「あっ!!委員長のお化け屋敷行くの忘れてた!!」
棗を見つけたあと技術系エリアに戻ったら夢中で遊んでしまっていた。
また、柴犬のごとき瞳でうるうるとルカぴょんを見つめる。
—————と、いうことで潜在能力系エリアに到着!!
「わーーー!!!潜在系すごいアトラクションがいっぱいやーっ!」
テレキネシスによる垂直落下体験や、風使い組による風のりサーフィン、フライング能力者によるピーターパンフライングというものまで!
た…たのしそうっ!
「ピーターパン!!ウチもネバーランドにつれてって〜!」
お店に入ろうとすると後ろからガシッと服を掴まれる。
「…………くいたいのか?」
さっきのコケコッコビスケットを片手に持った棗が睨んでくる。
あうう〜〜〜…スミマセン…。
「あ、あれじゃないか、お化け屋敷」
ルカぴょんが案内してくれた先には、おどろおどろしい洋館が…
お化け屋敷の出口から出てきた人達はみんな大泣きしながら出てくる。
「ここって……主に委員長の幻覚とかで人を怖がらしてんのよな…?」
「…飛田ってああみえて結構奥行きある奴かも…」
たちまち広がるあなどれないヤツ疑惑……。
そして、蜜柑達が入る順番に…。
「ル…ルカぴょん入れば?1番手」
「えっ何で」
「てめーが入れよ言いだしっぺ」
棗に蹴られて中に入っていくと、入り口のドアが閉められた。
「きゃああああ!!ドアが勝手にいいいい!!」
騒ぐ蜜柑に呆れながら棗がスタスタ進んでいき、流架もそれについていく。
「ま…まってルカぴょん、棗〜…。置いていかんといてえ〜〜…」
うぅ…2人して置いていかんでもいいやんか〜〜…。
流架を離さまいと腕にしがみつく。
「さ…佐倉いたい…」
ただの夜とかと違うこういうのって何か怖いんよな〜……。
「はっ!あんなところに不自然におばあさんがいるーっ!!」
「そりゃ何かいるだろ、お化け屋敷なんだから」
そのまま気にせず棗はおばあさんの前もスタスタ歩いて行ってしまう。
「えっちょお無視すんの?」
棗を蜜柑と流架が追いかけ、おばあさんの前を過ぎると…
「…せっかく親切につけこんであの世までおぶらせてやろうと思ったのに…」
…へ?
「まぁて〜〜〜〜!」
「ギャーーーーーーーーーー!!!!!!」
よつんばいババアから逃げるために走り出したが、曲がった先は壁一面に死霊達の顔になっていて、蜜柑はそのままその場に倒れる。
「あっ」
ルカぴょんが抱いていたウサギもビックリして腕から飛び出して逃げて行ってしまい、流架は慌てて追いかける。
「ルカ!」
棗が追いかけようとするが、その瞬間天井に吊るされていたらしい壁が降りてきて、四方を囲まれてしまった。
「キャーーー!お化けに閉じ込められたーーっ!」
「……お前気失ってたんじゃねーのかよ」
その瞬間、電気がフッと消えてしまった。
うそ…停電?
停電によってお化け屋敷はしばらく運休するため建物から外へ出るようにとのアナウンスが流れる。しかし、降りてきた壁は電動なため動かず…声を出して助けを求めてみるが反応がない。
「あかん…周りにもう人いーひんのかなあ…」
あ、壁を登ればいいんやと思い、棗に明かり代わりに火を出してもらうようお願いしたが、鬼火を出される。
「ひーっ、へんな火だすなー!!ちょっとアンタ、脱出する気あんの!?」
「……足くじいた。さっきお前が騒いだ時にな」
あ…そういえば壁に驚いたときに棗とルカぴょんにぶつかった気するわ…。
「す…すみません…」
「……壁壊すか。それしか今ここを出る方法はねーだろ。それともずっとここにいる気か?」
「あかん!ここにあるものは全部潜在系の人らが一生懸命作ったものやのに、そんな簡単に壊すとかゆうたらアカンッ」
「じゃあ、助けがくるまでここで待つのか?」
ゔっ…。
結局待つことに。
「…おい」
何。
「…ひっつくな。暑くるしい」
「だっ、だれがひっつくかいっ」
その瞬間ガタン、という音がして驚いて棗に抱きつく。
「い、今の何!?幽霊!?人!?なあ!」
「……」
「な、棗…手握っていい?」
「は?1人で握ってろ」
うぅ…。
「あ、あの壁の顔動いた————」
「ギャーーーー!!」
「…ような気がした」
お…
「おどかすなバカぁ〜……」
泣きながら抗議する。
それからしん、とした空気になる。
棗って、なんとなく思てたけど…ごっつやりにくいうやつ…。
なんつーか他の子と違って話が進まへんゆうか…。こんな風に2人きりになる事なかったし気にならんかったけど、何しゃべっていいのかわからへん。今はもう棗の事嫌いじゃないけどこんなふうに2人きりって…何か調子狂うわ。楽しくないわけじゃないけど…そういえばウチこの学園祭中っていうか、学園きてから全然棗が楽しそうにしてるとこ見たことない。棗が笑わへんのってやっぱりレオが言ってたあの裏に理由があるんよなきっと…。
この学園祭中、すこしでも棗が笑って過ごせる時があればいいのに……。
「おい水玉」
「…水玉ってダレデスか」
「じゃあバカ。いい加減停電も治らねーしこっから自力で出る方法そろそろ考えろブス」
は〜…
「いい加減自力で人の名前憶える方法考えたらどーですか、イヤミキツネ!」
それを聞いた瞬間棗がより不機嫌そうな顔になったと思ったらいきなり立ち上がった。
何かと思えば、足で蜜柑のスカートをたくし上げる。
「ぐだぐだいってんじゃねーーーよ、’’いちご柄’’」
「ギーーーーーーー!!!」
その叫び声で、2人を探していた流架と委員長、潜在系の人達が近づいてくる。
「棗っ」
「蜜柑ちゃ…ん?」
壁を持ち上げた先に見えたのは、棗と、棗に馬乗りになっていた蜜柑…。
「え…何してんの2人共…」
流架が聞く。周りもザワザワし出している。
「えっ、何って…。はっ、こ…これは!ちがっ…」
怒りのあまりすごい体勢になっていたことに気づいて勢いよく棗から離れる。
「誰も見てないからって襲ってんじゃねーよ、痴漢女」
ち、ちがーーーーーーーーーーーーーうっっ!!!
逆光の中、わずかに棗が笑ったような気がしたが、そんな事は今更どうでもいい蜜柑なのでした…。