「本当に忌々しい…。ペルソナは何しているのよ」
睨んでくる月に対して、お母さんは睨み返すのではなく逆に心配しているかのような表情を向ける。
ウチは知っとる、お母さんはまだ、小泉月のことを…変わらず————。
なんでこんな風に敵対せなあかんの…。二人とも、子供の時はあんなに仲が良かったのに。
2人の関係も壊した初校長に改めて憤慨する。
「ペルソナがダメになるなんて…やってくれたな、佐倉蜜柑」
ウチらを囲っている警備隊の後ろから初校長が現れる。
「初校長…!!今、
月が話そうとすると、突如 バン!!という音が響いた。
……………え……?
重い音を立てて倒れる。初校長側であるはずの……月が。
「え…え?しょ、こうちょ……な、なに、を…?」
なんでウチらやなくて小泉月を…?なんなん、どういうこと…!?
「月!!!!」
蜜柑が回していた腕から柚香の体が消える。
「月に何したのよ!!」
柚香が月を抱きかかえ涙を流しながら怒鳴る。
「ただの麻酔薬だ、心配することはない」
「一体……なぜそんなことをする必要があるんだ…!」
高校長が今までに見たことがない形相で問いかける。その表情はいつもとは全く異なっていて蜜柑はゾッと背筋が凍った。
「こんなに人を使わせているのに未だ捕らえられない奴はただのお荷物だ。そんな奴は邪魔にならないよう静かにしておくものだろう。さっさとそのアリスでも使って操ればいいものを」
「そ…そん、な…ぁ。か…からだの大きさ、を…変えていた、ふくさようで……アリスをっ、ぁ、あまりつかえない、と……伝えて、たはず、では………!」
麻酔で口も上手く動かせないのか辿々しい口調で必死に話しかけている。
「ああ、そんなことを言っていたな。しかし、今まで何年も何年も…長年私が強く渇望していた!盗みのアリスのためだ!今度こそ手にするためならお前は命でもなんでもかけても当然だろう。それくらいやってみせろ」
初校長からの言葉に月は涙を流す。
なんで…そんなひどいこと…。小泉月がウチらに酷いことをした事実は変わらんし、ウチは好きやないけど…それでも初校長にとってはずっとそばにいて支えてくれとった存在なはずやのに。
「奴らを拘束しろ」
初校長がそう言った瞬間、蜜柑や蛍、翼、鳴海、高校長達がみんな
「蜜柑、志貴、ナル!みんな!」
い、いたい…!
自然と目に涙が浮かぶ。
「この…!!」
「なんだこれ!アリスが使えない…っ」
みんなが暴れるが押さえつけられ身動きが取れない。さらに、蜜柑と柚香以外全員がアリスを使えなくさせる手錠なようなものをつけられたせいで抗う術を消されてしまった。
ウチだけでもアリスを封じられてへんのが不幸中の幸い…自分のアリスで対応しきるしかあらへん…!
そう思って、自分と柚香以外全く動けない状況で不安に駆られるのを必死に抑える。
「柚香達に何するつもりだ!」
志貴が必死の形相で叫ぶ。
「ただ、佐倉蜜柑にアリスを使ってもらうだけだよ」
その瞬間…バン!!!という音ともに、今度は火薬の匂いが鼻につく。
「あぁあああああああ!!!!!」
え?……………………え????
目の前には、月を抱きしめながら喚き声をあげ真っ赤な血をだらだらと流している柚香の姿があった。