「…棗君のことだもの。きっと…何とかしてくれるに違いないわ。今は彼を信じて、彼の言う通り一刻も早く学園にここを知らせなきゃ…」
結界の外にも出れたし、学園も無能じゃない。さすがにもうここの位置を特定してくれとるやろ。
「……パーマ、先行ってて!」
パーマはもうきっと大丈夫、それよりも棗が心配や。
「え」
「ウチ…棗を見てくる!パーマはそのまま逃げて!」
そう伝えて蜜柑は棗のいる倉庫に走り出した。
「ちょ、佐倉さん!?」
棗…もしかしてあいつ、ウチら逃がすため1人犠牲になる気じゃ…。
そんなん勝手にウチら無視して似合わへんことすなーーっ!!
徐々にさっきの倉庫が見えてくる。棗は倉庫の入り口まで移動していたためレオ達との会話が少しずつ聞こえてきた。
「今爆破すれば、吹っ飛ぶのは俺らだけ。’’無駄な努力’’にならずに済む」
あいつ…
「やめて!!」
無効化のアリスを使いながら棗に抱きつく。
「な…」
「あほっ!何本気で火つけようとしてんねんっ!あんた死ぬ気か!?目覚ませボケッ!!」
棗に馬乗りになって怒鳴る。
「力をぬけっ」
レオがまたアリスを使い、棗が倒れた。
しまった!!棗まで守れなかった…。
「バカだねお前。こいつの折角の苦労も水の泡だ」
「…てめ、何で…戻ってきた…」
「え…だって…心配やったし…」
そう答えると、ボケ、と棗がすごく不機嫌そうに怒った。
「だ、だってしゃーないやん。あんた、ウチのパートナーなんやから心配ぐらいするわ…」
ウチらをわき目に呆れながらレオが手下に指示を出すが、不意打ちでレオがアリスを使ったために手下達も力が抜けて動けなくなっていた。その隙を見て、レオに近くにあったよくわからない粉を投げつけ、棗を抱えながら逃げる。
「な!」
「逃げたぞ!!」
な、棗…重い…。
「…おい水玉。お前逃げろ。1人なら…今のあいつらなら何とか逃げ切れる」
「は?あんた何ゆうて…」
「…いいから行けブス。何度も言わせんな」
ムッカ…!
「いやじゃ」
ウチがムカついてそう言うと、棗がもっとキレはじめた。
「行けっつってんだろボケッ!!!」
「行かへんゆうてるやろ、どアホ!!!ここまできたの誰のため思てんねん。あんた置いてったら本末転倒もええとこや。ルカぴょんも蛍も先生もパーマだって、みんなあんたが無事に帰ってこれれるように頑張ってんのに、それを無視してウチやあんたがここで諦めるなんて許されるかいっ!」
「おい、こっちの方で声が聞こえなかったか?」
ついカッとなって大きな声で話していたせいで、レオの手下達に場所がバレた。
「……やれることやってへんねん。ウチは学園に戻ってまだまだやりたい事沢山あるもん。何が何でもあんな奴らに捕まるわけにはいかへんねん。…あんたかてそうやろ?」
楽しい未来はきっと、諦めずに歩いたその先にあるもんやから—————
「一緒に帰ろう、学園に。みんなまってる」
「いました!ガキ2人共っ!こっちです!!」
もう捕まるよりマシや、棗のためなら…!
そう思い創造のアリスを発動する。
風のアリス、身体強化のアリスを蜜柑の中に創造し、襲いかかってきた手下達を倒していく。
しかし、手下達が思っていた以上に多く徐々に押されてきた。
どうやって打破しようか考えていると、死角から近づいてきたヤツに思いきり吹き飛ばされる。
「いっ!!」
その衝撃で頭を壁にぶつけ、ズキズキとした痛みに襲われる。
「捕まえたぞ!!」
その言葉にハッとし、頭痛を我慢しながら目を開けると手下に捕まっている棗と目があった。その目はひどく怒っていた。
「てめえ………てめえ!!!!」
手下に向かって今まで見たことがないくらい怒った表情で怒鳴る棗。そしてその瞬間大きな爆発音が聞こえたが、そのまま意識は遠のいていった。
この小説での蜜柑はアリスも優秀で頭も良いんですが…対戦闘能力・経験があるかと言われると話は別なので、このような状況だと限りが出てきてしまいます。