とある稲妻の呪術廻戦   作:ネシエル

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第五話 雷電将軍

夕方の空

 

日が沈み、空がオレンジ色に染まり始めたころ、

アレクは稲妻城の城下町を歩いていた。

 

 

「・・・・」

 

 

彼女は街の茶屋で団子を買い、

景色を楽しむために椅子に腰掛ける。

その視線は、夕日に照らされる稲妻城へと向けられていた。

 

アレクは団子を口に運びながら、

静かに空を見上げていた。

 

「もぐもぐもぐもぐ」

 

 

買った団子を味わいながら、

彼女はただその情景を楽しんでいた。

 

すると、彼の頭の中に響く声がした。

 

『おい、どうしたのだ。貴様らしくない。

いつもはバカみたいに元気じゃないか』

 

 

その声の主はティティだった。

彼女のテレパシーがアレクの脳内に直接届いている。

 

 

『ずっと元気のままでいるほどエネルギーを持て余していないよ。

私だって落ち込むときはあるさ』

 

アレクはその問いかけにそう返答すると、残りの団子を食べ終えた。

 

少しの沈黙の後、アレクは再び口を開く。

 

『ねえ、ティティ』

 

『なんだ』

 

『私が書いた絵って、あそこまで人を動かせるのかな』

 

アレクの心に浮かんでいたのは、

八重神子が涙を流している姿だった。

 

八重神子が本編すら見せなかった涙を見て、

無意識のうちに感情を隠す彼女が、

自分の描いた絵を見て涙を流す光景を思い出し、

驚きを隠せなかったのだ。

 

八重神子のキャラクター性が知っていたアレクだから、

思った疑問であった。

 

 

『さあ、知らん。

勝手に泣き、勝手に喚いたのだ。

貴様のつまらぬ絵で泣くとは、

世も末だな』

 

 

ティティの冷たい返答に、

アレクは視線を落とし、ため息をついた。

 

『やっぱり、あんたは人じゃない。

ティティ……あんたは天使の皮を被った悪魔だ』

 

アレクは怒りを見せることなく、

静かに評価するように言葉を紡いだ。

 

 

『それがどうした。

私は貴様が描いた童話で知名度と信仰を得られればそれでいい。

そのためにお主を連れてきたのだ。己の目的を忘れるなよ。

私は貴様の願いを叶えるために力を貸す。

貴様は私の復活のために筆を動かす。

ただ、それだけの関係だ。

それ以上でもそれ以下でもない。』

 

 

ティティの冷酷な言葉に、

アレクは再び視線を空へと向けた。

沈みゆく夕陽が完全に姿を消し、空はやがて暗闇に包まれる。

夜の帳が降り、代わりに月が空に浮かんでいた。

 

 

 

『そうね、でも、あんたを感動させることができなかった。

それが一番悔しい』

 

アレクは月に向かって手を伸ばすようにして呟いた。

 

『・・・・』

 

ティティはしばらく沈黙を続けたが、アレクの決意は変わらない。

 

 

『だから、決まったよ。

あんたが感動するアニメを作ってみせる。

あんたを泣かせる超大作を作って見せるから』

 

 

『……ほう、そうか。

しかし、それは不可能だ。

お前に伝えた物語は我が目で見た真実だ。

どれだけ頑張って描こうが、

偽物は本物に勝てない』

 

 

『アニメに現実と偽物も関係ない。

同時に存在する。

本物と偽物が別々に存在しているなら、感動も別々にある』

 

 

『くだらん』

 

ティティの言葉を無視するように、

アレクは力強く言葉を紡ぐ。

 

 

『くだらないかどうかは見てから決めて。ここは、見たものすべてを魅了する幻想大陸。見ていて、ティティ。私が描く幻想で、あんたの見た真実を打ち砕いてみせる』

 

 

 

 

 

 

▲▲▲

 

 

 

 

一週間後

 

稲妻城の城下町。朝が訪れると同時に、空を裂くように雷が走った。

驚きとともに人々はその場に立ち尽くし、雷鳴の方向へと視線を向ける。

 

「う、嘘だろう」

「ビビりすぎだって。別にもう珍しい光景でもないだろ」

「まあ、気持ちはわかるけどさ……」

 

 

人々は小声で囁き合いながら道を譲り、

その存在を称えるように頭を下げる。

その中心に立っていたのは、

稲妻の統治者――雷電将軍こと影だった。

 

彼女の隣には旅人とパイモンがいた。

 

「相変わらずすごい人気だな」

「まあ、当然でしょう」

 

影は二人に微笑みながら言った。

 

「ごめんなさいね。

こんなことに付き合わせてしまって」

 

パイモンが心配そうに尋ねる。

 

 

「うんん、大丈夫だよ。

それよりも、影は大丈夫なのか。」

 

「私ですか?」

 

「だって、ずっと意識空間で500年間、戦っていたのでしょう。

だから、疲労の問題とか」

 

「体は大丈夫だったの?」

 

「ええ、心配ありません。」

 

「本当か?神子のやつ、

えらく心配したんだぞ。

最近、元気がないって聞いているし」

 

 

「確かにそうですね。

将軍の体は頑丈です。

しかし、精神的な疲労は免れません。

あの長い戦いも、勝ったという感情より終わったという感情が勝っていました。

今は暫しの休憩を取っています。」

 

「本当に」

 

旅人は疑問に思う

 

「ええ、例えば稽古をしたり、

かるく、刀を磨いていることですね。」

 

「それ、休憩なのか?」

 

パイモンはツッコミをする。

 

 

 

▲▲▲

 

 

そう語りながら、一行は城下町を歩き、

白狐の原へとたどり着く。

 

 

「あれは」

 

一面の野原の上に巨大なスクリーンが設置していた。

 

巨大なスタジオ、見たことがない機械が並んでいた。

 

全長幅10~15メートル、

高さ6~10メートル程度のスクリーンが立っていた。

 

また、スクリーンを立つスタジオの前に多くの椅子がおいており、

2000人の席が確保していた。

 

雷電影がその光景に驚く中、三人にある一人の人物が近づいていた。

八重神子である。

 

「やあ、思っていたより遅かったのう。

待ちくたびれたぞ。」

 

「神子!」

 

「言われた通り、連れてきたよ」

 

その返事に雷電影も八重神子に向かい、問いかける。

 

 

「これは、あなたの仕業なの」

 

 

「人聞きが悪いのう。

たしかに、妾も手伝ったが、

あ奴、ひとりでほとんどやったからのう。」

 

「あれはいったいなんですか」

 

影はスクリーンに指へ指す。

 

「あれは、スクリーンという奴だ。

アニメを移すために設置された布のようなものだ」

 

 

「アニメ?

何ですかそれ」

 

 

「映影のようなものじゃあ」

 

 

「映影・・・確か、フォンテーヌにある娯楽でしたっけ」

 

 

影は旅人たちへ振り返る。

 

「あなたたちはアニメを知っていたのですか」

 

「いいや、ほとんど知らないぞ。

オイラたち、ただ神子に呼ばれただけで」

 

「フォンテーヌにはいっていないけど、

映影は見た、めちゃ面白かったよ」

 

 

「そうですか」

 

「さあ、座れ、座れ。

せっかく、特等席を設けのだ。

妾と一緒にみるぞ」

 

八重神子は影の服を引っ張り、

席に座らせる。

一番見通しがいい、席にだ。

 

 

「そういえば、何を放送するだっけ。」

 

「そうだね、確か、タイトルは・・・」

 

 

 

 

 

その時、スクリーンが写し出される。

 

 

 

 

そこには二人の女性が描かれている。

一人は真ん中の上あたりに

ウサギ耳のようなピンク髪の女性で

後ろには、禍々しい狐が描かれており、

左の青髪とも取れ紫色の女性は甲冑風の衣装を身にまとい、

鋭い表情でピンクの髪の女を力強い視線で見つめていた。

 

 

 

 

 

 

「私?」

 

 

精工な絵に驚く影、

だが、それだけではなかった。 

 

一番、驚きなのは、

下の真ん中あたりに刀を持ち、

鎧武者の兜の式神を従える少年だった。

 

 

 

「!?」

「どうしてあいつが」

 

 

パイモンと旅人は驚愕する

 

なぜなら、そこには影に捨てられた人形。

   

 

ファデュイ執行官、第六位、散兵の姿があったからだ

 

 

 

▲▲▲

 

 

 

呪術廻戦0

   呪え、体も、友情も、魂も、

   全てを掛け合って

 




次回投稿1/17日

みつばちさん評価ありがとうございます。



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