「なーなー、蛍は何系?」
「’’技術系’’」
「委員長は?」
「僕は’’潜在能力系’’」
「野乃子ちゃん、アンナちゃんは?」
「あたしも蛍ちゃんと同じ’’技術系’’」
「私も」
「…じゃ、ルカぴょんは?」
ルカぴょんは怪訝そうな顔で見てくるだけだったが、一緒にいるウサギが’’体質系’’だと教えてくれた。
アリス学園には能力別授業があって、
そんなわけで初めての能力別授業を受けに、蜜柑は特別能力系クラス…略して特力系クラスに向かっていた。
危険能力系を除いた他3クラスに当てはまらないアリスの生徒が属するみそっかすを集めたような扱いのクラス…。でも、お父さんと同じクラスになれたのは何となく嬉しい。同じ無効化のアリスなんやからそりゃそーなんやけど…。
あ、そういえば棗は何系なんやろ…。
「彼は危険能力系だよ」
後ろにいた心読みが心を読んで答える。
人に心読まれるん慣れてないからびっくりするわ…。
危険能力系…。学園側にその能力の性格やパワーにおいて
フラフラ歩きながら考えていると、建物の角から棗が飛び出してきた。
息切らしてどうしたん、と声を出そうとしたら、急に口を塞がれる。
「しゃべるな。少しでも騒いだらころす」
棗が耳元でそう囁く。
何…!?
困惑していると、遠くからカツカツという足音と声が聞こえてくる。
「棗。いるなら大人しく返事するんだ。 棗」
そう棗の名前を呼びながら歩いているのがわかる。
物陰に隠れさせられたままじっとしていると、そのまま棗を追っていた人物は気付かずどこかへ行ってしまった。
ぶはーーっ!!!
「な…何やねんお前っ!人にいきなり掴みかかって!」
口を塞がれていた状態から脱し、息を整えながら棗に問いかける。…が、無視。
「無視かコラー!!」
「おいアレ棗じゃん」
「女といちゃついて堂々と授業サボりか?幹部生徒がいい身分だな」
棗に怒っていると、中等部の生徒達が話しかけてきた。
「あれ?こいつもしかして例の’’星なし’’?結構いけてるじゃん」
女ぁ!?
目の前でこんな奴が?と言いたげな顔してため息をついている棗がまた腹立たしくて怒る。
「何だー?無視かよ」
そのまま棗がその場を去ろうとすると
「おい待てよ、人殺し」
え…人殺し、って…。
「言っとくが俺達がお前みたいな危険能力系幹部生だなんて認めてないからな。大体お前が幹部生でいられるのはただ’’
ペルソナ…?
すると突然それを言ってきた生徒の腕から火が出た。
「わ」
「こいつ…っ!火つけやがった!」
「ちくしょ…おい誰かペルソナここに…」
「呼ぶなら呼べよ。奴がここにくる前にお前ら全員黒コゲにしてやる」
もしかして…
棗が中等部の生徒達を睨みながらどこかへ去ろうとする。
「待てこのやろう。お前、この女がどーなってもいいのか!?」
いきなり髪が引っ張られた。さっき火をつけられた生徒だ。
「てめーの女見捨てる気か!?」
な…何でじゃーーっ!!
その様子を見て、棗は鼻で笑ってそのままスタスタと歩いて行ってしまった。
この状況は…全部お前がつくったんだろうがー!!
そのまま蜜柑をなぜか虐めようとしてくる中等部生徒3人に対抗しようとするが、中々抜け出せない。
「いてっ、おとなしくしろって」
1人の奴が強い力で掴んだまま離してくれない。
「ちょっとーいい加減離してやりなよー。その子は悪くないしかわいそーじゃん」
「ダメだ、完全に楽しんでるよ。あいつロリコンだからな…」
なんなんこいつ…!!
吹き飛ばしてやろうか考えていると、いきなりそいつの動きが止まる。
どこからか来た中等部の男の人が蜜柑に掴みかかっていた生徒を蹴り飛ばす。その拍子で蜜柑も飛ばされるが、無事着地。
や、やっと解放された〜…!!
「あ…安藤!?」
安藤と呼ばれた先輩が助けてくれたらしい。
「おめーら寄ってたかってチビいじめる趣味でもあんのかー?」
蜜柑のことを心配してくれる安藤に大丈夫だとお礼を伝える。
「てめー安藤っ!よくも…」
そう言って蹴り飛ばされた生徒と火をつけられた生徒が文句を言おうとしてくるが、なぜか固まっている。ついでに棗に火をつけられていた生徒も…。
「あ、やっと気づいた?気づくの遅すぎ。お前らとっくに俺の
テリトリー?影?
よく見ると2人の生徒の影は近くにあった木の影と一つになっていて、その大きな影を安藤が踏んでいた。
「中等部1の落ちこぼれのくせしてこんな事してただで済むと思ってんのか!?」
中等部1の落ちこぼれ…。この人が?
「その落ちこぼれにすっころばされるお前らはなんだっつーんだよ」
そう言って安藤が足を上げると、
「今のが当方秘伝’’影あやつり’’〜」
おーっ!すっごーい!!初めてみるアリスや!
安藤が地面にある木の影に’’1時間ビンズースクワット’’と書くと、さっきの2人の生徒がビンズースクワットを始めた。
「チビ、お前能力別クラスに行く途中だろ?どこのクラスだよ?送ってやる」
「あ…えと、ウチ特力系っ!!」
「あーー!もしかしてお前かあ。特力に新しく入る棗のパートナーの’’星なし’’ってのは!」
中等部にもそないに話広まっとるんや…。
「なるほどな、なら話は早いわ。俺は特力の中等部A組安藤翼。影使いのアリスだ!よろしくな、’’後輩’’」
’’先輩’’…!!
「ウ…ウチっ、初等部B組佐倉蜜柑、10歳ですっ!無効化のアリスですっ」
そのまま雑談しながら特力系のクラスまで歩く。
「まあ
そう言いながら特力系のクラスのドアを開けた瞬間、ペンキの缶が翼の顔に当たる。
「おそーい、翼っ!!」
えぇ!?なんや!?
「美咲…てめー…」
「何度言ったら分かんだてめーはっ!今日は新入りが来る日っつったろ。みんな部屋の準備に早く集まるってあれほど…。って、ん?」
蜜柑が突然のことにびっくりしていると、美咲に顔を覗き込まれる。
「わりーっ!まさか来てるとは思わなくて!何だよ翼っ!連れてくんならそう言っとけよなー。せっかくのサプライズがこれじゃバレバレだろー」
サプライズ…?
そう言って美咲先輩と翼先輩が教室のドアを開けて入れてくれる。
「気をとりなおして、ようこそ特力へ!ほら、入って入って!」
そこにはパーティーのように飾られている教室が広がっていた。
ウチの歓迎会…!?
「
翼先輩がそう教えてくれる。
「誰にも縛られない’’自由’’が特力のモットーだからな。’’落ちこぼれ’’や’’星なし’’なんてくそくらえだ。肩書きなんかのために肩ひじはって生きることないさ。楽しくやろーな!」
そんな翼先輩の言葉が、優しく迎えてくれた特力が温かくて心がいっぱいになる。
アリス学園に来てはや1週間。ウチは今日はじめて自分の居場所をみつけましたっ!
「あのー…ところでここの先生は?」
さっきから気になっていたことを美咲先輩に聞いてみる。
「あー担当教諭ね。あいつタイムトリッパーでさ。しょっちゅう過去やら未来やらにとばされてめったに帰ってこないんだよなー。だからここ無法地帯」
え…えぇ……。