「今いいかしら。みんなに話があって…アリス学園から、またライブをしてほしいと仕事の依頼が来たわ」
ロケ収録のために関西にきて2日目。休憩時間にのんびり休んでいると、そんな話が出てきた。
「近々初校長主催のライブを開催することになったみたいで…そこにぜひStella Curareを、と。アリス祭で代打として出演協力してくれたお礼も兼ねて頼みたいそうよ」
急に…?お礼といっとるけど、初校長のことや…裏がありそう…。
その話を聞いた後に手紙がヒラヒラと蜜柑の前に落ちてきた。
これって…
みんながその話に夢中になっているうちに手紙を手にとり開く。
それは予想通り柚香達からのものだった。
蜜柑へ
最近会えていないけど、元気にしている?お仕事お疲れ様。
計画について話が進んだから、手紙を送らせてもらったわ。
蜜柑が入っているグループが学園でライブをすることになったという話はもう聞いたかしら?
伯父さん伝いでこの話を聞いて、その日に計画を実行するのが良いという結果になったの。
蜜柑の動きはこの前話した計画の通りだけど…きっと初校長は対策しているはず。
お互いに警戒しながら合流しましょ。
蜜柑に会えるのを楽しみにしているわ。お仕事頑張ってね。
お母さんより
お母さん…。
ライブの日に、何もかも全てがかかっとる。失敗は許されへん。
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あの子が棗君の言葉を聞いた後早退してしまってから3日が経った。
相変わらず教員は体調不良というだけで何も教えてくれない。
それに、感染したウイルスについてまだ治療できていないなんて…この学園には優秀なアリスを持った医者ばかりのはずなのにそんなのあり得ない。
この学園の教員は…信用ならないわ。
「今井、それ…何してるんだ?」
流架君が話しかけてきた。
「盗聴器よ。適当な教員に忍ばせるの。先生同士で蜜柑のこと何か話すかもしれないじゃない」
そんなものを…と引いた目で見られているけど、あの子のためだもの。そのくらいやるわ。
盗聴器を作り終わり、誰に貼り付けよう…と思いながら教室を出るとちょうどナルが通った。
「あれ、今井さんとルカ君?二人でいるなんて珍しいね、どうしたのかな〜♡」
「あの…蜜柑は大丈夫なんですか?」
「ああ、蜜柑ちゃんは大丈夫!あと数日経てば学校に来られるようになると思うよ♡」
相変わらず掴めない奴ね…。
「佐倉の病気の原因って…」
「んー僕も詳しく知らされてないんだけど…治療は開始されているみたいだよ♡原因もわかってるんじゃないかな」
誤魔化すみたいな雰囲気がいつもいつも引っかかる。
「あ、僕もう職員室帰らなきゃだから♡」
そう言って去ろうとするナルの背中に盗聴器を忍ばせる。小型だから気づかれることはないはず…。
それから受信機の電源をつけ、流架君にも音声が聞こえるようにヘッドフォンを渡す。
『あら鳴海先生。お疲れ様です〜』
『お疲れ様です』
職員室での会話が聞こえてくる。
問題なく機能しているわね。
『おい鳴海、この書類さ……』
『授業について相談があって…』
『このイベントのことなんですが……』
数十分聞いていたが蜜柑に関係のない話ばかり。
やはり難しいかと諦めかけていたら—————
『あぁ〜、つっかれたー…』
『なんだ鳴海。そんなに疲れてるのは珍しいな』
鳴海と岬が会話を始めた。
『いやー、蜜柑ちゃんのことをさっき今井さんとルカ君に聞かれて…』
『ああ、俺もたまに小笠原と梅ノ宮に聞かれるぞ』
蜜柑の話…!と蛍と流架は顔を見合わせ、二人の会話に集中する。
『病気って言ってても流石にもう隠すのがね…』
『そうだな…でも仕方ないだろう、体調不良以外の嘘では更にごまかすのが難しくなる』
『まぁね〜。引き続き、今は本部にいないってこと生徒達にバレないようにしないと…特に今井さんは…』
『気付きそうだな。…あ、もう授業の時間か』
蜜柑は…本部にいない?全部うそ…?
あの子は…一体何を隠しているの?
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「校長、佐倉蜜柑についての調査の報告に参りました」
初校長の部屋には、初校長とペルソナ、そして月がいた。
「Stella Curareで年齢操作のアリス、性別変更のアリスを使用している人物が第三者で見受けられないという報告が上がっています。様々な調査の結果から、佐倉蜜柑が行っている可能性が高いと思われます。しかし、どうしてそのようなアリスを使えているかまでは辿り着けておりません」
ペルソナからの報告に初校長がほくそ笑む。
「あの女がこちらに嘘の情報を渡していたということが分かれば十分だ。会社が大きくなったからって図に乗りやがって……。きっと佐倉蜜柑が盗むアリスを持っていて、それらのアリスを盗ったんだろう。それなら辻褄が合う」
母親からあのアリスを受け継いでるとは!と喜びをあらわにする初校長を見て、月は唇を噛みしめる。
「でも、まだそのアリスを持っていると確定したわけじゃない。それを確かめるのがお前の仕事だ、月。私のために…やってくれるな?」
初校長からの言葉に、微笑みながら答える。
「はい…あなたの仰せのままに——————」