棗が、もう佐倉に関わるな、話をするなと教室でみんなに伝えた。
佐倉がその話を聞いてしまい走り去った後、少しして棗もフラッと教室に出て行ってしまった。
その後、俺は今井達と佐倉を追いかけたが見つからなかった。そしてそのまま授業の時間に…。
「授業始めるよー!みんな席座って〜」
教室にナルが入ってくる。
「あの、先生!蜜柑ちゃんがまだ来てなくて…」
「あ〜…蜜柑ちゃんは体調が悪くなって早退だよ♡ じゃあ今日は前回の続きから———」
クラスがざわつく。さっきのせいだろうか……と。
「佐倉さん、本当に来なかったわね…」
休み時間に正田が話しかけてくる。
「うん…」
「本部にいるから会いにもいけないし…困ったわね」
「大丈夫かなぁ…蜜柑ちゃん」
今井や飛田、小笠原、梅ノ宮、心読みとキツネ目も集まってきた。
「そうだねー、明日は来るといいねー…」
佐倉…最近体調を崩しがちだから心配だなぁ……。
寮にいないせいで、学校を出ていってしまえば会いに行けないのが焦ったい。
「あいつはズル休みしたくて早退しただけだ!」
どうすることもできないと悩んでいたら、小泉の囲いをしているクラスメイト達が話に入ってきた。
「蜜柑ちゃんがそんなことするはずないよ…!」
「そうよ、きっと蜜柑ちゃんは本当に体調が悪いのよ」
小笠原と梅ノ宮が反論するが、もちろん効果はない。
「みんなに心配してもらいたくて、目立ちたくて体調不良ってことにして早退したんだ!」
「そうだそうだ!きっと小泉さんが俺達から慰められてたのが羨ましかったんだろ」
どうしてそんな話になるのだと、佐倉はそんなことしないと思うだが、今までそんな風に意見しても納得してもらえたことはない。
こういう噂がどんどん増えていっていて、佐倉は言いがかりをつけられて…B組の人以外からも遠巻きにされていたり絡まれたりすることもある。
「信じてくれないの…?」
小泉もこっちに歩いてきた。
「蜜柑が嘘をついた証拠はないわ。最近体調を崩して休んでいることが多かったし、本当だと思う方が自然じゃないかしら」
「でも、廊下で会った時の佐倉さんは元気そうだったわ…。首を締めてくるほどだもの」
「何度言ったら分かるのよ!そこからおかしいって言ってんのよ!」
今井も正田も呆れながら主張するがやはり効果はない。
「ひどい…みんな私のこと、疑ってるの…??」
うるうると目に涙を浮かばせながらこちらを見てくるが、俺達は揺らがない。
「僕らは信じてるよ!小泉さん!」
「泣かないで、大丈夫!あいつらが嘘言ってるだけなんだから」
そう取り巻きに慰められながら離れていった。
「何よあれ!本当にムカつくー!!」
「まぁまぁ正田さん、落ち着いて…」
どうしてあんなに佐倉に嫌がらせをするんだろう…。それにこの前の棗との会話…。
佐倉と棗が心配でたまらない。
「とりあえず明日あの子が来るのを待ちましょ」
今井の言葉に全員が頷く。
しかし、佐倉は次の日も、その次の日も、またその次の日も……登校してくることはなかった。