そしてあっという間に試験の日。
「はーい皆さん、試験1日目は国語から!今年もテスト問題は施行を凝らしてみました♡楽しんでもらえると嬉しいな〜♡」
【問】僕(鳴海)に対して愛の手紙を書きなさい。ただし、授業で習った漢字を5つ以上入れること、修辞法、倒置法、比喩法、謙譲語、体言止めのうちどれか三つを使用すること
「気に入ってくれるかなぁ♡」
気にいるかボケェ!!とクラスメイトのほとんどの気持ちが一緒になった瞬間だった。
「鳴海先生のことだから変わったテストだろうなとは思ってたけど…」
委員長ですら苦笑いしてるなんて…いつもどういうのか逆に気になる…。
「嘘のつきすぎで脳みそグニャグニャスパゲッチー」
そんな言葉を吐いている心読みはすでに疲れ切った様子だ。
「えー、ウチは国語のテスト楽しかったなぁ」
「そんなの佐倉だけだよ…」
ルカぴょんもなんかげっそりしとるな…。
「あっ、棗…は…」
「白紙」
やっぱり………。
次は岬先生の理科!
「試験中にアリスは使うな、と言っても聞くお前たちじゃないのは毎年のことだ。なので今年は1人に1つ、この"サボ点"をつけることにした。不正行為を見つけたらその場で処罰が下るのでそのつもりで」
そして鉢植えに植えられた動くサボテンが一人一人の席に置かれる。
答案を書くたびに、マジかよこいつアホそうなのに…とでも言いたげな顔で見てくるサボ点にイライラしながら答案用紙を埋めていく。
途中、アリスを使った心読みがサボ点に大量の棘を刺されていて、教室にはより一層緊張感が漂っていた。
そんな調子で普通とは違いすぎるアリス学園のテストをこなしていった。
そして2日目、最後の試験は家庭科。担当の副担先生が前で説明をする。
「家庭科のテストは…すまし汁とチャーハンをペアで作ることです…。各工程を全てチェックし、最後に味付けをみて満点を100点とし、未完成は50点になります…っ!では、始めてください…!」
一斉にみんながそれぞれ作業を始める。
「よし、行くで!パーマ!」
「え、えぇ…!昨日の特訓の成果を見せてやるわ!!」
昨日の夜、料理が大の苦手らしいスミレの悩み相談を受け一晩中2人で特訓をしていたのだった。
スミレが食材を慎重に切っていく。
「頑張れ、パーマ!ウチがサポートするから一個ずつ頑張って!」
スミレのやることを奪いすぎないようにしつつ、制限時間に間に合うよう蜜柑が進めていく。
そして、他の班より遅れながらも無事調理が終了した。
「や、やったーーー!!!」
「あとはお皿に盛り付けるだけね!」
スミレがすまし汁が入った鍋にレードルを戻してお椀を取りに行こうと動いた瞬間、鍋がグラッと揺れる。
「っパーマ!!!」
蜜柑はあまりにも咄嗟のことで、何かを創造する余裕もなくそのまま手を伸ばしてしまう。
「きゃあ!!」
スミレの体を押した蜜柑の腕にすまし汁がかかり、火傷の痛みに顔が歪む。
「佐倉さん、正田さん大丈夫ですか!?」
「蜜柑!」
副担先生と棗が駆け寄ってくる。
「だ、大丈夫、です…これくらいなら…」
そう言ってすぐ治癒のアリスを創造し火傷を治す。
「それでも保健室に行きましょう。飛田さん、今井さん!佐倉さんをお願いできますか?僕はこちらの対応をしますので」
固まっていた2人もハッとしすぐに駆け寄り蜜柑を連れていく。
「ご、ごめんなさい佐倉さん…わ、わたしが……」
自分の責任なのではと泣きそうになるスミレに蜜柑は笑いかける。
「パーマのせいやない!だいじょーぶ!ギリギリ一杯分はありそうやし…提出頼んだで!」
保健室で一応のために治療してもらい、無事委員長、蛍と共に教室に戻ってきた。
「蜜柑!」
「佐倉さん!!」
ドアを開けるとみんなが駆け寄ってくる。
「蜜柑〜!心配したよ〜…」
うるうるになっている碧をあやしながら、みんなに感謝を伝える。
「みんな大袈裟やな〜、アリスですぐ治したし!大丈夫やよ。パーマのせいでもなさそうやったし!」
そう、あのとき鍋はしっかり安定したところに置いてあったし、スミレが引っ掛けたという状態でもなさそうだった。
グラッと揺れたのだ、急に…ひとりでに。