あれから仕事をかなり増やし、何回もお母さんと志貴さん、伯父さんとの計画を練っている。
今、ウチはよくわからんウイルスにかかって体調が壊しやすくなっている設定になっとるらしい…。そのせいで最近は寮の部屋やなくて本部の部屋で寝泊まりさせられている。
そんな嘘バレるんやないかと思っとったけど案外今のところ大丈夫っぽい。
「みんなおはよ〜」
教室のドアを開けると、蛍や委員長達が駆け寄ってくる。
「蜜柑!あんた、体大丈夫なの?」
「数日間また休んでるから心配だよ〜…」
ありがたいことに仕事はたくさんきているため、ちょこちょこ休んで怪しまれないために数日間休んで学校へ行きまた数日後にしばらく休み……というのを繰り返していた。
「ごめんごめん!大丈夫!心配してくれてありがとうな」
久しぶりのクラスメイトとの会話に話をはずませていると、鳴海が教室に入ってきたためそれぞれ自席に戻る。
「あ、棗とルカぴょんもおはよ!久しぶり〜」
隣の席である棗とその隣の流架が目に入り、挨拶をする。
「おはよ、佐倉。体調大丈夫?」
「へーきへーき、ありがと!」
棗は相変わらず仏頂面で漫画をずっと読んでいて無視である。
変わらんな〜…。体調崩してるんだから(そういうことになってるだけやけど)、気にしてくれたってええんちゃうの??ウチやったら棗が体調悪いとき心配したるのに。薄情者!!
「今日はみんなに転入生を紹介したいと思いまーす♡」
転入生?
「小泉月です。はじめまして」
……………………え??
「えー、小泉さんは病弱で、アリスを使うと体調に著しく影響を及ぼすタイプということもあり彼女に関してはむやみにアリスを使う事を禁止しています。なので彼女がこのクラスに慣れて少し落ち着くまで、彼女のアリスについてはしばらくの間秘密です」
…初校長も動き出したってことやな…。狙いはきっと———ウチ。
「では小泉さんの席は……あいてるのは樺屋木くんの隣だね」
月が樺屋木の隣へ行くと、いきなりすごい形相でゴボゲホと恐怖を感じるほどの咳をし始めた。
「えーーーっと、小泉さんその席ダメなの?」
どこならいいんだろ〜、と鳴海が悩んでいるとスタスタ蜜柑の方へ歩いてきて、蜜柑をじっと見つめてきた。
「あの…」
え?
「……は」
棗が月の方を見て不機嫌そうな声を出す。
「あー小泉さん、棗くんの隣?そこはもうルカ君とパートナーの蜜柑ちゃんが————」
鳴海がそこまで言うと、またさっきみたいな咳をし始めた。
「えーい!もう代わってあげちゃって!」
そう言われ、仕方なく席と立ち移動しようとすると腕が掴まれていて動けない。
「何だてめえ。自分の隣に誰が座るかは俺が決める。ここにいろ蜜柑」
棗……。
するとまた月が咳をし始め、今度は血のようなものを口から垂らしている。
それがもうなんか怖くて、ウチもルカぴょんも棗を説得してウチの席に小泉月が座ることになった。
「そういえば蜜柑ちゃんも学園にはすっかり馴染んだし…小泉さんと、棗君のパートナーをそろそろ交代ってのがちょうどいいかな?いいよね、蜜柑ちゃん?棗くんがパートナーなの、ずいぶん嫌がってたし。じゃあそういうことで!HR終わります♡」
勝手に色々進んでしまった…。パートナー解消も何から何まできっと初校長が仕組んだことな気がする…。次お母さん達に会う時にこのことは絶対伝えなあかんな…。
「おーい、みんな!小泉さんが少しだけアリス見せてくれるって!」
考え事をしていると、小泉月の周りに集まっていたクラスの子らがそう騒いでいた。
「————あれ、 アリス確かに使ってるんだけど……ごめんなさい。もう疲れて、無理だわ…。まるで何かにアリスを消されてるみたいに力が現れないの」
月がそういうと、クラスの視線が蜜柑に集まる。
…は。
「ウチちゃうよー!無効化なんかしてへんよ!」
「あなたは…」
「あ、ウチ佐倉蜜柑。アリスが無効化やねん」
すると、月が目を見開いて蜜柑のことを見てくる。
「あなたが…あの……」
少し不適な笑みを浮かべながら手を伸ばしてきたと思った瞬間、横から出てきた棗と蛍に体を押され蜜柑は後ろによろける。
すると何事もなかったかのようにさっき前での取り繕ったような笑顔に戻った。
蛍は直感かもしれへんけど…棗は完全に学園側の企みが関係していることに気づいたっぽいな…。
何はともあれ、初校長が動いてきたのは事実。はよ計画を進めな…。