ふっと目を開けると目には眩しい光が入り込んできた。
う、身体が重い……。
「蜜柑!」
涙を浮かべた蛍が覗き込んできた。何も考えられず、ボーッと蛍の顔を見つめる。
「よかった、目が覚めたのね…。今、兄さんや先生達を呼んでくるわ」
そうだ…初校長と戦って、それで…お母さんを………。
視界がぼやける。ボロボロと涙が止まらない。
「蜜柑ちゃん!」
鳴海が勢いよくドアを開けて入ってきた。
「よかった、体は大丈夫…?」
「な、る……み、せ……」
喋ろうと思っても、掠れた声が辛うじて出るだけで思うように話せない。
「アリスを使いすぎて倒れ、君は2週間ずっと眠っていたんだ。しばらく声が上手く出せないだろうが安静にしていれば問題ない」
鳴海とともに入ってきた昴が蜜柑に説明する。
「心配したのよ、蜜柑。…本当に、よかった……」
「ご…め…」
抱きしめてくれた蛍の体温を感じる。
「あ、……おか、あさん…は…っ」
そう聞くと、鳴海は微笑んだ。
「無事だよ。まだ全然動けないけど、もう意識も戻って回復に向かっているよ」
え………?お母さんが、生きてる……?
歩けない蜜柑を鳴海が車椅子に乗せ、柚香の病室まで運んでもらう。
ある病室のドアを開けると…ベッドに横になっている柚香と傍に座っている志貴が目に入った。
「あ……蜜柑…!!」
鳴海が柚香のそばまで蜜柑を連れて行く。
涙を流しながら柚香が必死に蜜柑に手を伸ばした。
「おかあ、さん……お、かあさ…ん…!!よかっ…た…、よ…かっ、た…」
掠れた声で大声で泣いた。母の温もりを、母をもう離さないように伸ばされた手を握りしめながら…。
「蜜柑落ち着いた?」
隣でずっと背中をさすってくれていた蛍が声をかける。
泣きすぎて声が出なくなった蜜柑は、鼻水を啜りながら小さく頷く。
それにしても、どうして…?あのときウチの治療じゃ間に合わなかったはず…。
「君は癒しのアリスを使用したそうだな。なぜそれを使えたのかは今は置いておくが…。君の治療だけでは柚香さんが助からなかっただろう。しかし、出血は止まっていた。そのおかげで時間に猶予ができたんだ。その間に医療班が到着し治療を行なってなんとか一命を取り留めることができた。君のおかげだ、よく頑張った」
昴が蜜柑の肩に手を置いて励ました。
もうダメやと思った、ウチのせいやと…恵まれたアリスがありながらそれを活かしきる力をつけてこなかった自分が悪いんやと後悔しとった……。
でも、そんな弱い力でも、必死に、懸命に動いた自分の力が母を救ったんだと蜜柑は少し救われたような気がした。