スカラノクによる圧倒的優位。私はちらりと相手を見る。
「............はっ、ははははは!!」
魔術師狩りは、肩を震わせて高笑いした。
魔術師狩りは、内から湧き上がる喜びに震えていた。自分と対等に戦える人間の登場、その喜び。
「俺たちは、似たもの同士だと思わないか」
「似たもの同士?」
「ああ」
全然違う。
そう言おうとして、言葉が詰まる。
「わかるさ、俺にはわかる。こうして盤を挟めば、お互いの考えていることがわかる、お前もそうなんだろ?」
「.......」
カードは対話なり。
この世界ではよく言われていることだ。
カード一枚一枚に、必ず思惑というものが入り込む。このカードはこのために、このカードの対処はこれに任せて、これとこれを組み合わせれば強い。そういう思惑があって、初めてカードは存在意義が生まれる。
そして、デッキというのは、そういう人の思惑の、集合体。人の思想そのものだ。
だからこそ、こうして結界の中で盤を挟むとわかる。相手がどういう人間で、何を考えているのか。ゲームは思想と思想のぶつかり合いだから。
私と魔術師狩りは、カードを繰りながらお互いに同じことを考えている。
自分たちは似たもの同士であること。黒を基軸に、ファッティの早出しでゲームを壊す、それを目的としてデッキを組んであること。それを好むような人間性であること。デッキ思想、プレイング、対峙する空気感から、その人間性のすべてが、手に取るようにわかる。
私達は、似ている。
どこか歪んだ魂を抱えて、なにかを破壊するために動いている。
「俺のターン、ドロー!!」
手札を1枚補充して、魔術師狩りはずっと前から決めていたような、予定どおりと言わんばかりのカード捌きでプレイした。
「《後ろめたい取引》の効果でカードを1枚手札に加える。そして、マテリアルをセットして三枚目の土地をドミネーション。ここで、《冥界の僭主ノヴルーシュ》をキャスト!」
「っ、来た!」
「キャスト時、墓地のカードを6枚除外して支払うコストは1。その内4枚が黒のピース。+4/+4の強化を行い、ノヴルーシュのスタッツは6/6になる」
ドーンと地面を割って、悪の貴公子がその姿を現す。1コスト6/6飛行デーモン。流石に強い。
ここまでは予想の範疇、さあ、その横にピースが並ぶかどうか。
「そして」
手札から1枚のカードが公開される。そのカードは、
「《厄災降誕の儀式》をキャスト」
────────────
厄災降誕の儀式 2コスト
アーツ
あなたのコントロールするピースを一体生け贄にささげて、「捧げたピースと同じ種族で、捧げたピースのコストと比較して、コストが1多いピース」が出るまでデッキからカードを公開し、該当するピースを除外する。あなたはこの効果で除外したピースを場に出す。公開された効果の対象ではないカードは、シャッフルしてデッキに戻す。
────────────
「踏み倒し......対象はノヴルーシュ!?」
「その通り」
ノヴルーシュは1コストで出てきたものの、その本当のコストは4。儀式を用いれば、4より1大きいコスト、コスト5のデーモンが登場することになる。
コストは土地総数が4で制限されている以上、多くのデッキのカードは、4コストのカードが最大であることが多い。それを超える、メジャーピースを越えたメジャーピース。
それを理解した時、私は背筋が凍る思いだった。
これからとんでもないカードが来る。そのことが確定していることへの恐怖。
そんな私を尻目に、魔術師狩りはデッキトップからカードを捲っていく。そしてついに、コスト5のデーモンがめくれた。
「ボクは儀式の効果で《怨嗟の往く果て、ダスクロムノヴァ》を確定降臨させる!! 来い!! 我が最強の悪魔。今ここに敵を蹂躙せよ!!」
「.......っ!!!」
世界が一瞬で暗転する。
次元を引き裂いて現れたのは、黒く、巨大で、あまりにも邪悪な存在。クモのような多脚を備えた、巨大な角を持つ人型の悪魔だ。
その威圧感、吐き気を催すほどであり、絶大な力の結晶であることが分かる。
────────────
怨嗟の往く果て、ダスクロムノヴァ 5
ピース-デーモン
飛行
奪性ーこのピースが戦闘でダメージを与えた場合、与えた分あなたのライフを回復する
神聖(場の表側のカード3枚の生け贄)
このピースを唱えるに際して、あなたは自分の場のピースを1体生け贄に捧げて、このピースのコストを1下げてもよい。このピースが唱えられずに場に出た時、あなたは3点ライフを失う。
このピースは回復しない。
あなたは自分のターンに一度、ライフを3点支払ってもよい。そうしたなら、相手ので墓地からカードを一枚指定して除外し、1枚デッキからドローする。
9/9
────────────
9/9という超大型スタッツの飛行ピース。殴るとプレイヤーのライフが回復する能力、「奪性」。場のカードを3体生け贄に捧げない限り効果の対象に取れない、重たすぎる神聖効果。
雑にアドを稼ぐ常在効果。
なにをとっても必殺級のカード。本物のフィニッシャーだ。
魔術師狩りは儀式でダスクロムノヴァを場に出したため、3点のライフを失った。
・魔術師狩り
16→13
しかし、こんなライフ損失も、ダスクロムノヴァが攻撃しだしたら、奪性によってすぐに取り返せてしまう。
「さらに、ライフを3点支払って1枚ドローする。除外するカードは、《蠢き洞窟の崩落》」
ダスクロムノヴァの常在効果により、魔術師狩りの手札は1枚増えて合計2枚になった。そして私の墓地リソースが削られる。
・魔術師狩り
13→10
「ターンエンド」
「.......私のターン、ドロー」
超巨大デーモンの登場に気圧されていた私だったが、盤面は依然有利だった。
スカラノクには攻撃時、相手に3枚分のディスアドバンテージを要求する。魔術師狩りの盤面には、ダスクロムノヴァ一体のみ。
スカラノクを一方的に打ち取れるスタッツに加え、神聖という強い除去耐性を持っているものの、スカラノクの生け贄要求はプレイヤーによる生け贄なので、カードへの耐性は殆ど無意味だ。なのでスカラノクが攻撃宣言を行えば、ダスクロムノヴァは除去されて、スカラノクの攻撃が通る。
..........そのはずなのだが、私は妙にざわついていた。
このまま攻撃が通るか、それは怪しい。
なんの警戒もなく、ただ生け贄に焚べられるために大型デーモンを登場させるとは思えない。ダスクロムノヴァが生き残るための算段がありそうだと感じた。自分の手札は死界探査、渦の終焉の2枚。そのうちどちらも有効打にならない。前者は墓地が不足していて、後者は神聖コストを支払えないからだ。
「どっちだ」
私が考え過ぎなのか。悪魔が思考を狂わせているのか。
それとも本当に、なにか思惑があるのか。残った2枚の手札があやしいが、けれども相手の可処分コストは0。
「大丈夫、大丈夫なはず」
順当に考えればダスクロムノヴァは打ち取れるし、なにかを警戒してスカラノクを立たせておくという選択肢はありえない。反撃されたとしても、なにもしないより得だ。
「私はスカラノクで攻撃。ピース、クラフト、手札を1枚ずつ墓地に送ってもらう」
これで、あのデーモンを......
「インスタントタイミング」
「っ!!」
「手札から、1枚ピッチコストに充てて《殺戮兵器のタイタン》をインスタントタイミングで召喚する」
────────────
殺戮兵器のタイタン 2
ピース タイタン
閃光(このピースはインスタントタイミングで召喚出来る)
あなたは黒の2コスト以上のピースを手札から捨てて、このピースのコストにしてもよい。
このピースが自身の復帰によって場に出ていない限り、場に出たこのピースを生贄に捧げる。
復帰(3コスト、墓地のカード4枚の除外)-墓地にあるこのピースは復帰コストを支払って、場に出してもよい。
着地時、攻撃時:相手は手札を一枚選んで捨てる。
5/5
───────────
地面を割って、タイタンが登場する。
巨大で、死の影を纏ったタイタン。だがその威圧感とは別に、ボロボロと崩れ去る脆さが見て取れた。
そのカードは、墓地から復帰コストを支払って召喚しない限り、すぐに墓地送りになるカード。
その分正規召喚が容易く、またコンバットトリックに使いやすい。
私は一枚手札を捨てた。カードカウントではあっちが2枚使って、こっちは一枚損。だけどここでは、それ以上の価値がある。
「《スカラノク》の攻撃時効果には、《タイタン》を生贄に捧げる」
「……っ!」
どうせすぐ墓地送りになるタイタンを、スカラノクの効果の的にされた。
スカラノクの除去は、対象を相手に任せる除去。その刃は《ダスクロムノヴァ》に届かない。
相手は手札を一枚捨てて、クラフトスペルが場にない分、私は一枚ドローする。そして2点ドレイン。
・魔術師狩り
10→8
・アリシア
14→16
「そして《ダスクロムノヴァ》で《スカラノク》をブロック」
「インスタントタイミング!!!」
意趣返しだ。
たった今ドローしたカードをぶつける!!
「《生首送り》を発動。コスト2、私はスカラノクを生け贄にしてそのコスト分、相手にバーンダメージを与える」
────────────
生首送り 2
インスタント
場のピースを1体選択して破壊する。それをコントロールしていないプレイヤーに、そのピースのコスト分のダメージを与える。
────────────
完全にスカラノクのシナジー用にスプリットして入れた除去札だ。
スカラノクのコストは7なので、脅威の7点ダメージを与えた。そして戦闘を避けることによって、奪性によるライフ回復を免れる。
サクリファイスエスケープとよばれる、戦闘テクニックだった。
・魔術師狩り
8→1
「いってぇ」
完全に運が味方した。
あと一歩、あと一歩なんだ。
先の戦闘により盤面は一気に不利になった。けれどライフを削って、手札を一掃。次のターン相手の攻撃は受けるものの、リソース面で私は勝っている。
狙うのは、スカラノクのリアニメイトか、全体除去のような対象を取らない除去、群像+除去カードの組み合わせの3つ。いずれにせよ《ダスクロムノヴァ》は除去しなくてはならない。
あれが盤面に居る限り、私に勝ち目がないのだから。
「ターンエンド」
「俺のターン、ドロー」
魔術師狩りがドローして、手札は1枚に。
「マテリアルをセット、ダスクロムノヴァで攻撃」
「ライフで受ける」
悪魔の巨大な一撃を貰って、轟音と共にライフが削られた。
「ぐあああああああああ!!!」
・アリシア
16→7
・魔術師狩り
1→10
奪性によって、ライフ差がひっくり返る。
意識が飛びそうなくらい、激しい痛み。
お腹の傷が開いて、血が再び溢れ出る。
「はあ、はあ、はあ……」
「そしてダスクロムノヴァの効果を使い、ライフを3点払って1枚ドロー」
・魔術師狩り
10→7
「除外するカードは《失われし空、スカラノク》」
「っ!!」
墓地のスカラノクがゲームから除外されて、復活の目がなくなる。
「さらに《黒の教団の先導者》をキャスト」
────────────
黒の教団の先導者 2ストック2
人間
あなたは1ターンに1度、手札にデーモンのピースがあるなら、それを公開してもよい。
そうしたなら、手札を1枚捨てて、1枚ドローする。手札、場のいずれかから、デーモンのカードが墓地に送られた時、好きな対象に2点のダメージを与える。
1/2
────────────
盤面に禍々しい覆面の、黒い法衣に身を纏った宗教者が登場する。トップデッキしたのだろう。
今は相手が手札を持ってないので、デーモン所有によるルーティング効果は発動せずに終わった。
「.....」
だが私にとってなにより脅威なのは、ピースが横並びしたことだ。スカラノクの生け贄要求にケアが入ったことになる。
「ターンエンド」
「……私のターン、ドロー」
肩で息をするのが精一杯。
視界が滲んで、手足に力が入らない。
ドローを恐る恐る確認する。
「.......」
未だ有効打がない。延命に手を伸ばす。
「私は軽減コストで《渦の終焉》を発動。指定は《黒の教団の先導者》」
────────────
渦の終焉 2ストック1
インスタント
相手のコントロールするピースを一体対象とする。それを相手の手札に戻す。
あなたの場に一体、飛行を持つ1/1のスピリットトークンを場に出す。
────────────
魔力の青い渦に巻き込まれ、相手の黒の教団の先導者が手札へと戻される。そして1/1飛行のスピリットトークンが場に現れた。
渦の終焉を打つと、残ったコストではスカラノクのリアニメイトは出来ない。
背に腹は代えられない、私は覚悟を決めた。
「私は手札を捨てて、《嵐に潜むもの》をキャスト!」
────────────
嵐に潜むもの 3
ピース-アバター
閃光:このカードはインスタントタイミングで唱えられる
飛行
このカードを唱えるに際して、あなたは手札のカードを一枚捨ててもよい。そうしたなら、このカードのコストを1下げる。そうして唱えたなら、このピースを着地後生け贄に捧げる。
着地時:相手の場か、キャスト中のピースを一体選択する。それをデッキの一番上か、一番下かを相手が選んで送る。
3/3
────────────
頼みの綱だったリアニメイトスペルの《死界探査》と引き換えに、盤面に嵐を泳ぐ巨大なエイのような、マンタのような怪物が現れる。
そして、
「着地時効果を発動。ダスクロムノヴァを指定、デッキの一番上か下に送ってもらう」
「神聖、ピース3体の生贄は対象に取れない」
「私は、墓地の、《汚染地帯のコウモリ》の再帰能力を発動する。コウモリトークンを一体生成」
「嵐に潜むものとスピリットトークン、コウモリトークンを生け贄に、押し通る」
暴風の末、魔術師狩りはデッキの一番上にダスクロムノヴァを送った。
盤面の圧力が一瞬にして消えて、私は深く深く息を吐く。
これが今出来る精一杯だ。
「ターンエンド」
「ボクのターン、ドロー」
ドローは先のターンでダスクロムノヴァをデッキトップに仕込んでいたので、確定でダスクロムノヴァだ。相手の手札はダスクロムノヴァと黒の教団の先導者の2枚ナノが透けていて、ダスクロムノヴァは絶対に出ない。しかし依然状況は不利。
デーモンシナジーを中心としたデッキであるため、種族:デーモンの強力なピースを抱える相手に対して、自分は低コストスペルを中心としたインチキ中心のデッキ。
デッキの持つパワーが異なる。
ライフは7、守り切れるか。
「ボクは《黒の教団の先導者》をキャスト」
さっき渦の終焉で戻したピースが舞い戻ってくる。バウンスの弱い部分だ。
テンポ得だが、カードカウントで負けてしまう。
「そして手札の《怨嗟の往く果て、ダスクロムノヴァ》を公開して、先導者の効果でダスクロムノヴァを捨てて1ドロー」
「デーモンを手札から捨てたことによって、先導者の効果発動。好きな対象に2点のダメージ。ボクは相手プレイヤーに2点のバーン」
「ぐぅっ!!」
・アリシア
7→5
「ターンエンド」
「私のターン、」
これで、なにも引けなかったら、私は、死ぬ。
死ぬのは、嫌だ。
血が止まらない。
もう手足の感覚がなくなって、視界が狭まっていく。
体の悲鳴を無視して気力だけで立っている。気持ちが折れたら、もう……
「サレンダーしろ」
盤の向こうから声がする。
「そうすれば、命は助けてやる」
対戦相手が、初めて勝負以外のことを口にする。
「お前は俺が戦ってきた中で、一番面白い奴だ。ここで死ぬのは惜しい」
「仲間になれ。俺たちと一緒に来い。そうすれば、お前の望むもの、全て与えてやる」
それは、すごく、魅力的な提案だ。もう街を放浪しなくて済むなら、それに越したことはない。
だけど……
「断る……」
「何故だ!!」
「友達に、手を出したから」
クレアちゃんを悲しませるようなやつに、屈するわけにはいかないんだよ!
私は負けられない。絶望を振りきって、デッキの上からカードを、捲る。
「ドロー!!」
引いたカードは―――
「......カリスの古文書」
――クレアちゃんが引き当てて私に手渡した、デッキにたった一枚しかない「正解」。
「私は、《カリスの古文書》をキャスト!!!」
────────────
カリスの古文書 4ストック1
クラフト
あなたはデッキの上から3枚墓地に送る。
あなたは墓地のスペルを一枚選んで、それをコストを支払わずに唱えてよい。
────────────
「デッキの上から三枚送る」
一枚目は蠢き洞窟の崩落。
二枚目は後ろめたい取引。
そして三枚目は――
そしてカリスの古文書の効果が発動し、墓地のスペルをタダでキャスト出来る。
「墓地から《死界探査》をキャスト」
デッキから落ちた3枚目のカードを手に取った。
「対象は、《失われし空、スカラノク》」
「なっっっ!!??」
私の思いに、デッキが答えてくれた。
瞳に炎を灯しながら、私はカードを繰る。
「私は墓地の後ろめたい取引、生首送り、蠢き洞窟の崩落を除外して、死界探査をキャスト!! 墓地のスカラノクを1/1の確率でリアニメイト!! 生き返れ、私の、私達の魂!!!!!」
「そんな馬鹿な、馬鹿な馬鹿な馬鹿な!!」
────────────
死界探査 3
アーツ
あなたは墓地のマテリアルではないカードを三枚追放して発動する。あなたの墓地のピースをすべて選び、無作為に一体選んで場に戻す。
────────────
失われし空、スカラノク 7ストック2
7コスト ストック2 ソウルピース デーモン・ウィザード
犠牲x このカードを唱える時、あなたのコントロールする飛行を持つピースを最大5体生贄に捧げてもよい。そうしたなら生け贄に捧げた数だけこのカードのコストを1下げる。
神聖(生贄1)ー通常のコストに追加して相手がコントロールするピースを一体生贄に捧げない限り、このカードへの効果を打ち消す。
飛行
着地時/攻撃時:相手は自身のピースと、オブジェクトかマテリアル、手札、のそれぞれの領域から一枚ずつ選んでコストとして墓地へ送る。それらが行使されなかった場合、その度ごとに代わりにあなたは一枚ドローする。
7/4
────────────
スカラノク、着地。
「スカラノクの着地時効果、3つの領域からそれぞれ一枚墓地に送ってもらう」
魔術師狩りは盤面の「黒の教団の先導者」、手札の「厄災降誕の儀式」を墓地に送って、私は一枚ドローした。
「ターンエンド!」
更地にスカラノク。これが私のデッキの最も強い動きだ。
返せるか、この盤面を。私はキッと魔術師狩りを睨む。
「俺のターン、ドロー」
カードを引いた魔術師狩りは、そのままゆっくりと頷いた。
「手札から3コスト。《現世再臨》をキャスト。」
────────────
現世再臨 3
あなたは墓地のピースを一体場に出す。
そのピースは、このターンのエンドフェイズまで全ての効果を失う。
────────────
「リアニメイトスペル!?」
「場に出すのは、《怨嗟の往く果て、ダスクロムノヴァ》」
再び巨大な悪魔が世界を割って登場した。
9/9、超巨大デーモン。
ダスクロムノヴァには、正規の方法以外で場に出すと、5点分のペナルティがある。だが現世再臨のデメリット効果であるターンエンドまで効果喪失が、上手く咬み合ってデメリット無しでの登場になっていた。
再び対面する《スカラノク》と《ダスクロムノヴァ》。
しかし、もう魔術師狩りの手札も使用可能なコストは残っていない。さっきと似たシチュエーション。だけどその意味は、全く真逆だ。
「ターンエンド」
「私のターン、ドロー」
私はスカラノクに触れて、それを横向きにして宣言する。
「スカラノクで攻撃」
ダスクロムノヴァは生け贄に捧げられ、スカラノクの攻撃が突き刺さる。
・魔術師狩り
7→0
過酷な、あまりにも過酷な戦い。私の勝利だった。
****
結界が消滅し、私と魔術師狩り、観戦していたクレアちゃんが現実に吐き出される。
私の手には、厳正な勝負の結果によって複数枚の他人のソウルカード、そして相手のデッキに含まれるこれだけでデッキが組めそうなくらい、大量のレアカードが握られていた。
それを魔術の光に変えて、魔術師狩りに向き合う。
「はぁ、はぁ、はぁ……私が勝ったぞ。大人しく捕まれ」
「捕まらないさ、俺は」
そう言うや否や、
「ゲート!!」
叫ぶと、魔術師狩りの背後に黒いモヤが沸き立つ。
「この借りは必ず返す。必ずだ」
「待て!!」
私は走って魔術師狩りを追いかけようとするが、激痛が走って立ち止まる。
そのまま目の前で魔術師狩りは黒いモヤに包まれて消えた。私の伸ばした手が宙を切って、そのまま空振りする。
「止まれ!!」
何事かと思えば、周りには大量の魔術師ギルドの組員がいて、こっちに魔術を向けている。
「抜剣!」
私は魔術の剣を抜いて、それと対峙する。
捕まるわけにはいかない。
剣先を組員一人一人に向けると、そこだけ遠ざかる。
多勢に無勢。切り抜ける方法はないのか。
可能性うぃ探るものの、現実は非情で、私の体の限界が先に来た。
「アリシアちゃん!!」
手足が言うことを聞かなくて、私は倒れ込む。駆け寄ろうとしたクレアちゃんは、魔術師ギルドの人に捕まった。
『おいアリシア。しっかりしろ』
「ごめん……シエル……」
私は、もうここで、
「こんにちは、お嬢ちゃん」
すらっと通る低い女性の声。
倒れる私に影が差して、見上げると大人の女性がそこにいた。ローブがはためいて、腕には魔術師ギルドの腕章がある。
「私は魔術師ギルドのフラウム」
そう名乗って、
「君を逮捕する」
『........ぁ』
だんだんと目の前が暗くなって、私は意識を手放した。