもそも技術部よりデスクワークは少ないし…。」

 

ちらと、ファンネルの座面を見る。

金属を切削加工した後、電着塗装で仕上げられた硬そうな直方体は、座る事を考えてない、滑らかな平面でしかなかった。

 

「おしり痛そうだし冷たそう」

「これくらいがダラケなくていいんですよ。快適にしすぎると歩かなくなりますし。」

「なるほど。…せめて、窪ませたりしないのかい?」

「バレちゃうじゃないですか…そんな趣味は無いです…」

「おや、失敬」

 

もし窪みがあった場合、ファンネルへ座らずに浮かばせると、窪みが見えてしまう。

その窪みを晒すのは、そのままおしりの大きさを開示してることに他ならない。

 

ジャストフィットにすると、リアルなサイズがバレる。

窪みの大きさを誤魔化すように調整したとしても、大きめだとデカいと思われ、小さいとどう頑張っても座り心地が悪くなる。

快適性と羞恥心を天秤にかけた結果により、平面に設計されていた。

 

「まぁ、タチアナさんはともかく、仕事押し付けてくるデュカリオン先輩にはこれ使って、もっと仕事してほし──」

「あ、そうだ!」

「?」

「デュカリオンの旦那を探してたんだった!」

 

シャープの言葉を遮って手を打つタチアナ。

ついついお喋りしてしまったが、走り回っていた目的を思い出した。

 

「だから走ってたんですね」

「ああ…旦那、たまにしか着信気付かないだろう?走った方が早いと思ってね」

「それも悩みどころ…それで、何用です?」

「警護シフト表を作るのに、技術部の出勤予定知りたいってカタリナがね。…アレだよ、いっつもスプレッドシートでくれるやつ。まだ来てないらしいんだけど、旦那は今日いるハズだよな?」

 

タチアナの用件を聞いて、少し遠くを見るシャープ。

 

「…どうした?」

「渡したのに…。…お知らせが二つあります。」

 

シャープの改まった言葉に、顎を引いて斜に構えるタチアナ。

 

「一つ目、先輩は現在、突然の外出をしてます。」

「ありゃ」

「二つ目、その予定表、毎度私が作ってます。なので、今渡せますよ?」

「送付忘れか…助かるよ!」

 

やるべき事はサッサと済ませるタイプのデュカリオンには珍しく、送付を忘れていただけだった。

 

その場で携帯端末通信を行い、まとめられた資料を受け取った。

大したことなく、スムーズに問題が解決したことに、ホッと一息ついたタチアナ。

 

「なんだか、シャープが何時も頼られている訳がわかるよ。困ってるところをパパッと解決してくれるってかなり支えになるね」

「たまたまですよ」

「鼻にかけないところもハラショ(よい)

 

シャープを褒めれば、謙遜で返された。

何ともないような雰囲気にタチアナは好感を覚え、ふと、借りがあったことを思い出した。

 

「そういえば、前の書類手伝い(星導使の日常)のお礼がまだだった。今日、呑みでもどうだい?」

 

くいとグラスを呷る仕草で伺う。

 

この他愛もない談話に乗ってくれて、特に焦りのないシャープ。

仕事に追われている様子ではないことから、おそらく定時上がりだと読んでのお誘いだ。

 

「呑みじゃなくて、飯とかがいいか?」

「…お酒をご馳走になります」

「おお、いける口か!意外だ。」

 

もしかして酒が苦手だったか?と配慮したら、酒を所望され、ちょっとイメージと違って意表を突かれたタチアナ。

 

「陰キャメガネだってお酒を嗜むんです。」

「陰キャあ?どっちかいうとインテリメガネだろうよ…。」

 

少なくとも、陰キャは外出して戦争機械をシバいたり、星導使とド突き合うことはしない。

インテリもあんまりしない…と思われるが、もっと頭のいい人(デュカリオン)が戦ってるので、インテリも実戦をやるのはガイアの常識である。

 

「頭良いヤツって酒を飲みたがらないイメージあってね」

「私、お酒好きですけど…。酔った頭で湧いてくるアイデア、面白いんですよ。ネジの飛んだ設計が浮かんでは消えて──」

「おっと、好きのベクトルが変なタイプか。」

 

酒飲みながら、わからん事を延々聞かされ続けるとこになるかと警戒──

 

「じ、ジョークです…。普通に楽しくハッピーな気分になります…はい…」

「分かりにく!マジかと思ったわ!」

 

警戒する必要はなかった。

 

エンジニアンジョークを入れ込んだシャープ。

当人がマルチなエンジニアのため、いかにもなので分かりにくいジョークだった。

 

一安心したタチアナは、ハハ。と笑う。

 

「それならガルザ流の呑みを伝授してやろう」

「スピリタス一気飲みとか、やめてくださいよ?」

 

スピリタス──アルコール度数90を超える蒸留酒、ガルザ帝国を含んだ近辺諸国で生産されるウォッカの一種だ。

度々ニュースに取り上げられる代物である。

シャープはタチアナの出身地から連想して、予防線のジャブを出した。

 

「ハハハ、ステレオタイプで言ったな?…そんなの、本物のバカしかやんないよ。ガルザの呑みはお上品なんだぞ!」

「ほんとですか~?」

 

タチアナは、そんな鉄板ネタ的ジャブをあしらう。

そして、シャープの朗らかにニヤケておどけている様子に見方を変えた。

 

なんだ。シャープ、案外ノリがイイヤツだな!あんま絡み無かったが、これから定期的に誘ってやっか!

 

定時の後、向かった居酒屋では、ガルザの強い酒に煽られるままに喋り、親睦を深めた。

少しオーバーランして、シャープの知らないカタリナの一面を、タチアナの知らないデュカリオンの一面を互いに知り、大いに盛り上がる酒席となった。

 




最後までお読みいただきありがとうございました。

シャープちゃんは少女とゲーム本編で説明があり…。
少女が酒を飲むんですかぁ!?

まぁ、ホシツバの法律とかわからんし…20歳超えてなくても飲めるやろ。

くしくもとある絵師さんとネタがニアミス。パクリじゃないです信じてぇ。


さて、今後もBABEL星導使は増えるんですかね?その時もまた書いて見せましょう。


おし、また何か書けましたら宜しくお願いいたします。
それでは。
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