記憶喪失ウマ娘は幸福になれるか   作:deyus

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早速毎週投稿守れてない?ハッハッハッ!
一時間だけなので何とかなりませんか?(懺悔)

あっあと来週からは普通に土曜日投稿になると思います。申し訳ない。

(追記:本文が美浦寮になってました。なんで??)


Ep.2 記憶喪失ウマ娘と栗東寮(前編)

 

〜医療棟玄関〜

 

理事長の連絡で身体や脳に以上がないか調べるために医療棟に来た。……こんな大きかったらもはや病院じゃん。ただ生徒の数考えたらこうなるのは仕方ないのかもしれないけど……。

 

「すいません……。ど、どなたかいらっしゃいますか……?」

 

そう呼びかけると、奥から黒色の髪をした白衣のウマ娘が出てきた。

 

「はーい……。あら、もしかしてあなたが記憶喪失のウマ娘さんですか?」

 

「はい、そうです」

 

「理事長から聞いております。私はここで医療スタッフとして働いている者です」

 

そう言って丁寧にお辞儀をする白衣のウマ娘。この人が私の検査を担当してくれるのかな。

 

「とりあえず、診察室まで行きましょうか。トレーナーさんはここで待っていて下さい」

 

私は白衣のウマ娘に案内され、診察室まで来た。

 

「どうぞ、座ってください」

 

私は白衣のウマ娘に促され、椅子に腰掛ける。

 

「……本当は問診から始めたいんですけど……記憶が無いのにそれを聞くのは野暮ですよね」

 

「あはは……そうですね……」

 

「うーん……恐らく何も……」ボソッ

 

〜数分後〜

 

「よし、これで大丈夫ですかね」

 

そう言って、白衣のウマ娘は書類を片付ける。

 

「さて、じゃあこれから検査していきますね」

 

そう言って、彼女は私に向かって微笑む。そして私は彼女に案内されて、様々な検査を行った。

血液検査、心電図に続き、レントゲン検査、MRI検査。しかしそのどれもが正常という結果だった。

 

「うーむ……異常はなし……」

 

どうやら医療スタッフの人も困っているみたいだ。

 

「……なんだか、申し訳ないです」

 

「いえいえ、あなたが謝ることないですよ。これも仕事ですので」

 

そう言って彼女は再び私に笑顔を向ける。……いい人だなぁ。

挨拶をして医療棟の玄関前に戻ってくると、そこにはトレーナーさんが待っていた。

 

「あ、お疲れ様、どうだった?」

 

トレーナーさんがココアと軽食を渡しながら言う。

 

「……えっと、特に異常はありませんでした……」

 

「……あー……そっか……」

 

トレーナーさんは少し残念そうにそう呟く。

 

「……はい、そうです」

 

私はそう言いながらココアを飲む。

……あったかい。美味しいな、このココア。

 

「うーん……気になることもあるけど……。とりあえず、寮に行こうか」

 

 

 

〜数分後〜

 

「ここが、栗東寮だよ」

 

そう言ってトレーナーさんは、寮の前で立ち止まる。

 

「ここが……」

 

医療棟と変わらずここもとんでもないぐらい大きい。しかも綺麗だな……すごい。

 

「あっ……もしかして君が噂の子かい?」

 

私が寮を眺めていると、後ろから話しかけられた。

 

「あっフジキセキさん、お疲れさま」

 

「あぁ、お疲れ。……君が、記憶喪失の……」

 

そう言ってフジキセキさんは私に近づいてくる。

 

「私はフジキセキ、この栗東寮の寮長をしてるんだ。よろしくね」

 

彼女は微笑みながら言う。……綺麗な人だなぁ……。

 

「あっ……は、はい!えっと、ユーフォリアっていいます!よろしくお願いします」

 

私は慌ててお辞儀をする。

 

「ふふっ、そんなに緊張しなくても大丈夫だよ」

 

そう言ってフジキセキさんは私の頭を撫でる。……なんだか落ち着くな。

 

「よし、じゃあ早速案内しようか」

 

そう言ってフジキセキさんが歩き始めようとした時、ふとトレーナーさんが口を開いた。

 

「あっじゃあ先にトレーナー室に戻ってるから、色々終わったらまた来てね」

 

そう言ってトレーナーさんは去っていった。

 

「さあ!じゃあ寮を案内しようか」

 

そう言ってフジキセキさんは歩き始める。私もそれに続いて歩き出した。

 

 

 

 

フジキセキさんの案内のおかげで、寮の間取りは大体覚えられた。とりあえず広いことは脳に焼きついた。

 

「さて、じゃあ最後はお待ちかねの君の部屋だね」

 

「はい、お願いします」

 

そして私はフジキセキさんに連れられてある部屋に来た。2人1組の相部屋らしいけど……。

 

「おーい、入るよー」

 

フジキセキさんがドアを開けるとそこにはオレンジ色のショートカットの髪をしている子がいた。

 

「この子が言ってた記憶喪失の子だ。まあ自己紹介とかは任せたよ」

 

そう言ってフジキセキさんが部屋から外に出る。そして、その女の子と2人きりになった。

 

「は、初めまして、ユーフォリアです……」

 

私が恐る恐る挨拶すると、その子もペコリとお辞儀をしてから話す。

 

「ラッキーサーチャーっていいます……。ラサ、とか……自由に呼んでもらえたら……。よ、よろしくお願いします……」

 

「よ、よろしくね、ラサさん」

 

「う、うん……」

 

「「……」」

 

……き、気まずい。……と、とりあえず、何か話題を振ろう。

 

「あ、あの……ラサさんは何か趣味とかあリますか?」

 

「えっと、読書とか……ですね。……たまに、自分でも書いてたりするかな」

 

「へぇ……すごいですね……」

 

「そ、そんな!まだまだですよ……」

 

ラサさんはそう言って謙遜する。……なんだか、この子とは仲良くなれそうな気がする。

 

「……あ、あの」

 

ラサさんが私に話しかけてきた。

私は彼女の目を見る。綺麗な目をしている。……なんだか、吸い込まれそうだ。

そして私は、彼女の言葉を待つ。

彼女はゆっくりと口を開いて、こう言った。

 

「……ユーフォリアさんは記憶喪失になって、不安なこともいっぱいあると思いますし、それに記憶を思い出すのも時間がかかるかもしれませんけど……。でっでも、大丈夫です!きっと思い出せますよ!」

 

ラサさんは私を励ますようにそう言った。

私はラサさんの言葉で、とても心が軽くなった気がした。

 

「ありがとう、ラサさん。……優しい、ですね」

 

「……優しい。か……」ボソッ

 

「……?」

 

「あ、い、いえ!なんでもないです!」

 

ラサさんはそう言って、慌てて手を振って誤魔化す。……どうしたんだろう?まぁいいか。

 

「あ、じゃあラサさん、私トレーナーさんに呼ばれてるので行ってきますね!」

 

「は、はい!わかりました!」

 

そして私は部屋を後にした。

 

 

 

………………

 

 

…………

 

 

……

 

ユーフォリアが部屋から出たあと、ラッキーサーチャーは一人呟く。

 

「優しい……か……」ボソッ

 

「……僕は、そんなウマ娘じゃないですよ」

 

そう小さく呟いてから、彼女は窓の外を眺めた。そこには曇っていて雨が降り出しそうな天気だった。

 

「……」

 

そんな空を見て彼女は静かに俯き、ゆっくりと視線を下ろすと、手に取られた一枚の写真があった。その写真には2人のウマ娘が写っている。1人はラッキーサーチャー、もう1人は……。

 

「僕は……」ボソッ

 

ラッキーサーチャーは写真を握りしめて、静かに涙を流した。

 

………………

 

 

…………

 

 

……

 

〜トレーナー室〜

 

コンコンコン

 

「し、失礼します! ユーフォリアです!」

 

「はーい」

 

私がトレーナー室のドアを開けるとトレーナーさんが机に座って、パソコンで作業をしていた。

 

「お、来たね」

 

そう言ってトレーナーさんは立ち上がり、私に向き合った。

 

「じゃあ早速だけど、これからのことを話そうか」

 

そして私たちはソファに座って話し合いを始めた。

 

「とりあえず、許可が出るまではあんまりトレーニングもできないし、学級もまだ決まっていないから、しばらくはのんびりやっていこう」

 

「それに、記憶喪失の件もあるしね」

 

「……そうですね……」

 

今は知らない、過去の自分。……私は、一体何者だったんだろう……。

 

私が俯くと、トレーナーさんが優しく頭に触れてくれた。

 

「大丈夫、きっと思い出せるよ」

 

「……はい!」

 

私は元気よく返事をする。……そうだ、きっと思い出せる。それに、記憶がなくても私は私だ。きっとなんとかなるよね。

 

「……まああんまり話してないけどそんな感じかな」

 

「わかりました。ありがとうございます」

 

私はトレーナーさんの話を聞いたあと、お礼を言った。色んなことを考えているうちに時間は過ぎていき、気づけばもう夕方になっていた。

 

……正直まだ不安なことはあるけど、とりあえずは大丈夫そうだ。

 

「じゃあ今日はゆっくり休んでね」

 

そう言われトレーナー室を出ようとすると、後ろから声をかけられた。

 

「……あ!ちょっとまって!」

 

「はい?」

 

「これ、理事長からスマホとか衣服とかだって。私とか理事長たちの連絡先が書かれた紙もあるから、登録しておいてね」

 

トレーナーさんが紙袋を渡してくれた。……そんな契約って早くできるものなの……?

 

「はい、ありがとうございます」

 

私はお礼を言って、トレーナー室を出た。

 

 

 

〜寮の部屋〜

 

ガチャリ

 

ドアを開けると、ラサさんが出迎えてくれた。

 

「あ、おかえりなさいユーフォリアさん」

 

ラサさんは笑顔で出迎えてくれた。……なんだかすごく落ち着くな。……まるで家族みたいで。

 

「ただいまです、ラサさん」

 

私はベッドに腰かけ、紙袋を置く。……ふぅ、なんだかとても疲れたな。一段落し深く呼吸をすると疲れがどっと押し寄せてきた。その意に任せ、ベッドに横になろうとする。

 

しかし……

 

『ぐるる〜……』

 

お腹の音がそれを遮った。……そういえば、朝は検査したあと軽めに食べただけだったし、昼も忙しさにかまけて何も食べていなかったな。

 

「……お腹、空いてるんですか?」

 

ラサさんが心配そうな顔で聞いてきた。

私は少し恥ずかしくなって俯く。

 

「……はい」

 

ラサさんは少し考えた後、立ち上がって私に言った。

 

「じゃあ、一緒に食堂に行きませんか?」

 

「えっ?」

 

突然の申し出に私は驚いた。

ラサさんは少し恥ずかしそうにしながら続ける。

 

「……私も、まだ夜ご飯食べていないので……ユーフォリアさんさえ良ければ一緒に食べたいなって」

 

「……」

 

「……ダメ、ですか?」

 

上目遣いで聞いてくるラサさん。……そんな顔をされたら断れるわけないじゃないですか!それに、断る理由もないわけだしね。

 

「はい!是非!」

 

私がそう言うと、ラサさんは嬉しそうに微笑んだ。そして私たちは食堂へ向かったのだった。




あ、あけましておめでとうございます。これからも見てもらえるととても嬉しいです。
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