「ゆ、か……、ゆか…………ちゃん…っ!!!」
月が大粒の涙を流しながら柚香になんとか手を伸ばして名前を呼ぶ。
柚香のお腹からは絶えず大量の血が流れている。
志貴や鳴海…みんなの叫んでいる声が校舎内に響く。しかし蜜柑にはその声は遠のいて聞こえない。予想していなかった展開に口を開けたまま固まっていた。
な……なんでなんでなんでなんで???嫌、嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!!!!!!おかあさん!お母さんお母さんおかあさんお母さんお母さんお母さんおかあさんおかあさん!!!!!
「ああああぁぁぁああああ!!!」
初校長を倒すために風のアリスを創造し拘束してきていた警備隊をふっ飛ばす。初校長にアリスをばらしてはいけないなんてことを気にしている場合ではなかった。
無我夢中で初校長に近づき、創造した炎のアリスを放つが跳ね返されてしまう。
「なんだ、アリス
こいつ…こいつこいつこいつこいつ!!絶対にゆるさへん!!!
「話は戻すが…私はもちろん治癒系の強いアリスを持った人をたくさん知っている。もし必要だったら、すぐにここに連れてくることを約束しよう」
のんびり話し始める初校長にまた攻撃をしようと動くが、さっき吹き飛ばした警備隊とさらに他の警備隊にも押さえつけられる。
「ただし、佐倉蜜柑。君の母親が私の中に入れた有害なアリス
「ダメ、よ…蜜柑!それだけは、絶対に!ダメ…っ!!」
「まあ君がやってくれなかったら、ただ君の母親を殺すだけだが」
そういって今度は柚香の足を撃った。柚香の悲鳴が蜜柑の耳をつんざく。
「ほら、このままでは本当に母親が死んでしまうよ。盗みのアリスはひとつあれば十分だからな。それに佐倉蜜柑、君の方が寿命が長いだろうしだしちょうど良い。もし柚香が死んでもこちらは特に困らないさ」
「この…!!ふざけるなぁあああ!!!!そんなこと、させるわけないやろ!!!」
先ほどよりも強く風のアリスを使い警備隊達をまた吹き飛ばす。
「何度やっても無駄だ、攻撃は効かないと……」
「ウチのアリスは……盗みのアリスだけやないのを忘れたんか!!」
余裕の表情で立っている初校長を炎で包む。結界のアリスを 無効化 させたのだ。
「な……うわああああぁぁあ!!」
初校長の体が少し焼けていく。
「しょ、初校長をお助けしろ!!!」
志貴や高校長、棗達を抑えていた警備隊が初校長のために押さえつけるのをやめ炎の方に近づく。
「ただアリス石を使っているだけだからかそんなに強くない!」
「早く消火して、
創造して使うことができてもそれが棗のような強いものにできるとは限らない。このままでは簡単に火を消されてしまう。
それなら———————。
「みんな、たすけてっ!!」
創造のアリスを駆使して、なんとか志貴達のアリスを封じている手錠を外す。
その瞬間、初校長の周りをさらに大きい炎が包み、雷が警備隊達を感電させる。
棗と神野だ。そして殿内が棗のアリスを増幅させることでさらに強い炎が生まれている。
「蜜柑!!」
「佐倉!」
一気にアリスを使って消耗した蜜柑は、ゼェゼェと過呼吸のような荒い息をしながらその場にへたり込む。そしてそんな蜜柑を蛍や流架、翼と野田が支えてくれた。
焦点が合わない目を柚香の方に向けると、高校長、志貴、鳴海が駆け寄っているのが見える。
「柚香!柚香!!」
「柚香先輩…っ!!」
力なく倒れている柚香を囲んでいる、その様子が。