数日に及ぶロケも終わり、久しぶりに学園に向かう。
そういえば、棗がB組のみんなに対してウチと関わるなって言ったのを聞いて逃げちゃってから初めての登校や…。すっかり忘れてしもうてた…。
「みんなおはよー!」
教室のドアを開け元気に挨拶してみる。が、やはり返事は返ってこない。目を逸らす者や困惑している者など様々な反応をしているのが目に入る。
き…気まずい〜…。
「佐倉さん!」
「蜜柑ちゃん!!」
と、思ったが、パーマや委員長、野ノ子ちゃん達は声をかけてきてくれる。
「蜜柑ちゃん体、大丈夫なの?」
「数日も休むから心配したじゃない!」
変わらず接してくれるのが嬉しい。
「心配かけてごめんなぁ〜、もう元気や!」
そのまま話していると、蛍と流架も近づいてくる。
「蜜柑。少し話があるんだけど…いいかしら」
緊張した面持ちで話しかけてきた。
人気のないところまで2人が歩いて行くのに素直についていく。
「ここら辺でいいかしら」
森の中にこんな池あったんや…。
透き通っていて綺麗だが、池にしては数メートル深く作られているのが珍しい。
「早速本題に入るのだけど…蜜柑、何か私達に隠し事をしてない?」
え………?
「2人とも何やねん、いきなり〜」
「佐倉」
笑って誤魔化そうとしてみるが、通用しない。
これは…きっと隠していることがもうバレとるんやな…。
「は〜…2人は何を知ったん?」
1から10まで全て知られたわけやないとは思うけど…。
「ナル達が、本部に蜜柑がいないと話していたのを聞いたのよ」
「体調が悪いっていうのは、それを隠すための嘘だって…」
仕事で学園から出てるということだけがバレているようだ。
「あ〜…それは…」
どこまで話していいのか、正直に言ってしまっていいのかと悩む。
「佐倉、棗みたいに…何か学園にやらされてるの?」
「それはちゃうよ!学園に何かさせられてるわけやなくて…えっと……」
言葉に詰まって無言の時間が流れる。
すると、少し離れた草陰から見知らぬ男子生徒が出てきた。
もしかして聞かれてた…!?
他の人にもバレてしまったのかと思ったが、その生徒はフラフラ歩いてくるだけで何も言わない。
何か、違和感を感じた。
「だ、誰や」
そう聞いても答えは返ってこず、代わりにこちらに向かって走り出した。
その先には、池の前に立っている蛍。
「蛍!!」
その生徒の手と蛍の距離はたった数十センチ…。押されれば蛍は池に落ちてしまう。
急いで手を伸ばすが間に合いそうにない。
物理では無効化のアリスも役に立たない。
蛍!!!!
助けたいと強く願うがやはり届かなくて、もうだめや…と目を瞑る。
しかし、池に落ちたような音は聞こえてこない。
……え?
目を開けると、男子生徒が蛍の肩に触れそうになったまま固まっていた。
「…あれ?俺、なんでここに……」
男子生徒は困惑しながらどこかへ行ってしまった。
何が起きたん……。
3人が放心状態のまま固まる。
「よ…よかったぁ…」
蜜柑がへたり込む。
「今井、大丈夫?」
「え、えぇ。なんだったのかしら、今の…」
安心したのも束の間。いつからか握っていた右手と、さっきの男子生徒が急に理性を取り戻した様子で、ハッとする。
もしかして……!!
右手をゆっくり開くと、そこには3粒のアリスストーン。
「蜜柑、それって…」
蛍が蜜柑に聞こうとした瞬間、いきなり黒服の大人が現れる。
3人がいきなりのことに驚いていると、蜜柑の口元にハンカチが当てられた。
「蜜柑!?」
「佐倉…!」
ハンカチを引き剥がそうとするが、体が思うように動かず意識は遠のいていった—————。
「ん……」
蜜柑が目を覚ますと、目の前には小さな男の子。
「目が覚めたかい?ようこそ、佐倉蜜柑さん」
初校長…!?
「本当は今度行うライブの日に君の大切なお仲間を襲ってアリスを使わせようと思っていたんだけど…シュミレーションがてら今井蛍でやってみたら、まさか成功するとはね」
なんやそれ…!!!
「報告は受けているよ。月のアリスで操っていた男子生徒から、月のアリスを
やっぱりあれは…!
「歓迎するよ。僕の大切な’’お気に入り’’として————」