3つの願いを叶えるまで棗の1週間奴隷にされた蜜柑。他に使い道もねえしと、文化祭中パシリとしてひきずりまわされることに…。
でもその日の午後蛍と委員長とお買い物の約束をしているのだと蜜柑が嘆いていたら、ちょっと(かなり) …哀れ可哀相に思った流架が今日の午後は自由にしてあげたらと交渉してくれた。
そんな棗とルカぴょんに連れられてきたんは技術系エリア。
規模から何まで大違いの様子に大興奮していると棗にコケコッコビスケットとかいう1分間唇がくちばしになりニワトリ語しか話せなくなるものを食べさせられたり、蛍のお店を見かけて助けを求めてみればよくわからない巨大メカに飛ばされたりと散々であった。
「あー!蜜柑ちゃん!」
あ、アンナちゃん!ケーキ屋さんや、かわいー!!
「ウェイトレス兼ケーキ職人なのー!」
え、アンナちゃんのケーキ!
食べたいと棗に言ったところで絶対聞いてくれへんから、柴犬のごとき瞳でルカぴょんを見つめる。
「……」
「…ルカ、あいつ知恵つけはじめたぞ」
結局ルカぴょんがOKしてくれたので、お店にお邪魔することに。
「アンナちゃんのアリスは料理を作ると変わったものができてまうアリスなんやって、知ってた?」
「…知ってる」
お願いしてくる蜜柑に負けた流架が少し落ち込みながら返答する。
「おまたせ〜!」
アンナが持ってきたケーキはなぜかぐつぐつ音がしているケーキ…。
「わーっ♡おいしそー!!」
虹色だー!
「えっ」
喜んでいる蜜柑とは裏腹に棗と流架は食べ物かすら怪しいのではと引いていた。
「いっただっきま———」
蜜柑と流架が食べようとした瞬間、棗がティーポットに入っていた紅茶をケーキにかけてきた。
「棗————っ!!」
「まずい」
な、アンナちゃんの前でなんてこというんや!
「この…あやまれバカ!!」
そんなことは気にせず、棗はどこかへ行ってしまった。
「あら、一体何の騒ぎ!?」
「
アンナちゃんが泣きながら技術系の先輩であろう女の人に抱きつく。
「やだ!アンナ、あなたもしかして賞味期限切れの粉使ったわね!?ホラ、コレみなさい。’’くされん坊’’がでてるじゃないの〜。こんなの食べたらお腹壊しちゃうわよ」
くされん坊…!?
「や…やだ、どうしよう私ってば!」
「バカねー。さっきの子、それに気付いて紅茶ぶっかけたんじゃないかしらー」
その後アンナちゃん達から謝られ、とりあえず棗を追いかけるためにお店を出た。
「でも棗!気付いとったにしてももっとやり方あるやろがーー!!」
納得しきれずまだ怒る蜜柑。
「…棗は、多分俺達が食べないようわざとあんな事したんだと思う」
えーー、ルカぴょん考えすぎ〜
「……あの場は客がいっぱいいたし、『腐ってる』なんて言ったらあの子が困るの分かりきってたし…」
「えーでもあの棗がそこまで考えてあんな事やるかー?」
「棗は考えてるよ。棗は…本当は優しいんだ。確かにはむかう相手には容赦ないとこあるけど」
ウチとかな……。
「あっ…そ、その…。分かりにくいし、誤解されるような事も沢山してるけど…でも棗は仲間と思った人間は最後まで見捨てないしいつだって自分のことより人の事ばかり考えて…相手のためにいつも黙って自分が傷つく道ばかり選んで…」
レオに誘拐されたときの棗が思い出される。
「…ルカぴょんて、棗の事大好きなんやなあ」
「え」
「さっきから必死になって棗の擁護してる」
「そ…それはっ」
「……思ってんけど、棗と蛍って何か似てるよな。蛍も人に優しくするのすっごく苦手やけど、いざとなったら自分ほったらかして人の為に全部投げだせるようなとこあんねん。強いだけじゃないくてホンマは優しいの、ウチしってんねん。だからウチそういう蛍が大好きやねん。よーするにルカぴょんもそういうことなんやろ?棗にっ」
「え…」
「蛍らだけと
蜜柑の言葉を聞いて、流架は複雑そうな顔になる。
「……前に棗と将来の夢について話したことがある。将来獣医になって…誰にもみつからない、動物の暮らしやすい土地へ行ってみんなで楽しく暮らせたらいいなって。いつか…そんな日が来たらいいなって」
…へえ。
「なんかいいな!その夢っ!くる、くるよ絶対!きっと叶うよ!」
ルカぴょんに笑いかけると、嬉しそうな笑顔を返してくれた。
「さてと、棗さがしにいこっか」
そう言ってルカぴょんに手を差し出す。
「うん…っ」
2人手を繋いで棗をさがしにいった。