突然ですが、多重婚約することになりました。   作:水岸薫

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第五話『朝アルバイトをして帰宅していたら、先輩と合流しました』

次の日、太陽が昇るから蒼汰は外に出て新聞配達のアルバイトをしていた。

 夜中の1時から始めるとはいえ収入があまりない彼にとっては貴重な仕事ともいえる。幼い弟と妹を支えるため、彼はコツコツと稼ぎをしている。

 

「これで終わりっと」

 

 そして最後の配達を終えると彼はスマホを出して「新聞配達、終えました」とバイト先にメールをしてそのまま帰宅していく。

 

「これが終わったら急いで朝食を用意しないと」

「それって、焼き鮭の事か?」

「はい、冷凍したいたのを出して水に浸しておいたので、そろそろ溶けて柔らかくなっていると思います」

「なるほど、それはおいしそうだな」

「はい! あれ?」

 

 蒼汰は誰と話しているのか気づき、あたりを見渡すと。ジャージ姿で運動していた夢寂冠菜がいた。

 

「か、冠菜先輩!? どうしてここに!」

「いや、せっかく早起きしたからここで運動をしていたら、偶然君と出会ってな」

 

 驚く蒼汰に冠菜は微笑みながら答えると、彼は「せめて声をかけてくださいよ」と呆れながら答える。

 

「それよりも蒼汰はこれを毎日やっているのか?」

「はい、と言っても週に1度か2度ほどくらいです。収入はまだいい方ですので」

「ふむ、そうか」

 

 蒼汰の言葉に冠菜は理解すると、彼女は「少し考えてみるか」と考えるように呟く。

 すると蒼汰は「そう言えば冠菜先輩はどうですか? 最近剣道部の新たな部員が入ったと聞いたですが、どうですか?」と彼女に質問する。

 冠菜は「ああ、まぁ骨のある奴で結構いい新入りだ」とほほ笑みながら答えると、彼は「へぇ」と納得する。

 2人はそう言いながら三浦家へと帰宅するのであった。

 

----

 

 朝日が昇る中、蒼汰は器用に朝食を作っていた。

 炊飯器を開けると蒸気と共に光り輝くお米が出てきて、それをしゃもじで掬い茶碗に入れていく。

 そしてフライパンの蓋を開けると、そこには銀鮭が人数分焼かれていた。香ばしい匂いが台所を包んでいく。

 鍋には味噌汁が入っていた、具材は豆腐となめたけの2種類だけだがこれはおいしそう。

 

 スッ…コトッ

 

「これでよし、何とかできた」

 

 なめこ入りの味噌汁が入ったお椀を机に置くと、朝食の準備が出来あがる。

 炊き立ての温かいご飯になめこ入りの味噌汁、そして焼きたての銀鮭と昨日『カクヤス』で買ってきたおいしい漬物。

 準備が出来たことを確認した彼はみんなを起こそうと二階へ上がり部屋へと入る。

 

 ガラッ

 

「みなさん朝食の―」

 

 声をかけようとしたとき彼は気づいた、そう言えばここにいるみんなは女子だった。

 寝癖が酷い人もいれば位置が変わらずそのままで寝ている人もいる、中にはいびきをかいている人もいた。

 彼にとって一番の問題は寝相…ではなく。

 

「そ、そう言えば…どうやって起こしたらいいのかな?」

 

 起こし方だ。妹と弟の場合は驚くように起こしているためそこは慣れているが、問題は婚約者たちをどうやって起こすかだ。

 むやみに起こすと相手は不機嫌になる可能性が高い。一体どうやって起こしたら相手は機嫌をそのままに出来るか。

 蒼汰は「うーん」と頭をひねりながら考えていると。冠菜が「どうした蒼汰?」と言いながらやって来る。

 

「冠菜先輩、実は」

「む?」

 

 蒼汰の目線に彼女はそこを見ると「ああ、なるほどな」と何かを察したのか理解する。

 

「そういう事か…よし、蒼汰は先に降りて弟たちと妹たちをおこしに行ってくれ」

「え、先輩は?」

「なぁに、少し起こしてくるだけだ」

 

 冠菜の言葉に蒼汰は「は、はい」と戸惑いながらも冠菜に任せ、彼は弟たちと妹たちがいる部屋へと一階へ降りることにした。

 一階の黄淀、黄和、灯司、茜がいる部屋の襖を開ける。そっと窓があるところへと音をたてないように歩いていき、「おっきろー!」と言うと同時に窓を勢いよく明ける。

 すると、朝日を浴びた四人は「うにゃああ!」と猫のような鳴き声をすると同時に転がっていき数秒後、瞬きをして「おはよう」と鈍い言葉を言うと、彼は「おはよう」と答える。

 

「兄ちゃん、朝ご飯は何?」

「銀鮭を焼いた焼き鮭だよ、そして今日はみそ汁を黄淀の大好きななめこと豆腐が具材になっているよ」

「なめこ!?」

 

 黄和の質問に答えていると、『なめこ』と言うワードに黄淀が反応すると灯司と茜は「反応早い」と答える。

 

「そして食事が終わったらね、今日はどうするか話そうか。せっかくのお休みだしどこに行くか話そうか」

 

 蒼汰の言葉に四人は「本当?!」と目を光らせると、彼は「うん、ほんとうだよ」とほほ笑む。

 

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 そして蒼汰は、四人を連れて朝食がある居間へと行くとそこには碧希たちが座っていた。

 

「あれ、碧希さんいつの間に起きていたんですか?」

「うーん…冠菜先輩に起こされたけど。頭がいてて…」

 

 蒼汰の質問に碧希は答えるが、時折頭を押さえているのを見て彼は「え?」と反応する。

 

「冠菜! 次からは手加減をしてくださいまし!!」

「いつも通りで起きて正解でした、我が神よありがとう」

 

 冠菜に向けて怒る遊果姫と安心して祈りをしているアリスを、黄淀は「恒例行事なの?」と頭を傾げると黄和も「さぁ?」と答えるのであった。

 冠菜は「すまんすまん、少しかげんが出来なくてな」と困ったかのような表情をしながら遊果姫に謝罪するのであった。

 

「さて、みなさん揃ったことだし朝食をいただきますか」

「うん、そうだね」

「では、いただくとしよう」

 

 蒼汰の掛け声に碧希と冠菜は答えると、みんなは「いただきます」とあいさつをすると、朝ご飯をいただくのであった。

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