蒼汰は押し入れから人数分の布団を出して床に並べていた。婚約者とはいえ丁寧に扱わないと後で嫌な予感がしない…。
そう思いながら彼はせっせと用意をしていると、黄淀が「ねえ兄ちゃん」と彼女が蒼汰に向かってきたため彼は「黄淀、どうしたんだい?」と黄淀に向ける。
「兄ちゃん、あの人たち一緒に泊まるの?」
「うん、少しの間だけど一緒に泊まるよ」
一緒に泊まることを言うと黄淀は「わぁ!」と目を光らせて、「黄寄! 茜姉ちゃん灯司兄ちゃん!」と言いながら走っていく。それを見た彼は「全く、張り切っちゃって」と呆れながらもほほ笑んでいた。
すると「失礼します」と襖が開くと、偲乃が入ってきた。
「偲乃さん、どうしましたか?」
「いえあまり重要な事ではありませんけど…姉弟結構張り切っているのですね」
偲乃の言葉に彼は「うん、そうなんだ」と答える。兄弟や姉妹がいない偲乃にとっては貴重な出来事、病院の子供たちとは違った明るい表情が見れる。
「私もいつか体がよくなったら、あの子たちと一緒に」
「うん、黄淀たちと一緒になれるとおもいよ」
蒼汰はそう言うと偲乃は「うん」と軽い返答をするが、表情は微笑んでいた。彼女はこんな楽しいことはない事と感じていた。
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そして押し入れから布団を出し、それを敷き終えると「これでよし」と名前が書いた看板を布団に置いていく。
蒼汰の行動を見た碧希は「あれ、何しているの?」と質問する。
「名前をそっとして…どうしたの?」
「誰がどこで寝るか来ているんだ、個人で決めるのもいいけど。ダブるといけないからね」
「あそっか、先に決めてないといけない事なんだね」
碧希は「争いが起きたら、大変だね」と言うと彼は「そ、そこまでは流石に」と苦笑いする。
そしてみんなが入ってくると「あら、誰がどこに寝るのか用意してくれたのですか?」と反応をすると、蒼汰は「はい」と答える。
「はい、みなさんが快適に寝れるように工夫はしまして。目覚ましも少し古いですが用意はしました」
蒼汰はそう言って少し古い目覚まし時計を出すと、彼女は「本当にすごいね」と答える。
「婚約者が誰なのかまだ分からないけど…もし決まったら出来る限りサポートはしないといけないからね」
「うん、蒼汰君の言葉わかる気がすると」
蒼汰の言葉に碧希は答えると「でも、誰が相手でも私が第一の婚約者になってやるんだから!」と燃えるような言葉を放つと、彼は「そ、そうだね」と言いながら後ろに引く。
「これがお布団…ですの?」
「病院のと違って、少しふかふかする」
初めて見る布団に遊果姫は驚きながら布団の掛布団を手にして言うのに対し、偲乃は嬉しそうに言いながら枕を抱く。
「一応不満とかありましたらこちらに押した背をお願いします。そしたらすぐに対処しますので」
「お、それはありがとさん! せやけどうちはかまわへんで」
「ボクもだよ、それくらい大丈夫だから心配しないで」
蒼汰の言葉に常葉と由吏は明るく答えると、祈も「我も同じだ」と簡単に答える。
「あと朝食は出来れば和食で…魚は鮭で出来るかな?」
「礼桜、それは無理矢理すぎや」
礼桜の言葉に常葉はツッコミを入れると、みんなは「それもそうだ」と心の中で答える。いくら何でも、そんなわがまま彼に通用するはず…。
「あ、それはいいですね。明日の朝食は焼き鮭にしましょうか。確か冷凍したのがありましたのでそれを」
「え、それ本気で受け止めているの…」
蒼汰の反応を見た華は冷静に驚くと、由吏は「そのようだね」と苦笑いするのであった。
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そして、婚約者との生活一日目は何とか終えた蒼汰…その日は。
今後、彼がとんでもない日が来るのはそう近くない…たぶん。