黄衣の虚無 ~Apocalypse Archive~ 作:ww12
キイコが先生達と一緒にトリニティに行く回です。今回はキイコが終始不機嫌であり、何時にも増して過激になったと思います。
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前回のあらすじ
先生はクンヤン人に関する情報をリンから聞き出そうとするが、それが却って地雷となり連邦生徒会に監禁されてしまう。一方ヒフミ達はクンヤンに寝返ったアンテノル高校の襲撃を受けるが、通りすがったキイコに助けられる。ヒフミは先生の様子を心配してキイコに連れてくるよう頼み、キイコは渋々これを了承。サンクトゥムタワーに乗り込み、リンを説得して先生を連れ出す事に成功する。その後は自身への誤解を解く為にキヴォトスの各学校を巡る事となった。
キイコに説得されたリンは記者会見にてクンヤンに宣戦布告を行い、キヴォトスとクンヤンの戦争が始まりを迎えた。
リンが宣戦布告を行う数時間前、キイコと先生達はトリニティ総合学園に到着する。しかしキイコは露骨な嫌悪感を顔に出しており、ヒフミは冷や汗をかきつつ話し掛けた。
ヒフミ
「あの、どうかしましたか…?」
キイコ
「陰湿な空気が漂って来やがる……!!相変わらず質の悪いカス共の掃き溜めみてぇだな…!!」
イチカ
「あぁっ!!?今何て言ったっすか!!?カスって聞こえたっすよ!!?」
キイコ
「そう言ったんだよ。ここはカス共の掃き溜めだ。」
先生
「キイコ!!!!何てこと言うんだ!!!」
校舎にすら入っていない場所で口喧嘩が始まってしまい、周囲の生徒達の注目を浴びてしまう。そして案の定トリニティならではの陰口が飛び交い始めた。
トリニティ生徒A
「ねぇ、今の聞こえた?」
トリニティ生徒B
「うん、あのレインコートの子、私達の事カスって言ったよね。銃を持たずヘイローも無いくせによく言うよ。」
するとキイコは全身にノイズを纏って急接近し、右手の指を黒い触手に変化させてトリニティ生徒達を拘束する。キイコの顔は眉間に皺を寄せ目が血走っており、激怒の形相を浮かべていた。
キイコ
「テメェ……私が雑魚だって言いてぇのか……この能力を見てもそう言えるのかよ。マジで陰湿だなテメェらはよぉ……それ以上陰口叩くんなら、その舌切り落として食わせてやろうかぁ!!?」
トリニティ生徒A
「ひっ……や、やぁだぁああ!!!」
トリニティ生徒B
「ごめんなさいごめんなさい!!!殺さないでぇ…!!」
先生
「止めるんだキイコ!!!そんな事したら誤解が解けなくなるぞ!!!」
キイコ
「チッ………先公に免じて勘弁してやる。だけど次は無ぇからな。」
触手を元の指に戻し、拘束を解く。トリニティ生徒達はその場で大泣きしてしまうが、キイコは気にも留めず校舎の方へと向かって行った。
イチカ
「無茶苦茶っす……」
ハスミ
「生徒達にはなるべく彼女に近付かないよう注意喚起した方が良さそうですね。」
その後先生達はキイコの機嫌を損ねないよう周囲に気を配りながらティーパーティーの部屋を目指し、扉を開けて中へと入る。そこには紅茶や菓子類がテーブルの上に置かれ、奥の席にナギサとセイアの2人が座っていた。
ナギサ
「蓮田キイコさんですね。正義実現委員会から話は聞いています。今日ここにいらしたのは貴女に対する誤解を解く為ですよね?」
セイア
「クンヤン人の事はある程度調べさせてもらった。そこも踏まえて、この面会で君がキヴォトスの敵か味方かハッキリさせたい。」
キイコ
「ならさっさと聞きたい事言いやがれ、トリニティは陰湿過ぎて落ち着かねぇんだよ。」
片足をテーブルの上に乗せて椅子に凭れ掛かるなど、作法の無い座り方をするキイコ。隣に座っていた先生は冷や汗が止まらず、ナギサとセイアもキイコが怒りやすい性格と悟って敢えて言及しないようにした。
ナギサ
「ではまず、今現在キヴォトスで襲撃事件を起こしているクンヤン連合学園の生徒との関係性は有りますか?」
キイコ
「今は無ぇ。私はクンヤンを抜け出してキヴォトスにやって来たんだ。もうあそこに戻るつもりも無ぇよ。」
セイア
「つまり同じクンヤン人でありながら敵対関係にあるという事か。もし君が味方になれば私達としては心強い。そういえば、君は見たところ銃を持っていないな。クンヤン人は先生と同じで、1発撃たれただけでも致命傷らしいが……今までどう切り抜けてきた?」
キイコ
「虚無の力だ。キヴォトス人が神秘を持つのと同じように、クンヤン人は虚無を持っている。その力から派生した
ナギサ
「具体的にその力はどういったものなのですか?」
キイコ
「神性魂はキヴォトス人とクンヤン人の誰もが持っている神々の性質だ。私はその力を引き出して戦いに応用している。練度を重ねれば、力の段階は自分で調節出来る。だが力が極限状態に達すると制御が効き辛くなって、理性が保ち辛くなるのが難点だ。」
自身が持つ能力の説明をするが、ナギサとセイアは理解が出来ていないようであった。キイコは溜息をついて席を立ち、2人に近付いて能力を実践する事にした。
キイコ
「まずは非物質化だ。この能力はあらゆる物理攻撃を無効化する。質量が無いから撃たれても弾はすり抜けるし、壁をすり抜けたり空を飛んだりする事も出来る。」
セイア
「その右手のノイズは質量を無くしているのか。一体どうなって……」
キイコ
「触んじゃねぇ!!非物質化は自分の質量を無くすだけじゃねぇんだ。触れた物体の質量を削り取っちまう凶悪な力なんだよ。もし触ってたらテメェは今頃片手を失ってたぞ。」
そう言いながらテーブルの端をノイズを纏った右手で掴む。すると掴まれた箇所はノイズに覆われ、やがてそれが消えると削り取られたかのように消滅してしまっていた。これを見たセイアは息を呑み、ナギサも呆然として紅茶を落としてしまった。
ナギサ
「こんな事が……まるで私達キヴォトス人を殺す為に有るようなものですね…」
セイア
「ああ、私達は銃で撃たれても平気だが、質量その物を無くすとなると話は別になるな。クンヤン人はみんなこの力を持ってるのか?」
キイコ
「キヴォトス人の誰もが銃を持ってるのと同じくらいにはな。流石に練度は個人差でまちまちだがよ。次は神性魂の説明だ。」
今度は右手が真っ黒になり、指が触手のように蠢き始める。セイアは思わず後退り、ナギサも慌てて席を立った。
キイコ
「こいつは私の体に宿る『ハスター』の神性魂だ。外の世界では黄色のローブを纏った触手の塊のような姿で知られている邪神で、別名『黄衣の王』。」
セイア
「だから体の一部を触手に変えられるのか。」
キイコ
「一部どころじゃねぇ、これはまだほんの手始めだ。力の段階で言うと20%ってところだな。」
ナギサ
「では、100%の場合は?」
キイコ
「100%になるとさっき言った虚無の力の極限状態だ。そこまで来ると『神性変身』の域に達する事になる。」
セイア
「神性変身……」
キイコ
「熟練のクンヤン人なら誰もが身に着けている能力で、神性魂の元である神々に近い姿に変身出来る能力だ。私の場合は変身すると理性が吹っ飛びそうになるからあまり使いたくはねぇけどな。けどよ、ここは陰湿で気に入らねぇからじわじわと怒りが湧いて来やがる。その怒りをずっと我慢してると反動で変身しちまうかもしれねぇんだ。」
ナギサ
「何ですって!?」
今のキイコが時限爆弾を抱えているような状態である事にナギサは顔を真っ青にしてしまう。トリニティの環境はキイコにとって絶望的に相性が悪く、堪えた怒りが爆発して何時変身してもおかしくなかったのだ。
セイア
「逆に言えば、今みたいに怒りを抑えて理性が有るうちは力の調節が出来るんだな。」
キイコ
「ああ、
ブォンッ
ナギサ
「きゃっ!!?」
キイコ
「
ナギサ
「ひぃっ!!?」
全身にノイズを纏うとテーブルをすり抜けてナギサの目の前に立ち、指を黒い触手に変化させる。ナギサは驚いて尻餅をついてしまった。
キイコ
「だが完全に変身したら、さっきも言ったように理性が吹っ飛びそうになっちまう。それに控えめの状態でも、やたらめったら使い過ぎると首に有るスティグマから血が溢れて苦しむ羽目になる。」
セイア
「成程……それで、そんな力を持っている君は私達の敵ではないんだな?」
キイコ
「それはテメェらの出方次第だ。もし銃を向けるんならそのときは敵と見做して殺す。」
セイア
「分かった……先生、蓮田キイコを連れてきてくれてありがとう。彼女は私達の敵ではなさそうだ。少なくとも今は……」
先生
「そうみたいだね…キイコ、ここが好きじゃないなら早く出よう。次はゲヘナに行かないと。」
キイコ
「チッ……カス共の次はクズ共に会わなきゃらねぇのかよ…!!」
先生に連れられて部屋を後にする。ナギサは尻餅をついたままへたり込み、セイアは扉が閉まるのを見届けた途端に顔が真っ青になり口を押えた。
セイア
「うぷっ……ゲェェェェエエエ˝エ˝エ˝!!!」
ナギサ
「セイア!!?大丈夫ですか!!?」
セイア
「ゲホッゲホッ……緊張が解けて安心したら胃の中身が迫り上がってしまって…」
ナギサ
「確かに、私も吐きそうになる程の凄まじい威圧感でした。しかしあれでは完全な味方とは言い切れませんね。」
「ねぇねぇナギちゃん。」
ミカ
「何だったの今の?」
ナギサ
「ミカ!?いつの間に!?」
ミカ
「お客さんが来てるって聞いて気になったから来ちゃった☆」
知らぬ間に部屋に入り込んでいたのはパテル分派の聖園ミカ。現在はエデン条約での一件からティーパーティーを除名されており、キイコとの面会には招待されていなかった。
ミカ
「今のレインコートが噂の蓮田キイコだよね? 確かキヴォトスの外から来て、色々と騒ぎを起こしてるって聞いたよ。」
セイア
「今回の面会で彼女が敵か味方かをハッキリさせようとした。ただ、結果は何とも言えない…」
ナギサ
「本人も言っていましたけど、こちらの出方次第では敵になる可能性が有りますからね…」
ミカ
「ふーん……ま、敵になったら私が軽く捻っちゃうけどね☆」
セイア
「それは無理だと思うぞ。さっき彼女が持つ力を実際に見たが、私達キヴォトス人を瞬殺出来そうな常識外れの能力ばかりだった。それに加えて、ヘイローも無く1発でも致命傷な脆い体なのに、銃を持たずに今日まで生き残っている。」
ミカ
「何それ、流石に笑えないんだけど。そんな危なそうな奴ここに入れたの?」
セイア
「確かに危なそうだが、同時にある程度の理性は有る方だった。それに彼女自身も無駄な争いは好まない…っ!?ミカ、後ろ!!」
ミカ
「え? って危なっ!!?」
ティーパーティー生徒A
「……ぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああ!!!!」
ドガシャァッ
突如外の方からティーパーティーの生徒が投げ込まれたかのように飛んでくる。そのままテーブルの上に落下し、紅茶の入ったカップや菓子が乗った皿が砕けて辺りに散乱し、床が破片まみれになった。
ナギサ
「一体何が……」
セイア
「嫌な予感がする……まさか…!!」
ミカ
「これ、絶対あいつの仕業じゃんね?」
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ミカがナギサとセイアの下に向かった同時刻、先生とキイコはトリニティの校舎から出ようと真っ直ぐ校門を目指していた。道中ではトリニティの生徒達が陰口を呟いており、キイコはその度に眉間に皺を寄せて歯を食いしばった怒り顔で威嚇する。
先生
「キイコ……あまり気にしない方がいいと思うけど。」
キイコ
「私よりも陰口叩くカス共に言ったらどうなんだ。それともキヴォトス人には強く出れねぇってか? ハッ、だとしたらテメェは私を見下してるって事になるな。」
先生
「何でそういう結論になるんだ!?幾ら何でも捻くれ過ぎだよ!!」
シスターフッド生徒A
「あのレインコートの女、例の客人ですわね。噂通りガサツで汚らしい。」
シスターフッド生徒B
「どうやらティーパーティーとの面会が終わったようで。用事が済んだ以上、早いとこトリニティから出て行ってほしいですね。」
キイコ
「あ˝!!!??」
今までの陰口では何とか怒りを抑えて威嚇に留めていたが、遂に堪忍袋の緒が切れてしまった。先生の制止を振り切り、陰口を呟いたシスターフッドの生徒2人に詰め寄って睨み付けるが、当の2人は知らん顔といった感じであった。
キイコ
「おいそこの修道女共。何か言いたい事有んならハッキリ言いやがれ。」
シスターフッド生徒A
「あら、何の事ですの? 私達はただ世間話をしているだけでしてよ。」
キイコ
「とぼけんじゃねぇよ。ジロジロと私を見ながらガサツだの出て行けだの言ってただろうが。」
シスターフッド生徒A
「記憶に有りませんわね。聞き間違いではなくて?」
キイコ
「ふんっ!!!!」
ボゴッ
シスターフッド生徒A
「どぶぉぇぁっ!!!??」
ドゴォンッ!!! ガラガラガラ…
傍から見れば軽いパンチに見えたかもしれない。しかし、その威力は相手を小石の如く遠くまで弾き飛ばしてしまい、校舎の壁を貫通して崩落させる程であった。ワンパンで弾き飛んだシスターフッド生徒Aは崩れた校舎の壁の瓦礫に押し潰され、ピクリとも動かなかった。
シスターフッド生徒B
「な、何をするんですか!!!」
ガシッ
シスターフッド生徒B
「かはっ……!?」
キイコ
「ここは聖職者までカスしかいねぇのかよ!!!!」
ブンッ ガシャァッ!!!
シスターフッド生徒B
「ぎゃああああああ!!!!」
銃を構える寸前に首を掴んで引き寄せ、勢い良く投擲する。その先は窓ガラスであり、ぶつかって砕け散る音を響かせた。そしてその音が周囲の生徒達を呼び寄せてしまい、ゾロゾロとキイコの近くに集まって来ていた。その中にはティーパーティーや先程叩きのめした2人と同じシスターフッドもおり、その他にも大小様々な部活の生徒が混じっていた。
キイコ
「テメェら私とやる気か!!?」
先生
「キイコ!!!流石にこれはまずいって!!!」
シスターフッド生徒C
「あのレインコート女を撃て!!!」
トリニティ生徒達の一斉射撃が始まり、先生とキイコは遮蔽物に隠れる。するとキイコは両手の指を触手に変え、地面突き刺した。触手は地面の下を通過してトリニティ生徒達の下に到達し、そこから根のように幾つも枝分かれすると足元から地表に飛び出した。
キイコ
「銃なんぞ使ってんじゃねぇぇえええええええええ!!!!」
トリニティ生徒C
「ああ!?私の銃!!!」
トリニティ生徒D
「キモっ!!?っていうか銃壊されちゃった!!」
ティーパーティー生徒B
「何このうねってるの!!?」
シスターフッド生徒D
「あ、悪魔!!?あの女は悪魔の類ですか!!?」
地面から飛び出した無数の触手はトリニティ生徒達の銃に巻き付くと一斉に取り上げ、真っ二つに圧し折る。その規模はキイコの周辺だけではなかった。
カズサ
「わぁ!!?何これぇ!!?」
アイリ
「きゃっ!!?ってあれ、銃だけ壊してどこかに行っちゃった…」
ヨシミ
「ちょっと!!?何なのよ今のは!!?」
ナツ
「何か向こうが騒がしいような……行ってみよ。」
ウイ
「アァイッ!!?今の音は……て、あぁ…!?私の銃…」
折れた銃が地面に散乱すると触手は地面に潜り、元の指へと戻っていく。銃を壊して下準備を済ませたキイコは遮蔽物から姿を現して拳を鳴らした。
キイコ
「銃が無きゃ降参か? それとも私と対等に拳でやるか!!?」
トリニティ生徒C
「こんのヘイロー無しがぁ…!!うおおおおおおお!!!!」
キイコ
「そぉら掛かって来い!!!オラァッ!!!」
バゴォッ!!!
トリニティ生徒C
「ぼがぁっ!!!」
キイコ
「次はどいつだ!!?テメェか!!?」
トリニティ生徒D
「舐めるなぁああああああ!!!」
キイコ
「そらよっ!!!」
ドグァッ!!!
トリニティ生徒D
「げぼぅぁっ!!!」
キイコ
「ハッハァ!!!」
「クッソォぉお!!!」「うおおお!!!」
「こんのぉぉおお!!!」
キイコ
「もっと来い!!!」
バゴォッ!!!ドグシッ!!!ベギァッ!!!
「ほげぁ!!?」「ごべぇっ!!?」「ぎゃんっ!!!」
ブンッ ガシャァッ!!!
(ベンチ投擲)
「「「「どぉぉああああ!!?」」」」
ブォンッ カァンッ!!!
(マンホール投擲)
アイリ
「ぎゃあっ!!!」
カズサ
「アイリ!!?」
シュバッ
(人体投擲)
トリニティ生徒E
「うぉわぁぁあああ!!?」
ドゴォン ドガラガシャァ!!!
(古書館天井崩落)
ウイ
「ンォォ!!?何が起きてるのぉ!!!??」
バギァッ!!!
(裏拳)
ティーパーティー生徒C
「あぎぇば!!?」
ズドォッ!!!
(ヤクザキック)
シスターフッド生徒E
「ぶぅぉぇ!!!」
ズバァンッ!!!
(アッパーカット)
ティーパーティー生徒A
「わあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ…………」
キイコ
「ああクッソォ!!!面倒くせぇなぁこの力はよぉ!!!」
最早言葉にするのも不可能な程に滅茶苦茶であった。キイコは
イチカ
「キイコが暴れてるってマジで言ってるんすか!!?」
ハスミ
「あの人は自分から戦いを仕掛けるようには見えませんでした。恐らく誰かが機嫌を損ねてしまったのでしょう。」
ツルギ
「あの時は取り乱していたとはいえ、私を一撃で沈めた女だ。総力を挙げて速やかに拘束するぞ。」
ミネ
「救護騎士団も加勢します!!怪我人を多発させてる蓮田キイコを黙らせればいいんですね!?」
サクラコ
「シスターフッドの子達も巻き込まれているそうですね。私も動いた方が良さそうです。」
大暴れをするキイコに収拾がつかなくなり、正義実現委員会が出動する事となった。更に救護騎士団と被害を受けたシスターフッドも動き出し、キイコの捕縛に移ろうとしていた。
キイコ
「オォラァァァアアアア!!!!」
ブォンッ
(人体投擲)
ヨシミ
「きゃあああ何でええええ!!!?」
ガァンッ!!!
(電柱顔面強打)
ベギッ!!!
(柵腰強打)
ドサァ
キイコ
「はぁ…はぁ……危なかった………」
辺りには200人を超えるトリニティの生徒達が倒れ、死屍累々と言わんばかりの地獄絵図が広がっている。更に校舎の壁や窓ガラスが人体投擲によって所々破壊され、古書館も天井崩落が起きたりと、キイコが齎した被害は甚大であった。
先生
「キイコ……」
キイコ
「仕方ねぇだろうが。あのまま怒りを抑えてたら変身するところだったんだぞ。そうなったらこれくらいじゃ済まねぇ。」
ハスミ
「そこを動かないでください!!!」
気が付けば正義実現委員会、救護騎士団、シスターフッドが集結しており、キイコに銃を向けている。キイコは拳を鳴らして対峙しようとするが、先生が慌てて間に挟まり大声で叫んだ。
先生
「待ってくれ!!私の話を聞いてほしい!!!」
ミネ
「どいてください先生!!!その女はトリニティを滅ぼしかねない野蛮人ですよ!!!」
先生
「頼むから聞いてくれ!!!キイコはこうするしかなかったんだ!!!」
イチカ
「こうするしかない!!?これだけ暴れたのには訳が有るって事っすか!!?」
セイア
「有るぞ。」
「「「「「!!!!???」」」」」
いつの間にかセイアが先生とキイコに歩み寄り、先生よりも更に前に立つ。その場にいた全員が呆然としてしまい、セイアは好機と見て話を続けた。
セイア
「今日の面会で、蓮田キイコは怒りを我慢し過ぎると恐ろしい存在に変身してしまう事が分かった。キイコはトリニティの環境に馴染む事が出来ずストレスを溜めてしまい、結果として我慢の反動による変身を防ぐ為に止むを得ず暴れたという訳だ。」
ハスミ
「………納得いきません。どうしてそう言い切れるのですか!?」
セイア
「私とナギサがキイコが持つ力の片鱗を実際に見たからさ。もしキイコが変身して暴れ出したら、今頃私達は全員殺されているはずだ。」
ツルギ
「…………力の片鱗を見たのは私もそうだ……ハスミもイチカも見ただろう。私が一撃で気絶する瞬間を。」
その発言に皆が視線をツルギに向ける。ツルギは正義実現委員会の中で唯一キイコの攻撃を食らっており、その強靭な一撃は食らった自身すらも驚愕させる程だったのだ。しかしそれでも納得出来ず、キイコの前に出た物が1人いた。
ミカ
「本当にそうなの? みんなセイアちゃんの話を鵜吞みにし過ぎじゃない?」
セイア
「私は事実を言っている。頼むから余計な事はしないでくれ。」
ミカ
「うーーん……断る☆こんな奴が先生のそばにいるなんて流石に見過ごせないよ。だから私が懲らしめて折っちゃうね☆」
キイコ
「私の事を知りもしねぇくせに言ってくれんじゃねぇかゴリラ魔女が。」
ミカ
「あはは、その呼び方止めて? 本当に折るよ?」
ミカは短機関銃を発砲するが、キイコは跳躍で躱して飛び蹴りを仕掛ける。しかしミカはこれを銃身で受け止めて弾き返し、再び発砲する。キイコは非物質化で全身にノイズを纏って銃弾を無効化すると、ジグザグに駆けながら急接近して殴り掛かった。
キイコ
「っ!!!」
ミカ
「うひゃっ!!?」
キイコ
「うぉらぁっ!!!」
ドグォッ!!!
ミカ
「ごぁっ!!?お˝えっ……」
右手の拳は間一髪で躱されるが、その直後に放たれた左手のボディブローが腹部に直撃し、岩石を砕いたような音が響き渡る。腹部への一撃で吐きそうになった瞬間をキイコは見逃さず、短機関銃を取り上げると膝蹴りで真っ二つに折った。
キイコ
「私を折るどころか逆に銃を折られちまったな。どうする、続けるか?」
ミカ
「っ!!!こんの……クソ女!!!!」
空に向かって手を翳すと巨大な隕石が現れ、キイコに目掛けて降ってくる。しかしキイコは呆れた目で隕石を見つめながら拳を構えた。
キイコ
「それがテメェの神性魂の力か。全然駄目だな。」
ミカ
「何強がってんの…!!この技は誰にも防げないし避けられもしないんだからね!!!」
キイコ
「誰が避けるっつったよ。N.M.フィスト!!!!」
ガオンッ
ミカ
「は? 嘘でしょ?」
隕石に向かってノイズを纏ったパンチを放ち、風圧を発生させる。風圧にはノイズが混じっており、隕石に当たるとその隕石がノイズに覆われ、次の瞬間には消えてしまった。
キイコ
「おらっ!!!」
ドグッ!!
ミカ
「がはぁっ!!?こんの…!!」
隕石を消されて呆気に取られた隙を突き、急接近してミドルキックを仕掛ける。しかしミカは脇腹から来る激痛に耐え、キイコの足を掴むと手前に引き寄せた。
バギッ ドグッ ズガァッ!!!
キイコ
「がふっ!!テメ…!!」
ミカ
「ぁぁあああ!!!」
ガシッ ドゴォァッ!!!
キイコ
「ぐぁああ!!?」
キイコのパンチを回り込むように躱し、背後から両手で腰を掴んでジャーマンスープレックスを食らわせる。ミカはその直後にキイコの頭を掴んで無理やり立たせ、顔面に膝蹴りを放つが両手で防がれ、逆に自分の手を掴まれてしまう。ミカの手を掴んだキイコは跳躍して両腿で上腕を挟み、腕拉ぎ十字固めを仕掛けた。
ミカ
「あいだだだだだだだだだだ!!!??」
ボギッ!!!
ミカ
「あ˝っ………」
キイコ
「ふんっ!!!!」
ドギィオォッ!!!!!
腕を折られた激痛で動きが止まったミカに馬乗りになると容赦無く拳を顔面に叩き込む。その際、拳が接触する僅か0,2秒の間に赫く眩い光が放たれた。そして人体から出ているとは思えない轟音と衝撃波が放たれ、周囲に土埃が舞い上がる。
セイア
「ミカ……」
先生
「殺してないよね…?」
ミカ
「あっ……あっあっ………あっ…」
キイコ
「ふぅぅぅ………」
ガッ ドサァ
土埃が晴れると返り血を浴びて所々が赤く染まったキイコと、小刻みに声を出しながら痙攣して倒れるミカの姿が見えた。ミカは鼻血を流して片腕を骨折したりと重傷であり、キイコはミカがまだ生きている事を確認するとミネ達救護騎士団の方向に蹴り飛ばした。
ミネ
「きゅ、救護ぉぉぉおお!!!大至急救護ぉぉおおお!!!!」
ツルギ
「なんて奴だ……私を気絶させたときはまだ力を抑えていたんだな。」
サクラコ
「恐ろしい御方ですね。幸いなのはもうこれ以上戦う気が無い事でしょうか。」
救護騎士団がミカや周囲に倒れるトリニティ生徒達の応急処置を始め、正義実現委員会とシスターフッドはキイコに銃を向けて警戒する。しかしキイコはそれを気にも留めず、校門の方へと歩き出して先生に声を掛けた。
キイコ
「行くぞ先公。もうここに用は無ぇ。」
先生
「キイコ…!!君は今何をしたのか分かっているのか!?」
キイコ
「喧嘩売って来たのは向こうだろ。じゃあどうすりゃよかったんだよ。肝心なときにテメェはだんまりを決め込んでただろうが。」
先生
「っ……それは…」
キイコ
「ヘタレ、役立たず、無能教師、低能親父。そんなんでよくキヴォトスを守ってこれたな。」
その発言に先生は息を詰まらせ硬直してしまう。その直後に先生のそばを誰かが通り過ぎ、キイコに平手打ちを食らわそうと手を振り翳すが、キイコはすぐに反応してその手を掴んだ。
キイコ
「テメェも何か文句有んのか。」
ナギサ
「今の発言、取り消しなさい………」
キイコ
「私は事実を言っただけだ。」
ナギサ
「いいえ、貴女の発言は自分が正しいという思い込みが激しくて傲慢です!!先生は貴女が言うような役立たずではありません!!!」
キイコ
「そうかよ…っ!!!」
ヒフミ
「止めてください!!!」
アズサ
「止せ!!!」
キイコ
「だぁっ!!?テメェら…!!放せゴラァ!!!」
ナギサを殴ろうと拳を構えるが、今度は背後からヒフミとアズサが掴み掛かる。キイコは振り解こうとするが、その様子を見て耐えかねた先生が叫んだ。
先生
「もういい!!!!止めるんだ!!!!」
ヒフミ
「先生……」
先生
「キイコはここの環境に馴染めなくて不機嫌だったにも拘らず、私はそれを知っておきながら機嫌を直そうとしなかった。そのせいでこんな大惨事が起きた……こんなに大勢の生徒が傷付いてしまったのは私のせいだ!!!」
ナギサ
「それは違います!!!悪いのはこの女が…」
キイコ
「やっと認めたか先公。それを聞いて気分が落ち着いてきたぞ。次はゲヘナだろ? 先に行って待ってるからな。」
ナギサ
「なっ!!?待ちなさい!!!まだ話は…!!」
キイコは全身にノイズを纏って飛翔し、ゲヘナの方角へと飛んで行く。取り残された先生は拳震わせると自分の顔を殴り始めた。
ガスッ ボゴッ バギッ!!!
先生
「クソッ!!!クソッ!!!クソぉぉお!!!」
ナギサ
「先生!!?落ち着いてください!!!」
ヒフミ
「何でこんな事に……」
アズサ
「キイコはクンヤン人だ。他と違って殺しはしなくても、キヴォトス人そのものが好きになってるとは限らない………」
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キイコ
「一足先にゲヘナに来たが……腹減ったな。」
キイコは近くの飲食店に立ち寄り、食事休憩に入る。しかし自由と混沌が校風のゲヘナでこの一時が長続きする事は無かった。
チュドォォォン!!!!
キイコ
「うぉわぁぁああ!!?」
食事を終えて会計に行こうとした瞬間、飲食店が爆破してキイコは外に放り出される。すると煙が昇る入口から4人の人影が出てくるのが見えた。
ハルナ
「隠し味が有ると思いましたが……それすら無いとは平凡以下ですわ。」
イズミ
「うーん……ここが駄目なら次はどこがいいかな?」
ジュンコ
「あ、だったらここからそんなに遠くない所に有るあの店はどう? 前から気になってたのよね。」
アカリ
「そうと決まれば早く行きましょう。」
その4人はゲヘナにおいても悪名高い≪美食研究会≫の面々であり、キイコは不運にも彼女達の日常行動に巻き込まれたのであった。キイコは4人の姿を捉えると地面のアスファルトを殴って立ち上がる。そして怒りの形相で4人を睨み付けると同時に全身にノイズを纏って急接近し、ハルナに目掛けて拳を振るった。
キイコ
「『赫耀』!!!!」
ドギィオォッ!!!!!
ハルナ
「ごぼばぁぁぁあああ!!!??」
ズゴォッ!!!ドゴォンッ!!!バゴォッ!!!
ガラガラガラ…
拳が接触する僅かの瞬間に眩い赤色の閃光が放たれ、次の瞬間にハルナは吐血しながら吹き飛んで幾つもの壁を貫通した後に瓦礫に埋もれた。残された3人はキイコに銃を向けようとするが、触手に変化した腕に纏めて縛られ拘束されてしまった。
キイコ
「いきなり何してくれてんだテメェらはよぉ……!!!」
ジュンコ
「あ、さっき爆破したとき一緒に吹き飛んだ人……ってちょっと待って!!?」
イズミ
「レインコート姿って事はまさか!!?」
アカリ
「万魔殿と風紀委員会が共同で捜索している蓮田キイコですね……よりによって…」
キイコ
「やっと一息付けた途端に爆破で厄介事起こしやがって……空気の読めねぇ大食い阿婆擦れ共がぁぁぁあああああああ!!!!!!」
触手で拘束したまま3人を逆さにして何度も頭を地面に叩き付け、気絶したのを確認すると煙が昇る飲食店の中へ放り込む。そして飲食店の柱を次々と破壊し、建物を倒壊させて3人を瓦礫の下敷きにした。
キイコ
「死なずに済んだら病院で反省してろ。あぁクッソ、今日はついてねぇ……」
美食研究会を瓦礫の下敷きしたキイコは移動を始める。その瞬間をとある生徒が目撃しており、スマホで他の生徒に伝えていた。
「間違いない、蓮田キイコがゲヘナに現れた。すぐに人員をこちらに回してくれ。」
イオリ
「状況次第では万魔殿と共同で取り掛かる事になるぞ。それと救急医学部に要請を。美食研究会が奴の怒りを買って瓦礫の下敷きにされた。」
ゲヘナ屈指の戦闘集団、≪風紀委員会≫がキイコに狙いを定め、捕縛しようと動き出した。
次回はゲヘナを舞台にキイコが暴れます。
そしてサラッと描写した新しい能力について解説。
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・赫耀
神秘と虚無が接触した際に虚無が勝ると発生する発光現象。その為、厳密に言うと能力ではない。
これは虚無が相手の神秘を大量に掻き消した際に生じる一種の連鎖反応であり、赤い光は虚無エネルギーが可視化されたもの。即ち赫耀とは全身全霊をかけた強靭な一撃の副産物である。尚、神秘が勝った場合でも似たような現象を発生させる事が可能であり、こちらは『蒼閃』と呼ばれる。
本来は狙って出す事が難しい高等技術であり、技のように狙って出せるのは現状オールドワンスのような実力者のみとなっている。