大吾が光となることで永き眠りから蘇った巨人──ティガは、超古代怪獣ゴルザ、メルバと対峙する。
パワータイプの圧倒的な力に戦意を失ったゴルザは、地下へと逃げる。その後、空から攻撃するメルバを倒したティガ。
ユザレの言葉、ティガの謎や怪獣について調べるべく大吾は、東京へ戻ることを決意する。
「なんかいいアイデアないかな……」
そう呟く穂乃果は、中庭に生えてる植木の下に座りながら空を仰いでいた。昨日は廃校の知らせを受け気を失ってしまう失態をしたが、大好きな学校を残そうとあれから海未やことりと作戦を練っていたが、良い物が思いつかなったのだ。
部活動で何か目を引かれそうな程の活躍をした部がなければ、この学校でしか得れない様な特別な授業をしている訳でもない。
何も無い普通の学校なのだ。
昨晩も一人て考えた穂乃果だが、閃くものはなかった。
「一人で考えても仕方ありません
また考えましょ穂乃果」
そう優しく語りかける海未。ことりの方でも既に何度か母である理事長に直談判を試みたが返ってくる答えは、同じだった様で収穫はなかった。
「ことりちゃんでもダメか」
「ごめんね、穂乃果ちゃん」
「ちょっもいいかしら」
そんな時、穂乃果に声をかけた人物がいた。金色の髪を束ねてポニーテールにしている生徒会長──絢瀬絵里だ。
ロシア人とのクウォーターである彼女は、日本人離れした容姿と堅苦しく見える物腰、そして成績優秀。まさに生徒の手本となる様な完璧生徒会長である。そんな絢瀬絵里が副会長──東條希を連れて穂乃果達の前に現れたのだ。
「生徒会長、どうしたんですか?」
「あなた達、学校を救おうと何やら動いているのよね?」
「はい、私達も音ノ木坂学院が大好きで」
「必要ないわ」
穂乃果の言葉を遮るように絵里は、そう言った。
それを聞いて言葉が喉に詰まってしまう穂乃果。
絵里は、続けて言う。
「学校を救うのは生徒会長の使命ですので、皆さんはこれまで通り安心して過ごしてください」
「みんなの学校だよ! みんなで力を集めて学校を救おうよ」
絵里に対して反論する穂乃果だが、それを無視してその場を立ち去る絵里。
一緒に来ていた希が謝りしながら絵里を擁護する。
「ごめんな、ちょっと気を張ってるだけなんよ
エリチも学校を大切に思ってくれる人が居て嬉しいんやよ」
「だといいのですが……」
「ほな、ウチもこれにて」
そう言い残し希は、穂乃果達と別れを告げて先に歩いている絵里の所へ行く。
「どうしてあんな事言ったのよ」
擁護されたのが気に入らないのか希にも強く当たる絵里。
しかし希は、どこか余裕を見せながら絵里を宥める。
「カードがウチにそう告げるんよ
あの子たちなら何かとんでもない事をしてくれるんやないかって」
「希の占いね……気に止めておくわ」
一呼吸置いてから絵里は、今一度理事長室へ向かおうとする。
直談判をしていたのは、ことりだけではなかったのだ。絵里も生徒会として学校を救うべく動こうとしていたのだが、理事長からその許可が下りないのだ。そこへ穂乃果達が学校を救うべく先に動いているという情報を聞いた時──絵里の心は、複雑な気持ちでいっぱいだったのだ。
あの子たちはなんで良いの?
理事長の娘もいるから?
そんな嫉妬に近い感情を抱えたまま絵里は、穂乃果達と退治してしまったのだ。今となっては落ち着いてきたからか何であんなに冷たく当たってしまったのかと後悔もしている。
しかし、そんなことは露知らず絵里の物言いに海未は、気に入らずにいた。
「なんなんですか、あの態度」
「生徒会長……焦ってたるのかな?」
「ですが、あんな風に言わなくてもいいではないですか?」
「そうだけど……」
「こうなったら先に学校を救う方法を見つけ出しましょう、穂乃果!」
そう言って海未は、ぐっと手を握り締めて自身へ喝を入れる。真面目な性格の彼女は、曲がったことが嫌いな節がありムキになるととことん突き詰めてしまう所があるのだ。
「う、海未ちゃん落ち着いて」
「穂乃果、学校を救うのではなかったのですか?」
「そうだけど……れ、冷静になって考えようよ」
「何を言っているんですか、私は冷静ですよ!
では、穂乃果の家でまた話し合いましょう」
「えー、また家!?」
「良いじゃありませんか!」
そんな会話をする二人。
それを見ていたことりは、くすくすと笑い出すと二人共会話を止めてことりの方を注視した。
「二人の会話が面白くてつい」
「もう〜笑わないでよ、ことりちゃん」
「そうですよ、ことり
これは、重要な話し合いの場なんですから」
「ごめんね
私、放課後またお母さんと話してから穂乃果ちゃんの家に行くね!」
「ねぇ、私の家ってことは決定事項なの!?」
知らぬ間に放課後の会場が決まっていて驚く穂乃果。それを他所にことりと海未は、学校を救うべく決意を固め行動に移すのだった。その熱量に置いていかれた穂乃果。
「もう二人共、置いてかないでよ」
そう言いながら慌てた様子で彼女たちの後を追うのだった。
◇◇◇
「間もなく東京、東京」
車内にアナウスが響くと俺は、目を覚まして降りる準備を始めた。
忘れ物がないか確認してから何日分の着替えが入ったボストンバックを片手に席を離れると出入口の自動ドア前で車両が止まるのを待っていた。
あれから、宿に戻りスパークレンスを片手に物思いにふけていたせいで寝不足気味だ。いきなりこんな強大な力が自分の手にあるのだからどうすればいいか分からないのが一つだ。
一体、俺に何をさせたいのか?
世界を救うのか、破壊するのか。嫌、個人的には、破壊は嫌だな無しにしよう。
とにかく、この力を持つ意味が欲しかったのだ。何の為に戦うのか、一回の戦闘では中々見いだせない悩みの種だ。
「ドアが開きます、ご注意ください」
アナウスと共にドアが開くと開口一番に外へ出る。いつもなら電車に乗り換えて最寄り駅へ向かうのだが、今は時間が欲しい。
タクシーを使って行くことにすると急ぎタクシー乗り場へ向かう。
「お、空車いるじゃん! ラッキー」
乗り場へ向かうと早速空車のタクシーが何台か並んで待機していた。
どうやら今日は運がついてる日の様だ。いつもなら何分か待たないと乗れないタクシーに待ち時間ゼロ。これほど嬉しいことにい。そう思いながらタクシーへ乗り込むと運転手に目的地を伝えた。
「神田の方にある穂むらという和菓子屋の近くなのでそこまでお願いします」
「分かりました」
運転手がそう言うとタクシーは、東京駅から神田にある穂むらと言う老舗和菓子屋だ。家からすぐ近くにあると言うことでいつもタクシーの時は、そこへ向かってもらうことにしてる。そんな和菓子屋穂むらの娘である高坂穂乃果とは、幼い頃からの腐れ縁の仲である。
近所にいる元気な妹みたいな存在──。
それが彼女の印象だ。元気で真っ直ぐな所があるがどこか危なっかしくて目を離せないそんな女の子。
「あれ、そう言えば穂乃果からメッセージ来てたけ?」
ふと穂乃果を思い出しスマホをポッケットから取り出すと穂乃果からメッセージが来ていた。冒険に出てる時は、通知を着る事にしていて中々気づくのが遅いと以前にも言われたことがあったなと昔を思い出しながらメッセージを送る。
「無事に生きてるから心配するなよっと」
そうメッセージを送り返す。穂乃果昔から行志望していた女子校へ進学してからは、メッセージでのやり取りが主な交流の場になっていた。基本的に大学生と高校生。
親が政治家という仕事の都合上も考えると世間体を気にしないといけない。
今の時代、どこにスキャンダルがあるか分からないからだ。
昨日の件も早速、マスコミによって各媒体にて報道されているのをスマホで確認した。いつもの事ながらそういう報道は、速報のような速度で流しているマスコミの方々の努力は、凄まじいものだと関心しながら読んでいた。
そこで目立った意見は、三色に変化する巨人は何者なのかという事がワイドショーなどで特集され議論していた。根も葉もないことを言う人もいれば様々な意見が飛び交っていたのを見て呆れたのを覚えている。
「──お客さん、着きましたよ」
「ありがとう、これお金です」
「毎度あり」
タクシーから降りる。
既に日も傾いて、風が冷たくなっていた。折角前にいるから和菓子でも買って買って帰ろう。
「──え、ダイくん!?」
「え!?」
後ろから声をかけられた。
そのあだ名を使う人物は、一人しか心当たりがない。
恐る恐る後ろを振り向くとそこには、幼馴染の高坂穂乃果と園田海未の姿があった。
「あ、えっと……ただいま?」
少し困惑しながら俺は、穂乃果達に向けてそう言うのだった。
◇◇◇
大吾と穂乃果が再会してる頃。
ティガから逃げたゴルザは、那須岳地下へ避難して火山のマグマを食らいながらエネルギーを得て自身を強化したゴルザ。その瞳には、ティガに対する復讐の炎が宿っていた。
体表に赤いラインが入り肉付きも以前よりガッチリしている様子。
準備万端になったことを周囲に知らしめるかのように吠えるゴルザ。今、まさに地上へ向けて進行を開始するのであった。
ゴルザの咆哮により深き眠りについていた他の怪獣たちが次々と目を覚ましだした事を地上の人は、まだ誰も知らなかった。
いかがだったでしょうか。
今回は、大吾と穂乃果の再会までを描きました。
突然の再会になりましたが、これからどんな物語を繰り出すのか楽しみです!
絢瀬絵里、東條希も出てきましたね、彼女たちも生徒会として動いているみたいですが、中々理事長の許可が出ないみたいで焦っている様子でした。
そして、気になるのゴルザの進行。
今作は、オリジナル展開で進んでます。
マグマを得てパワーアップしたゴルザにも注目です。
それでは次回、「ゴルザ逆襲」にてお会いしましょう!