黄衣の虚無 ~Apocalypse Archive~   作:ww12

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タイトルの通り前回から地続きの回です。
今回はかなり情報過多になりました。

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前回のあらすじ


キイコの存在は黒服によって秘匿にされていたが、先生が言い触らした事であっさりとバレてしまった。これによってキヴォトス中の各学校は動き出し、キイコは追われる身となってしまう。キイコは仕方なくゲマトリアに頼み、小屋ごと秘密の地へ転送してもらい事なきを得る。その後は更なる力を付ける為に鍛錬を、ゲマトリアはこれを機にキイコが持つ虚無の探求を開始する。
多くの学校がキイコを探す中、キイコ本人はゲマトリアとの共同生活を始めるのだった。



Ep8.黄衣を追え Part2

 

 

キイコ

「マエストロ、訓練用の人形とか作れないのか?」

 

マエストロ

「私のミメシスで作れるぞ。何体必要だ?」

 

キイコ

「なら思い切って20体ぐらい作ってくれ。」

 

マエストロ

「20体のミメシスに素手で挑むというのか。いいだろう、其方の実力を拝見させてもらうぞ。」

 

 

マエストロの手によってユスティナ信徒を模したミメシスが20体ほど作られる。キイコはレインコートを脱いで緑のジャケット姿になり、黒服にレインコートを渡すと拳を鳴らして構えた。

 

 

キイコ

「行くぞ……」

 

黒服

「クックックッ……虚無の力とやらを拝見させていただきますよ。」

 

 

全身にノイズを纏って急接近し、先頭にいたミメシスの腹を拳で貫く。後続のミメシス達は発砲を始めるが、キイコは腹を貫いて動かなくなった先頭のミメシスを盾にし、弾切れの瞬間を狙って蹴り飛ばす。その先にいた3体のミメシスにぶつかるのを確認すると今度は勢いよく踏みつけて頭を粉砕する。すると発砲が再開されるが、キイコは全身にノイズを纏ってこれを躱し、接近と同時に2体のミメシスの頭を非物質化で消し飛ばした。

 

 

マエストロ

「なんて奴だ……1分足らずで6体も…」

 

黒服

「素晴らしい……これは暁のホルスと同等……いえ、それ以上の実力ですね。」

 

 

 

キイコ

「もっとブチ上げるぞ……神性魂(ディバインソウル)50%…!!」

 

 

キイコの拳がノイズに覆われ、更に周囲の空間が微かに歪み始める。そしてその歪みは残ったミメシス達の動きを封じており、黒服とマエストロは咄嗟に距離を取った。

 

 

キイコ

N.M.フィスト!!!!

 

 

ガオンッ

 

 

放たれたパンチはノイズが混ざった風圧を起こし、その風圧に当たったミメシス達は瞬く間に消し飛んでしまった。ここまでかかった時間はたったの3分であり、20体のミメシスはその短時間で全滅したのだ。これに対し黒服は堪らず拍手をしながら歩み寄り、マエストロは呆然と立ち尽くしていた。

 

 

黒服

「素晴らしい……素晴らし過ぎますよ蓮田キイコ…!!最早崇高に近いと言っても過言ではありません…!!!」

 

キイコ

「この程度で崇高扱いされるんなら、區藤会長を見たらどうなるんだろうな。」

 

マエストロ

「今のが虚無の力か……これではキヴォトス人特有の頑丈さもほとんど意味を成さないな…」

 

キイコ

「ん…? 顔写真と首無しはどこ行った? 後黒服レインコート返せ。」

 

マエストロ

「ゴルコンダとデカルコマニーなら、キヴォトスに入り込んだクンヤン人の動向を探っている最中だ。とはいえ、もうそろそろ帰って来てもおかしくないだろう。」

 

 

そういった矢先、ゴルコンダとデカルコマニーの2人が戻って来た。キイコは黒服から受け取ったレインコートを着て2人に声を掛ける。

 

 

キイコ

「何か分かったのか?」

 

ゴルコンダ

「アビドス自治区で虚無エネルギーを2つ観測しました。虚無の規模はどちらも膨大であり、キイコさんとほぼ同等の力を持ったクンヤン人の可能性が有りますね。」

 

デカルコマニー

「そういうこった!!」

 

キイコ

「私と同等って…オールドワンスかその候補生じゃねぇかよ。早速投入して来やがったか……」

 

________________________

 

 

アビドス自治区

 

 

シロコ

「蓮田キイコはキヴォトスのどこかにいる。見つけて捕まえて知ってる事全部吐かせるから覚悟しててよ。」

 

 

自転車を漕ぎながらそう呟いていると、2人の人影が砂漠を彷徨っているのが見える。シロコは咄嗟にブレーキをかけて彷徨う2人を見つめると、その2人もシロコに気付いてそのまま歩み寄って来た。

 

 

「お、こいつひょっとして超絶滅危惧種のアビドスの生徒じゃねぇか?」

 

「らしいな、このキヴォトス人に聞くとしよう。」

 

シロコ

「ん、君達誰。どこの学校から来たの。」

 

クナ

「クンヤン連合学園6年、オールドワンス候補生の黒霧クナ。」

 

イブ

「同じくクンヤン連合学園6年、オールドワンス候補生の黒霧イブ。クナの双子の妹だ。」

 

クナ

「実は人探しで来たんだが、その前にやる事が有ってよ。」

 

 

ガシッ

 

 

シロコ

「がっ…!?」

 

クナ

「アビドス高校まで案内してもらうぞ、キヴォトス人。」

 

 

クナはシロコの首を掴み、片手で持ち上げる。シロコは銃を構える暇すらも与えられず、2人を案内するしかなかった。

 

________________________

 

 

アビドス高校

 

 

アヤネ

「シロコ先輩、今日は遅いですね…」

 

ノノミ

「確かに遅刻なんて珍しいね。」

 

セリカ

「どこで道草食ってんのよ…」

 

ホシノ

「まぁ気長に待とうよぉ。必ず来るって。」

 

 

するとモモトークからの着信が入り、全員がスマホを取り出して確認する。着信の主はシロコであり全員が内容を確認するが、その内容を見た瞬間に凍り付いてしまった。

 

 

『たすけて』

 

 

そのひらがな4文字だけの文を読んだアヤネ以外の3人はすぐさま武器を取り外へと向かう。校舎の外に出ると、そこには2人の見知らぬ生徒がシロコを拘束していた。その生徒はどちらも外ハネした赤い長髪で目玉の髪留めを着けており、制服は黒いブレザーに赤いベストと黒いスカートで、足には黒いニーソックスを身に着けていた。その姿はまるで同じ人物が2人いるように見えるが、よく見ると前髪の向きが対照的になっており、更にワイシャツの色も片方が黒でもう片方が白と相違点も見られる。

 

 

シロコ

「ごめん、捕まっちゃった…」

 

セリカ

「シロコ先輩を放して!!何なのあんた達!!!」

 

クナ

「あたしらはクンヤン連合学園のモンだ。蓮田キイコ先輩を探しているんだろ? 悪いがあの裏切り者はあたしらの獲物なんでなぁ。」

 

イブ

「お前らキヴォトス人は邪魔だから消えてもらおうって訳よ。リスクマネジメントってやつさ。」

 

ノノミ

「それで手始めにシロコちゃんを殺そうっていうの!?」

 

イブ

「おぉ? こいつミニガン持ってんぞ。撃たれたらミンチまっしぐらだなぁ、おー怖ぇ怖ぇ。」

 

クナ

「それじゃあおっぱじめるぞ。足引っ張るなよイブぅ!!!」

 

 

黒霧姉妹はシロコを投げ捨てて自身の掌を引っ掻き傷を付けると、そこから血飛沫と共に肉や骨が変形しながら飛び出した。ノノミは咄嗟にミニガンを発砲するが、イブの手から飛び出した肉塊が壁を作り、弾丸を次々と吸収していく。そしてその肉塊に無数の目と口が現れ、その口が一斉にイブの声で話し始めた。

 

 

イブ

『『『『ありったけの弾丸ありがとよぉ!!!虚無のサービスたっぷり付けてお返しするぜぇ!!!』』』』

 

 

次の瞬間、肉塊に現れた無数の口からノイズを纏った弾丸が発射される。これはノノミのミニガンの弾であり、虚無の力を纏った状態で発射されたのだ。

 

 

ホシノ

「まずい避けろぉ!!!」

 

ノノミ

「きゃあ!!?」

 

セリカ

「何なのよあれ!!?」

 

 

3人は近くの遮蔽物に隠れるが、虚無の力こと非物質化を纏った弾丸は遮蔽物を貫通し、体の至る所を掠めていった。シロコはそれを見て投げ捨てられた状態から素早く起き上がり、銃を構えてイブに狙いを定める。引き金を引こうとするが、その瞬間肉と骨で構築された大剣が視界を塞ぐ。大剣はクナの掌から現れており、シロコは咄嗟に飛び退いた。

 

 

クナ

「おっと、妹は殺らせねぇ。」

 

イブ

「よーし、この隙に校舎に籠ったトートの神性持ちを無力化するぞ。」

 

シロコ

「っ!?アヤネ…!?させない…!!!」

 

イブ

「遅いんだよバーーカ!!バッハハーーイ!!!」

 

 

 

 

アヤネ

『きゃあああ!!?』

 

 

シロコは阻止しようと発砲するが、イブは既に全身にノイズを纏って飛翔し、校舎の方へと向かっていた。その直後に通信からアヤネの悲鳴と何かを破壊するような大きい音が響く。やがて通信からの音が収まるとイブは再びノイズを纏って飛翔し、クナの隣に戻って来た。

 

 

イブ

「ただいま。トートの方は仕留めたぞ。」

 

クナ

「相変わらず仕事が速いなお前は。」

 

ホシノ

「っ…!!お前らぁ!!!!」

 

 

ホシノの叫びと同時に一斉に発砲を始める。しかし2人は再び肉塊の壁を展開しては弾丸を弾き返しており、戦況は黒霧姉妹が優勢のままである。

 

 

イブ

「おーーい、トートの心配はいいのかぁ? 腰の骨を折ってやったんだぞぉ? このままだと下半身不随かもなぁ!!!」

 

ホシノ

「っ!!!セリカちゃん、先生を呼んでアヤネちゃんを安全な所まで運んで!!!」

 

セリカ

「待って!!そしたらそっちは3人になっちゃうじゃない!!」

 

ホシノ

「アヤネちゃんが歩けない体になる方がよっぽど嫌なんだ!!さっさと行けぇ!!!」

 

 

セリカは歯を噛み締めて校舎の中へと入っていき、黒霧姉妹と対峙するのはホシノ、ノノミ、シロコの3人だけとなる。黒霧姉妹は肉塊の壁を引っ込め、右の掌から肉と骨で構築された武器を出していた。

 

 

クナ

「バステトが離脱したか。よし、相手が3人ならあの技で行くぞ!!!」

 

イブ

「おっしゃぁ!!!」

 

 

クナ&イブ

「「神性魂50%!!!サングィス・カリゴー(血の霧)!!!!」」

 

 

左の掌から風船のように膨らんだ肉塊を出して地面に叩きつける。肉塊は破裂して霧状の血を周囲に散布し、ホシノ達の視界を遮った。

 

 

ノノミ

「視界が…それに血の臭いも……」

 

ホシノ

「ノノミちゃん、シロコちゃん!!私から離れないで!!」

 

シロコ

「ん、大丈夫。近くにいる。」

 

 

クナ

「そぉらぁ!!!!」

 

ノノミ

「ホシノ先輩!!」

 

ホシノ

「チッ!!」

 

 

血の霧の中からクナが姿を現し、肉と骨で構築された大剣を振り下ろす。ホシノは盾で受け流し、シロコが受け流した方向に発砲した。すると今度はノノミが気配に気付き、ミニガンを構えた。

 

 

イブ

「死ねオラァ!!!」

 

ノノミ

「こんのっ!!」

 

イブ

「おっと危ねぇ!!」

 

 

今度はイブが霧の中から現れて肉と骨で構築された片手剣を振りかざすが、ノノミはミニガンの銃身でこれを防いで弾き返し、ホシノとシロコが発砲する。しかし血の霧で視界が悪い為、反撃の発砲に手応えは感じられなかった。

 

 

イブ

「うはははぁーー!!!」

 

シロコ

「ん、上!!!」

 

ノノミ

「きゃっ!!?」

 

 

血の霧が晴れるとイブがノノミに目掛けて片手剣で突き刺そうと降って来る。ノノミは間一髪で躱したが、シロコとホシノから引き離されてしまった。イブは片手剣を次々と振り下ろしながら迫り、ノノミはミニガンの銃身で防ぎつつも後退ってしまう。シロコとホシノはイブに銃口を向けるが、直後にクナが立ちはだかって再び肉塊の壁を展開した。

 

 

クナ

「分断成功だ。イブ!!!」

 

イブ

「はいよぉ!!!」

 

ノノミ

「これまずい……あぁ!!?」

 

 

足払いで転倒させられてしまい、自身の体がミニガンの下敷きにされる形になってしまう。イブはミニガンを踏み付けて身動きを取れなくすると、肉と骨で構築された片手剣を逆手持ちにして振り下ろした。

 

 

イブ

「叫べオラァ!!!」

 

 

ザシュッ

 

 

ノノミ

「い˝っ…!?ああああああああああああああああ!!!!」

 

 

振り下ろされた片手剣はノノミの左腿を貫いて串刺しにしてしまった。叫び声は肉塊の壁越しでも聞こえており、シロコとホシノは肉塊の壁を破壊しようと発砲を続ける。しかし肉塊の壁は弾丸に虚無を纏わせて弾き返すばかりであり、傷一つ付いていなかった。

 

 

シロコ

「このままじゃノノミが…」

 

ホシノ

「私の盾をジャンプ台にしてあの壁を乗り越えて!!」

 

シロコ

「ん、分かった…!!」

 

 

盾を斜めに構え、シロコがその上に飛び乗ると同時にホシノは力んでシロコの体重が掛かった盾を振るう。シロコはそのまま肉塊の壁の方へと飛び、頂上を掴んで乗り越える事に成功した。肉塊の壁の下では左腿から大量出血するノノミと片手剣を振り下ろそうとするイブの姿が視界に入り、シロコは飛び降りると同時に発砲して弾丸の雨をイブに浴びせた。

 

 

イブ

「うおっ!?どうやって飛び越えやがった!?」

 

クナ

「クソッ…!!」

 

 

イブは咄嗟に飛び退き、クナは肉塊の壁を引っ込めてシロコを迎撃しようとするが、ホシノのシールドバッシュで防がれてしまう。クナは再び肉と骨で構築された大剣を出してホシノとの一騎打ちに移り、イブも肉と骨で構築された片手剣を構えてシロコと対峙した。

 

 

イブ

「接近戦しか出来ないと思ったら大間違いだ!!これでも食らいな!!」

 

シロコ

「っ!!?」

 

 

パァンッ!!!

 

 

シロコ

「ぐっ…!!?痛っ…!!」

 

 

左手で投擲したのはリンゴと同じサイズの骨塊。するとその骨塊は破裂し、大量の血肉と同時に尖った骨片が飛散する。投擲されたのは片手剣と同じく肉と骨で構築された破片手榴弾であった。飛散した骨片はシロコの手足の至る所に突き刺さり、幾つもの刺傷を残した。

 

 

イブ

「あっはははは!!!流石のキヴォトス人でもこれは効いただろ!!!」

 

シロコ

「この…!!」

 

イブ

「あそーれもう一発ぅ!!!」

 

 

カキィンッ

 

パァンッ!!!

 

 

シロコ

「がああああ!!!!」

 

 

再び出した骨片手榴弾を片手剣でバッティングのように打ち、今度はシロコの目の前で炸裂させる。飛散した骨片は顔にまで届き、目には当たらなかったものの、シロコの顔は血まみれになってしまう。一方イブは炸裂する寸前に肉塊の壁を展開した事で自爆を免れていた。

 

 

イブ

「さて、そろそろ止めを刺すか。」

 

ホシノ

「シロコちゃん!!!」

 

クナ

「余所見してんじゃねぇぞホルス!!!」

 

 

大剣を振り下ろすクナの妨害をホシノは盾で防ごうとするも、その一撃の重さに盾を落としてしまう。しかし再び振り下ろそうと大剣を持ち上げた隙を見逃す事は無かった。

 

 

バァン!!

 

 

クナ

「うぐぁっ!?」

 

 

散弾がクナの右手の拳を肉片に変え、大剣が地面に落ちる。ホシノはそこから連続で発砲して左肩と右膝を狙った。右の拳に加え、左腕と右足の膝から先を欠損したクナはバランスを崩して前に倒れるが、その瞬間に散弾銃の銃口が口の中へと捻じ込まれた。

 

 

ホシノ

「私の前から消えろクズ!!」

 

 

バァン!!!

 

 

イブ

「クナ!!!??」

 

 

口の中で散弾を発射されたクナは頭が肉片になって吹き飛び、下顎だけが残された状態で絶命していた。イブはクナの最期に動揺し、ホシノから距離を取ろうと後退り始める。対するホシノはクナの返り血を浴びたまま手に持った散弾銃に弾を装填し、イブの方へと歩み始めていた。

 

 

イブ

「そんな!!!!どうして…………い、いつか後悔する事になるぞ…!!クソッタレのキヴォトス人共がぁ!!!!」

 

 

 

 

 

 

ドドドドドドドドド!!!

 

 

シロコ

「クソッタレはお前の方だ!!!」

 

イブ

「ぐぉっ!?ひっ…うぐぅ……!!」

 

シロコ

「逃げるな根性無し!!!全身風穴開けてやる!!!」

 

 

イブはシロコが放った銃弾が数発被弾しつつも全身にノイズを纏って飛翔し、遠くへ飛び去っていく。2人はようやく戦いが終わったと気を緩め、その場にへたり込んだ。するとシロコのスマホから電話が鳴り出し、シロコはすぐに反応して電話に出た。

 

 

シロコ

「ん、先生…?」

 

先生

『シロコ!!!そっちは大丈夫!!?今セリカからの連絡を聞いて急いでアビドスに向かっている!!!』

 

シロコ

「急いで先生……アヤネとノノミが……」

 

________________________

 

 

その後、アヤネとノノミは応急処置が施され、D.U.シラトリ区内の病院に緊急搬送された事で一命を取り留める。しかしアヤネは腰椎骨折、ノノミは左腿動脈損傷といった重傷であり、長期の入院を強いられた。更にシロコは手足や顔にイブが投げた骨片手榴弾の骨片が刺さった事で大量の刺傷が出来てしまい、病院での治療後は至る所にガーゼが貼られた痛々しい姿になってしまっていた。

 

 

先生

「こんな事になるなんて……何が有ったんだい? 一体誰に襲われて…」

 

シロコ

「クンヤン連合学園。私達を襲った奴らはそう言ってた。それに蓮田キイコの事も知ってるみたいだった。」

 

ホシノ

「そのキイコを探すのにおじさん達が邪魔だから先に始末するって言ってきたんだよぉ……正直怖かった……後輩を目の前で殺されるんじゃないかって……」

 

 

拳を握り締めて手を震わせる。悔しさと恐怖が混じったその様子を見た先生はホシノの前に立ち、背中に手を回して抱き寄せた。

 

 

先生

「私無しでよく頑張ったね……」

 

ホシノ

「先生……ぐすっ…うぁぁああ…!!」

 

________________________

 

 

矯正局

 

 

コノカ

「おーーい、さっさと起きろぉ。」

 

「ここはどこだ……私に何をする気だキヴォトス人…」

 

カンナ

「矯正局の取調室だ。お前が通っている学校の事や、先生を襲った理由について話してもらうぞ。」

 

「話す事なんか何も無い……」

 

 

ドゴォッ

 

 

コノカ

「強がってんじゃねぇ!!今ここにお前の味方は1人もいないんだよ!!自分の立場が分かってんのか、あぁ!!?」

 

 

黒霧姉妹襲撃後の同時刻。先生を襲撃したクンヤン連合学園の生徒達の1人である、キイコに腹を殴られて気絶していたクンヤン生徒は矯正局の治療室で意識を取り戻した。クンヤン生徒はその後尋問に掛けられる事となり、取調室に連行されたのだった。

 

 

カンナ

「もし喋る気が無いというのなら、これを使わざるを得なくなる。」

 

「それは……」

 

カンナ

「山海経のとある生徒に頼んで作らせた自白剤だ。生憎ここでの会話は全て録音しているのでな、ヴァルキューレ内での情報共有の為に洗い浚い喋ってもらうぞ。」

 

「っ!!?や、やめろ!!!それを打ち込まないでくれ!!!もし全部喋ってしまったら私は!!!」

 

コノカ

「あーはいはいもう遅ぇ打ちまーす。」

 

 

プスッ

 

 

ぎゃああああああああああああああああ!!!!!!

 

 

自白剤を打ち込まれたクンヤン生徒は悲鳴を上げた後に目は虚ろになり、口からは涎が垂れ下がり始める。カンナはこの状態に冷や汗をかきつつも質問をぶつけた。

 

 

カンナ

「話してもらうぞ。名前と所属学校は?」

 

クーラ

「クンヤン連合学園5年、美墨(みすみ)クーラです…」

 

カンナ

「仲間と一緒に何が目的でキヴォトスにやって来た?」

 

クーラ

「オールドワンス、蓮田キイコの捕縛及びシャーレの先生の無力化です……」

 

カンナ

「首謀者は誰だ?」

 

クーラ

クンヤン連合学園10年、區藤フルア連合生徒会長……」

 

 

それを聞いたカンナはメモ帳を取り出して記録していく。するとクーラの様子が突如おかしくなる。体は小刻みに震えだし、目は焦点が合わず滅茶苦茶に動き、更に肌の至る所に血管が浮かび上がり始めた。

 

 

BGM‐『万戈イムー一ノ十』

 

 

クーラ

區藤会長は我らを導く、故にその導きを妨げる者は何人たりとも許しはしない。全ての一族は皆等しく生きて死ぬ運命にある。しかしキヴォトス人はそれを拒みクンヤン人の絶滅を望んだ。

 

カンナ

「なっ!!?勝手に喋るな!!!私の質問だけに答えろ!!!」

 

クーラ

忘却!!!キヴォトス人は幾度の世代交代を繰り返し、長い年月を掛けて過去の行いを忘れ、クンヤン人の存在を無き者にしようとする一方である!!!闘争!!!そればかりか、今度はキヴォトス人同士が対立して更なる混迷を極めようとしている!!!我々クンヤン人が地下に潜っている間に地表を踏み荒らしてただひたすら死人の出ない無駄な戦いを続けるなど愚の骨頂!!!我々が対立無き一族として生まれた事を誇りに思うハレルヤ!!!!我々こそこの透き通るような世界に相応しい!!!

 

カンナ

「だ、黙らないか!!!!」

 

コノカ

「何かやばそうっすよこいつ!!?本当に全部録音するんすか!!?」

 

クーラ

這いよる混沌!!!生ける炎!!!狩り立てる者!!!蛇の父!!!主なる目!!!黒き者!!!闇に囁く者!!!千の顔を持つ月!!!眠れる者!!!声無く叫ぶ者!!!火山の主!!!原人の敵!!!白蛆!!!塵埃を踏み歩く者!!!山の恐怖!!!風に乗りて歩む者!!!黄衣の王!!!

 

カンナ

「………」

 

クーラ

遍く 全てより 海からも 空からも 恐れよ 天仰げ 空高く 今宵 星戻る

 

            主は来る!!!!

 

 

パァンッ!!!!

 

 

コノカ

「あ、ああ……あああああああああああああああああ!!!!??」

 

カンナ

「最悪だ……」

 

 

クーラの頭が破裂し、取調室の壁や天井に肉片が飛散する。そしてその肉片はカンナとコノカの2人にも降り掛かり、コノカはその惨たらしい光景に発狂してしまった。クーラの死体は首の断面から幾つもの細い触手が蠢いていたが、やがてその触手も動かなくなった。

 

 

カンナ

「クンヤン人……奴らは何者なんだ…」

 

 




前書きで書いた通りキイコとゲマトリア、アビドス襲撃、クンヤン人尋問といった3つの視点だけで情報過多になりました。

次回はまた別の視点の回になります。
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