とある稲妻の呪術廻戦 作:ネシエル
フィギュア
離島——稲妻の玄関口とも呼ばれるこの場所には、
異国の船が行き交い、港には多くの商人や旅人が集まっていた。
その賑わいの中、ひとつの船が静かに波間を縫い、
ゆっくりと岸へと到着する。
「ふう、やっと着いたぞ!」
小さな体を伸ばしながら、
パイモンが大きく息をつく。
「うう……」
旅人も疲れた様子で背を伸ばし、
軽く準備運動をしてから、静かに船を降りた。
久しぶりの稲妻の空気が肌に馴染む。
「それにしても、ずいぶんと時間が経ったように感じるな」
「そうだね」
「スメールに行って、砂漠を旅して、
機神を倒して……本当にいろんなことがあったよな。
オイラたち、なんでいつも他国に行くとトラブルに巻き込まれるんだ?」
「パイモンが疫病神なんじゃない?」
「そんなことないよ! オイラが神だとしても、
福を招き入れるに決まってる!」
二人はそんな他愛のない会話を交わしながら、
離島を歩き、白狐の原へと向かった。
「前にここへ来たときは、大急ぎで船に向かったよな」
「どこかの誰かさんが時間を間違えたせいでね」
「最後に思い出したからいいじゃん!
間に合ったし……ていうか、オイラに予約させたのは旅人じゃん。
そんなに文句言うなら、今度は自分で予約すれば?」
冗談交じりのやり取りを続けながら、
二人は白狐の原へと足を踏み入れた。
しかし、そこに広がっていたのは、
以前とはまるで違う光景だった。
「うわ、人がいっぱい!」
平凡な草原だったはずの場所には、
多くの屋台が立ち並び、人々でごった返していた。
そして至る所に貼られているのは、
見覚えのあるポスター——。
「……呪術廻戦?」
「なんでこんなにもポスターが並んでるんだ?」
首をかしげていると、聞き覚えのある明るい声が響いた。
「おっ、旅人とパイモン!
久しぶり、元気にしとった?」
「宵宮! 久しぶり!」
「また会えたね」
宵宮は相変わらず元気いっぱいで、
人混みの中でもひときわ輝いていた。
「二人はどうしてここに来たん?」
「えっと、休暇! オイラたち、
スメールでいろいろひどい目にあってさ……
ちょうど稲妻行きの船のチケットが安かったから、休暇しに来たんだ!」
「ああ、そうゆうことか。確かに稲妻が開国したおかげで物流も回復したし、
観光業に力を入れたい幕府が
格安で旅行会社へ投資してるもんね」
「そうだったのか……」
旅人は納得しつつ、あの破格の船賃の理由に思い当たる。
やけに安いとは思ったが、幕府の施策だったのか。
「そういえば、どうしてこんなに人が集まってるのか知ってる?」
「そんなの決まってるやんか。あの呪術廻戦が続編を放送するからに決まっとる!」
「え……」
「そうなの?」
「そうやろう? 前回の放送からもう一年が経つんだ?
確か半年前から続編放送の告知がされてたし、
うちも楽しみにしとるからな!」
宵宮は満面の笑みを浮かべながら、誇らしげに胸を張った。
「宵宮ってアニメが好きなのか?」
「うちはあまり映影(映画)は観ないけど、
アニメは好きや。
絵で描かれてるから子供向けっていう理由もあるけど、
一番好きなのは絵柄に親しみが持ちやすいからな。
うちも付き添いで見始めたけど、子供たちがめっちゃ喜んでたよ」
「そうなんだ……
でも、呪霊とかめちゃくちゃ怖くなかった?」
「確かに呪霊は怖いけど、ホラーみたいな感じはしなかったし、
慣れれば子供も案外平気なんさ」
宵宮の言葉に、旅人とパイモンは少し驚いた。
子供向けというにはダークな世界観だったが、
それでも子供たちは楽しんでいるらしい。
「それにしても、どうやって続編を作れるんだろう?
映画と違って視聴料も取ってないのに、収益はどうやってるんだ?」
「それなら、これが理由やな!」
そう言って宵宮が旅人たちを連れて行ったのは、
賑わう屋台のひとつだった。そこには——。
「これは……?」
陳列されていたのは、精巧に作られた立体的な人形。
八頭身で、細かいディテールまで作り込まれている。
見覚えのある姿に、旅人は思わず目を見張った。
「雷電眞(アニメ版)のプラモデル! これ、めっちゃリアルやろ?」
「確かにすごいな……」
パイモンは興味深そうにフィギュアを手に取る。
「うわ、すごく軽い! どうやって作ってるんだ?」
「これはティティって会社が作ったものでな。
アニメは宣伝で、本業はこういうグッズを作って収益を得てるのさ。
見た目も可愛いし、雛人形みたいに飾る人も多いんや」
なるほど、と旅人は納得する。アニメは広告、
その真の目的はグッズ販売だったのか。
「それだけじゃないで! ほら、これを見てみ!」
宵宮が指差したのは——。
「雷電将軍(本物ver)のフィギュア……!?」
17分の1スケールで作られたフィギュアは、
精密な造形で雷電将軍の姿を再現していた。
特に、胸元から刀を引き抜く瞬間が忠実に表現されており——。
え、エロい。
これ販売していいやつなのか。
よく規制しなかったな
『これ、稲妻の少年たちの性癖をぶち壊さないか……?』
旅人は無意識に心の中で呟いた。
「すごいやろ? これは将軍様が好きな人には大人気や!」
「う、うん……そうだね……」
果たして、これは果たしてフィギュアなのか、
文化的衝撃なのか——旅人は複雑な思いを抱きながら、
それでも稲妻の変化を噛みしめるのだった。
少年たち「「「フウウウウウウ〜〜〜
わたし/僕/俺/は…子供のころ は、初めて、将軍様のフィギュアを買ったとき、
あの「将軍様」が胸から刀を取り出すあの像に
あれ……初めて見た時……
なんていうか……その…下品なんですが…フフ……勃起……しちゃいました」」」
君はどんな性癖をしているのかな
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エベレスト38さんコメントを返しました。
七葉くんの下の名前の読み方は
守柄と書いて(すから)です
七葉(しちよう)守柄(すから)です。