信号で止まっているレオの車を見つける。
創造のアリスがここで使えたら楽やのにー…!!
そう思いながら走っていると、
「そこまでだ!罰則は覚悟できるんだろうな!」
捕まった…!車が行っちゃう!!
また説明しても話は聞いてもらえずどうしたらいいか悩んでいると、カラスの大群が襲ってきた。しかも先生にだけ攻撃しとる…。
もしかして…ルカぴょん、蛍!?
それから何とか先生達をまいたけど…肝心の車を見失ってしまった。
「あんたがさっさと捕まっとけばこんなことにはならなかったのよっ」
「何をー!あんたこそ言い出しっぺのくせに。自分が捕まればいいやんけー!」
対抗するように文句を言う。
すると、突然パーマが自分の頭をぐりぐりし始めた。
ちょーなにやってんの!?
すると、ほっぺから犬猫のような3本のヒゲが出てきて、4足歩行の態勢でクンクン何かを嗅いでいる。
「南西方向真南より30度付近から棗君のにおいが…。約1.5km程先ね。行くわよ!」
ま、まさか…犬猫体質…っ!
「見つけたわ!あの車よ!」
しばらく走っていると、さっきレオが乗っていた黒い車が見えてきた。
パーマ足早すぎや…!!蛍から貰った筋肉活性湿布のおかげで何とか追いついとるけど…!それにしてもパーマのアリスが…
「……何よその目。私のアリスがそんなにおかしい!?笑いたきゃ笑いなさいよ!」
「んや、別に…」
そういえばさっきから随分経っとるのに先生達がウチらを捕まえにくる気配もない…何でや?
そんなことを考えながら角で曲がった車を追おうとウチらも曲がると…そこからの意識は飛んだ。
潮のにおい…鉄の錆びたにおい…誰かの、吐息…?
「うぅ…」
目を開けると目の前には至近距離の棗がいた。
な、棗!?
驚いて起き上がると、後ろに倒れていたパーマにぶつかった。
「ゔ…」
徐々に頭がはっきりとしてくる。手足が紐で縛られた状態で倉庫らしき場所に3人並んで寝かされているらしい。
「おい、ガキ目覚ましたか?」
レオの声が聞こえて、パーマと2人で即座に寝たふりをする。
そうや、あの時…角を曲がった瞬間ウチらも眠らされて誘拐されたんや…!
「あ、組織の方と連絡とったんですが…本日の玲生さんの行動について幹部の方々がお怒りの様子で…」
「だから言ったでしょう玲生さん。あくまで俺達は学園の内情を操るだけの使命しか…」
レオの部下のような人達がレオに話しかけているのが聞こえてくる。
「何だよ、こんな千載一遇のチャンスあいつらだって同じ立場にいたら絶対そうしてたくせに」
何この会話…組織…?
「
「今夜2時。それまで学園側に見つからないようここで待機との命令です。日向棗は組織送りとして、のこりおまけ2人は売っぱらう前に何のアリスを持ってるか確かめる必要が…」
「薬切れたころ聞き出しとけ」
そうレオがいうと、こっちに足音が近づいてくる。
「…こいつがあの’’黒ネコ’’ねえ…」
薄目で様子を見ると、レオが棗のあごを足で動かしながら顔をレオの方へ向けさせていた。
「あの…何なんですか?その’’黒ネコ’’って…」
「’’黒ネコ’’ってのはこいつの裏世界での通称。こいつはアリス学園の影の産物闇工作員さ」
闇工作員…!?
「2年前、わずが8歳の時こいつは自分の住んでた街全域を一夜にして火の海にしたんだ。そこで国がこいつを放り込んだのがアリス学園で、学園は更生と称して裏の仕事を片付ける’’工作員’’に仕立て上げた。こいつに痛い目にあわされた国や企業、団体は多分両手じゃ足りない。その仕事をするとき一度も
そう言ってレオ達はどこかへ離れて行った。
「…棗君はそんなことしないわよ」
え…
「裏工作員とか放火とか、あんなの…でたらめに決まってるわ。棗君はそんな事する人じゃないわよ…っ」
パーマの意見には賛成や。棗は悪いやつだけど、そんなことしないってウチも思う。
裏工作員をしているなら…それはきっと、お母さんと同じで…。
「……でよう」
パーマに小声で話しかける。
「とにかくここから出ることを考えよう」
そう言って耳につけていたイヤーマフラーのスイッチを押した。
『もしもし、蜜柑ちゃん?僕だけどきこえる?』
向こうでウチの通信に応答した蛍が鳴海先生に代わってくれた。
それから、まずは先生に今の状態を共有した。棗もちょうど目を覚ましたが、かなり具合が悪そうだ。
『とりあえずわかった。声を出すのは危険だからここからは黙ってきいて。3人共気失ったフリは続けたまま、こっちにそちらの状況がきこえるようマイクをONにしたままでいるんだ。僕らが場所の特定を図るから、その間に手足を拘束している縄を自力で引きちぎるか解くか、あまりいい案じゃないけど棗君に無理してもらって火で縄を燃やすんだ。弱ってる体にはかなり負担だろうけど…少量の火でいい。あまり大きいと結界が揺れてバレるから。棗君本来の力なら結界を壊すくらいたやすいはずだ』
その鳴海先生の言葉を聞いて、嫌な顔をしながらも火で自分の縄を燃やした後隣にいたウチの縄を解いてくれる。
『重要なことが2つある。1つは出来る限り自分のアリスを敵に明かしちゃダメだ』
棗…力を使ったせいでさっきよりもすごく苦しそう…。
心配しながらもパーマの縄を解く。
『それと、もう1つ。何があってもレオの’’声’’をきいちゃいけない、もしきいたら——』
そこまで言うと先生の声が遠くなる。
「…なるほど、通信機だったんだコレ」
レオにイヤーマフラーを取られた。
「そんなヘロヘロの体で紫堂の結界揺らすなんてやっぱタダ者じゃないね、お前」
バレた…!
「お久しぶりです、ナル先輩」
レオが鳴海先生に話しかけ始める。
「先輩の可愛い生徒勝手にお預かりしちゃってスミマセン。ま、預かったっていってもお返しする日なんて来ませんけどね」
『玲生…お前何で
Z…。
「驚きました?でも僕の方こそ驚きですよ、あなた程の人が何であえて
そう言ってレオはイヤーマフラーの通信を切った。
「紫堂ここだけ結界ゆるめろ。縄で縛られてなくても抵抗できないってこと教えてあげなきゃね」
耳につけていたピアスに触ったことに気づき、声フェロモンのアリスを使い始めるのだとわかった。
あれは制御ピアスや…!
「ちょうど2人のアリスも訊きださなきゃだし。知ってるかもしれないけど僕のアリスは声フェロモンでね。組織では主にこの力は’’洗脳’’に使ってる。……お前のアリスは?」
レオがパーマに話しかける。
「わ、わた…あ…体質…」
「パーマ!耳塞いで!!言っちゃダメ…」
すると隣にいた棗がレオに向かって近くにあった工具を投げた。
「へえ…まだ抵抗する力が残ってんだ。今のはこの2人をかばったつもりか?では、お望み通りターゲット変更。なるべくならお前は僕の声で無害にしてから引き渡したいと思っていたところだしね。あの2人は
「やめろ!!」
棗を洗脳しようとするレオにムカつき、レオを突き飛ばす。
「さっきから勝手なことばっか言うなぁ!!」
「こいつ…あんだけレオさんの’’声’’きいててなんで何ともないんだ…?」
あ…やばい、つい…。
「……お前、’’無効化’’か…?」
するといきなりレオに顔を掴まれる。
「……この顔………似てなくもない、
あの女…もしかして……お母さんのこと…?
「おい、今すぐデータを全て調べろ。’’黒ネコ’’以外にこれは思いもよらない収穫かもしれないぞ」
レオはウキウキしながらアリスを使うのをやめウチらから離れていった。
「いた!」
パーマの声でハッと意識を戻す。棗がパーマの背中を蹴ったらしい。
「おいパーマ、今なら結界ゆるいままだ。
パーマがアリスを発動し、周りの様子を探ってくれる。
「…
それを聞いて棗の表情が少し変化した。
「…お前ら、俺が合図したら…全速力であのドアに向かって走れ」
え…
「ちょ…何する気」
「走ったら絶対止まるな。どっちかでも無事に逃げ切ったらなんとかして学園にここの居場所を伝えろ」
まってあんた…走れる体とちゃうやん…。
「俺はなんとかなる。…勝手にここまでついてきたんだし放っておきたいのは山々だけどな。さすがに売られるってなったら寝ざめわりーんだよ」
抗議する間もなく、棗が「いけっ」と合図を出す。
その瞬間とりあえずパーマと2人で走り出す。
「あっ、おい逃げたぞ!!」
ウチとパーマを手下が追いかけようとするが…
「動くな!!……少しでも動けば、この先にあるダイナマイトに火をつける」
棗がフラフラしながら立ち上がり、レオとその手下を脅す。
「は?何を言ってる。お前にこの結界の中そんな距離の倉庫に火をつける力なんか…」
「あるさ。なんなら試すか?」
手に火を出しながら、レオと睨み合う棗。
「さっさといけっ!!」
どうするべきか悩むパーマを、とにかくまずは外に逃げさせようと腕を引っ張り倉庫から出る。
レオがアリスを使ったセリフは色をグレーにして表現してみました。
あまり黒との違いが分かりにくいかもしれないとも思ったのですが、どうでしたか…?