「――はい、お疲れ様。中に入って
土屋はカメラを
「……どうだった?モデルになった気分は」
彼は少し
「……えっと……、何か、
と、唯子は下を向いた。
そして、運ばれてきたアイスコーヒーを
「……私、今まで読書したりとか、その場に閉じこもる事しか出来なくて……。何ていうか、自分と同じ価値観を持っている人としか、きちんと
と、静かに話し出した。
「今日、モデルの役を引き受けて、何か自分の世界観が変わったんです。あの……、ほら、前に土屋さんが『外に出て体感した事で、自分の世界が変わった』って、言われてたでしょ?……おかげで、退屈していた自分に、
すると彼は、クスクスと笑い出し、
「まるで、社会科見学に来た
それを聞いて、唯子はその姿を想像して、フフフッと笑った。
お茶を済ませた二人は、玄関ゲートまで来ると、
「オレ、この後、上田さんに用事があるんだ。――悪いね、駅まで送っていけなくて」
「――いいえ、大丈夫です。それに、今日は色々とありがとうございました」
「いやいや、こちらこそ。――あっ、そうだ」
と、彼は、鞄から
「オレが今、撮っている写真、学校で発表するって言ったよね?それがさ、8月10日なんだけど、〇〇百貨店で特別展が開かれる事になって――ウチの専門学校の理事長と百貨店のオーナーが、どうも学生時代からの友達らしくて。良かったら、誰か誘って一緒に見に来てよ。特別招待券、二枚渡しておくから。――あと、これ、仮のチラシなんだけど」
『photographer(写真家)への第一歩』と書かれたそれには、あの唯子が気に入ったという赤色のハイビスカスが大きくプリントアウトされていた。
「……はい、楽しみにしています。お客さん、たくさん来ると良いですね」
別れ
(つづく)