「王子役の準備終わりましたー!」
衣装を急いで作ってもらい、蜜柑の準備も整う。
「おー♡似合ってる似合ってる」
「ユーリみたいにはいかないけどまあこれはこれで!」
「かわいーっ!」
ゔー、こんな王子様でお客さん納得してくれるやろかー…。アイドルの時はちゃんと男になっとるからこれとは違うしな〜…。
「あ、ルカぴょん!なー、ウチこれでいいと思う?大丈夫!?」
いつものツインテールではなく髪を下ろしているため違和感がいっぱいの蜜柑。
「…………か」
「(『……か?』)」
「か…髪下ろしてんの、初めてみた…」
「(おやおやルカぴょん…違うだろう?そこは本当は可愛いって言いたんだろう?)」
新たにルカをあたたかく見守る会体質系支部が開かれた瞬間であった。
ん?棗…?
棗がこっちを見ているのに気づいて棗の方を見るがすぐ目を逸らされてどこかへ行ってしまう。
何やの…。
「あっ、蛍!蛍はどー思う!?ウチ変!?」
「うん」
ええ!?そ、そんな…。
「うそよ、可愛いわよ」
笑って蜜柑の髪を触りながら褒めてくれる。
ほ、蛍…。もー蛍のそういうとこほんまにドキドキするよー!
「自信持って
「う…うん…っ」
そしていよいよ、開演です。
『昔々〜、とある王国のいばら城に美しいお姫様がいました〜〜♪ 姫は生まれたその日に悪い魔女から〜眠りの呪いをかけられて〜♪ ’’眠り姫’’と呼ばれるようになりました〜♪』
技術もないし音程もハモリもガタガタで下手なのに、声フェロモンの生徒で構成されているためなぜか引き寄せられてしまう合唱団の歌から劇は開始された。
『ふ、あ、あああ〜〜〜』
パーマ演じる眠り姫の登場である。
『その姫は〜猫のようにぐーたらゴロゴロ〜〜♪ それは美しさもかすむ’’怠惰’’という名の眠りの呪い〜♪ 呪いのおかげですっかり歪んだ性格に〜〜♪』
『は〜〜どっかにいい男転がってないかしら〜』
うまい、鳴海先生!なるほど、こうくるとは!ナイス配役!!それにしてもよくあの役引き受けたな…。
『全く呪いのおかげで城中の人間がぐーたらだし、呪いが
『このように意地汚い姫には恋人など到底出来ないだろうと王様は〜♪ ’’呪いを
『トンズラか、こらーーーーっ!!こうなったらにおいで王子の居場所をつきとめてやるーっ!』
パーマ…すごい、女優や…。
『その頃王子様は〜道を間違って東の隣国のお城に〜〜♪そこの国のお姫様’’白雪姫’’と運命の出会い〜♪』
蜜柑と流架が登場。城のバルコニーにいる流架に花を差し出すというだけであるが、客はユーリ様じゃないとザワザワし始め、申し訳なくなる。
『それを知って怒り狂った眠り姫は〜♪』
『許すまじ白雪姫…っ!お前達2人の仲など引き裂いてやるーーーっ!!』
ぱ、パーマの顔こっっっわ!
『復讐がぐーたらを忘れさせ〜姫はその足で東の隣国 白雪姫のもとへ〜♪ ああ危うし白雪姫〜♪』
セットは白雪姫のお城に変わり、流架が出てくる。
『可愛い清らかな白雪姫〜♪ 継母のために森へ花摘みに来た優しい白雪姫〜
「あ、動物達が…っ」
客席にいた動物達が体質系の人のサインで一気に舞台上に上がっていく。その瞬間、流架の顔はとろけ動物達とのダンスが始まった。
ルカぴょん…っ!そら嫌がるわ、この役…。でもかわいー!
そんな流架の一方では…
『ふんっ、頭の軽そうな女ねっ。あんたんとこの継娘が私の婚約者をたぶらかしたんだから責任はたっぷりと取ってもらうからねっ』
居眠り姫が白雪姫城で副担先生演じる継母を使いっぱしりにしていた。
『ちょっとあんたいい鏡持ってんじゃない、よこしなさいよ。何、真実の鏡??そうだ、この鏡を使ってあんな娘より私のが美しいって証明されれば…』
継母から真実の鏡を奪う。
『鏡よ鏡、この世で1番美しいのは誰?』
居眠り姫がそう言うと、鏡に心読みと背中がくっついているキツネ目君が登場する。
「あんたでないことは確かだよ、アハハ」
その瞬間居眠り姫(パーマ)がおでこで鏡を割る。
『白雪姫抹殺!!!』
本音で言ったな?とパーマが怒りだし、役を守りながらも心読みとキツネ目君に掴みかかりブチギレている。
『こうして眠り姫は女王に白雪姫暗殺を命じ〜♪女王は泣く泣く城で1番の役立たずを殺し屋として森に送りこんだのでした〜♪』
また流架に切り替わるが、流架は演技より動物にメロメロになったままいつも通りである。
『はぁ〜〜〜い!子猫ちゃん♡お楽しみのとこ失礼!僕は君のピンクのハートにキューピットの矢を射に来た狩人♡ よ・ろ・し・く☆』
フェロモンを撒き散らした鳴海が出てきた。
『なーんて♡そう見せかけて実は本物の矢を君の心臓にグサリ☆が目的だったり♡しかし女王様の命令とはいえ…こんな可愛い子を手にかけるなんてやはり僕には出来ない……。というわけで、代わりにこの愛らしい唇を奪うことにしておこうかな〜♡』
な、鳴海先生…勝手に台本変えてるやん…。
鳴海の言葉に危機感を覚えた流架が鳴海を突き飛ばし逃げていく。
『白雪姫危機一髪〜♪ 逃げて逃げて迷子になる程森深く〜〜そ・し・て、たどり着いたのは7人の小人達の家でした〜♪』
1人ずつ小人達が自己紹介をしていく。
『そして最後にこいつが ’’動物好き’’』
『よ、ようこしょ白雪姫〜。こちりゃは僕のおともらちの山猫くん〜』
『………………
どう考えてもキレている声に、不機嫌そうな顔なので、客席はシン…と静まった。
舞台裏では帰ってきた棗を気まずそうにみんなが迎える。
めずらしいもん見てもうた〜…。
隣で蛍さんは録音をしてニヤニヤしているが…。
『しかし白雪姫が生きてる事はあっという間に眠り姫の耳に〜♪』
『うぬー!なんてしぶといやつなの!王子も来ないし!こうなったら私が自らこの’’スーパーかみつき毒々リンゴ’’で白雪姫の息の根を止めてやるわー!』
『眠り姫の巧みな画策により〜白雪姫はリンゴの毒で永遠の眠りへ〜この眠りを覚ます方法は王子様のキスのみ〜♪』
ここで、また道に迷った王子様が偶然通りかかって小人に囲まれてる白雪姫を見つけるんよな、よし…!
『おお、この人はあの日出会った愛しい白雪姫!なぜこのお方がこんなところに…?』
『眠り姫によって毒殺されてしまったのですー』
『おおっなんということだ、せめて最後にお別れのくちづけを…』
えっと、おでこにするフリをすれば…
台本を思い出しながら、屈んで流架にキスをするフリをしようとすると、’’
えっ、ちょ、うそっっ!?
舞台袖もいきなりの変更でザワザワしている。
「なっ、あいつ…佐倉、気にすることは…」
カンペを見た流架が小声で蜜柑に話しかけるが、混乱でそれどころではない蜜柑。
え————っ!!キスてキスてキスて!!そ、そんなん困るよー!えーい、口の横、ギリギリ寸止めだったら…!!
そう思い目をギュッと瞑り顔を近づけていったとき…カコンッと蜜柑の頭に何かが当たった。そしてその瞬間舞台の照明が一気に消えた。棗と蛍である。
『ひ…姫は王子のキスにより毒の眠りから目覚め、めでたく————』
その後、体質系の皆さんの