第8話 学園へ
「蜜柑ちゃん、アリス学園に着いたよ」
マネージャーの林さんが運転席から振り返る。
社長さんの言っていた通り、学園に通いながら、仕事の時だけ外に出してもらえることになった。仕事の量はかなり減らすことが条件になっていたらしいけど…。
創造のアリスに関しても、年齢操作、性別変更などは社長の知り合いが協力しているからできてること、そして凪の時に音のアリスとしているのは、無効化のアリスだとあまり注目度が上がらないから名だけ、ということにした。それ以上は企業秘密だということで押し切ってなんとかなった…。
社長さん、学園に対してそれが通るなんて強すぎる…。
そのおかげでうちの創造のアリスもバレることはなく、無効化のアリスだけで申請した。
まぁ、無効化のアリスも十分特殊な気するけど…。
林さんにお礼を言って車を降りる。
メンバーの3人はあいにく仕事が入っていていない。学園まで送れないのが悲しいと、特に碧が不貞腐れていたのがとても大変やった…。
そんなことを考えながらアリス学園本部の前に降りる。
ここらへんに学園の先生がおるて聞いてたけど…。
「かーのじょっ」
え?
「おー可愛いねー」
「何してんの?1人?」
2人の男が蜜柑に話しかけてくる。
「えっ、確実にアリス学園に入れるようになる、天才養成スクールがある?」
「うん、そこに入ればアリスなんて一発合格間違いなし!」
「そのスクールすごく人気あって本当はもう生徒受け付けてないんだけど、君かわいいから特別俺達の口利きで入れてあげるよ」
なんやこの人達…。流れで話聞いてみたけど、そんなんあるわけないやん。アホらし。
蜜柑が呆れていると遠くからまた違う男の声が聞こえてきた。
「ちょっと待った♡その子猫ちゃんをどこへ連れてくつもりかなー♡」
な…何?この男っ!どこかしらかアハ〜ンって効果音まで聞こえてくるっ!?
「な、何だお前っ!」
2人組の男の片方がそう話しかける。
「何って、アリス学園の教師♡」
「うそだっっ」
男2人組とうちの声が合わさる。
「え、なんで?ほんとだよ〜?」
この男2人も変なやつやけど、この人も変や…!わからん!
「行こうぜっ。あんなチャラいの教師なわけ…」
そう言って男2人組に肩を掴まれ移動させられる。
いや、お前達にもついてくつもりないわ!
肩に置かれている手を退かそうとすると…
「さ よ う な ら ♡」
自称アリス学園の教師だという男が2人組にそう言うと、2人とも顔が真っ赤になり一目散に去っていった。
これって…。
「あぶないとこだったね…♡」
突っ立っている蜜柑に今度は近づいてくる。
「君も早くおうちに帰んなさい♡」
「わかった!!フェロモンのアリスやー!」
うっひゃー!初めて見た〜。この見た目、フェロモンのアリス…性格がかなり変わってて気づかんかったけど、もしかして’’ナル’’?
「君が佐倉蜜柑ちゃんだったんだね。話は聞いてるよ。無効化のアリスだから僕の
うちのことを案内してくれるっていう先生はこの鳴海先生やったらしい。
「蜜柑ちゃんのお迎えもそうだったんだけど…ここには他の用事もあって〜…脱走情報があったんだよね。だからその見張りに———」
鳴海がそこまで言うと、いきなりドカン!!!!!と爆発音が聞こえた。
な、何事……
「みてごらん〜、蜜柑ちゃん。あれが
見ると、学園を囲っている塀の上に1人の男の子が立っていた。黒猫の仮面をつけているため顔は見れない。
「———にしても、ちょっとおイタがすぎるかな〜」
本当はこんな事すんのイヤなんだけどー♡と言いながら豆から何かが伸びてきて、長い鞭なような状態になる。
「棗君っ!
そう言って鳴海が鞭のようなもので棗を叩く。そして叩かれた衝撃で棗が塀から落ちてくる。
「う〜ん♡可愛いお顔が台無しの予感…」
「ちょ…ちょお大丈夫!?」
あの高さから叩かれて落ちた男の子がつい心配になり声をかける。
「アリスを使って逃げようとしてもムダ♡君がアリスを使う前に僕のアリスで前みたく君にあの醜態を演じてもらう事になるよ♡」
「変態教師…っ」
ギリっと歯を食いしばり悔しそうな顔をしながらそう溢す。
「お誉めにあずかり光栄です♡」
と棗の耳に息を吹きかける。すると棗は顔を真っ赤にして倒れ込む。
フェロモンのアリス、初めて生で見た…。
「そろそろ行きますか♡」
鳴海が棗を担ぎながら声をかける。
「ではようこそ♡アリス学園へ」
学園の門の先は、タイムトリップで見た通りの広大な敷地に繋がっていた。
ここが…アリス学園。