超昂大戦SS フェイクルビー参戦! 聖夜に降り立つ淫夢の戦士 作:環 藍河
途中でも、ご気分害されましたら、続きを読まずそっと閉じてください。
どぼっ!
「げぼおっ!」
眼前の敵・ヘルスフラスト。
その腕は丸太と見間違うほど太く逞しく、拳はサンドバッグに日々何百何千と打ち込み、分厚い革袋を幾度も貫いてきた。
その拳が、またも真紅のレオタード越しに戦士の…偽ルビーの腹に突き刺さる。
閂市民アリーナ正面広場・特設リング。
プロレス興行を今夜に控え、激闘の前の静けさをたたえる漢の決戦場は…
超昂戦士の処刑場と化していた。
ふらっ…
「けほっ…おぶっ…!」
既に数度マットに沈められ、這いつくばり…
それでもなお立ち上がり、翠の瞳に闘志を絶やさない偽ルビーだが…
「ぐ…ううっ…」
がくっ…がたがたがたがた…
辛うじてダウンを踏みとどまるも、膝は震え、握る拳はバストの下から持ち上がらない。
ぐぐぐっ…
「あ…くはっ…!」
既に顎を幾度も撃たれ、意識こそ保つも、脳震盪から醒めきらない。
ファイティングポーズは崩れ、冷や汗でぐっしょりのツーサイドアップは首ごと前に垂れ下がり、苦渋に沈むルビーの瞳をさらに隠す。
【どうしたルビー! 鍛錬が足りぬなあ! ああ?】
「くううっ…!」
「待ちなさいっ!」【《!!》】
ふわっ…ざっ! すたっ!
赤いマントを拳で巻き上げ、空から舞い降りる希望のサンタ。
「超昂戦士・聖夜エスカルビー! 戦士のピンチにただいま参上っ!」
【…くははははっ! これはいい! ルビーの助太刀がルビーとは!
いいぞ、1対2の変則タッグマッチとしゃれ込もう!】
「エ…エスカ、ルビー…!」
「あなたが誰かは、今は聞かないよ。まず、このフラストを2人で倒そう…」
ぱしいいんっ!
(なっ…!?)
「み…見くびらないで…!」
ルビーが差し伸べた手を、手の甲で鋭く払い除ける。
「私は…私も、みんなの理想の、エスカ・ルビーなんだから…!」
よろっ…ざっ!
「青い地球を護るため! 胸の鼓動が天を衝く!
滾るガッツは不屈の血潮!
超昂戦士エスカルビー・ブラッド!」
「!! エスカルビー・ブラッド…?」
「たとえどんなに強い敵でも…! 私は…逃げないっ!」
力の源・胸のルビージュエルは、闇を吸い尽くしたかのような深い紅をたたえ、鈍く妖しく輝く。
最高峰のピジョンブラッドに輝くその誇りを、自らの咆吼で奮い立たせる第3のエスカ・ルビー。
悪の拳になんか、決して膝を折るものか…!
ぐわっ!
【おおおおおおおおーーーっっ!!】
びくっ!!
拳をカクテルライトの中心に突き上げ、蒼き獅子の雄叫びがコロシアムを震わせる。
魂の叫びを一瞬でかき消され、手負いのルビー・ブラッドは今や格下。
情けなくも、本能で畏怖するしか無かった…。
【行くぞおおっ!】
(なっ…!!)
ヘルスフラストが拳を下ろし、両膝を一瞬沈めた次の瞬間…
だだだだだだだだっ!
蓄えたバネの弾力で、そのままルビーの…いや、エスカルビー・ブラッドの下腹部を狙って駆け出し…
どすっ!「がはああっ!」
ショルダータックルで肩から吶喊、またもブラッドのお腹をくの字に折り曲げる。
だが、フラストは前傾姿勢のまま前進を止めない。
ぐぐぐぐぐっ!
「……あっ! あっ、あああっ?!」
どどどどどどっ…
(と…止められ…ないいっ…!!)
誇りの武器・両脚にエナジーを注ぎ、暴走ダンプカーを阻もうと真正面から抵抗するも…
まるで歯が立たず、ブーツとリングに摩擦痕を残すだけ。
ずるっ…! ずずずずずずっ…がりがりがりっ…!
「うう……っ! う…うああーーー〜〜っ…!!」
足掻いても叫んでも、歴然たるパワーの差になすすべが無く。
哀れ、エスカルビー・ブラッドは…
ぐしゃっ!!《がはあっ!!》
両腕のガードも破られ、敢え無くリングロープにぺしゃんこに押し潰された。
がっ! がつっ! ばきっ!
【はあっ! おらあっ! はははあーーーっっ!!】
「うぅっ…くっ…ぐうっ…!」
間髪入れず注がれる、ナックルの隕石群。
最初こそ両腕のディフェンスで阻むも…
ずるっ。(あっ…!)
ロープの弾力に姿勢を崩し、浮いた上半身をひねってしまったルビー・ブラッド。
そのボディは180度反転し、肩にまとうカラーとプリーツスカートがひらりと舞い上がる。
どさっ!「あうっ!」
そのまま今度は前から倒れると、たわむロープがブラッドの上半身を抱きとめ、リングからのエスケープを阻む。
両膝はバンジージャンプの直後のように、マットの上で上へ下へと宙を泳ぎ、ブーツのつま先と甲だけが力なくマットを掴む。
【もらったあーーーっっ!!】
どぼっ! ぐしゃっ! どすっ!
「あああーーーっ!! あがっ! あううっ!」
もうガードできない。
背中を見せてしまった戦士をむざむざ逃がすフラストではなかった。
そのまま無抵抗のブラッドの背中に、岩のような拳を次々と突き落とす。
どすっ! ごすっ! ぐしゃっ!
「がはあっ! あうっ! うえっ…!」
一発、二発、三発…
背中からはフラストの全力を込めた暴虐。
前からは黒光りするロープがブラッドを抱き締め、逃げ場を塞ぐ。
ツープラトン攻撃さながらに、ブラッドは前後から執拗にいたぶられ続けた。
ぐしゃっ。ずるっ。「ぐふっ!」
ぶるんっ。ふるんふるんっ。「あうっ…ああっ…ああっ…!」
トップロープがブラッドの顎に乱暴に食い込む。
拳圧で上半身が沈むたび、セカンドロープが腹筋からバストまでを上下に乱暴にしごき上げる。
フラストの一撃ごとに、ブラッドの両胸が、みぞおちが、へそがぐしゃりと歪み…
ロープがボディを戦闘スーツごと、ときに引きちぎるように持ち上げ、ときに卑猥にたわませる。
乳首はスーツ越しにロープに擦りつけられ、虐めを受けるようにいじり潰される。
どごっ! どぼっ! ぐしゃっ!
「おぼおっ…うぶっ…うっ…
……~~~~っ…」
反撃の機会はおろか、防御さえ封じられ…
それでもエスカルビー・ブラッドは降伏も命乞いもしない。
まるで、この絶望を自ら受け入れるかのように…!
「ブラッドーーーーっっ!!」
【「!?」】
「あああーーーっ!!」
しゃららんっ! しゃんしゃんしゃん…!!
本物の聖夜ルビーが、遂に憤怒した。
その背中に浮かぶ、雄々しいモミの木。
ツリーの下に集うみんなの笑顔は、この聖夜ルビーが絶対護る…!
そんな心正しき聖者の誓いを受け、リースが、カラーボールが、頂のポラリスが、眩しく七色に輝く…!
「クリスマスーーーっ! エスカレーションっ!!」
ぎゃるんっ! どごおおおおおっっっ!!!
軽やかな鈴の音がソリに躍動を注ぎ、暴虐の悪に鉄槌を落とす。
「ショ…ショ~~テえええ~~~ンっ!!」
どがあああああっっ!!
エスカルビー・ブラッドが手も足も出なかったヘルスフラストを、一撃で打倒する。
だが、ルビーがその最期を見届ける前に…
「あ…ああっ…!」
ずる…っ…ぐしゃっ。
「ブラッドおっ!!」
もうひとりの敗者が、試合終了と同時に、トップロープからずり落ちた。
一段下のロープに抱きとめられ、ぐしゃぐしゃの顔から涙まじりの脂汗が飛び散る。
咄嗟に両腕を真横に伸ばし、ロープに両肘をかけるのが精一杯。
うなだれた首のインナーにもロープが食い込み、ブラッドはさながら首枷手枷を打たれて断頭台に繋がれた咎人のよう。
「ブラッド…ああっ…!」
「…うあっ…はあっ…はあっ…」
ずり落ちた上半身に押し出され、腰から下は弛緩したままマットを擦ってずり下がる。
太ももから左右に開脚、その中心には汗ぐっしょり、クロッチが丸見えのショーツ。
筋が薄く浮かぶVゾーンも露わとなり、覆い隠すはずのプリーツスカートは、マットに擦りつけられ、腰までめくれ上がったまま。
もはや戦士の恥部は、バックから無防備に晒されるがままだった。
ずきんっ! びくんっ! がくっがくっ!
「あうううっ! がっ…! …う…ぐっ! 」
殴られ続けたチェストから戦士の四肢の隅々まで、不規則で激しい痙攣が迸り続ける。
その都度、腰はベリーダンスのように激しく前後し、雷撃に撃たれる両肩両脚は、削岩機のように跳ね上がる。
既にロープに散々こね回されたバストは、なおもブラッドが腰を振るたびに、むしろロープに愛撫を懇願するかのようにすがりつく。
「はあっはあっ、はあ…っ…」
それでもブラッドは深呼吸を繰り返し、やがてダメージは落ち着き…
(…負けた…。
負けたんだ…っ…!)
痛みに耐えかね遠のく意識で、己の敗北を涙混じりに噛み締める。
エスカルビー・ブラッド…処刑執行完了。
超昂戦士はマットに沈み、屈辱の烙印に身を灼かれた。
(…ブラッド…!!)
…
……
…どくん。どくっどくっ。
(…えっ?)
…ぱああああ…っ…!
「なっ…!?」
聖夜ルビーは立ち尽くした。
満身創痍のブラッドのボディが、不意に紅蓮の輝きを帯び、オーラを増して行く…?!
「く…来るうっ…来ちゃう…!」
どくんっ! どぷっどぷっ!
まるで急速充電ケーブルを挿されたように、精魂全てを吐き出し尽くしたブラッドのボディが、みるみるエナジーで満たされていく。
「あ〜っ!! あっあっ…来るっ! 来てるよお〜っ!」
「ブラッド…あなた…!?」
注がれるエナジーは無尽蔵。
世界の全てが、敗れた超昂戦士の再起を願うかのように。
「…あーーっ! あっ、あっ、…くう〜っ!
はああぁ〜っ! あ〜っ、ああ〜〜っ!」
高熱にうかされるように、ブラッドは悶えながら仰け反り、頭を縦横無尽に振り続ける。
膨大なエナジーの注入に耐え、残らず吸収しようと、エクスタシーに歯を食いしばり…
びくうううんっっ!!
「あああーー〜〜っっ!!」
がくがくがくがくがくううっっ!!
…くたっ。
最後に二度三度と全身を打ち振るわせ…
その余韻を胸に納め、エスカルビー・ブラッドは…再び果てた。
(ど…どうしたの…?)
ふらっ…がばっ。
(えっ…?!)
うずく腹部をかばいながらも、今度ははつらつと立ち上がるブラッド。
「なっ…何っ…?」
「…やっぱり…凄いエナジー…!」
一転して、今にもはち切れそうなほどパワーを漲らせるブラッド。
「エスカルビー・ブラッド! 答えてっ!」(…?)
「あなたはソーサラーの仲間なの?
あなたたちはダイビートの…私たちの、仲間なの?! 敵なの?!」
「…簡単だよ。
歪んだ私のエナジー…その源は、みんなが貴女に望むもの。
私は貴女。みんなの希望に応えて戦う、もう一人のエスカ・ルビー。」
(なっ…!!)
「…次は…次こそは、助太刀しないで。」
たっ…たたたたたっ…
(あっ…!)
立ち去るブラッドを追いかけようと、ブーツに踏力を乗せた瞬間。
ぴーぴーぴー。
『ルビー、追いかける必要はない。』
「長官!? でも…」
『さやかさんの解析が終わった。
今はソーサラーとブラッド…君の偽者たちの、力の源を知ることが先だ。』
「それは…!」
『エスカ・ルビー、基地へ帰投せよ。』
「は…はいっ!」
トキサダの指揮に従い、ルビーは基地への帰途に就く。
自分を模する超昂戦士(?)たちの目的は何か。
ざわつく心を押し込めて、聖夜の近づく夕映えの空を駆け抜ける。
……
…
(エスカ・ルビーが…負けちゃった…)
(お姉ちゃん…お姉ちゃあん…!)
(…信じないっ、信じるもんか…!)
フラスト怪人出現に際し、アリーナ周辺の市民は避難済みだった。
だが、その戦いを固唾を呑み見届けていた男児たちがいた。
そして…
《…私じゃないけど…みんな、応援してくれたのに…
負けて…ゴメンね。》
まだ人の形を成さない、思念体がたゆたう。
《待っててね。今夜、大人がみんな寝静まって、エナジーが溜まったら…
私が…エスカ・ルビーが。
素敵なプレゼントを届けに行くからね…!》
筆者です。2024年最後の夜、ギリギリで第2話をお届けします。
シリーズ完結話では全くないので、別に今年のウチにと張り切る必要はなかったんですが…
せっかくですので。僕自身が、書きたかったので。
今年もご愛顧、ありがとうございました。
原作超昂大戦、第3部が始まり、ユリエルたち新戦力の物語が少しずつ進んで行くのが楽しみな2025年です。
もっとも、本編更新はよくて月イチペース(あとはレイドやイベント、広域戦等)。
もっとルビーたちの物語が読みたいっ! でも二次創作が少ないっ!
…そんなときの自家発電として綴り始めたのが、僕の超昂大戦SSですが、執筆2年半を越えてもモチベーションは衰えず。
でも、一緒に楽しんでいただける方がいることは、多分皆さまが想像している以上に、僕にエナジーを送ってくれます。ありがとうございます!
期待通りでないモノ、期待を裏切るモノを混ぜてしまうこともあるかもですが、2025年もご愛顧賜れば幸甚です。それでは…よいお年を!