開けた教室の先には、いかにも学級崩壊してます☆と言わんばかりの雰囲気を醸し出していた。
な…何このクラス…っ!
あまりのカオスっぷりに放心状態になっていると、蛍の隣にずっといた男の子が話しかけてくる。
「あ…あの、初等部B組へようこそ。佐倉さん」
あ…。蛍に夢中で全然気づいとらんかった…。
「僕クラス委員の飛田裕です。こんなクラスで…混乱しちゃってるかもしれないけど、困った事・分かんない事あったらなんでも聞いてください」
こんなクラス…って…。
「おい委員長。何だよこいつ」
大輝と同じ浮遊術のアリスの男の子が空中に飛びながら話しかけてきた。
「あ、彼女は…」
「校門前で喋ってたのきいた。ナルが連れてきた新入りらしーね」
「浮遊力に超聴覚。
浮遊力は知っとったけど、超聴覚のアリスは初めてや…!
「…蜜柑。ねえ」
タイムトリップした時はお父さんとお母さんが関わりある人のアリスとかしか知らんかったからな〜!!もっといろんなアリスがあるんやろうなぁ!
「蜜柑ってば!」
そんなことを考えていると、蛍に頭を叩かれる。
な、なんばしよっとあんた…。ひどか〜……。っていうか、手につけてるそれなに…?
「馬足手袋。
え…蛍さん誰に紹介しとん…?
「あなたがどんなアリスを持ってここに来たかは知らないけれど、1つだけ言っておく事があったわ。ここでは一切、私達’’他人’’ってことでよろしくね。…私、今年の優等生賞(※)を狙ってるから」
へっ?優等生賞…?
「厄介ごとには極力首を突っ込みたくないのよね。わかる?」
ほっ、蛍…!?
「ここは普通の学校とは違うし…色々あると思うけど、まぁ自分の力で頑張ってね」
な…なんじゃそれ…っ!?蛍ぅーー!?
「今日から新しいお友達の佐倉蜜柑さんです。皆さん仲良くして下さいねー」
ひ弱そうな先生が教室の前でウチのことを紹介してくれる。
「佐倉蜜柑です。どうぞよろし」
「誰がお前のゆう事なんかきくかアホ教師ー」
「’’お友達’’とか言ってんじゃねー!バーカ」
先生に対する罵詈雑言とゴミが飛んでくる。
泣き始めた先生を庇いながらクラスを見渡す。
な…なんやのこのクラス……。
「うっ…じゃ、佐倉さん…後ろの席に…」
しくしく泣きながら席を教えてくれる。
ウチ…ここでちゃんとやっていけるやろか…。ごっつ不安…。
席に向かう途中話しかけてくれた女の子もいたのが唯一の救いかもしれん…。
「隣よろしくー」
先生に言われた席に着き、隣の子に話しかける。
すると、
「あ、お前…さっきの’’水玉パンツ’’じゃん」
あ…あ…あの時の…!
「ヘンタイちかん男———っ!!!」
「…何言ってんだこの女。痴漢ってのはバカが下心もってやるから’’痴漢’’なんだよ。お前相手に下心もくそもわくかよ。バーカ」
しれっとした顔で言ってくるのが余計にイライラする。
な、バカはお前だろがーっっ!なんだこいつー!
「よ…よくも女の子にあんな事しておいて!女の敵!野蛮人っっ」
「謝れバカ———ッ!」
そんなことを叫んでいると、ふわっと体が浮かされた。
「おい転校生。棗さんに何調子こいた口きいてんだコラ」
さっきから近寄っていた取り巻きのような男子から睨まれる。
「や、やめてよみんな!かよわい女の子になんてことするんだよっ。止めてよ日向君〜っ」
委員長も駆け寄ってきてくれて、必死に抗議してくれている。
「あらやめることないわよ。さっきから
「正田さん…!」
今度は毛先がパーマでくるくるになっていて目つきの鋭い女子が出てきた。
「こんなの優しすぎるくらいよ。ねえ棗君!」
「……降ろせ」
棗がそういうと、ウチのことを持ち上げた奴がアリスの発動を止める。
「…そういう優しい所も私棗君の魅力だと思うの♡」
な…何なんこいつら…。しかも棗
「おい水玉。お前、どういうアリスもってんだ」
自分のアリスをいうのは何となく癪で、誰がいうもんか!と舌を出して対抗する。
すると、また空中に持ち上げられる。
持ち上げられるのなんかもう「《首苦しいしそろそろアリス使おうかな〜》」
え?
「《ウチの心の声…?》」
読心術のアリス!?咄嗟に無効化のアリスを発動する。
すると持ち上げるために使われていた遠隔操作のアリスも解除されたので、バランスを保ちながら着地する。
「あれ?読めなくなっちゃったー」
その言葉と、操作のアリスが消えたことでクラスには静寂が訪れる。
「あんたらが人より上なモンがあるとしたらなあ、そのくさった根性じゃボケっ!!ついでにそのわっるい頭もどっかで取り替えてこい!バーカ!!」
悪態ばかりのB組生徒にそう言い放つと、怒った生徒が蜜柑につかみかかろうとする。
すると、バキッという音とドンと同時に蜜柑の胸が押され後ろに倒れる。
「今井さん!?」
蛍がウチとつかみかかろうとしていた男子の間に入り、その男子をさっきの手袋で殴っていた。
「…悪いけど、このバカ泣かしていいのはあたしだけだから。勝手に手出ししないで」
え…?
「…まったく。これで優等生賞がパアだわ。今まで何のためにしたくもない我慢してきたんだか…。セントラルタウンのお食事券1か月分特典…1週間の
あ…
「帰れなくなった事あんたの方からうちの両親に謝っといてよね。…まあ、あんたが自分から会いに来るなんてまったくの計算外がおこったことだし、会いに行く手間が省けた分、今回は特別それでチャラにしといてあげる」
蛍…ホタル——…!!蛍スキスキラブ〜!
「な…棗君、流架君っ!やだもー、何とかしてー!」
蛍からの愛情に喜んでいる横で、パーマ頭が棗達に話しかけていた。
「……おい、水玉」
は??
「そこからみえる’’北の森’’。あそこを通って無事高等部に行って足あとを残してきたら素直にお前の実力を認めてアリスとして受け入れてやる」
北の森…?
「そんな!ムチャだよ」
委員長がすごく焦った様子で棗に話しかける。
「あの森はアリスの子だって立ち入り禁止されてる…」
「別にムリにとは言ってねー」
いや、それ以前になんでウチがそんな勝負乗らなあかんの?理由がないんやけど。
「それともおまえ…怖いのか?」
棗が煽るように話しかけてくる。
「受ける理由もないけど、別に受けない理由もないしな!ウチの力見せたるわ」
そう言って挑戦を受ける。
「交渉成立。
※優等生賞…年に1回クラスに1人選ばれる良い子の賞。いろいろ特典あり。