魔防隊の貧乳隊員   作:くろさん

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お久しぶりです。
そしてごめんなさい。

少し遅れた上に、今回ちょっとぐだつきました。全然進んでな〜い。
それでもいいゼ!という広い心がある人は、読んでくれるとありがたいです。


ヒラ隊員の組長

 

 

「やっぱりさあ、柔らかいおっぱいってのはいいよね」

「帰って早々下らない事を抜かすな」

 

 

 一週間ほどで七番組に帰還したカグラを出迎えたのは、険しい顔をした京香だった。

 上がり框に腰掛けながらブーツの紐を解くその背後には、いつも以上に張り詰めたオーラが感じられる。

 

「どったの京ちゃん、可愛いお顔が台無しだぜぃ。いやまあその顔もいいけどサ」

「御託はいらん。お前には話すべきことがあるはずだ」

「話すべきこと……?」

 

 はて?と首を傾げるカグラ。もしや出張中に今までの悪戯のどれかがバレたか。だとしたら何がバレたのか。場合によっては大変な事になるぜこれは……!などと戦慄するが自業自得である。

 取り敢えず本当に検討がつかないので、適当に答えることにした。

 

「もしかして私が開発した『お好み焼きはおかずだと強制的に認識させるゴーグル』を見つけてしまったのかッッ!?」

「真面目に答えろ。あとなんだその長ったらしい名前は」

「冗談冗談、マイケルジョーダンだって」

「………」

「イデデデ!!アイアンクローは痛えよ!」

 

 出張帰りで少しでも職務態度が変わっていれば……などという期待を、京香はとうの昔に捨てた。それよりも、出張先でやらかしていないかという心配が勝る。

 

 とはいえ、今までで何か失礼をしたという通報は無い。単に交流を避けているというのもあるが、この女、外面はいいのだ。一部の人間に対してだけは例外だが。

 

 ブーツを脱ぎ終えたカグラは振り返り、なんとも苦々しい表情を浮かべた。

 

「いやあ、相変わらず月夜野さんにはビビられたわ」

「お前は一体、ベルに何をしたんだ」

 

 京香はジト目を向けるが、カグラは肩をすくめて首を振る。

 ベルは臆病なところもあるが、初対面の人間に対しあそこまで恐れを抱くほどではないはずだ。明らかにヤのつく家業の人間ならまだしも、見た目は普通のこの灰髪女を恐れるとは只事ではない。

 

 カグラに問い質しても、これに関しては本当に何もしていないようで、本人もお手上げらしい。逆にカグラが落ち込んでいた位だ。髪色の如く灰となって散る様は、カグラにしては珍しかった。曰く、ああいうタイプの子には嫌われたくない、らしい。

 

「いつか仲良くなれる日が来るといいなァ……」

 

 そう遠くを見る目の奥では、どうせ「あわよくば胸を……」などと思っているのだろう。

 

「……今、心の中を覗かれた気がした」

「気の所為だろう」

 

 こいつ、勘がいい。

 

 ともかく、今は雑談をしている場合ではない。

 この女には聞かなければいけない事がある。

 

 交流戦の襲撃の事も、彼女自身についても。

 

「まあ、部屋に荷物置いたら報告はすっからさ、そん時にいろいろ話すよ。そっちもゴタゴタあったみたいだし」

「……逃げるなよ」

「流石にそれはしないって。私に対する信頼値はゼロか」

「マイナスだな」

「さーせん」

 

「たはは」と笑いを浮かべながら、カグラは小走りで自室に戻っていった。

 

 

 

 

 

 

 ×××

 

 

 

 

 

「―――で、何故私らはここにいるんだ?」

 

 

 七番組の道場にて、カグラと京香は向かい合っていた。

 両者きっちりと道着を纏い、その手には木刀が握られている。心做しか、京香に至っては軽い殺意まで放っているではないか。脚は組長室へ向いてイたハズなのだが、フシギダネ。

 

 その状況にカグラは疑問を投げかけるが、京香は木刀を地面と水平に構え、さも当然とでもいうように返した。

 

「決まっているだろう。お前が三番組に行っている間、怠惰な生活を送っていないか確かめるためだ」

「いや報告は!?」

「合間に話せ」

「そのマルチタスクは難しくないか?」

「お前なら出来るだろう」

「わお、確かな信頼アリガトウゴザイマス」

 

 軽口を叩くカグラだったが、相対する相手の雰囲気は只事ではない。

 さすがに鍛錬の合間に報告しろというのは京香なりの冗談であろうが、鍛錬の方は手を抜くつもりはないのだろう。帰宅した十五分後には模擬戦とは、やはり我らが組長は☆NOUKIN☆だと、カグラは内心ため息を吐く。

 

「私が(これ)握るの、何時ぶりだと思っていらっしゃる?」

「三ヶ月か?」

「半年です」

 

 てへぺろ☆とペコちゃん顔で頭に手を当てると目の前に木刀の切っ先が。いや近すぎてそれしか見えない。というか近づいてますね、これ。

 

「あぶねっ!」

 

 上体を極限まで仰け反らせ、マトリックスもかくやという避け方を見せる。得点が出るとすれば間違いなく満点近いだろう。もしくは777(スリーセブン)

 

「チッ!外したか」

 

 対して、舌打ちをしてカグラを睨む京香。今ならオーラだけで醜鬼を滅殺できてもおかしくはない。

 カグラはそんな様子を見て、恐る恐る手を挙げた。

 

「あのー、シンプルに酷い&危ねえ&機嫌悪いですか?」

「何故そう思う」

「目の前に戦闘力五十三万どころか身勝手の極意を解放しそうな上司を前にすれば誰しもそう思いますが!?」

「いやなに、久方ぶりだからな、今まで貴様がやってくれたことを思い出して少し気が乱れているだけだ」

「アラヤダこの組長随分引きずってる」

 

 申し訳程度に手刀で「メンゴ」と謝るカグラ。

 確かに、少し前はこの道場で稽古をして、互いに腕を高め合っていた。そして合間にカグラがふざけ、京香にシバかれていた。

 

「流石にリミッター解除まではせん」

「されたら死ぬね」

「……ジョークだ」

 

 特に何かあったわけではない(・・・・・・・・・・・)

 任務で刀を使わなくなったのは、強いて言うのなら刀を振るうよりも、拳で片付けた方が速いという結論に達したから。

 

 

 しかしまあ、今の状況では刀を振る理由が出来るかもしれない。

 

 そんな予感がする。

 

 相手はわからないが。

 

 

「……………やろうと思えば勝手にやれるし(・・・・・・・)

「何か言ったか?」

「いえなにも」

 

 

 記録を引っ張り出せばいいだけの話だ。

 

 

「兎に角、お前の最初の問いに対する答えは一つ―――同じ師(・・・)を仰いだ身として、少しでも太刀筋に綻びがあるのなら見過ごせない。それだけだ」

 

 

 真っ直ぐにカグラの瞳を見つめる京香。

 何を考えているのか読み取れないその瞳は、静かに言葉を受け止めた。

 

「………はァ」

 

 確かに、最近は剣を握っていない故、鈍っている部分もあるだろう。

 薄れることのない記録はあれど、実行しなければこの身体は追いつかない。それが人間というもの。

 

「わかったよ。今日は組長サンのお相手でも致しますとも」

「……!」

 

 カグラはやれやれと首を振った。

 

 最後に手合わせした時の実力は互角。それは一年近く前で、消化不良に終わっていた。

 手合わせはそれっきりで、何度か決着をつけろと迫られたのだが、生憎全て尻尾巻いて逃げていた。呆れて京香はもう誘わないだろうと思っていた。

 

 それでも我が組長は負けず嫌いらしく、決着はどうしてもつけたいみたいだ。

 

「まあ、京ちゃんの期待に応えられるかは別だよ」

 

「抜かせ。その眼は本気だろう」

 

 

 両者、木刀を構え―――

 

 

 

 

 

 

 

 ×××

 

 

 

 

 

 

 そして、暫くして。

 

 道場から木刀の打ち合う音は消え、代わりに話し声が聞こえてきた。

 

 

「なんだ……怖い顔、してたのは…それが聞きたかったのか……」

 

 京香もカグラも、二人して床に大の字で寝っ転がっている。

 いや、正確にはぶっ倒れている、と表現した方が正しい。カグラは息も絶え絶えと言った様子で苦しそうに胸を上下させ、京香も同様に呼吸は荒い。

 

「それ、以外に……なんだ、と……思っていたんだ」

 

 果たして決着はついたのか気になるところではあるが、両者ともに表情は清々しい。

 京香からしてみれば、唯一の稽古相手に一年近く逃げられていたのだ。醜鬼たちの相手をするのとはまた違う、全力の勝負の余韻に浸っている最中であった。

 

 出来ることなら、この先も過去のように手合わせをしたいのだが、カグラはまた逃げるだろう。長年の付き合いでも、気が合うかは難しい。

 周りからはよく従えていると冗談半分で言われる事もあるのだが、全くそうではない。単に腐れ縁、偶然長い付き合いなだけなのだ。

 もし出会いが少しでも違っていたら、確実に相容れることはなかっただろう。

 

「ふつーに、今までのやらかしが見つかったのかと思ったわ」

「何をやらかしたんだお前は……」

「ダイジョブダイジョブ、京ちゃんにしか迷惑かかってないから」

「よし立てボコボコにしてやろう」

「ウソデスサーセンッシタッ」

 

 実際、今の一連のやり取りがそれを物語っている。

 

 閑話休題。

 

 京香がずっと聞きたかった事。

 それは先日の交流戦で、襲撃者が現れた直後の出来事。

 

「あの炎の剣、お前以外に誰がいる」

 

 突然、上空から何本もの炎の剣が降り注ぎ、着弾した途端小規模の爆発を起こしたのだ。

 

 その時は敵の攻撃なのかと頭をよぎったが、すぐに違うとわかった。

 

 

 何より―――敵が最も、その炎に対して怯えていたからだ。

 

 

 寧が先に気づいたおかげで何とか回避したものの、少しでも優希に掠っていたら大変な事になっていた。まして、この女の炎であるならば。

 

 カグラはそんな京香の冷や汗を気にしていないようで、胡座をかいて座り、あっけらかんとした表情で口を開いた。

 

「うん、まあ、確かにあれは私だね」

 

「お前はまた……」

 

 今回ばかりは本当に手が出そうだ。

 最悪、怪我人が出るかもしれなかったのだし、状況が更に混乱したのだ。

 結果的には撃退に成功したものの、未知の敵相手にそうなるのは避けるべき事だ。

 

 目の前の女は職務態度は悪いが、そんな事は分かっているハズ。

 戦闘に関して見誤る事はないカグラが、何故それをしたのか。

 怒りよりも疑問が浮かぶ。

 

「お前の所為で最悪の事態が起こったら、どうするつもりだったんだ……!」

「……それに関しては申し訳ない。私の判断不足だった」

 

 今度は本当に申し訳なさそうに謝るカグラ。

 京香はため息を吐き、一先ず話を進めることにした。

 

「まずお前、どうして襲撃されているとわかった。三番組の管轄から七番組までの距離で、どうやって気がついた」

「あー……実は遠くからこっそり、交流戦見てたんだ(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)

「はあ?」 

 

 バツが悪そうに頬をかく。

 

「ちょいと気になってね。まあ、流石に任務を終わらせて、余った時間で少し見てただけだから」

「では尚更、あんな危険な事にはならんだろう!」

「や、ごめん。あん時の私はどうかしてた」

 

『どうかしてた』

 そうとしか言いようがないほど、カグラはらしくない(・・・・・)

 事実、このような雰囲気ではふざけ倒すというのに。

 

「まあ、アレは細かい制御が難しいんだ。そんなファンネルみたいなキモい動きはできんよ」

「何だその変な仮面は」

「天パの方がいい?」

「何故だ」

 

 訂正。いつものカグラだった。

 先ほどまでの反省ムードは消え去り、背後に「適当」の二文字が漂っている。

 

 カグラは咳払いをして、口を開いた。

 

「取り敢えず、今回の件は全面的に私が悪い。言い訳はしない。何か、上司である君から部下の不始末に処分を下すのであれば、黙って受け入れるつもりだ」

 

 京香は二度目のため息を吐く。

 この女のスイッチの切り替えは凄まじい。相手をしていると本当に疲れるのだ。

 

「……ふん。別に処罰などする気はない。失敗は誰にでもある」

「おろ?」

「だが、これを機に気持ちを引き締めろ。お前が迷惑をかけるのは、せめて私だけにしろ」

 

「いいな?」と念を押すと、カグラは目をぱちくりとさせ、右手で目元を覆った。

 その口元には笑みが浮かんでいる。

 

「……やっぱ、京ちゃんが組長で良かったよ」

「なんだ急に」

「おっぺえの大きさは懐の深さってことかねぇ……」

 

 ブレないな、こいつは。

 始末書でも書かせようか、などと思う京香。

 

「これなら、私に何があっても(・・・・・・・・)七番組は安泰だ」

「お前は七番組の何なんだ」

「頼れるオネーサン」

「情緒不安定の変人だろ」

「毒が強いネ!」

 

 こうして、七番組に黒野カグラは帰ってきた。

 




ガンダムおもしろかったですね。

今期のアニメは、先日見た「まったく最近の探偵ときたら」が凄いおもしろかったです。あと「ぐらんぶる」楽しみ。

誤字脱字等あったらすいません。
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