【TSF】ネットゲームの世界に転生しました ~魔王を討伐して富と名誉を~ 作:とんべえ
ソシルオ村に到着した二人は早々に宿をとることにした。
丸一日眠り続ければ今度は食事だ。
一人分以上を平らげた。
そしてまた丸一日以上寝た。
そうしたら今後の打ち合わせだ。
メラニーは困るというので雪華の部屋でミーティングである。
ラフな格好で出迎えた雪華にメラニーは釘を刺したが、露出度がそれなりに高いメラニーに言われたくない、と言い返した。
これは肌色がデザインの一つだから一緒にされたくないとメラニーは言い返す。
喧々諤々〈けんけんがくがく〉
人生経験は雪華ちゃんの方が上かもしれないけれど、レディ歴ならこのメラニーの方が先輩です。
雪華は渋々引き下がった。
衣類の傷み具合から良い頃合いだと旅人の服から冒険者の服に取り換えた。
露出は一番少ないものをと防具屋の主人に念を押したが、スカートの丈がさらに短くなっていた。
下着は見えないように細工をされているとはいえ、履いている当人からすれば、心もとない。
「これからどうしようか」
そういうメラニーはクロスボウの魔改造をしていた。
火矢を撃てるよう図面すら引いていた。
前世も女の子と聞いているがこういう娘もいるのだろうと雪華は深く考えなかった。
「ダンジョン以外では中ボスまでだから、物足りなくないと言えば、嘘になる、かなぁ」
雪華は杖も兼ねるスピアーの手入れをしていた。
穂先の反対側も金属なのでだいぶ長持ちするようになっていた。
「ダンジョンか」とは雪華であり、「ダンジョンはねぇ」とはメラニーである。
このウロボロスワールドでは一般的にギルドと言えば冒険者ギルドを指し、教会と言えばユニサーヴィヴァル教を指す。
そして派閥と言えば延命派と終焉派〈しゅうえんは〉を指すのである。
同じ教会の一派でありながらこの二つの派閥は昔からダンジョンをめぐって抗争を続ける間柄だ。
この村の近くにあるダンジョンは終焉派の管轄なので、フリーである二人は入れないのである。
これを機にどちらかに属そうか、とメラニーは言った。
延命派なら会費もしくはノルマが必要になる。
終焉派なら共に不要だ。
故に、終焉派はその日暮らしの風来坊が多い。
「やっぱり延命派かな趨勢だし」と雪華が言ったので、「その代わりダンジョンは指定される」とメラニーは答えた。腕を組んで踏ん切りがつかないのは「うーん」雪華である。
メラニーは言う。
「精鋭が多いのは終焉派だって聞くかなぁ。レベル上がりきった人たちが流れるって聞いた」
雪華が言った。
「延命派はユーザーが帳簿まで作って管理するって、これちょー嫌。そもそもノルマって何? 勧誘?」
「PVP、プレイヤー同士の戦いだって、でも一定のレベルが必要とされるって条件があるねぇ」
「なんか、学校を思い浮かべない?」
「そんな気もする」
雪華はコインを取り出した。
「表なら延命派、裏なら終焉派」
空中へ弾いたコインを手の甲で受け取る。
二人は終焉派に属する事にした。
◆
「我々冒険者ギルド一同は皆様の冒険をサポートしたします。何なりとお申し付けくださいませ」
二人は村の冒険者ギルドに向かったのだった。
「終焉派に所属したいのですが、どこで申し込めばいいんですか?」
「こちらで承っております。冒険者証のご提示をお願いします」
二人の冒険者証に螺旋のエンブレムが刻印された。
「ダンジョン前に門番が詰めておりますので、ご提示ください」
そして村の北北東にあるのがダンジョンである。
「よく来た新たな同志よ! ここはアンデッド系が強いぞ、準備を忘れずにな! ワハハハハッ!」
門番のあまりの豪胆さに思わず雪華とメラニーの二人は当てられたのだった。
「ダンジョン探検開始!」
「おー!」
ダンジョンの一層目は横穴だった。
真っ暗で何も見えない事が予期されたが、時間と共に目が慣れてきた。
光ゴケが生えていたのだった。
雪華は松明〈たいまつ〉を点けた。
光ゴケのみでは心もとないので、片手が塞がってしまうが、やむを得ない。
カタカタと音がする、そしてそれは近づきつつあった。
暗闇からスケルトンが現れたので、雪華は新装備のカイトシールドで弾き飛ばした。
とどめはメラニーの大ハンマーだった。
スケルトンの頭蓋骨が破片になって飛び散った。
「シールダーに徹してもありはありなんだけども、」
雪華は一度戻ることを提案した。
道具屋のオイルランプを購入するのだと言ったが、あれは売り物ではないとメラニーは反論した。
なので雪華は、交渉次第と答えた。
「分かった。ありはあり」
「いったん撤収!」
道具屋で艶のある声がした。
「お譲りくださいまし!」
「しようがねぇなぁ! もってけ泥棒~!」
雪華の色仕掛けであった。
メラニーの評価を試してみたのであった。
購入するつもりが話がそれて一個は無料、それとは別にもう一個は購入で手に入れた。
メラニーは金属製のオイル管を腰からぶら下げていた。
雪華は用途を聞いたらメラニーは火矢に使うと答えた。
「ユニークスキル?」
「そう。作り方だけならミサイルだって分かる。ただそれに至る道は長いけれど」
なら雪華が「聖職者の人に声をかけてみようか」言ったらメラニーは「私たちの戦い方はあまり見られない方が良いよぉ」と答えた。
話はまとまらず二人で進めるところまで迄にしよう、と相成った。
ダンジョン再アタックである。