【TSF】ネットゲームの世界に転生しました ~魔王を討伐して富と名誉を~   作:とんべえ

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再会と再開

 雪華はため息をついた。

 

 冒険者ギルド内に設けられた掲示板には、探し人情報求むと書かれた用紙が外されぬままだ数週間が経っていたのだった。

 

 他のプレイヤーたち語る地震情報ではそれなりの被害が出たらしいが、肝心のメラニー=メランナの安否が分からない。

 

 正確にはそのプレイヤーだ。

 

 故に、冒険者ギルドに問い合わせても個人情報は教えられない、の一点張りだ。

 

 無事だろうか、無事に決まっている、だが、もしも、もしもだ。

 

(俺みたいに転生するんだろうか)

 

 喜んでいいのか、いいやそんな馬鹿な、恥を知れ自分。

 

「……ちゃん」

 

 だがもしそうなら、俺が支えてやらねば。

 

「……華ちゃん」

 

 ほら、転生に関しては俺は先輩だからな。

 

「雪華ちゃんってば」

 

 メラニー=メランナであった。

 

「おひさー」

 

雪華の溜息は久方ぶりだった。

 

脱力感がどっと押し寄せる。

 

「本当にお久しぶり、今までどうしてた?」と雪華が言ったのでメラニーは「地震のごたごたで来られなかった」と答えた。

 

「無事なら良いよ」

「なんか心配かけたみたいでごめんねぇ」

「よかった……」

 

雪華はメラニーを抱きしめていた。

 

人目をはばからず涙すら流していた。

 

 

 冒険の再開である。

 

 古都プレセンティアから南東にある村、ソシルオ村へ行くのだが、その途中に居る中ボスの巨大芋虫グリークスの狩りが目的でもある。

 

 二人は、今となっては雑魚となったホワイトワングを蹴散らしていく。

 

 雪華はラウンドシールドとショートソード、メラニーは大ハンマーだった。

 

 一体のホワイトワングがメラニーに飛び掛かり、彼女は除夜の鐘付きの要領で、ワングの鼻先を突いた。

 

「キャウン」

 

 ホワイトワングが怯〈ひる〉んだところを、頭部を狙ってとどめと言わんばかりに大ハンマーを打ち下ろす。

 

 雪華は盾を放り投げ牽制すると、飛び掛かるホワイトワングの攻撃を躱〈かわ〉した。

 

 それはやり過ごしではなかった。

 

 躱すと同時にホワイトワングの首を正確に切っていたのだった。

 

 虫の息のホワイトワングにとどめを刺して終了だ。

 

 盾を拾う雪華にメラニーは言う。

 

「カウンター狙いはわかるんだけど、放り投げるぐらいなら、ラウンドシールドを口の中に打ち込んでみたら?」

 

 雪華は使い込んだラウンドシールドを装備しつつ、答えた。

 

「噛みつかれたまま振り回されると厄介かなって」

 

「都合よく牙が折れたりはしないかぁ」

 

「そういうメラニーもクロスボウ使わないの?」

 

「買ったばかりだから、あとでお披露目をするよ」

 

「武器を道具として使うってアリだよねぇ、スピアを杖替わりとか」

 

「本来持てないスキルがると便利~。ブラックスミスがクロスボウを使える」

 

「ネェ雪華ちゃん、ログアウトできる?」

 

「そういうメラニーは?」

 

「「いっせっせーの」」

 

「「やっぱり転生者だったんだ!!」」

 

 雪華はショートソードでウサギに似たレッドスラップを斬った。

 

 メラニーはクロスボウでイノシシを撃った。

 

 

 見つけた小広い場所で二人はドロップアイテムのイノシシの肉を食べていた。

 

 一般プレイヤーにとっては消費アイテムだが、今の二人にとっては重要な食べ物だ。

 

 焚火し焙〈あぶ〉ってから食べれば美味さも倍になる。

 

「そうなんだ。パーティ組んだ時にはとっくに、だったんだ」

 

「まぁそうなるかな」

 

「男の人だったんでしょ?」

 

「実はもうほとんど覚えてない。時々“俺”って使っちゃうぐらいかな。気になる?」

 

「そういう人、プレイヤーに多いから別にいいけれど、転生って話だとどうなのかなって」

 

「うまい事混ざり合ってる感じ。ちょっとだけ男よりかな」

 

「ぱっと見、年中けだるいお嬢様タイプって感じだけどね、違うっていうなら“ちょっとだけ男より”ってのは的を得てるって気がする」

 

「そういう風に言われたのは初めてですわ」

 

「うっわー、キツイそれ」

 

「煽っておいてそれはな……メラニー」

 

「うん、何かに見られてる」

 

 互いに背を向けあい、全方向を監視する。

 

 雪華は「やっぱりあれかな」と言ったらメラニーは「イモムシきっつ」と答えた。

 

 現れたのは全長一メートルの芋虫グリークスだった。

 

 先手はグリークスだった。

 

 首をもたげると口から糸を吐いたのだった。

 

 雪華はラウンドシールドで防御。

 

 その糸は粘着性だった。

 

 その糸を吐いているグリークスを狙いメラニーはクロスボウを撃った。

 

 胴体に命中、グリークスは動きが緩慢になり糸の掃き出しも止まった。

 

 続けてもう二本、撃った。

 

 グリークスは、雪華からメラニーに敵意を向けた。

 

 ここが勝機と言わんばかりに、雪華はスピアをグリークスの頭部に突き立てた。

 

「Mooooo!!」

 

 中ボスモンスターグリークスは断末魔を残し、倒れた。

 

 ゼェハァと肩で息をする二人。

 

 雪華が「意外と疲れた」と言ったらメラニーは「モンスターの大きい見た目が効いてる」と答えた。

 

 ドロップアイテムはレアが一つあったが、すべて金銭に変えることにした。

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