Asgard~黒翼と希望のミストルティン~   作:宵星アキ

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指輪を奪ってルケシオンを蹂躙しようと飛び出した悪魔を追い、シャニーは絶望の蒼穹に駆ける。
劣勢の中でも一発逆転を狙った一手が呼び寄せたのは、新たな絶望──妄執の魔凶賊フェンネル


理由なんて要らない!!

「ははは、守護者のみが引き出せる力だと?笑わせる!」

 

 生み出す腐の烈風で辺りを押し潰しながらフェンネルが向かった先では、獣道に大勢が列を成していた。ルケシオン森を経てサラセンへ逃げ込もうとする元デムピアス海賊団の奴隷たちである。

 彼は腰の両端から短剣を取り出すと、それを舌なめずりした。

 

「さぁ……、地を這う愚かな人形共、その血で美しく彩ってみせろ!」

 

 人の死は、彼にとってとても美しい芸術だった。人から魂が抜けるその瞬間。それがたまらない。

 短剣が一人の子供の奴隷に狙いを定め、血を欲し始めた。

 目元に渇望の笑みを浮かべ、彼は勢いに任せ意の赴くままにその奴隷へと突っ込んだ。

 

「死ね!」

 

 繰り出された短剣が容赦なく奴隷の喉元を狙い、柔らかい肉を引き裂くまさにその寸時、二本の短剣がそれを阻み、高い音を立てた。

 火花を散らした四本の短剣は、その反動で互いの距離を開けさせる。

 

「……おや、アナタ、どういうつもりですか?」

「それはこちらの台詞だ!指輪を渡せばこれ以上手出しはしないと約束したじゃないか!」

 

 シャニーの怒声を遮るように、馬鹿にしたような高笑いがその場に響き渡る。

 耳につく笑いをようやく止めたフェンネルは、さもおかしそうに言い放った。

 

「確かに言いましたね。でも、それはアナタに言ったまで。人かゴミか分からないような奴隷のことまで、私は保障などしていませんよ? あなたもそう思っているでしょ?海賊として生きているなら」

 

 シャニーは両手の短剣を逆手に持ち替えた。

 先ほどから、フェンネルへの怒りをずっと堪えてきた。だが、もう堪忍袋の緒が切れたと言うもの。デムピアス海賊団を愚弄することは万死に値するのだ。

 

「許せないっ。身分の違いはあっても、彼らだって海賊団の一員には変わらないのに!命乞いなんて、こちらからお断りだ!」

「分かりませんねえ。アナタは本当に分からない人ですよ」

 

 まるで怒りすら汚れたゴミを退かすように手を払いながらフェンネルは続けた。

 

「血も繋がっていない男の為、そして今度は生きる価値もないようなゴミクズの為、命を賭して挑んでこられる。理解できません」

「血が繋がっていようといまいと、あたしにとっては偉大な父さんだ。それに、海賊には、行動に理由なんて必要ない時があるのさ!」

 

 一瞬フェンネルは瞠目したが、それはすぐにせせら笑いへと変わった。耳障りな笑いがシャニーを煽り、神経をかきむしる。

 彼女が憤激して突撃しようとしたとき、ようやくフェンネルが笑いを止めてダガーの刃先をシャニーへと向けた。

 

「追い詰められると弱者はとんでもない冗談を言うものですね。いいですか、それは思慮を欠いた動物レベルの蛮勇と言うヤツです。アナタはお若いのだから、もっとご自身の将来を考えるべきでは?何も老い先短い海賊団と運命を共にしなくても」

「黙れ!それ以上海賊団を愚弄するな!」

 

 フェンネルは両手を挙げて呆れた表情を作って見せると、風をまわりにまとわせはじめた。

 

「やれやれ、低俗な海賊には言っても無意味ですか。まぁ良いでしょう。アナタが実験台になると言うなら、叶えてあげましょう!あの時の礼(・・・・・)も兼ねて、じっくりねェ!!」

 

 フェンネルはその場から消え去り、猛烈なスピードでシャニーの喉元を狙ってくる。シャニーも相手の短剣を自身の短剣で受けつつ、反撃のチャンスをうかがう。

 避難を続けながら、自分たちの元ボスが戦う姿を、奴隷たちは皆息を呑んで見守っていた。

 シャニーもフェンネルも盗賊同士。互いに風をまとって高速で移動している為、奴隷たちは目で動きを追うことも出来ず、宙で突然弾ける火花に固唾を飲むばかり。

 

 互いに自身の短剣をぶつけ合い、砕きあう。

 下から見守る者たちにとっては、二人の激突は互角に映った。

 

(くっ、受けているだけなのに、手が……痺れてくる)

 

 実際は一方的と言っていい。シャニーはフェンネルの攻撃に押され、次第に防戦一手となってきていた。盗賊とは思えないパワーで押してくる。腕を持っていかれないようにするだけで精一杯だ。

 

「さすがに守護者だけあって、なかなかの実力の持ち主ですね。何もなしに、私の動きについてくる事ができるなんて」

 

 余裕に満ちたフェンネルとは対照的に、シャニーは相手の蔑みに言葉を返す余裕もない。

 一瞬の隙を突いて、ようやく相手のダガーを押し返す。顔には一本の赤い線が残った。

 距離が開いたことを利用してサンドボムでけん制をしようと爆弾を手にするが、前方から来る巨大な殺気に彼女は爆弾を落としてしまった。

 

「何をぼーっとしているのですか!」

「くっ!(しまった!)」

 

 なんとか相手の一閃を弾いたものの、そのパワーにとうとうダガーを弾き飛ばされてしまった。

 このチャンスを逃すものかと、フェンネルの過激さが洪水のようにどんどん増していく。

 残った一本のダガーだけでは、相手の連撃を防ぐことはできない。相手の双剣の1本はダガーで防ぐが、2本目は避けるしかなかった。

 

「下ががら空きですよ!」

「ぐはっ!」

 

 喉めがけて襲ってくる短剣に気を取られすぎて、ニーバットを腹部へもろに受けてしまい、吹っ飛んだ。

 シャニーがえぐりこまれた枯れ木の茂みから、もうもうと砂煙が立ち上がる。風の力を借りて、スピードを増していたところへの直撃。ダメージは計り知れない。

 止めを刺すべく、フェンネルがどんどん近づいていく。

 砂煙が止み、喉の位置を確かめようとした時、彼の眉が歪んだ。倒れているはずの盗賊が、その場から忽然と姿を消していたのだ。思わぬ粘りに、彼の口元には笑みが浮かぶ。

 直後、頭上からの急襲。急降下し、ダガーに全ての神経と体重を乗せて暗殺剣を仕掛けようとシャニーはフェンネルに突っ込んだ。

 

「そこかっ!」

 

 その攻撃は完全に見切られていた。

 体重の乗ったダガーを自身のダガーで受け止めてバランスを崩させると、フェンネルは彼女を勢いのままに地面にたたきつける。今度はもう声も上げない。

 

「頼みの暗殺剣もその程度ですか?所詮、アナタもただの盗賊。神の力も持たぬアナタが私と対等に戦おうなど、なんて軽挙妄動なんでしょうね。死ぬ前に諦めたほうが身のためですよ?まだ生きているんでしょう?」

 

 彼はうつぶせに倒れているシャニーを足先で小突いて立つように促す。

 小突いてみて、フェンネルはハッとした表情を見せた。あざ笑うかのように幻覚は砂に溶けていく。

 

「やーい、こっちだよ!」

 

 フェンネルが怒りを顔にぎらつかせ、声の主を探して辺りを見渡すたびに三つ編みにした鮮血のような赤髪が振れる。その途端、何かが弾けて彼の目の前に煙幕が広がり、彼の足が止まった。

 

「くっ、スモークボムか。味な真似をっ」

 

 相手の動きが止まっている間に、シャニーは吹っ飛ばされた短剣を拾い、自身の傷を癒す。

 けしかける余裕が残っているとはいえ、そのダメージが相当に蓄積していることは、口元を流れる血の痕が痛々しく証明していた。

 

(魔力ももう残っていない、か)

 

 自己治癒魔法で少しでも傷を癒そうとするが、ここに来るのにありったけの魔力を使った為、端から魔力はほとんど残っていなかった。

 それでも、残る魔力を搾り出して、限られた時間を使いきった。

 

「くっくっく。休憩はしっかりできましたか?」

 

 煙が全て風に流され、再びフェンネルが姿を現す。

 彼は猶予を与えていたかのように全く動いていなかった。笑みを浮かべて余裕の表情だ。神の力を有する彼にとっては、いくら相手が守護者といえど赤子の手をひねる程度だと見せつけるように。

 

「何度も言いますが、アナタではムリです。あなたには手駒は残っていないのですから!」

 

 再び恐ろしいスピードで突っ込んでくる。

 少しは体力も回復して体の動きにも機敏さが戻ってきてはいるものの、フェンネルの執拗な突きを避けることはできない。

 再びダガーの打ち合いを挑まれては消耗するばかりで、まだフェンネルに一太刀たりとも浴びせる事ができていない。

 

「さぁっ、さぁさぁさぁッッ!!」

 

 募るのは焦りばかり。だんだんパワーに負けて手が痺れてくる。

 どんどん後ろに押しやられ、とうとう背中が壁にぶち当たった。もう後がない。

 

「喚け、叫べ!もっとだ、もっといい声で鳴いて見せろ!!あの時(・・・)を悔いて泣いて詫びろォ!!」

 

 フェンネルが絶叫しながら二本の短剣をぶち込んできた。

 もう、後ろに引いて逃げることは出来ない。かろうじて、シャニーは両手に持った二本の短剣で、相手の攻撃を受け止めた。

 ──それは一瞬の出来事。高い音と火花が散って、シャニーの瞳が大きく見開かれた。その目は光を失いかけている。

 

「アナタには手駒がない。しかし……私にはまだあるのですよ」

「……──ぁ……ぁぁ……ッ」

 

 激痛が走り、体が震えている。飛びかけた意識をなんとか引き戻し、激痛の出所を探す。

 痛みを堪えてようやく顔を下へ向けた彼女は呼吸が止まった。先ほどまでいなかったフェンネルの部下二人が、自分の両わき腹に剣を突き立てていたのだ。

 信じられない。本来あってはいけない場所に剣が突っ込んでいる。真っ青なはずの服が、腹から足にかけて真っ黒に変わっていく。今目の前で起こっている事を頭が飲み込めない。

 

「ご苦労様です。あちらの雑魚どもは?」

「は、全て切り伏せて参りました。デムピアスの一味で残っているのはこいつだけです」

 

 朦朧とする意識の中で、またしても信じたくない事実が報告される。

 やっと、腹から剣が強引ながらも引き抜かれ、上半身を支えていた短剣をフェンネルにはじかれると、シャニーは力なく崩れて膝を突いた。

 さらさらとした金色の砂が、見る見るうちに真っ赤に変わっていく。

 

「あなたたち、よくやりました。止めは私がさしましょう」

 

 部下たちを後ろに下げ、フェンネルが再びシャニーの前に立った。その表情には勝者の笑みが満面に溢れている。

 雲行きは次第に怪しくなり、時を置かずに雨が降り出す。

 

「ずいぶんと粘ったもんです。しかし、これでアナタも偉大な父上の下へ行けますよ」

 

 それまで激痛に声を上げることもできなかったシャニーだったが、父の安否に関わることへフェンネルが言及した途端、うつろだった瞳に力がこもり、その色が変わる。

 気力だけでかろうじて立ち上がると、フェンネルを睨みすえた。

 

「この……、父さんに何をした!」

「ははは、もう数分もしない間に分かりますよ。アナタがこれから行く先に、きっとデムピアス様もいらっしゃることでしょう」

 

 彼の不敵な笑いに、シャニーは事を悟り、そして覚悟を決めた。

 仲間はもう誰も残っていない。そのとき、光る何かが彼女の目に映り、閃きを与えた。

 

(もう……これしかない……)

 

 血と雨であたり一面が死の海となった足元。そこに落ちていた手ごろな大きさの流木を拾い、それを逆手に持った。しっかりとフェンネルを見据え、彼の攻撃に臨む姿勢をとったのだ。

 これを見たフェンネルは、毒気を抜かれたように目を細めたあと、これでもかと大きく笑いだす。

 

「どこまで私をバカにしているんですか?まぁ……いいでしょう!」

 

 フェンネルの目はますます獲物を狩る悦びにギラつき、先ほどの猛攻に輪をかけた双撃がシャニーを襲う。

 流木で強烈な殺意を抑えきることなどできるはずもなく、どんどん彼女の最後の守りは短くなっていく。

 

「その木刀が根元までなくなった時!それがアナタの最期だ!」

 

 また少し、また少し、木刀は防御に耐え切れずにへし折れていき、弾ききれなかった短剣が、シャニーの頬に何本もの赤い筋を作っていった。

 ──時は来た。刃を失った木刀が、フェンネルに弾き飛ばされる。

 無防備になったシャニーの頭上へ、渾身の力でダガーを振り下ろされた。上を見上げるシャニーには、もう為す術はない。

 

「死ね!」

 

 フェンネルが怨恨の塊を吐きかけた、その時だった。シャニーの目つきが変わり、体を低く構えた。

 

「このときを待っていた!」

 

 シャニーは残った力全てをこのときに集中させ、勢いよく前転。首を捉え損ねたダガーが背中をえぐったが、その技は明らかな失敗に終る。

 フェンネルが地面に着地し、逃がすまいと正面を向いた、まさにその時。

 

「喰らえ!」

 

 先ほど落とした爆弾を拾い上げると、体を反転させながらフェンネルに投げつけた。

 

「ぐわあっ」

 

 全ての体重をかけていた彼の体はいくら盗賊の機敏さを持ってしても避けることはできず、彼の顔面付近で爆弾は炸裂した。

 短剣を捨てて顔を抑えるフェンネルは悶絶している。部下との距離は開いている。魔力も少しだけ戻ってきた。今なら逃げる事ができる──そう思ったのもつかの間だった。

 

「……小娘、貴様は私を本当に怒らせてしまったようだ……」

 

 顔をもたげ、睨むその目に映るものは殺意のみ。片目を潰された彼の怒りは純粋な殺意のみで形作られ、対象の形なくなるまで屠ることのみを所望していた。

 

「いいだろう、キレてしまった。いいだろう!そこまで望むなら、見せてやろう!神の力をッ!!」

 

 咆哮が終ったフェンネルは、シャスのトパーズと共にミュレカンの指輪を装備する。

 シャニーとの一戦でしっかりと気力の溜まった彼の体は、指輪たちにドクドクと力を注ぎ込んでいく。

 

 

我が深淵にて鬱積せし千の宿怨よ──

 

 

(どっ、どうなって……いるの?!指輪からマナが……溢れて……)

 

 目の前で起きる異次元なる出来事に、シャニーは立ち上がることも出来ない。

 自分が装備していた時には、あんな風に指輪は反応しなかった。それが今、指輪から噴き出すように迸るマナがフェンネルへと吸い込まれていくではないか。

 何か、とてつもない事が起きようとしているのは疑いようもない。

 

「ハッハッハ!思い知って死ぬがいい!〝黒い沈(あの女)黙〟の成り損ないごときが私に逆らうなど、如何に愚かで無駄な行為であるかを!」

 

無間の棘で引き裂かれ、血煙の宴に歌うがいい──!!

 

 その予感は最悪の形で実現することとなる。

 目も開けていられないような閃光と烈風が収まった後に現れたのは、漆黒の翼を持つ天神。その赫き目はぎらぎらと死を渇望していた。

 近くにいるだけで、体が砕けてしまいそうな威圧感。シャニーは後ろ手を突き、呆然とフェンネルの昇華した姿を見上げるしかできなかった。

 

【挿絵表示】

 

妄執の魔凶賊フェンネル

 

 その光臨を待ち焦がれていたように、曇天は雷鳴で死の神を明るく照らし出し祝福する。

 

「さぁ、どこから喰ってやろうか?」

 

 後ずさりする反応を楽しむように、彼は翼の音を強めて奥へ、奥へと追いやる。

 突然、本能的に体が後退を止めた。これ以上行けばそこは絶海。

 

「くくく……。さぁ、あえげ、懇願しろ!希望の守護者だと?もうどこにキボウなど残っているものか!」

 

 その時だった。突然の銃声が響き、フェンネルの動きが止まった。

 

「な!?」

 

 走りこんできた少年は、シャニーを抱きかかえる。

 それでもフェンネルは動けない。少年が撃ったのは、レピオン海賊団が戦場で落とした麻酔銃だったのだ。

 フェンネルは部下に指示し、少年を追いかける。

 

「……アベル……?」

「喋るな」

 

 相手は戦闘集団。深手を負った少女を抱きかかえては、逃げることなどできるはずもない。

 彼は絶壁まで走ると、何のためらいもなく体を海に投げ出した。

 ようやく麻酔銃の効果が切れたフェンネルは、眼下に砕ける白い牙に思わず地団太をふんだ。

 

 

◆◆

「何ぃ?!シャニーを捕らえ損ねただと?」

 

 レピオン戦艦に戻ったフェンネルは、デムピアス海賊団一掃作戦の成功をラルプに報告した途端怒鳴られていた。

 

「ほらみろ、ラルプ。俺たちが行ってやれば確実だったものを、こんなぱっと出に任せやがるからこうなる」

 

 航海士レックスが船長に文句を投げつけるが、ガムをくちゃくちゃやりながら、タラタラ愚痴るだけで何とも緩い。彼らにとっての一番の目的は既に果たしているからに他ならない。

 

「ご心配は無用です。秘密を握ったまま、あの小娘は海に沈みました。今頃海の藻屑と化しているでしょう」

 

 結局、フェンネルも聞こえの良い言葉で適当にラルプを言いくるめ、ルケシオン統一の宴へと消えていった。

 

 

◆◆

 雨に荒ぶる海、その岸辺に現れる一本の手。

 流れ着いたのか掴んだのか、その見分けもつかないそのほっそりとした腕は、必死に生きようと食いつく波から体を引き上げた。後ろには、世界から消えそうなくらい滲みながら、赤い筋が残っていく。

 シャニーは生きていた。何とか立ち上がるものの、その体は何かの支えがなければ直立を維持できない。

 岩肌を這うようにして歩くその身に行く宛てはない。

 仲間も、帰る所も、希望さえも失って、残ったものはこの消えかけの命だけ。

 出血は酷い。自分を助けてくれた親友の行方など、心配していられないほどに。

 体温を奪う雨を避けて、無意識のうちに体は森の中へとさ迷い、そしてツルに足元をとられ、そのまま倒れこんだ。

 もう立てない。鬱蒼と茂る木々は雷光さえも遮って、目が閉じていく自覚を奪う。

 

(父さん、アベル、みんな……ごめん……)

 

 薄れ行く意識の中に残るものは、楽しかったルケシオンと仲間たちの思い出、そしてデムピアスに報いる事のできなかった悔しさだった。

 

2幕:闇に咲く太陽 END




ルケシオンダンジョンは苦い思い出が多い場所。
ドロマジのバーニングデスとか、死の宣告だったんだよなあ。
何よりも強敵だった魔法はネクソン・マジック☆彡だったけどね!
いきなりランタイムエラーで落とされたり、誰も動かなくなったと思ったら、
「サーバーとの接続が切断されました」とか、そして時が動き出して凄まじい撲殺音が噴き出してきたり……。
あれ以上の理不尽な暴力も無かったなあ。
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