とある稲妻の呪術廻戦 作:ネシエル
〇人々の反応
一般市民A『おいおい、大丈夫かよ』
一般市民B『何だ、あの妖怪は・・・』
人々はスクリーンを映る光景に怖気着いた。
友人を元に戻すため、散兵=守柄が呪術高専に入り、
初任務として、九条沙良と共に学校に住む呪霊を討伐することにした。
学校に付き、帳を下ろしたのはいいものを、
超巨大呪霊に飲み込まれた。
一般市民C『うわ、きも!?』
一般市民D『妖怪でもここまでおぞましい姿を見たことがないぞ。』
一般市民たちは呪霊の悍ましさに驚く一方。
ある意味、常識から離れている者たちが考えていることがやばかった。
団子を売る人
『あれ、素材にしたらどんな味になるだろう。
うん・・・いや、やはり止めよう』
雷電将軍に憧れているもの
『ふむ、あの姿。
どこかで見たことがあると思ったら、
妖怪大図鑑だったけ、しかし、妖怪でも恐ろしい姿にはならないぞ』
話は変わり、スクリーンに映る。
▲▲▲
深夜の学校の廊下は古くから、
幽霊や怨霊の噂が多数を占め、
例えば、トイレの花子さんみたいに人々の負の感情は多く、
抱える場所である。
また、人気がない時間帯に、
多くの呪霊が姿を表す中で
九条沙良と七葉守柄は、静かな廊下を並んで歩いていた。
「うわぁぁぁ……」
守柄は周囲を警戒するように怯えながら、
びくびくと視線を巡らせる。
三級呪霊にも満たない雑魚ではあるが、
奇々怪々な呪霊の姿に怖気づいてしまう。
その様子を見た沙良は、
軽くため息をつく。
彼女の頭の右上には、黒と紫の中間色をしたショートヘアの隙間から、
鬼の仮面が覗いていた。
「おい、貴様!」
沙良の鋭い声に、守柄はビクッと肩を震わせる。
「はい、何でしょうか、沙良先輩!!」
九条沙良。
幼くして、先代将軍。
雷電龍馬の計らいによって雷電眞の従者となり、
護衛のために、眞と同じく高専に入学した。
眞の一個下の一年生ではあるものの、
その実力はとっくに二級呪術師に到達している。
「先輩はやめろ。
暑苦しい。貴様はもう帰れ。」
沙良は片手に持った刀を、守柄の胸元に向けた。
それは一級呪具とされる、極めて優れた代物だった。
刀の先端を見詰めた守柄の顔は、
驚きと困惑に染まる。
「え!?」
だが沙良は構わず、冷たい声で言い放つ。
「邪魔なんだよ。
貴様なんて足手まといにすらならない。
被呪者が何なのか知らないが、
呪いに怯えるような奴がまともに戦えるわけがない。」
もともと、雷電将軍の命令でなければ、
七葉守柄の面倒を見ることもないだろう。
先代将軍の娘だから
嫌々でも命令を聞いているが、
心の底は七葉守柄には興味がなかった。
「……そうですよね。」
守柄は、しおらしくそれを認めた。
沙良は呆れたように深いため息をつく。
予想していた回答を得られなかったためである。
沙良は逆に否定し闘気を上げたかったのだが、
それはもういい。
「何も言い返さないのか。
はあ……もういい、貴様、学生証はあるか。」
「学生証?ああ、これですか。」
守柄は制服のポケットから学生証を取り出し、沙良に手渡した。
沙良はそれを一瞥すると、次の瞬間、目を見開いた。
『……雷電将軍の推薦なら最低でも三級のはず……!?特級呪術師だと……?』
守柄は沙良の反応に首をかしげた。
「どうかしましたか?」
沙良は思わず守柄から距離を取った。
それは、思わずの防衛本能。
というより、雷電将軍と同格の強さに
今更、警戒し出したからだ。
「いや、何でもない。とにかく、行くぞ。」
そう言った次の瞬間――九条沙良たちは呪霊に飲み込まれた。
▲▲▲
呪霊の内部。
暗闇の中、守柄は強い衝撃で気絶していた。
頭に鋭い痛みが走るなか、彼はゆっくりと目を開けた。
「……ここは?」
周囲を見回すと、そこには九条沙良の姿があった。
彼女は壁を手探りで探りながら、腹部の内壁を確認しているようだった。
「しまった……呪具を落とした。」
沙良は舌打ちし、
やがて床に座り込み、体育座りをした。
沙良は生まれた時から、
呪力がなかった。
だから、呪具をメインで戦ってきたが、
今回はその命の生命線が途切れてしまった。
「あの……」
守柄が恐る恐る声をかけると、沙良は苛立たしげに答えた。
「何だ。」
「これから、どうすれば……」
「助けを待つしかないだろう。雷電将軍が帳の外で見張っている。
異変に気付けば、数分もしないうちに助けに来る。」
そのために体育座りをする。
無駄に体力を消耗せず、助けをくるのを待つべきと判断したから。
「そうか……よかった……」
安堵の息をついたその時だった。
守柄はふと背後に何か固いものがぶつかる感触を覚えた。
「え?」
振り向くと、
そこには倒れ込む子供の姿があった。
「おい、大丈夫か!」
守柄は慌てて子供の肩を揺らし、必死に呼びかける。
「返事をしろ!?脈がない……」
彼の顔が青ざめる。
「沙良先輩、人工蘇生を手伝ってください!」
だが沙良は冷徹な視線を守柄に向け、無情な一言を投げつけた。
「無理だ……」
「な……!?人が倒れているんですよ!助けないと!」
「その子はもう、死んでいる。」
「……は?」
沙良は静かに首を振る。
「私が貴様と同じ、ただぼーっと寝ていたとでも思ったのか。
こいつは、私たちが来る前に死んでいたみたいだ。
死後硬直はもう始まっている。触れば分かるだろう」
沙良は守柄と違い、気絶はしていなかった。
それは同然、守柄よりも早く、少年を発見した。
応急処置もし、人工呼吸も試してみたが
どれも、効果がなかった。
守柄は膝をつき、力なく呟いた。
「僕のせいですか……僕が足手まといだから……」
もたもたしなければよかった。
もっと早く来ればよかった。
今までの出来事は夢だがら。
だから、雷電将軍の提案に乗った。
事の重大さに気がつかなかった。
少年の死は守柄をここは夢ではなく、現実だと目覚めさせてしまった。
自身の愚かさに頭を抱える守柄に対し、
沙良は冷たく告げる。
「そうだね。
その通りだ。
もし貴様に勇気があれば、
もし私に力があれば、
ここに来たのが雷電将軍であるのならば、
その子は助かったかもしれない。」
「そうですよね……」
その時、突然、沙良は守柄を蹴り飛ばした。
「うわっ!先輩!?」
「先輩、先輩、うるさいのよ!
慕ってもいないくせに先輩と呼ぶな。
何で肯定するんだよ!悔しいと思わないのかよ。
助けられなかったとか、次は助けるとか、言えよ!」
沙良の怒声が響く。
「……僕は……」
「呪えよ!このクソったれの世界を呪えよ!」
守柄の胸を拳で叩きながら、沙良は叫ぶ。
「貴様、何で呪術高専に入ったのよ。」
守柄は涙を流しながら答えた。
「友達を助けたいから……」
彼の心には、丹羽のことがあった。
「僕はずっと一人だった。みんなにいじめられる中、
誰も僕を助けてくれなかった……でも、丹羽だけは僕を助けてくれた。
でも僕のせいで丹羽は化け物になった……
怖くて、ずっと引きこもっていた……」
「……そうか。」
「でも将軍様に言われたんです。
高専に入れば丹羽を助けられる、
人の姿に戻せるって
……でも、どうしたらいいのか、わからないんです
……教えてください、先輩……」
それは、七葉守柄がずっと抱えてきた疑問だった。
その疑問も答えるため、
沙良は深く息をつき、呟いた。
「……わかった。先輩からの助言だ。」
守柄の胸に手を当て、静かに言った。
この血塗られた世界に生まれたときから
生きてきた先人の言葉だ
「呪え。」
難しいことは言わない。
簡単なことでもない
これが全てだ。
九条沙良の今まで生きてきた経験則で
導いた回答である。
「世界を呪え。それが貴様のやるべきことだ。」
たった一つの命令、たった一つのオーダー。
その言葉は、守柄の中に封じ込められていた黒い炎が燃え上がる。
そのとき、守柄は思い出した。
この世界に対する憎悪を、神すら呪う恩讐の炎。
その時、守柄の内ポケットに一つのカードを取り出した。
「丹羽」
『何だ』
「信じていいよね。」
カードを地面に降ろす。
大したことはしない、
ただ、呼び出すだけだ。
世界を呪う言葉を、
友人への問いかけを
「召喚」
呼び起こすのはただ一つの黒炎
「丹羽久秀」
薄汚い汚物の中に
言霊を切り裂く亡霊が降臨した。
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