「グリフィンドール!!」
魔法界、ホグワーツ魔法学校の大広間、老若男女数多の魔法使いが固唾を呑んで見詰める中、組み分け帽子は叫んだ。
この少女の将来を憂いながら。
闇ではなく光を求めることを祈りながら。
恐れを孕んだ声を振り絞り、微かに読み取った他者への思いやりに希望を見出して。
自信の判断が正しいことを信じて。
【恐ろしい。分からなかった。なんだこの少女は?どうすれば良かったのだろうか?ホグワーツに入学させたことが間違いだったのではないか?】
創造主に生み出されて幾年。
数多の子供達の頭に乗って、語らってきた。
緊張して思考が纏まらない子、所詮魔法道具に過ぎないと自らを見下す可愛げのある子、子供らしからぬ強固な自意識を持つ子であろうと、心と繋がることで思考と記憶を読み取り、語らいの中で人柄を理解し、本質に合致した寮へと振り分けるという責務をこなしてきたと自信を持って断言できる。
目前の豪華な食事に一切手を付けず、その少女を愕然とした表情で凝視する当代の校長を始めとした、歴史に名を残し魔法使いたちであろうと例外ではない。
創造されてから先ほどまで、ただの一人も組み分けを躊躇する子供は存在しなかった。
この少女が現れるまでは。
【才能は申し分ない。間違いなく将来卓越した魔法使いとなるだろう。歴史上誰一人踏み入ることのなかった領域に至ると確信出来る】
恐ろしい魔法力だ。
現段階で、歴代校長のすべてを凌駕し、我が創造主に匹敵、或いは上回っているかもしれない。
【強固な意志を持っている。悲惨な境遇の中で生まれた暗く深いものだろう】
断片的に見た少女の記憶には、多くの不幸と苦難があった。
純血の一族、当主夫妻の第一子として産まれたその少女は特別だった。
産まれて間もなく周囲の大人の会話を理解した。そして遠くない未来、両親が事故に見せかけられ殺されることを確信した。
その後、遠縁の親族が保護者になり、メイドによって育てられた。
1年と経たぬ内に、言葉を話し、ペンを握れるようになった頃には文字を書けるようになった。
異常に発達した脳みそは一度見ただけで完全に記憶し、難解な魔導書も一度読んでしまえば容易に理解できた。
身体能力も異様に高く、成人男性相手だろうが負けはしない。
そして少女は望んだ。
魔法の知識を、力を。
そんな少女に近づいた親族が、戯れに少女の両親が所蔵していた魔導書を、知識を与えた。
『…両親のような都合の良い道具になってくれなくてはな』
メイドは少女の両親の杖を持ち、杖を振り呪文を、力を与えた。
『…あの女に似た忌々しい子供。この杖でその綺麗な顔と身体を醜くしてあげましょう』
様々な思惑が渦巻くかつて両親と暮らした屋敷の中で、10年の時を過ごした少女は斯くして両親の仇を取り、女の顔を焼き、一族の当主となった。
この生い立ちが少女を歪めたのだろう。
《力こそが全て。強者は何でも出来る。他者を思い通りに動かし、都合のいい人形のごとく動かすことができる》
少女はの根底にあるのは、世界をすべて自身の思うがままに変えたいという
それは自体は悪いことではない。
夢を叶えるため勉学に励み、知識を求め、戦い、両親の助けで立ち直り、魔法を駆使し進み続ける。
文字だけを読めば、ホグワーツにとって理想的な生徒と言ってもいいかもしれない。
だが、とてつもないほどの強大な魔力を持ち、夢の実現の為には、闇の魔法を使うことも、脅迫も、拷問も、殺人をすることにも躊躇のない11歳子供というと、その脅威と危険がわかりやすいだろうか。
【あの獅子の寮の中でよき友が出来ることを】
組み分け帽子は悠然と歩く少女を見送りながら祈った。
強大すぎる魔力と強固な意識に盛大に目が曇っていることに気づくことなく。
少女「やったー!数多の試練を乗り越え、ついに私はホグワーツにたどり着いたぞ。楽しい!!」 魔力ゴーゴー
帽子「尋常ではない魔力と自意識。よく分らんがやばいのは確実。なにかの間違いで友達が出来ていい子になってくれ?!」
新入生「怖い( ;´Д`)」
在校生「超絶美少女だけど震えが止まらないぜ((*'▽')」
校長「儂より強い。現状最大の脅威。片時も目を離さない」