「皆さん無事ですか!?急いで高校長の元へ!!」
どうしてここにみんなが集まっとるのか混乱してて分かってへんかったけど、のだっちのその言葉でもう事態は変わったことを認識させられる。もう隠しきられへんし、隠している理由も……。
「みんな!ウチに捕まって!!」
蜜柑が全員捕まったのを確信してすぐ、創造した
「蜜柑、来たか」
ちゃんと高校長室に移動できたらしい。
目の前には、お父さんにそっくりな伯父さんが立っていた。
「伯父さん、ごめんなさい。初校長に…」
作戦通りに動けなかったのを謝罪する。
「いや、君が無事でよかった。もうすぐ柚香達も学園に来るはずだ」
「み、蜜柑…これって…」
殿内が蜜柑に話しかける。
「あ、えーと…細かく話すと長くなってしまうんやけど…」
それから、最低限の情報である高校長との関係、柚香の話、盗みのアリスで狙われていること、秘密裏に計画を考えていてそれを実行しようとしていたことなどを話した。
「誘拐された時無効化のアリス以外を使ってたのは、盗んだアリスだったってことかよ?」
「あー、それはまた別なんやけど…」
すると、高校長室のドアが勢いよく開く。
「佐倉蜜柑を発見!確保しろ!!」
バチバチバチッ!!!
「これ以上近づけさせん」
神野が初校長の警備隊の前に立ちはだかる。
「ここは先生方に任せて、蜜柑達は私と一緒に
また蜜柑のアリスで適当な場所へ
「佐倉蜜柑がいたぞ!!」
校舎にはすでに大量の警備隊達が派遣されていたようで、どこに逃げても見つかってしまう。
みんなアリスを使ってどうにか捕まらずに逃げているが、限界がある。
早く…早くお母さんと…!
「合流などさせない」
ペルソナに行く手を阻まれてしまった。
「棗…こっちに来なさい。お前をここまで面倒を見たのは誰だと思っている」
「はっ、
棗が嫌そうな顔をして答える。
「そうか。…それなら、ここで
ペルソナは変わらず幼い時に受けた初校長からの洗脳、記憶操作で壊れたまま……。
これ以上、手をよごさせへん。きっと…お父さんも望んでおらんはず…!
「レイ」
蜜柑がその名前を読んだ瞬間、ペルソナの顔が強張る。
幼い頃に受けた初校長からの洗脳を解くように声フェロモンのアリスと望んだ声を出せるアリスを創造する。
お父さんの声を……。
「上手く…制御ができるようになったんだね、レイ」
「う…?…ぁ…」
一歩ずつ蜜柑がペルソナに近寄っていく。
「すっかり大きくなって…」
「ぐ…なん……あ…頭、がっ……!」
「こうして外に出て…広い空を見て、過ごせているんだね」
「…………せ……、……せんせ…い…?」
「でも……もうこれ以上、憎しみにまかせてその手を汚すのはおやめ」
「あぁあ……っ!」
少しずつ昔の記憶が思い出され、ペルソナが頭を抱えて悶えその場に縮こまっている。
その姿に心を痛ませながら、動けなくなったペルソナに近寄る。
「ペルソナ…思い出して…!お父さんとの日々を!お父さんは、あんたのこと…芹尾レイのことすごくすごく大切にしとったやろ!!」
嗚咽しているペルソナに触れる。
思い出して…!!
初校長から受けていた記憶操作を無効化のアリスで消し、記憶操作のアリスを創造、使用して昔の記憶を完全に呼び戻させる。
「う、うわぁぁああぁぁあ!!!」
感情が昂り自分の強すぎるアリスを抑え切れないのか、制御ピアスは壊れ肌に腐食のアリスによる染みが現れる。そしてペルソナはその場に倒れた。
「蜜柑、大丈夫!?」
棗や蛍、翼達が蜜柑に駆け寄る。
「ウチは大丈夫、ありがとう」
目から涙が溢れる。
「一体何が…。それに、佐倉から聞こえた男の人の声って…」
「ペルソナの大切な、先生の声」
倒れているペルソナに、無効化のアリスの
「何して……。え…染みが…っ!」
これでとりあえずペルソナは大丈夫やろ。はよお母さんに会わなきゃ…。
————————————————————
「柚香、こっちだ」
「ええ!」
蜜柑……無事でいて…!
志貴と柚香は高等部の校舎まで辿り着き、蜜柑を探していた。
とっくに日は暮れ、外に人の影はない。
「久しぶり、柚香」
すると、物陰から1人の女性と警備隊が現れた。
「あんた、その姿…」
そこには、体が衰弱していて中学生のような身体の月が。今まで体を小さくしていた副作用だ。
自分をそこまで犠牲にして、何故
「月…もうやめて、これ以上自分を追いつめるようなマネ…。
「うるさいわね。何もしなくても愛を…関心を当たり前のように享受してきたアンタなんかに分かったような事言われたくないわ。さっさとこいつを捕まえて!」
月が後ろに並んでいた警備隊達に指示を出す。
「柚香、中へ…!!」
志貴が伸ばした手に捕まる。
「
高等部の校舎内に移動すると、徘徊していた警備隊に見つかった。
「校舎内にもこんなにいたのか…」
あの男がどれだけ私達を欲しがっているのかがひしひしと感じられるわね…。
蜜柑のことがより一層心配になる。
「いたわ!どこに
少し経つと月にも追いつかれてしまった。
前にも後ろにも大人数の警備隊達に阻まれ、逃げ場がなくなる。
「もう終わりよ、柚香」
2人でこの人数から逃れるのは………。どうしたらいいの…!
「うわぁああ!!」
すると、柚香と志貴を囲む警備隊達の叫び声が向こうから響いてくる。
何事…!?
「お母さん、お母さん!」
警備隊の向こうから見えてきたのは、蜜柑や棗、翼、鳴海達だった。
「蜜柑っ!!」
走ってきた蜜柑を抱きしめる。
「よかった、無事で…」
「お母さんこそ…。ごめんなさい、ウチ…せっかく立てた計画を……」
「いいの、いいのよ…蜜柑が無事ならそれで」
怪我もなさそうでとりあえず安堵する。
「あら、感動的な親子の再会ね」
月はさっきよりも鋭い目線を向けた。