記憶喪失ウマ娘は幸福になれるか   作:deyus

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いや~週末って早いですね。遅れて申し訳ない。今週の進捗は大体750字ぐらいです、ノルママイナスである。


Ep.4 記憶喪失ウマ娘と身体計測

「それじゃあ着替えてから朝食にしましょうか」

 

そう言って彼女はクローゼットから制服を取り出し着替えはじめた。私も昨日受け取った紙袋から制服を取り出し着替えようとしたが、ここで問題が生まれた。

 

昨日はジャージを着ていたからよかったものの、制服の着方が分からない。

 

「すいません……その、ラサさん、制服の着方を教えて欲しいんですけど……」

 

私は申し訳なさそうに頼むと彼女は笑顔で答えてくれた。

 

「……あっそうですね、分かりませんよね。私も、一番最初は苦労しました」

 

彼女はそう言って私に制服の着方を教えてくれた。

 

「なんでも、この制服で走っても問題ないぐらいの耐久性、伸縮性を出すために特殊な素材を使ったり多少構造が複雑になっているようです」

 

確かに、言われてみれば確かにそうだ。私が着ているジャージも同じような素材で作られているみたいだし……。私は感心しつつ制服に袖を通した。

 

私は鏡の前で自分の姿を確認する。うん、大丈夫そうだ。するとラサさんが声をかけてくれた。

 

「ユーフォリアさん、似合ってますよ!」

 

私は少し照れながらもお礼を言った。そして私たちは朝食を食べに食堂へ向かったのだった。

 

 

 

〜食堂〜

 

昨日の夜よりは少なく感じるが、それでも既にかなりの人数が集まっているようで順番待ちの列のようなものができていた。

 

「今日の献立は何なんですか?」

 

「あっ……そういえば伝えてなかったですね、夜ご飯は外とかで食べる人もいるんですが朝ご飯はここで食べる人が多いですし、みんな忙しいから学園で働いている人が作ってもらえるんですよ」

 

「なるほど……」

 

「ちなみに、朝ご飯は食べたい分だけ取るバイキング形式なんですよ」

 

「へぇ……」

 

私は感心する。確かに、それなら作る人も楽だと思うし食べる人にも好評かもしれないな……。

ラサさんと話しているうちに列は進んでいく。その間に周りの子が何故か焦っている様子でこんな声が聞こえてきた。

 

「うっ……間に合わなかった……」「終わった……朝ごはんどうしよ……」「セーフ……寝坊しないでよかった」

 

などといった声が聞こえてくる。一体どうしたんだろ……。心なしか料理を作っている人たちも並ぶ前より忙しそうにしている。そして遂に私達の番が回ってきた。

 

「ここにあるおかずとか、好きに取っていいですからね」

 

「はい、分かりました」

 

食器に自分が食べられる分を入れ、空いている席を探す。すると、後ろの子達が騒ぎ始めた。

 

「……あ、あれ? 絶対無くなると思ったのに……」「体調悪いのかな」「これは大雨、いや嵐が来る予感が……」「でもなんかいつもと雰囲気違う気がする」

 

と喋っていた。……な、なんなんだろう……そう思っていると職員らしき人が話しかけてきた。

 

「き、君! 体調悪いのかい!?」

 

「え? ……ぇ……えっと……別に普通ですけど……」

 

ここで向こうがハッとした様子で私に話しかける。

 

「あっ、ごっごめん! 人違いだったみたい! 忘れて!」

 

「……? は、はい」

 

一体なんだったんだろ……。私はラサさんの所に戻る。すると、ラサさんは心配そうに聞いてきた。

 

「……どうしましたか? 何かあった感じですけど……」

 

「いや、特に何もなかったんですけど……厨房の人がいきなり話しかけてきたと思ったら人違いだったみたいで……」

 

「なるほど、そうだったんですね」

 

私がそういうとラサさんが納得した様子で言う。……そんなに似てる人がいるのかな……? 私は疑問を抱きつつも席につき、食事を始めたのだった。

 

 

 

 

 

……………………………………………………

「ヘックシ」

 

「なんや?カゼか?」

……………………………………………………

 

 

 

 

 

朝食を食べ終わり、部屋に戻る途中ラサさんが話しかけてきた。

 

「ユーフォリアさん、この後はどうしますか? 私は授業があるんですけど……」

 

「うーん……そうですね、とりあえずトレーナーさんの所に行ってみようと思います」

 

「わかりました、それではまた後で会いましょうね」

 

そう言って彼女は手を振って去っていった。私もトレーナーさんの所に向かう。その時……

 

ポコン

 

スマホの通知が鳴った。私はスマホを取り出して確認すると、そこにはトレーナーからのメッセージが表示されていた。

 

「おはようユーフォリア、この後ジャージもってトレーナー室に来てね。急がなくてもいいよ」

 

私は返信をして、荷物を持ってからトレーナー室に向かった。

 

 

 

〜トレーナー室〜

 

コンコンコン

 

「し、失礼します」

 

「はーい」

 

ガチャッ

 

トレーナー室に入ると、トレーナーさんはパソコンのデスクに座っていた。私は少し緊張しながらも挨拶をした。

 

「お、おはようございます……トレーナーさん」

 

「うん、おはよう。制服、似合ってるよ。サイズとか大丈夫そう?」

 

「はい、ピッタリです」

 

私は自分の制服を見ながら答える。すると、トレーナーさんは微笑みながら言った。

 

「よかった、それなら安心だ。さて……じゃあ色々と伝えることがあるんだけど、まずは保健室に行って身体測定するようにしてね。保健室の先生には伝えてあるから」

 

「わかりました」

 

私は返事をする。すると、トレーナーさんは話を続けた。

 

「それで、身体測定が終わったら体操服のままグラウンドに来てね。詳しい場所は後で送っておくから」

 

「はい、わかりました」

 

「うん、じゃあ行ってらっしゃい」

 

トレーナーさんは笑顔で送り出してくれた。私はお礼を言ってトレーナー室を後にした。

 

 

 

〜保健室〜

 

「失礼します……」

 

私は恐る恐るドアを開ける。すると、そこには白衣を着た大人のウマ娘が椅子に座っていた。おそらくこの人が保健室の先生だろう。先生は私を見るなり言った。

 

「あら? もしかしてあなたがユーフォリアさん?」

 

「は、はい……そうです」

 

私が答えると、先生は優しく微笑んでくれた。そして私に椅子に座るよう促した。私は言われた通り椅子に腰掛ける。すると先生が話しかけてきた。

 

「それじゃあ早速始めましょうか」

 

そう言って先生は私の身体測定を始めた。

 

 

 

……………………………

身長:154cm 体重:軽め

 

B78 W49 H76

……………………………

 

「……うーん、かなり体重が少ないわね……。ちゃんと食べてる?」

 

「あ……えっと……その……。……記憶がなくって……分からないです……」

 

私は思わず目を逸らしてしまう。すると、先生は少し悲しそうな表情をして言った。

 

「あぁ……そうだったわ、ごめんなさいね」

 

「い、いえ! 謝らないでください!」

 

私は慌てて否定する。すると先生はクスッと笑った後に言った。

 

「ふふっ……優しい子ね」

 

そして先生は私の頭を撫で始めた。……なんだろうか、不思議と安心感を覚えるような感じがする。しばらくされるがままになっているとやがて満足したのか手を離された。そしてそのまま話を続けた。

 

「よし、じゃあ適正距離を調べましょうか。脚、失礼するわね」

 

そう言って先生は私の太ももやふくらはぎに触れ始めた。マッサージされているような感じでとても気持ちいい……。

 

……っていうかこれで調べられるんだ……。

 

「……うん、だいたい分かったわ」

 

はやぁ……すごいな……。

 

「どんな感じなんですか?」

 

「多分、この脚だったら芝の中距離か……うん、そのぐらいが適正かしら。いわゆる王道って感じ。……ただ……」

 

「ただ……?」

 

私は首を傾げる。すると、先生は少し言いづらそうにしながらも話してくれた。

 

「……何か、変なのよね……。なんて言うか、今まで触ったことないような感じというか……」

 

先生は顎に手を当てながら考えている。……うーん、よく分からないけど……大丈夫、かな……?私は先生に聞いてみることにした。

 

「えぇ……まぁそうわね、走る分には問題ないと思うわ」

 

先生は少し歯切れが悪そうに答えるが 、私は気にしないことにした。

 

「わかりました、ありがとうございます」

 

「うん、どういたしまして。じゃあ色々トレーナーさんのとこ送っておくから、行ってらっしゃい」

 

先生は笑顔で送り出してくれた。私もそれに答えるように元気よく挨拶をしたのだった。

 

 

 

〜グラウンド〜

 

私はスマホを見てトレーナーさんに送られた通りの場所にやって来た。

 

……え? 広すぎない? この学園……。グラウンドに出るまでも長かったが出てからも結構時間がかかった気がする。私はしばらく唖然としていたが気を取り直してトレーナーさんを探すことにした。すると……。

 

「あっユーフォリア! こっちだよ!」

 

トレーナーさんが私を呼ぶ声が聞こえた。私は声がした方に向くとそこには手を振っているトレーナーさんがいた。

 

「すいません、お待たせしました」

 

私はトレーナーさんのもとに駆け寄って謝る。するとトレーナーさんは笑顔を浮かべながら言った。

 

「大丈夫だよ、じゃあ早速準備運動から始めよう」

 

「はい!」

 

私は返事をし、トレーナーさんから丁寧にストレッチの仕方を教えてもらう。そして一通り終わった後、トレーナーさんは言った。

 

「一応確認しておこうか、ここのトラック1周が2000mになってるから、走ってここまで戻ってきてね」

 

私は言われた通りに走る準備をする。するとトレーナーさんがストップウォッチを取り出した。

 

「……それじゃあ行くよ? 位置について……よーい……」

 

「ドン!」

 

ダッ!!

 

合図とともに走り始める。

風がすごい……しかも思ったよりも体力が取られる……

 

 

 

 

……けど!!

 

 

すっごく楽しい!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………………

 

 

気が付けばすでに一周していてトレーナーさんに呼び止められた。

 

「お疲れさま、ユーフォリア。とりあえずこれ」

 

そう言ってトレーナーさんは私にスポーツドリンクを渡してくれた。私はそれを受け取ると一気に飲む。

 

「飲みながらでいいから聞いてね。まず適性なんだけど、だいたい間違って無かったよ」

 

私は頷きつつ話を聞く。

 

「そして、君の脚質なんだけど、差しか先行が向いてると思う」

 

「え? そうなんですか?」

 

私が聞き返すとトレーナーさんは頷いた。そして続けて言う。

 

「うん、だから次からはそれを中心にトレーニングしていこうと思ってるから、把握しておいてね」

 

「分かりました!」

 

 

 

……そういえば……。

 

「タイムってどんな感じになったんですか?」

 

ドリンクを飲み終えて聞く。

 

「ん? あぁ……」

 

 

 

 

 

 

「……押すの忘れてた」

 

「えっ」

 

トレーナーさんは苦笑いしながらストップウォッチを見せる。その数字は今もなお数を上げ続けている。

 

……私の初タイムがぁ……。

 

「……押し忘れた私が言えたことじゃないけど、タイムはまた測れるから……」

 

「じゃあ今から走ってきます!!」

 

「あーダメダメ! 今日は適性調べるだけだから!」

 

「……む〜っ……!」

 

頬を膨らませて肩をポカポカ叩く。

 

「ごめんごめん! 悪かったって! 次はちゃんとやるから……」

 

「……約束ですよ?」

 

「うん、約束するよ。」

 

「……しょうがないなぁ……」

 

……次こそはちゃんとしたタイムを出してもらおう。

 

「ありがとう、じゃあ戻ろうか」

 

「でも、次したら怒りますからね!」

 

するとその瞬間……

 

ポツ……ポツ……

ザアアァァ……

 

一気に雨が降り始めてしまった。

……運悪いなぁ……。

 

ザーザーと雨が降ってくる中、私たちは急いで校舎に戻ることにした。

 

 

 

 

 

〜トレーナー室〜

 

「いやぁ〜、結構降られたね〜」

 

トレーナーさんはタオルを私に渡しながら言う。私はそれを受け取り髪を拭きながら答える。

 

「そうですね……」

 

「天気予報もしばらくは雨ってあるし、書類とかの件もあるから、トレーニングはまだまだ先になりそうだね」

 

「あっそうそう、身体計測の前に伝えようとしたことなんだけど、トレーニングするにはもう少し時間がかかるのとクラスの方はなるべく早く決めるって言ってたから一応知っておいてね」

 

「はい、分かりました」

 

……トレーニングか……早くやってみたいな。私はウキウキしながら考えていた。

……ただ、この天気だしそっちの許可が出ても外ではできないかも……。

 

窓に近づき空を見る。先程まで降っていなかったのが嘘のようだ。

 

「雨……やみそうにないですね……」

 

私は呟く。すると、トレーナーさんは私と同じように窓を見て言った。

 

「……そうだね」

 

トレーナーさんはそれだけ言って書類仕事に戻った。雨はしばらく止みそうにない……。

 

「どうしようか……暇な間学園の中探索してくる?」

 

トレーナーさんが書類から顔を上げて言う。私は少し考えた後答えた。

 

「そうですね……そうします」

 

私はトレーナーさんに行ってくることを伝えてトレーナー室を出ようとする。するとトレーナーさんが呼び止めた。

 

「あ、ちょっと待ってユーフォリア」

 

私が振り返るとトレーナーさんは何かを差し出してきた。

 

「はいこれ、学園の地図。これがあれば迷子にならないと思うから」

 

「ありがとうございます、じゃあ改めて行ってきます!」

 

私は地図を受け取りトレーナー室を出たのだった。




評価、感想のほど頂けると作者が側転しながら感謝します。



ちなみに次の話から大体2000文字程度になります。原因は次話か次々話で分かると思います。
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