黄衣の虚無 ~Apocalypse Archive~ 作:ww12
蓮田キイコの新能力披露と、タルタロス、クンヤンに続く新しいオリジナル学校登場が登場します。後半はこのシリーズ独自の設定と捉えてください。
今回は遂にキイコの姿が挿絵でお披露目です。
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前回のあらすじ
立て続けに起こるクンヤン生徒の襲撃に対応する正義実現委員会。そんな中、クンヤンの最高幹部、オールドワンスの1人である加雄間ナルから阿慈谷ヒフミを殺す為に後輩達を送り込んだ事を伝えられる。正義実現委員会の会長である剣先ツルギは部下達を率いて救援に向かうが、そこで思いもよらぬ瞬間を目にする。ヒフミを襲撃するクンヤン生徒達の内3人は人狼に変身出来る能力を持っていた。ツルギは体中を噛まれ、武器を失いつつも人狼達を倒し、ヒフミの救出に成功する。
その矢先で想定外の状況に出くわすとも知らずに。
連邦生徒会本部
先生
「リン、話が有る。」
リン
「何ですか?」
先生
「クンヤン人の事についてだ。連邦生徒会は何か隠しているね?」
リン
「…………どこでそれを。」
周囲の空気が一瞬にして変わり、先生に視線が集中する。そしてリンがアイコンタクトで周囲の行政官達にドアの鍵や窓のブラインドを閉じるよう指示を出した。
先生
「な、何だ……そんなに触れちゃいけない事だったのか?」
リン
「先生……暫くの間、貴方を連邦生徒会本部から出す訳にはいきません。貴方が触れようとしているのは、キヴォトスの今後を揺らぎ兼ねない爆弾なのですから。」
先生
「クンヤン人の事は隠さずに伝えるべきだ。それがキヴォトスの歴史に関わっているなら尚更……」
リン
「それがきっかけでキヴォトス人とクンヤン人の殺し合いが増えてしまったら元も子も有りません!!!貴方は民族間の対立を煽って歴史を繰り返させようというのですか!!?」
先生
「じゃあ見て見ぬ振りをしろというのか!!?殺し合いなんて既にあちこちで起こってる!!!その原因を伝えないと殺されていった生徒達が報われない!!!」
リン
「こうなってしまったのは全て私達の先祖の罪が原因です。私達に出来るのは、クンヤン人の報復を受け入れ、先祖達の代わりに罪を償う。それが今の代のキヴォトス人に出来る唯一の贖罪ですから。」
先生
「認めないぞ……和解の道も有ったはずだ……」
先生とリンの言い争いに周囲は何も言い出せなくなってしまう。そんな中、この後1人の生徒が行動に移るのをリンは知る由も無かった。
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トリニティ総合学園
ツルギ
「戻ったぞ。ヒフミは無事だ。」
アズサ
「ヒフミ!!!」
ヒフミ
「アズサちゃん!!!」
ハスミ
「よかったですね…」
イチカ
「こっちは全然よくないっす……奴らとの戦いで11人も死んじまったんすよ…」
そう言いつつ視線を向けた先には、救護騎士団の生徒達に担架で運ばれる正義実現委員会の生徒達の死体。クンヤン生徒との戦いによって前例の無い戦死者に正義実現委員会は士気が低下していたのだ。
ツルギ
「やってくれたなクンヤン……この借りは高くつくぞ。」
ヒフミ
「あぁ……そんな…」
アズサ
「これが既に他の場所でも起きているらしい……」
「おーおーおー、天下の正義実現委員会がお通夜モードですなぁ。」
「1、2、3……11人も死んでやんの。正義実現委員会も質が落ちたもんだ。」
心無い発言をしながらやってくる見知らぬ生徒達。橙色のワイシャツや焦げ茶色のブレザー、又はベストが目立つ制服姿であり、頭上にはヘイローが有った。
イチカ
「おい、今何て言ったんすか。ていうかどこの学校から来たんすか。」
ハスミ
「あの制服は『アンテノル高校』ですね。連邦生徒会からも邪険にされがちな貧乏学校で、キヴォトスの中でも底辺の方が集っていると聞いた事が有ります。」
アンテノル生徒A
「あの人の言った通りだ。正義実現委員会は疲弊してる。」
アンテノル生徒B
「ああ、これなら私らでもヒフミを殺せるぞ。」
ヒフミ
「っ!!?ど、どうしてですか!!?クンヤン人ならまだしも、貴女達は同じキヴォトス人じゃないですか!!!」
アンテノル生徒A
「あ? お前ついさっき出たクロノスの雑誌見てないのか? 連邦生徒会からとんでもない情報が拡散されたんだよ。」
そう言って取り出した雑誌を投げ渡す。ヒフミはその雑誌を開いて中身を確認すると、顔を青ざめてしまった。
『キヴォトスの残酷な隠された歴史!!!私達はクンヤン人を迫害した大罪人達の血を引いている!!!』
ヒフミ
「何……これ……」
アンテノル生徒A
「行政官の1人がクロノスの連中にクンヤン人の事を洗い浚い喋ったそうだ。ずっと昔に起きた人種差別と迫害、そしてそれを連邦生徒会がずっと隠蔽していた事をな。お陰でキヴォトスは罪悪感ムードで大騒ぎだ。既に自殺する奴も出たらしいしよ。」
アンテノル生徒B
「クロノスは嘘吐きのイメージが強いけど、この記事だけは本物だって瞬時に分かった。私らアンテノルはすぐに決断したんだ。『キヴォトス人は絶滅するべき』ってな。」
アズサ
「それで同族殺しに手を染めようと……本気で言ってるのか!?」
アンテノル生徒A
「ああ、という訳だから………死ね。」
懐から拳銃を取り出してヒフミに向ける。ツルギ達は迎え撃とうとするが、その瞬間に頭上をノイズの塊が通り過ぎ、アンテノル生徒達の頭上で人の形に変わっていった。
ザクッ
アズサ
「なっ、嘘だろ…」
ヒフミ
「あのレインコートって…」
ツルギ
「まさか奴が…」
ハスミ
「間違いありませんね…」
イチカ
「と、とうとう姿を現したっす…」
キイコ
「何て様だよ正義実現委員会。たった11人死んだだけで士気ガタ落ちしやがって。」
ノイズの塊から元の姿に戻り、落下と同時に2人のアンテノル生徒の後頭部を掴んで地面に叩き付ける。そして手を離すと掌から刃のような尖った物が出ており、血が付着しているのが見えた。
叩き付けられた2人のアンテノル生徒はうなじから大量の血が溢れ出し、ヘイローが砕け散っていた。
キイコ
「こいつらはキヴォトスを裏切ってクンヤンに寝返った連中だ。敵はクンヤン人だけじゃねぇぞ。」
ヒフミ
「キイコさん!!!」
キイコ
「よぉ、久し振りだな。話し合いならこいつらを始末してからだ。」
アンテノル生徒C
「こいつが蓮田キイコ……ぶっ殺せぇ!!!」
アンテノルの生徒達は拳銃やナイフを取り出してキイコに襲い掛かる。キイコはナイフを振りかざすアンテノル生徒の攻撃を防ぐとすかさず右手から出した尖った物で顔を斬り、更に素早く肘打ちを食らわせて左手の尖った物で顔面を貫いた。当然ながら絶命である。
イチカ
「躊躇なく殺したっすよあいつ!!?」
アズサ
「何だあの刃は…? 新しい武器か?」
キイコ
「ここ最近の鍛錬で身に着けた能力だ。私は元々
ヒフミ
「触手!!?一体どうなって…!?」
キイコ
「後で説明するから待ってろ!!!つーか手空いてるなら手伝え!!!」
キイコは硬質化した触手の刃でアンテノル生徒達の喉を切り裂き、顔や心臓を突き刺すと言った容赦の無い攻撃を続け、また1人と屠っていく。これにはツルギですら絶句しており、最終的にアンテノル生徒達は1人残らずキイコに殺されてしまった。
キイコ
「よし、全員仕留めたぞ。新しく覚えた触手の硬質化……非物質化と比べて虚無エネルギーの消耗が少ない上に殺傷力が高くて便利だな。」
ツルギ
「お前……!!」
キイコ
「ん? ああ、剣先ツルギか……テメェ神性魂を覚醒させたみてぇだな。」
ツルギ
「何だそれは…」
キイコ
「キヴォトス人とクンヤン人は生まれたときから神々の性質を持っている。その力は強大だが、キヴォトスでそれを引き出す方法は確立されていない。一方でクンヤンは、訓練や実戦の過程でそいつを引き出す事に成功している。何人もな、私もその1人だ。」
アズサ
「さっき言った触手がどうのってのもそれなのか?」
キイコ
「ああ、神性魂はキヴォトス人とクンヤン人の誰もが持っている。私がそうだし、テメェも、ヒフミも、ツルギも、この場にいる全員が持ってるんだ。」
神性魂の詳細を説明し、自分らが神に等しき存在である事を伝える。しかしあまりにも突拍子な話に誰1人として理解出来なかった。
ヒフミ
「え、えーーっと………」
イチカ
「全っ然分かんないっす……」
キイコ
「ツルギ……やっとテメェの力の正体が分かったぜ。テメェ能天使のカマエルだったんだな。そりゃあトリニティの最強格になる訳だ。」
ツルギ
「何だと…」
アズサ
「神か……それじゃあお前もそうなのか?」
キイコ
「ああ、かつてこの世界に存在した旧き支配者の一角……私にはその力が宿ってる。」
ヒフミ
「待ってください!!!」
そう言って立ち去ろうとするが、ヒフミに声を掛けられて足を止める。キイコはレインコートのフードを外して振り返り、微かな苛立ちをしつつもヒフミに視線を向けた。
ヒフミ
「実は……さっきから先生に連絡しているんですけど…返信が無くて……最後に先生と会ったとき、先生は連邦生徒会の所に行くって言ってました。クンヤン人の事を聞く為に……」
キイコ
「は? アホかあいつは。隠蔽してる連邦生徒会に直接聞いたら間違いなく口封じされるぞ。」
イチカ
「はぁぁ!!?だとしたらヤバイっすよ!!!早く助けに行かなくちゃ!!!」
ツルギ
「いや、私達では間に合わない……もし行けるとするなら…」
キイコ
「私ってか? あの先公を助けろと?」
ヒフミ
「お願いします……」
キイコは沈黙してしまう。先生との出会いが暴力的だったのもあり、今更どんな顔をして会えばいいのかも分からないからだ。更に先程ヒフミを狙ってやってきたアンテノルの生徒達を大勢殺害した事も相まって余計に気まずくなる可能性が有る。しかしかと言ってここで見捨ててしまえば自分や先生を狙っていたクンヤンの生徒達と同類になってしまう為、クンヤンでの過去を拭い去りたい以上断る訳にはいかなかった。
キイコ
「……………連邦生徒会の連中はどこにる?」
ヒフミ
「っ!!!サンクトゥムタワーです!!キヴォトスで一番大きな塔だからすぐに分かる思います!!!」
それを聞いたキイコは無言で全身にノイズを纏い、サンクトゥムタワーの方向へ飛翔する。そしてタワーに近付くと不自然にブラインドを閉じた窓を見つけ、そこに真っ直ぐ突っ込んだ。
ブオンッ
リン
「何!?」
先生
「まさかキイコ!!?」
非物質化で窓をすり抜け、内部へ侵入する。突然の来客に連邦生徒会の各行政官達は動揺を隠せなかった。
キイコ
「アホだな先公、もう少しでテメェは口封じされるところだったぞ。それから連邦生徒会のヘボ首席さんよぉ、もう黒歴史を隠すのは止めにした方がいい。」
リン
「いきなりやって来て何なんですか貴女は。私達は大罪人の末裔なんです。このまま何も知らずに滅びの道をゆっくり進むしか……」
キイコ
「テメェん所の行政官がクロノスにこっそりとバラしてたぞ。既に雑誌も出て大騒ぎだ。」
リン
「なっ!!?一体誰ですか!!?」
モモカ
「私です………やっぱり、ハッキリと伝えた方がいいですよ。何も知らずにやられるだけだなんて…!!」
リンは溜息をついて沈黙してしまい、少しするとキイコの方へ歩み寄る。その表情は疑惑と怒りが滲み出ており、キイコは右手にノイズを纏って警戒した。
リン
「貴女は……キヴォトスを襲撃しているクンヤン人の仲間なのですか?」
キイコ
「かつてはな、今は違ぇ。寧ろ敵対する立場だ。」
リン
「では、キヴォトスの為に戦ってくれますか?」
キイコ
「どうだろうな、私は先公と違ってお人好しじゃねぇ。仮に戦うとしても、テメェらキヴォトス人と違って遠慮無く殺しまくる事になるぞ。もしそうなったらテメェらはどっちに銃を向ける? 私か? それともクンヤンのクソ共か?」
先生
「キイコ…!!」
キイコ
「この期に及んで役立たずの先公は黙ってろ!!!!私はこいつと話してんだからよぉ!!!」
リン
「私達はどうすれば………」
キイコ
「なら私から提案してやる。改めて真実を伝えるしかねぇ。その後は宣戦布告してキヴォトス人とクンヤン人の戦争だ。そうすれば私はテメェらキヴォトス人の味方になってやる。まぁ、アンテノルみてぇな裏切り連中は遠慮無く殺すけどな。それと念の為言っておくからよく聞けよ。和解しようだなんて考えるな。今のクンヤン人はな、もうテメェらキヴォトス人の言葉には耳を貸さなくなっちまってるからよぉ。」
その言葉に全員が黙り込んでしまう。キイコはこれを好機と見て先生の手を掴み、全身にノイズを纏う。先生もノイズに巻き込まれて非物質化し、やがてノイズの塊となった2人は窓をすり抜けて外へ飛翔していった。
アユム
「行っちゃった……」
アオイ
「どうしますか、リン先輩。」
リン
「…………」
リン
「蓮田キイコの案を受諾します……すぐに記者会見の準備を。」
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先生
「おっとと……凄い勢いだったね…」
キイコ
「戻ったぞ。先公も一緒だ。」
ヒフミ
「先生!!よかった……」
ツルギ
「あ……その……本当に無事でよかったです…」
先生
「みんなも無事で何より……ってツルギ? 制服がボロボロじゃないか!!」
ツルギ
「ひぁ!?いや…これは………」
制服が所々破れているのを見て先生は動揺し、同時に距離を詰められたツルギも顔を真っ赤にして動揺する。この光景をキイコはゴミを見るような目で見つめていた。
ヒフミ
「ツルギ先輩は、狼人間になったクンヤン人から私を守る為に戦ってくれたんです。銃を壊されて体中を噛まれてもずっと私の事を……」
先生
「そんな事が……よく頑張ったねツルギ。」
ツルギ
「き、キェェェェアアアアアアアアアアア!!!!??」
キイコ
「うるっせぇ!!!!!」
ドゴォッ!!!!
ツルギ
「あごばっ!!?」
褒められた事で照れ隠しと歓喜が混じった奇声を上げるが、その直後に苛立ちが限界に達したキイコの豪快なラリアットを食らってしまい、でんぐり返しの体勢で気絶してしまった。先生は勿論、ハスミやイチカもこれには驚きを隠せずにいた。キヴォトス最強格の1人であるツルギを
アズサ
「そういえば……クンヤンの最高幹部『オールドワンス』の1人だって、最初に会ったときに言ってたな。」
イチカ
「え、じゃあ捕まえるのほぼ無理ゲーじゃないっすか。」
ハスミ
「ティーパーティーには捕縛不可能と報告するしかありませんね……」
キイコ
「……でだ、先公。これからどうすんだよ?」
先生
「まずはキイコに対する誤解をどうにかしないと……これから色んな学校に行って説明する必要が有るから、一緒に来てくれないかな。」
正義実現委員会がティーパーティーに報告するのを尻目に、先生とキイコは今後の方針を考えていた。先生はキヴォトス中で始まったキイコの捜索を止めさせる為に説明して回る事を提案したが、キイコは呆れて鼻で笑った。
キイコ
「ハッ!!そう上手く行くとは思えねぇな。まずはどこに行くんだよ。」
先生
「ここから一番近いのはトリニティ総合学園だね。ヒフミ達も一緒に来る?」
ヒフミ
「はい、ナギサ様にも紹介したいと前から思っていましたので。」
キイコ
「ナギサって
ハスミとイチカが気絶したツルギを運び、全員がトリニティの校舎へと歩み始める。それから数時間後、連邦生徒会ではクロノススクールのカメラが並ぶ中で記者会見が開かれ、その様子が生放送されていた。
リン
「今から昔話をさせていただきます。今より遥か昔、この世界が始まりを迎えたばかりの時代。この地には2つの民族が存在していました。頭の上に輪を持つ上位民族、そして輪を持たない下位民族。輪を持つ上位民族は世界を牛耳り、下位民族からの搾取を繰り返して傲慢になりつつありました。度重なる搾取に下位民族は救いを求め、この世界の創造主とされる、司祭と呼ばれる存在を崇拝するようになります。しかしこれが更なる悲劇を招いてしまいました。上位民族はこれを『反乱』の前兆と捉え、下位民族への弾圧を始めたのです。下位民族は住処を追われ、更には世界その物を追われてしまい、誰の目にも届かない地下深くへと潜りました。」
その話に他の行政官達やマスコミ達は勿論、この生放送を見ている生徒達や市民達も黙ってしまっていた。リンはその後も話を続けた。
リン
「既に御察しされた方がいるかもしれませんが、その上位民族こそが我々キヴォトス人。そして迫害され地下に潜った下位民族は、今現在キヴォトス各地で襲撃事件を起こしているクンヤン人です。私達の先祖は決して赦されない大罪を犯しました。そしてその罪を償う事無く世代交代を積み重ね、現在に至ります。地下に潜ったクンヤン人は、我々キヴォトス人に絶滅という名の贖罪を求めるようになりました。我々連邦生徒会はそれを受け入れ、クンヤン人の襲撃に対して静観を貫き通しましたが……ある1人のクンヤン人との出会いによって、本日考えを改めました。」
その後リンは体を前に出し、演台に置かれたマイクに口を近づけ、大声で演説を始める。それは連邦生徒会の重大な決断であり、キヴォトスの今後を左右するものであった。
リン
「キヴォトスに住まう生徒の皆さん!!先祖達の失敗を知り、自分が大罪人の血を引いている事への心境は御察ししています!!ですが、かと言ってクンヤン人にその事を謝罪してももう手遅れです!!クンヤン人はキヴォトスを滅ぼすまで、攻撃の手を止める事は有りません!!だからこそ、全てのキヴォトス人が手を取り合い、怨嗟に染まり暴走するクンヤン人達と、戦ってほしいのです!!!!この私、七神リン首席行政官は、未だ失踪中の連邦生徒会長に代わって、今ここに宣言します!!!!」
リン
「学園地底都市クンヤンに、宣戦布告を…!!!!」
ナル
「その言葉を待っていたぁぁぁああああああああ!!!!!!」
突如としてリンの背後の壁からノイズを纏って姿を現す加雄間ナル。ナルはそのまま演台に置かれたマイクを手に取ってカメラの前に立ち、堂々と話し始めた。
ナル
「僕はクンヤン連合学園10年、加雄間ナル。連邦生徒会が突然の記者会見を開くから何事かと思って来てみたら………クンヤンに宣戦布告とはね。遂に重い腰を上げたって訳だ。これでクンヤンは思いっきりキヴォトスで暴れられる。ご決断感謝するよ、リンちゃん。」
リン
「くっ…!!」
ナル
「さてと……今この瞬間、キヴォトスとクンヤンは戦争状態になった。僕は一度戻って區藤会長に報告しないとね。今までの部分動員から総動員に切り替えて、装備の生産量も増やして、作戦も練って……忙しくなりそうだ…!!」
ナルはマイクパフォーマンスのようにマイクを投げ捨てると全身にノイズを纏い、真上に飛翔して姿を消す。放送事故同然の惨状に誰もが言葉を失い、生放送は中断せざるを得なくなってしまった。しかし、これが返ってキヴォトスの生徒達に事の重大さを知らしめ、瞬く間に情報が拡散されていく。そしてそれは先生が所有するシッテムの箱の中にいる2人にも届いていた。
アロナ
「大変な事になっちゃいました……」
プラナ
「宣戦布告、遂に始まるという訳ですね。地表と地下の全面戦争が。」
アロナ
「先生、急いでください……早くキイコさんへの誤解を解かないとキヴォトスが…」
碌に準備が整ってないままキヴォトスとクンヤンの戦争が始まりました。次回はキイコに対する誤解を解く為に手始めとしてトリニティに行く回となります。