とある稲妻の呪術廻戦 作:ネシエル
〇人々の反応
一般市民A「お、終わったのか……」
一般市民B「え、涙が……気づいたら泣いてる……」
一般市民C「……美しい」
一般市民D「続編は?続編はあるよね?」
一般市民A「それにしても、最後のあの砲撃の打ち合いは圧巻だったな……
まるで命そのものがぶつかり合ってるみたいだった」
一般市民B「呪霊操術【極ノ番】白面金毛九尾の狐】、
かっこよすぎるだろ……!」
一般市民C「上映時間は一時間半か。あっという間だったな」
一般市民D「思ってたよりも短く感じたよ。
早く帰って、みんなにこの感動を伝えなきゃ……!」
団子を売る人「おお、みんな帰っていくな。
それにしても、こんなに人が集まるなら、
最初からここで屋台を出せばよかった……惜しいことをした」
雷電将軍に憧れている人「ふむ……次回作に期待したいが、気になるのはこれだ。
アニメって映影と同じくパラパラ漫画の原理で動いているんだろ?
無料で公開しているのに、
どうやって収益を得るつもりなんだ……。
うん!?」
パイモン「おい! ちょっと! 何かスクリーンに映し出されてるぞ!」
旅人「これは……音楽?」
八重神子「ほう、まだ妾を楽しませるつもりか」
影「…………」
〇エンドロール
スクリーンに映し出されたのは、アニメの名場面を切り取った映像とともに流れる一曲だった。
――「七葉守柄と丹羽久秀に捧ぐ」――
(作詞/作曲:常田大希 / 原曲:逆夢 / King Gnu)
《一番》
君が望むなら
この胸を射通して
頼りない僕もいつか
何者かに成れたなら
訳もなく
涙が溢れそうな
夜を埋め尽くす
輝く夢と成る
白い息は頼りなく
冬の寒さに溶けて消えた
あの日交わした手と手の
温もりだけを信じてた
春はいつだって
当たり前のように
迎えに来ると
そう思ってたあの頃
瞼閉じれば
夢はきっと叶うと
無邪気に信じてた
幼い日々
《サビ》
君が望むなら
何処までも行けるから
臆病な僕もいつか
生きる意味を見つけたなら
友情も呪いも
繋ぎ合わせながら
一生涯、醒めないほどの
確かな夢と成る
《二番》
砕けた願いを
二人で拾い集めて
冷たい夜風に
そっと息を重ねた
君はいつだって
隣にいると信じた
未来を疑うこともなく
無垢な心のまま
失くした記憶が
古傷を抉っても
「大丈夫」と笑う
その声が救いだった
《サビ》
君が望むなら
この命差し出して
無力な僕もいつか
誰かを守れたなら
曖昧な明日も
受け止めて歩こう
この夜を超えて
夢の果てで会おう
《ブリッジ》
たとえこの思いが
呪いのように
じんわりとじんわりと
この心を蝕んでも
《ラストサビ》
君が望むなら
何度でも抗うよ
弱さを抱えた僕でも
君のために戦えるなら
記憶の海を越え
願いの欠片を抱いて
未来の先で
共に夢と成れ
《エンディング》
正夢でも
逆夢だとしても
君と歩んだ今日が
僕の“真実”だから――
スクリーンが暗転し、最後に映し出されたのは、青空の下で笑い合う七葉守柄と丹羽久秀のシルエットだった。
その姿は、もう呪いも痛みもなく、ただ穏やかに未来を見つめていた。
▲▲▲
〇人々の反応
一般市民A「今まで聞いたことがない歌だ
……こんな旋律、初めて耳にする」
一般市民B「“常田大希”?
何だこれ、読み方がわからん……。
この2人が歌ってるのか?
両方、男か。
片方は稲妻人だと思うけど、もう片方は誰だ?」
一般市民C「海外の歌なのか?
でも、いい歌だ。正直、稲妻をモチーフにしているなら、
稲妻の楽器で演奏してほしかったけどな……」
一般市民D「――『七葉守柄と丹羽久秀に捧ぐ』か……。
確かに、あの二人にふさわしい歌だ」
団子を売る人「吟遊詩人がよく歌う曲とはまったく違うジャンルだな。」
雷電将軍に憧れている人
「ふむ……耳を澄ませば、フォンテーヌの楽器によく似た音色が聞こえる。
このアニメの製作者はフォンテーヌ人か?
だとしても時代背景が……いや、かなり違う。
それでも違和感はなかったな」
パイモン「いい歌だぜ! 体が勝手に動いちゃう!」
旅人「こら、パイモン! 踊らないで!」
八重神子「ふふふ♪」
影「…………」
とある執行官「……くだらん」
▲▲▲
〇スクリーンが静まり返り、
外にある電灯の明かりがぽつぽつと灯る。
最後に映し出されたのは――
「終了」
制作会社:株式会社ティティ
「ご視聴ありがとうございました」
静寂が会場を包み込む中、観客たちは息を詰めたままスクリーンを見つめていた。
▲▲▲
〇インタビュー 金髪の旅人とパイモン
記者「すみません、あなたたちがかの有名な旅人と白髪の妖精ですか?」
パイモン「そうだぞ!」
旅人「何の用ですか?」
記者「はい、私はスチームバード新聞社の者です。
偶然このアニメに触れる機会があり、深く感動しました。
ぜひ感想をお聞かせ願えませんか?」
パイモン「いいぜ!」
記者「では、初めてアニメを見た感想をお願いします」
パイモン「おお、最初は映影みたいに実写かと思ったけど、
全部絵だって知ってびっくりしたぞ!
しかも、戦闘シーンはこう、ビューン!ってなって、
ドカーン!って感じで大迫力だった!」
パイモンは興奮しながら空中を飛び回る。
旅人「……パイモン」
パイモン「あっ、ごめん」
記者「では、続いて――」
パイモン「旅人! 璃月に行く船、あと30分で出発するじゃん!」
旅人「え、本当!? 早く行かなくちゃ!」
慌ただしく去っていく二人を見送りながら、
記者は苦笑いを浮かべた。
▲▲▲
〇インタビュー 九条娑羅
記者「すみません、スチームバード新聞社の――」
九条娑羅「お断りします」
記者「ま、まだ何も言っていないのに……」
九条娑羅「……すみません、
つい怒りをぶつけてしまいました」
記者「あ、いえ、では改めて――」
記者は丁寧に取材の意図を説明し、
ようやく娑羅はため息をつきながらインタビューに応じる態勢を整えた。
記者「では、アニメ『呪術廻戦0』についての感想をお聞かせください」
九条娑羅「……最悪です」
記者「そ、そんなにですか!?」
九条娑羅「ええ。確かに映像美や戦闘の迫力は見事でしたし、
背景がどんどん動き。
フォンテーヌ映影特有のカメラアングルも素晴らしかった。
世界観の表現も八重堂出版の書籍とは異なる独自性があり、
非常に面白かったと思います」
記者「では、何が“最悪”だったのでしょうか?」
九条娑羅「私がヒロイン扱いされていたことです。
正直、恥ずかしい限りです。出演自体は構いませんが、
事前に一言くらいかけてほしかった……」
記者「(ええ……ヒロインというより、丹羽久秀のほうがヒロインじゃないのかな。
九条沙良はどちらかと言えば“負けヒロイン”感ありましたけどね)」
九条娑羅「まあ、それ以外はとても良かったと思います」
記者「なるほど。
では、アニメ版の雷電将軍についてはどう思いましたか?」
九条娑羅「最初に感じたのは“威厳の無さ”ですね。
本物の雷電将軍は厳格で威風堂々とした稲妻の神にふさわしい存在。
それに比べると、アニメ版の将軍は軽薄に見えました」
記者「ほう……」
九条娑羅「だからこそ、
九条沙良も信頼しても尊敬することはできなかったと思います。」
記者「では、本物の雷電将軍の方が良いと?」
九条娑羅「……はい。でも……」
記者「うん?」
九条娑羅「アニメの雷電将軍は、人間臭くて、親しみやすさを感じました。
本物の将軍なら、あんなふうに冗談を言い合ったり、
対等に話したりすることはできなかったでしょう。
それだけは、正直羨ましく思いました」
▲▲▲
夜の帳が静かに稲妻を包み込み、人々は感動と興奮の余韻に浸りながら、
徐々に家路へと歩みを進めていた。雷電影と八重神子もまた、
その群衆を見守りながら稲妻城への道を辿っていた。
雷電影は無言のまま、遠くの空を見上げる。
そこには
ただ、静寂と星の輝きがあるだけだった。
やがて、雷電影がぽつりと口を開いた。
「それにしても……
よく自分を悪役に仕立てることができましたね、神子」
八重神子はくすっと微笑んだ。
「妾が制作に関わったとでも思ったか?
妾はただ、許可を出しただけじゃ。
あれほどの感動を生み出したのは、
あの子のおかげじゃよ」
「あの子?」
雷電影は眉をひそめる。
「一体、誰のことですか?」
「ふふ、実に面白い奴でな」
八重神子はどこか懐かしそうに目を細める。
「もったいぶらないでください、答えてください」
雷電影はわずかに苛立ちを見せた。
「安心せい、稲妻に仇なす者ではない。
それに――いつかお主も出会うことになるじゃろう」
雷電影は深くため息をついた。
「……もう、神子はいつもそうやってはぐらかす」
「妾にとって、お主の困惑する顔は何よりも愛らしいからのう」
その言葉に雷電影は一瞬睨みつけるように神子を見たが、
やがて視線を落とし、静かに呟いた。
「……八重桜にも、これがあれば。
あの純粋な心を、あなたにも分けてあげられたらよかったのに……」
八重神子はしばらく黙った後、空を見上げて囁いた。
「そうじゃな。真面目すぎるほど真面目じゃった。
だが、その真面目さが彼女を悪の道に引きずり込んだのは、
何とも皮肉な話じゃ」
雷電影は足を止め、真剣な表情で神子を見つめた。
「神子、私は――最強ですか?」
「なに?」
八重神子は不思議そうに首をかしげたが、
すぐに朗らかな笑みを浮かべた。
「当たり前じゃろう。
稲妻でお主より強い存在などおるものか」
「……そうですか」
雷電影は少し寂しげに笑った。
「では、神子は私に嫉妬を感じたことはありませんか?」
八重神子は呆れたように肩をすくめた。
「何を言い出すかと思えば……妾が? お主に嫉妬?
そんなこと、あろうはずがなかろう」
「……本当に?」
雷電影は目を伏せる。
「実は、『転生したら雷電将軍になった』を読んだときは何も感じなかったのです。
娯楽小説として、設定や世界観に違和感を覚え、感情移入もできませんでした」
八重神子は頷く。
「まあ、あれは単なるフィクションじゃからな」
「ですが……今回のアニメは違います。あの八重桜の言葉は、
私にはただの虚構とは思えませんでした」
八重神子はしばし沈黙し、やがて静かに口を開いた。
「影、お主が気に病むことはない。
妾はお主に嫉妬など感じたことは一度もない」
雷電影は驚いたように神子を見つめた。
「……本当に?」
「当然じゃ。人と妖怪、妖怪と神。
この間には決して埋められぬ壁がある。
最初から同じ土俵には立っておらんのじゃ。
お主の雷霆を見た者は、すべてひれ伏し、恐れを抱く。
全てだ。
妾も例外ではない。
そんな存在に嫉妬など湧くはずがなかろう」
雷電影は複雑な表情を浮かべ、視線を落とした。
「……そうですか」
「じゃが、八重桜は違った」
その言葉に雷電影は顔を上げた。
「彼女は最初から、神と妖怪ではなく、“人と人”として眞と接しておった。
対等だと信じ、共に歩もうとした。
だが、埋められない力の差に直面したとき、
彼女は嫉妬と自己嫌悪に陥ったのじゃ」
八重神子は静かに続ける。
「妾も、もし同じ立場ならそう感じたじゃろう。
妾自身、同じ妖怪から何度も嫉妬されたことがある。
だからこそ、理解できるのじゃ」
「……そうなんですか」
「ええ。だが、影、お主が気に病む必要はない。
何があろうと、妾はお主の友であることを忘れはせん」
八重神子は雷電影をまっすぐに見つめ、穏やかに微笑んだ。
「アニメの雷電眞も言っておったじゃろう。
『私とあなたの友情は決して無くならない』と
――永遠に」
次回投稿2/27日
まるまる一週間ですか。
どうかよろしくお願いします
エベレスト38さん
最高の評価をありがとうございました>
感想も見ました。
感想を返したのかどうぞみてください。
KAZU.meさん グルッペン閣下 エベレスト38
感想、誤字報告をありがとうございます
これからもとある稲妻の呪術廻戦を呼んでください。
吉田さん家の TS油揚げ
速読歴さん。
投票ありがとうございました。