スキル『神託』から始まるゆっくり実況解説旅   作:NEET0Tk

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第1話

『『こんにちは』』

『ゆっくり創造神と』

『ゆっくり破壊神だぜ』

『今日もまた私の生み出した世界の実況解説をやっていきます』

『今回の主役は村人Aだぜ。直ぐに死なないといいが』

 

それは、15歳の誕生日を迎えた瞬間だった。

 

15歳、それは多くの人間にとってスキルを授かる日。

 

創造神アストラと破壊神レギオンによる祝福されている。

 

だからこそ俺は夜寝ることもなく、この瞬間を楽しみにしていた。

 

そして訪れたその時、俺の脳内に響き渡る声。

 

「だ、誰だ!?」

『何やら困惑した様子だぜ。こいつは何のスキルを授かったんだ?』

『神託というスキルですね。レギオンも制作に携わったから知っているでしょう?』

『知らないフリして質問するのも大事なんだ。ところで、どういった形で神託されてるんだ?』

『知りません』

『これが創造神、人間が聞いたら速攻で信仰を失っちまいそうだぜ』

 

その言葉一つ一つに凄まじい力がこもっている。

 

声の主達……まさか、本当に神様だっていうのか?

 

『おいおい、これ大丈夫か?』

『スキル譲渡による死亡は設定の範囲内なので』

『クソみたいな仕様だな。せっかく面白そうなスキルを生み出したのに、これで死んじまったら残念だぜ』

 

頭が痛い。

 

まずい、意識が。

 

『大分MSが消費されてるぜ。このままじゃ廃人コースだ』

『マップを確認すれば、どうやら彼の家には父親がこっそりと買ったハイポーションがある模様。それを手にすればあるいは』

 

ハイポーション?

 

それはあらゆる病に効くとされる高級品だ。

 

そんな物が家にあるとは思えない。

 

だが、この痛みに耐え続ける自信はない。

 

「賭けるしかない」

 

『おっと!!』

『動き出しましたね。どこへ向かうのやら』

 

俺はふらつく足取りで扉を開ける。

 

どうやら母さんと父さんは俺のスキルを祝う為の準備をしている様子だった。

 

「エクス!!どうだ、スキルは授かれたのか?」

「待って貴方。なんだか様子が」

 

視界がぼやける、2人が何を言ってるのかが理解出来ない。

 

だけど

 

「ポ、ポーション」

「ポーション?ポーションがどうしたんだ」

「ハイポーション……」

「な!!」

 

父さんが大きな声をあげる。

 

「体調が悪いの?ごめんね、うちにそんな高いものは」

「……」

「あなた?どこに……そ、それって」

 

俺の目の前に黄金に輝く液体が映る。

 

「そんな高価なもの、一体」

「悪い、後で説明する。エクス!!」

 

それを見た瞬間、立っていることすら困難になり俺は地面へと倒れる。

 

最後に見たのは、慌てた様子で俺にハイポーションを飲ませる2人だった。

 

◇◆◇◆

 

『これも神託による力か?』

『おそらく。もしくは自力でハイポーションの存在を見ていたのか、どうやら今回は面白くなりそうね』

 

目覚めと共に聞こえたのは二つの声だった。

 

どちらの声も相変わらず聞こえるだけで頭痛がし、されど永遠と聞いていたい程美しいものだった。

 

「よかった、目が覚めたのね」

「母さん」

 

最初に目に入ったのは目元が赤くなったかあさんだった。

 

「ごめん、心配かけて」

「ううん、いいのよ。あなたが無事ならそれで」

 

『どうやら家庭に恵まれてるようだ』

『親子愛は素晴らしいことね』

『まぁ我らは実質全人類の親みたいなものだしな』

 

「体調はまだ悪い?」

「まだ頭は痛いけど、昨日程じゃないかな」

「きっとハイポーションが効いてるのね」

 

『正確に言うならハイポーションのリジェネ効果ね』

『リジェネって?』

『継続回復のこと。暫くは擦り傷程度なら瞬時に回復するでしょう』

『それは凄いな!!ハイポーション、中々の代物だぜ』

『ですが、ハイポーションの効果はあと3日で切れます。そうなればもう一度あの状態へ戻るでしょう』

 

な!!

 

「大丈夫?凄い顔だけど」

「あ、いや、大丈夫」

 

本当は全然大丈夫じゃないけど。

 

『それはまずいな。どうすればいいんだぜ?』

『幾つか方法はあるけど、現実的なところだとレベル上げですね』

 

レベル?

 

『あぁなるほどだ。自己回復がMSの消費量を上回ればいいんだな』

『そういうこと』

 

おい!!レベルってなにかまで教えてくれ!!

 

「な、なぁ母さん。レベルって何か知ってる?」

「レベル?ごめんね、聞いたことないかも」

「そうだよな」

 

『おっと』

『間違いなく神託でしょうね。どうやらスキルもレベル上げが最適だと教えたようですが』

『村人Aがレベルって名前を知らないようだ。そう言えばレベルってどういう概念なんだ?』

『いい機会ですね。詳しく説明しましょう』

 

そして、そこから語られる内容はこの世界での謎の数々だった。

 

『魔物を倒した時に手に入る経験値が一定以上貯まると人間はレベルアップをします』

『なんで魔物だけなんだ?』

『魔物を作ったのはレギオンでしょう?』

『我は何も知らないという程でやってるぜ』

『そうでしたね。魔物は人間を進化させる素材だからです』

『な』

 

なんだって!!

 

魔物、それは古くから人間に敵対してきた種族。

 

どのように生まれるか、どうして人間を襲うのかも不明。

 

少なくとも存在するだけで人類に被害が訪れる、だから狩らねばならない怨敵だ。

 

その正体が、まさか人間を成長される為に生み出されたものだったなんて。

 

『うーん、人間からすればいい迷惑だな』

『ですが現在の村人Aのような存在にとっては喉から手が出るほど欲しいものでしょう』

『その通りだな。レベルが上がれば力や耐久力、精神力も向上する。いいこと尽くしだ』

 

そうか、魔物を倒す人達は誰も彼もが人並み外れた力を持っていたのはその為か。

 

「母さん、俺魔物を倒したい」

「どうしたの急に。あ、そういえばスキルはどうだったの?」

「えっと」

 

『おっと、解説の途中だが村人Aに進展があったぜ』

『どうやら魔物を狩りたい様子』

『神託によるお告げだな。随分と高頻度で優しいもんだ』

『その分代償は大きいでしょう。実際にハイポーションがなければ維持出来ない、他の村人ならば間違いなく即死でしたね』

『そう考えるとこの村人Aはラック値が相当高いな』

 

ちょ、少し黙っててくれ。

 

「俺のスキルは……神託っていうのかな」

「神……託……」

「知ってるの?」

 

母さんの顔が青ざめる。

 

『おっと!!これは母親に強烈な一撃が入った!!』

『神託なんてスキル教会にバレたらただじゃすまないでしょうね』

 

そ、そういうことか!!

 

「……エクス。スキルのことは、他の人には言っちゃダメよ」

「わ、分かった」

 

教会にこんなスキルがバレたら間違いなく取り込まれる。

 

そうなれば、普通の生活はもう出来ないだろう。

 

それは嫌だ、俺は普通に暮らしたいだけなのに。

 

「魔物については、後で父さんと話し合うから。今は休んでなさい」

「あ、うん」

 

そうして母さんは静かに部屋を出た。

 

「しまった」

 

ただでさえスキルのせいで危険な状態なのに、新たに心配をかけてしまった。

 

それに、父さんが何故ハイポーションなんて持っていたのか。

 

そういえば、さっきから父さんの姿が見えない。

 

父さんなら母さんと一緒に心配してそうなのに。

 

『どうやら頭を抱えているようだぜ』

『一気に状況が変わっては仕方がないでしょう』

 

それに、頭の中に響く声は相変わらずだ。

 

一度会話出来るかだけでも試すべきか?

 

「お」

 

あれ?

 

意識が

 

『これは』

『どうやら神託に質問をしようとしたようですが、一文字だけでMPが尽きたようね』

『大丈夫なのか?』

『ハイポーションで直ぐに目覚めるでしょう』

 

そうして俺はまたしても意識を失った。

 

新たに分かったことが一つ。

 

俺はまだこの声と会話は出来なそうだ。

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