あのあと、結局仕事の時間になってしまい、教室には戻れなかった。
蛍達は心配しとるやろか…申し訳ないなぁ…。
迎えの車に乗り込むと、大輝達はすでに乗車していた。
「よー!蜜柑」
「久しぶり、蜜柑ちゃん。お疲れ様〜」
学園でのことなんて一切知らないいつも通りのみんなを見て、チクチク胸が痛かったのが和らぐ。
「…みんな、お疲れ…!」
ここでは周りからの目なんて気にしなくてええんや、と思うと泣きそうになったのを必死に堪える。
「ん?どしたの、蜜柑。元気ない…?」
碧が心配そうに蜜柑の顔を覗き込む。
「………うーん、ちょっと…元気ない、かも……」
大丈夫と誤魔化そうとしたが、3人の前では素直でいたいと思いそう答える。
最近は蛍の前でも迂闊に本音を出せなくなっていたため、正直な気持ちを言葉に出したら堪えていた涙がこぼれてしまった。
「え、蜜柑ちゃん!?」
「あれ、ごめん…こんなつもりやなくて…」
本当は、辛かった。耐えなくちゃってわかっとったけど、弁明すらできず何を言われてもかまへん!とニコニコ気にしていないふりばかりで、本当の気持ちを出すことをいつの間にかせんようになっとった。
抑えてた思いが溢れてきてぼろぼろと涙が止まらない。
「み、蜜柑…!よしよし、どうしたの〜!」
「蜜柑ちゃん、僕達でよかったら話聞くよ?」
「こ、このお菓子あげるから元気だせ…!な?」
3人があたふたしながら声をかけてくれる。碧は頭を撫で、悠真はハンカチで涙を拭いてくれて、そして大輝はとりあえず大量のお菓子を渡してくれる。
「うぅ〜…ありがと〜…」
その後仕事をこなし、蜜柑達は楽屋で帰りの準備をしていると話し合いをしていた社長が戻ってきた。
「あ、しゃちょーお疲れ様でーす」
「お疲れ様。今日撮影したものを確認してきたのだけど…ミスがあって何個か撮り直しになったわ。でも明後日からは数日間、関西でロケの予定でしょう?だから明日撮り直しのためにまた来てくれないかと頼まれて……大丈夫かしら…?」
申し訳なさそうに社長が聞いてくる。
「僕達3人はただ自主練する予定だったので大丈夫ですよ。蜜柑ちゃんは?」
「あ、うちも大丈夫です」
「みんなありがとう、急で申し訳ないわ…。特に蜜柑ちゃんは、明後日から授業を休むのだからせめて明日は行かせてあげたかったんだけど…ごめんなさいね」
今日あれからみんなと話せてなかったから明日話したいと思っとったけど…しゃあないか…。
「うーん、そうなると…学園との移動時間を考えると休む時間があまりとれないから今日はマンションの方に帰るって学園にこのあと連絡しておくわね」
「えー!蜜柑今日一緒に帰れるの!?うれしー!」
どうせ帰っても本部やから誰に会えるわけでもなかったし、今一人になるのもなぁって感じやったからそれはちょっと嬉しいかも…。
「明日の休みがなくなったお詫びとして夜ご飯は外で食べて帰りましょ!」
「よっしゃー!俺焼肉食いたい!」
「いいわよ〜!じゃあもう少し待っててね」
その後ワイワイ盛り上がりながらみんなで焼肉を食べに行った。久しぶりに人と食べる夜ご飯はとても楽しかった。
「みかーん!今日一緒に寝よ〜」
「わっ!」
髪の毛を乾かしていたら勢いよく碧が抱きついてきた。
びっくりした〜、急にどうしたん…。
「リビングに布団持ってきてさ、みんなで寝ようよ〜」
「それいいね!」
「蜜柑が初めて来た日ぶりだな!」
あ〜…あの日みんなで盛り上がってそのままリビングで寝落ちしてたんやっけ…懐かしい…。
それから寝る準備を済ませ、みんなでリビングに布団を敷いて寝る。
「電気消すぞー」
なんか学校の宿泊行事みたいでウキウキする…!
「そういえば、なんで今日はいきなり一緒に寝ようって言ってくれたん?」
「え、あー、それは…」
3人が顔を見合わせながら言い淀む。
「もしかして…昼間ウチが泣いてたから?」
すると、少し気まずそうに頷いた。
気を遣わせてしもうて申し訳ないなぁ…。
「でも、久しぶりに4人で帰ってこれたから一緒に寝たかったのは本心だよ!」
「ああ、そうだぜ!こうして寝るのも楽しいしな!」
「僕達がしたくてしたことだから気にしないで、ね?」
みんな……。
「…ほんまに、ありがとうな」
それからしばらくそれぞれ最近あったことなどの話をしていたら眠気が襲ってきた。
「明日早いしもう寝よっか。おやすみ」
悠真の言葉をきっかけにそれぞれが目を閉じる。
結局なんでウチが泣いたのか聞いてこんかったな…。それもきっと気を遣ってくれてのことなんやろ。みんなの気持ちが嬉しくて…心地よさを感じながら眠りにつくことができた。