あれから社長さんが猛スピードでStella Curareデビューの準備を進めていた。
さすが有名事務所というだけあってか、あっという間にデビュー発表の後、初仕事のテレビの出演まで決まっていた。デビュー楽曲のレコーディングやMV撮影なんかもあり、休みなく朝から夜まで動いていた。
「明日はついにデビュー日ね!」
「CDの発売とか配信だけじゃなくてデビュー当日にテレビの仕事まであるなんて…緊張する!」
碧だけじゃなく、大輝と悠真も同じく緊張しているようだ。
「うちらたくさん練習してきたんやし大丈夫!」
「そ、そうだよ!4人ならきっと大丈夫!!4人とも…どんどん良くなっていっていて先生達もすごく褒めてくれていたし…!」
林さんもうちらを元気づけようと頑張ってくれる。
「ま、今日はもう帰って明日に備えなさい!林、送ってあげて」
そして当日。
朝が弱い悠真も、さすがに朝早く起きて身支度を整えていた。大輝はなんとかなると思い始めたのかいつも通りに戻っていた。
「Stella Curareのみなさん!スタンバイお願いします!」
出番が近づいたのでスタッフさんに呼ばれる。
「凪!リーダーとして本番前に何かくれよ」
スタジオで待っていると大輝から話しかけられ、それに応えるために口を開く。
「俺がみた時から…3人のレベルが高くて、それぞれの強い思いを感じて…すぐ惹かれていたと思う。だから…大丈夫だ、俺達なら」
「凪くんのおかげだよ」
「悠真の言うとおりだ!凪が来てくれたからここまで辿り着けた」
「この4人なら楽しいグループ活動ができるよね!」
3人の言葉に笑みが溢れる。
「この4人なら、この4人だから最高のグループになれる。Stella Curare!輝こう」
「そして本日デビューのStella Curareさんです!どうぞ〜!」
アナウンサーさんの声をきっかけに登場する。
「みなさん初めまして。Stella Curare ナギです」
「ダイキだ!!よろしくな〜!!」
「ユウマです!緊張していますが頑張ります!」
「アオイです!こうして無事デビューできて嬉しい!これから僕たちのこと、好きになってくださいね」
4人一列になってお辞儀をする。
「Stella Curareさんは年齢不詳アイドル、と聞いたのですがどういうことなのでしょうか?」
「はい、僕達は基本的にはこの高校生くらいの姿で活動するのですが、小学生にも、おじいちゃんにもなれるんです。それを使って、今後の活動で活躍していきたいと思っています!」
ユウマが答える。
「それは面白いですね!みなさんがアリスを持っているからこそできることだと聞きましたが、みなさんのアリスではそのような年齢を変えるものがあるようには思えなかったのですが…」
「それは企業秘密!でも俺たちのアリスを使ったライブも計画しているよな」
ダイキがメンバーの顔を見ながら話す。
「それは興味深いですね!それでは、Stella Crareさんに楽曲を披露していただきましょう!スタンバイお願いします!」
「よろしくお願いします!」
「よっしゃー!」
「僕達のステージ、楽しんでみてねぇ!」
「よろしく」
テレビでのデビュー曲ステージは大成功。そして瞬く間に人気グループの一つになった。
見た目は高校生だが、中身はただの小学5年生であるため社長が仕事の数をかなり制限してくれていたおかげで楽しみながら4人で活動できていた。
そんな日々も楽しかったが、蜜柑は本来の目的は忘れていない。
しばらく活動し、活動が安定してきたのをきっかけに、社長さんと林さん、メンバーを集めて話をしいようと決めた。
「お待たせしてごめんなさいね。話って何かしら、蜜柑ちゃん」
会議が終わった社長が戻ってきた。部屋には社長さん、林さん、大輝、悠真、碧がいる。
「実は…うち、アリス学園に行きたいんです」
そういうと、メンバーの3人が驚いた表情をする。
「蜜柑、なんで?僕達との活動…楽しくなかった?」
碧が泣きそうな顔をしてそう言う。
「あー、ちゃうよ!Stella Curareの活動は楽しんどるよ。元々うちが東京に来たんは、アリス学園に入った友達を追ってやったんや。その友達が学園でどうしとるのか不安で…。Stella Curareの活動が安定してきた今やから、アリス学園に行きたいと思ってん」
部屋に静寂が訪れる。
「蜜柑ちゃんがそうしたいなら止めないわ。元々断っていたあなたを入れてたのは私だもの。でも、Stella Curareの活動はどうしたいと思っているのかしら」
「さっきも言った通り、4人で活動するのは好きです。お仕事も社長や林さんがサポートしてくれて楽しいし…。本当はこのまま活動したいとも思てます。でも…うちはその気持ちに負けんくらい追ってきた友達のところへ行きたいんです。両方できる道があればええんですけど、それは難しいと思うし…」
創造のアリスでなんとかできるかもしれんけど…。
「できるわよ?多分」
へ??
「仕事は今よりも絞ることになるけれど、学園に通いながら仕事の日は特別に学外に出してもらえるわ。3人だけだったときから学園側が提案していたものだから通ると思うわ」
そんなことできるんや…!でも、うちと朝倉凪が繋がったら、年齢を操作するようなアリスを持っていると思われてしまうんじゃ…。
「蜜柑ちゃんのアリスがバレたくないのなら、対策もできなくはないからそこは安心してね」
さ、さすが社長さんや〜…。
「蜜柑ちゃん…。それが通れば活動ができなくなるわけじゃないけど…それでもやっぱ一緒にいる時間が減るのは、寂しいな」
「まぁでも、活動一緒にできるならよかったじゃねぇか!俺は蜜柑がしたいことをしてほしい!」
悠真、大輝…。
「僕もさみしい…。でもこれがお別れになるわけじゃないなら、よかった…かな!でもやっぱり寂しいから仕事が一緒にできる時はたくさん僕にかまって!」
その言葉に笑いながら頷いた。
お待たせしました、やっとアリス学園に行きます!