蜜柑がアイドルに!?   作:haina07

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第26話 兄妹

やっとこさ、この日のメインイベント・蛍と委員長との自由時間がやってきました!!

棗は足をねんざしたのもあり疲れたから帰ると帰路につき、ルカぴょんはパーマに連れられて明日のミュージカルのリハーサルに行ってしまった。

3人で潜在能力系エリアを歩き始める。

「たーのしーいねーえ!」

ルンルンな蜜柑とは違い、蛍はなぜか上の空。

「…どしたん蛍?何か他の行きたい所でもあんの?」

「……別に」

そう言いながら蛍はパンフレットを見つめていた。

ん?アリス健康相談所?なんでそないな所見てるんやろ…。

その瞬間、ドガガ!!とすごい音が響いた。

な、何?事故!?

振り返ると、少し離れたところで ’’テレキネシス垂直落下’’のアトラクションが壊れているのが目に入る。怪我人もいるようで大騒ぎだ。

そこに開会式で前にいたプリンシパル(幹部生)の1人が現れた。

「おいっ、あれ潜在系総代表じゃねえか?それとお付きの人…」

「ああ幹部生No.2の…」

総代表(あの人)が来たならもう大丈夫だな」

周りに集まっていた人達が話している声が聞こえてくる。

その人がしゃがみこみアリスを使った瞬間、大人数の怪我人が一気に治っていった。

すごい…。

感動している蜜柑の隣で委員長が説明してくれる。

「総代表は癒しのアリスの持ち主で、それにあと1つ…」

「このアトラクションの責任者をよべ」

低い声が聞こえる。

責任者と思われる生徒が出てきて、事故の原因について説明をしているとその生徒がおでこに’’総代表’’に指を当てられた瞬間うめき出した。

「これが彼らの受けた痛みのほんの一部だ。十分に反省と謝罪をし、以後二度とこんなことが起きないようにしろ」

え…何が起きたん…。

「…彼はもう1つ ’’癒し'' と表裏一体の力を持ってて… ’’痛み’’ を記憶してそれを第3者(他人)還元する(うつす)力。総代表は人望厚いけど彼のアリス同様にその冷徹さに恐れを抱く人も少なくないんだ」

’’盗み’’と’’入れる’’アリスと同じ感じなんか…。

お付きの人が ''総代表’’のために野次馬を退かし道を作ってこちらに向かってくる。

ウチと委員長は邪魔にならないように退くが、蛍はそのまま立っている。

「おいそこの初等部。道をあけろ」

お付きの人が注意するが、蛍は動かない。

「………はじめまして」

蛍…?何で話しかけてんの?

「……………………。はじめまして」

「おい何やってる」

痺れを切らして怒ろうとするお付きの人を''総代表’’が制止する。

「え…今井先輩?」

え…今井?

「これは妹だ。……多分」

えええええーーーーーーー!!!??

 

場所を変えて、話そうとする今井兄妹を物陰から見る。

ウチ蛍に隠し事された…!?

ウチと委員長だけでなく、お付きの人や他の一般生徒も何人か一緒に隠れて盗み聞きしようとしている。

「それにしても今井先輩に妹がいたなんて…」

「でも何か兄妹ってカンジ全然しないよなー」

確かに、顔は少し似てるけど空気は重いし家族みたいな感じはない…。それにしても、なんか今井兄の顔って少し見たことがあるような…。

「両親からは、兄は私が産まれる前にもうアリス学園に入ったときいてました。それ以来、あなたとは一度も会う事が出来なかったといつも言ってました……」

「…妹が産まれたというのは両親の手紙で知ってはいた。君が同胞(アリス)で…学園に入ったというのも報告は受けていた。同じ学園にいる以上、いずれ会う機会もあるだろうとも…」

「……何で、何で父や母に一度も会おうとしないんですか。模範生なら望めば面会の機会はあったハズなのに。手紙の返事だって一度も…」

「……両親(彼ら)が、この世に僕を産みおとしてくれた事には感謝している。しかしそれ以上でも以下でもない。もうお互い住む世界の違う人間だ。特に面会する必然性を感じたことはない」

その瞬間蛍の目が見開かれる。

ちょっとあんたおかしいんとちゃう!?とつい叫びたくなり立ち上がるが、他の人達に押さえつけられて叶わない。

「…残念ながら、もうこれ以上話してる時間がない。とにかく妹がアリスだった事は僕にとって喜ばしい事に変わりない。今後何か困った事があったらいつでも相談にくるといい。助力は惜しまない」

そのままお付きの人と帰ってしまって、盗み聞きしていた人は蜜柑と委員長以外いなくなってしまった。

 

「…別に隠してたわけじゃないわ。話す機会が今までなかっただけ」

ふう…とつかれた表情を浮かべている。

ほ、蛍…。

「こういう展開になるのはある程度予想してたわ。5歳から…ずっと学園にいたらああなっちゃうもんなのかしら。人って大切なものをああも忘れて生きていけるもんなのかしら」

5歳…。

「あの人に会って、顔や仕草や性格や…自分との色んな共通点を見つける度に改めて思った。私も…あの人と同じ立場だったらああなってしまうのかなって」

「そんな事ない!蛍はちがう!」

泣きそうな目で蜜柑は蛍の言葉を否定する。

「……私がアリスだと分かった日、母は大泣きしたわ。幼かった兄を学園に渡してしまった事を母はいつも悔やんでいたから……。証明したかったの。学園に行く事が避けられない以上、逃げても結局はずるずると…両親を苦しませてしまう。だったら学園へ行って自分に出来ること…兄のことを———その奥にある両親を哀しませる真の原因をこの目で確かめたかった。そして私はわからないってこと、大切なものを見失うような自分にだけはならないってこと…証明したかったの」

思い出した。蛍のお兄さんは…お母さんの————。

学園に目をつけられていたからきっと手紙ももらず送ってもくれなくて、外とは完全に隔離されていて…。蛍のお兄さんががああなったのは、学園のせいで……。分かっててもその真実は蛍には伝えられないのがもどかしい……。

「大丈夫よ、頼りないけど私にはあんた達がいるしね」

蛍は蜜柑と委員長を見て微笑んだ。

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