「消えた……?」
呟きながら、跡形もなく消滅したカーランの跡を見ていると、
「
足音と共にリナが近づいてきた。
「カーランの魔法の一つよ。
傷が癒されたからか、先ほどのような苦しそうな途切れを感じさせない
「……お前、動いても大丈夫なのか?」
「……えぇ、傷は癒えたわ。あんたのお陰でね」
確かに傷は癒えている……だが、
「っ!?」
先ほどまでミキサーに掻き混ぜられたような有り様だった腹部は元に戻ったが……服はそのままだ。
リナは今……腹部を丸見えにした状態で嵜渡の元へと歩いてきている。
「? なに?」
気づいていないのか、首を傾げながらリナが問いかけてくる。
「そ、その~……」
顔を
「? …………/~~~っっっ!?」
数秒の遅れがあって、バッ! とリナは腹部を覆い隠した。
「そ、そうね! まずは服をなんとかしないと……!」
頬を
「――もういいや!」
パチンッ、と指を鳴らした。
するとリナの体に光が纏われ――数秒後には、この学校、私立
「ふぅ……もう見てもいいわよ」
「ん……。って、それ、この学校の……」
「何回か見てたし、細部は異なるけど九割方同じでしょ」
初めて着たのであろう制服を、体を動かしたりしながら見るリナ。
だが不意に、
「ぅ――っ」
「――と。大丈夫か?」
ふらついたリナを支える。
リナは『あはは……』と苦笑しながら嵜渡の肩を借りる。
「……まだ油断できないわね……倒れそう」
まだ多少息が荒いリナを、数秒の
「……なあ、この状態のお前に言うのもアレなんだけど――」
「――――魔法少女の事とか、わたしの事とかを教えて欲しい、でしょ?」
言葉の先を取るようにリナが口を開いた。
嵜渡がリナの顔を見ると、『わかってるわよ』という風に苦笑を浮かべていた。
「構わないわ……
「あぁ、ありがとな」
◆
……色彩中学校の校庭にて、
「くっ……、あ……」
「か……
異世界――『マジックワールド』より来た存在から
……中でも変身解除にまで追い込まれた
「ここまでね、魔法少女ちゃん♪」
カラスのような特徴を持った女性の怪人が近づいてくる。
右手には槍を持ち、風の魔法を行使するこの怪人が、三人を追い詰めた張本人。
「さようなら♪」
敵組織――『ミッドナイト』の幹部の一人、カーランが槍を振り下ろす。
標的となった絵美は反射的に目を伏せた……だが、鳴ったのは肉を裂く音ではなく、金属音。
「こ……のッ!」
「あら? まだ動けたのね」
絵美を守ったのは、今にも消えそうな魔法少女としての服装に身を包んだ
「茉優ちゃん……!」
「随分頑張るわね……お姉さん、そういう
「ぐっ……!」
「……でもね、」
カーランの周囲の風が唸る。
風は次第に
「……しつこい娘は殺したくなっちゃうわ」
――ドガァッッッ!! と。
「ガ、アァッ!?」
巨腕は茉優の体を握り潰し、そのまま振り上げ地面へと振り下ろした。
その一撃で纏っていた魔法少女の服装は
「ぐっ……! ぅ、あぁ……!」
そのままカーランの前にまで引っ張られ、少しずつ……少しずつ巨腕に絞め殺されていく。
ミシミシミシ……ッ! と、絞められた体が悲鳴を上げる。
「やめ、て……っ! ……やめてよぉ――!!」
絵美の悲鳴にも近い
「――ご、ばッ!?」
「そろそろ終わりにしようかしら……それにしても、」
せめてもの抵抗か、力なく自分を睨む茉優の
「魔法石に選ばれた魔法少女がこの程度なんて……拍子抜けだわ」
風の巨腕が更に力を込めていく。
「やめて――! 茉優……!」
「茉優、ちゃん……!」
動けない体を必死に動かしながら二人は立ち上がろうとし、
「貴女たちは
『う!? が、あ――ッ!』
体をめり込ませるように、強風が二人の体を上から押さえつけた。
「…………絵美……香、梨……」
……呟かれた名前はまるで遺言のようだった。
それを最後に茉優の
――――
「っ!? な――ッ!」
風の巨腕が一閃される。――カーランが驚愕で意識を逸らした事により、二人を押さえつけていた強風さえも霧散する。
「な、なん――ぐおッ!?」
言い切るより先に、風の巨腕を一閃した
「……え?」
「い、一体、何が……」
風から解放された二人が驚愕の声を発する……戦場には、影が一つ増えている。
――身長は絵美たちよりも少しだけ高く、紺色のジップパーカーを羽織り、
「う――げほッ、かはっ!」
絞め上げから解放された茉優が、自分を支えている少年を見上げて……、
「あ……あな、たは……?」
茉優が問いかけるも、紺色の
「な――何者だ! 貴様!」
恐れと怒りを含めた言葉がカーランより発せられる。
「……さっきも似たような事を聞いたわね、
戦場に
カーランと魔法少女たちがその方向へと顔を向けると、
「な……!? り、リナ!?」
「不意打ちを放ったぶりね、カーラン。
いや……分身の事も含めるとさっきぶり、かしら」
倒れている絵美たちと同じ、私立色彩中学校の制服を身に纏ったリナがそこにいた。
「分身――まさかあの状態から、ワタシの分身を退けたとでも!?」
「いいえ……あんたの分身を倒したのは『彼』よ」
『彼』に視線が集まる。
茉優をそっと地面に下ろした『彼』の右手には、巨腕を一閃した紺色の剣が握られている。
「さっきは見てるだけだったけど、今度はわたしも戦えるわ!」
リナは初めて、小柄な見た目相応の、明るく活発な本来の性格を表に出し、
「やるわよ――
あぁ――とでも言うように『彼』は頷き、リナと共に地を蹴った。
『彼』――一体何者なんだ!?
……まぁ、はい、正体は紺色がイメージカラーの
次回は嵜渡の視点から、『リナが共に戦う事になった理由』と『本体のカーランとの戦い』をお送りします。
では、『第一章(4)第三勢力』でお会いしましょう!